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『深煎ローストはやけどのもと』クレオ・コイル RHブックスプラス

2022-11-13

Tag : クレオ・コイル

☆☆

今日もおいしいコーヒーを淹れるのに余念のないクレア。しかし、平凡な一日が、とんでもない日になった―。老舗コーヒーハウスをマダムと訪れたところ、そこで爆発が!消防士たちの命がけの救出活動でマダムは無事だったが、さらに別の店でも火事が起こる。これはコーヒーハウスを狙う連続放火事件?それならうちのお店も危ない?クレアは事件の真相を探りはじめるが、消防隊のことも気になって……。簡単おいしいレシピ付き、好評シリーズ第9弾! 内容紹介より



コクと深みの名推理9。
今回の主人公は、コーヒー専門店を狙った連続放火事件を調査する彼女に犯人の影が忍び寄って来る上に、彼女の恋人である警部補とその従兄弟である市消防局隊長の間にある確執の板挟みになってしまうというトラブルに陥ってしまいますが、探偵役としては、冷静な推理より容疑者が呆れるどころか恐怖を感じるほどの妄執じみた直感で暴走するという、通常パターンに変わりはありません。シリーズを通してのユニークな常連客を登場させない姿勢というのが、作品として弱い部分だと個人的に思っているのですけれど、そうはいっても作者が人物造形に優れているとは言えませんし、この傾向が今後も続いているのでしょうか。

ユーザータグ:クレオ・コイル








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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『スキン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー 文春文庫

2022-11-10

☆☆☆☆

ジューヨークの地下で拉致された女性は毒の針で刺青を刻まれ、死亡していた。現場では、科学捜査の天才リンカーン・ライムが解決したボーン・コレクター事件に関する書籍の切れ端が発見された。殺人犯はあの連続殺人犯の手口とライムの捜査術に学び、犯行に及んでいるのか?現代最高のミステリー・シリーズを代表する傑作。 上巻内容紹介より



今回は、相変わらずのどんでん返しの連続に加えて、ボーン・コレクターやウォッチメイカーという本シリーズのなかでも稀代の犯罪者とその事件に触れるという試みがなされています。しかし、『ボーン・コレクター』や『ウォッチメイカー』を読んでいなくても、縦横に張り巡らされた伏線と幾度ものひねりにはディーヴァー初心者には相当の驚きを与えるでしょう。個人的には『ウォッチメイカー』が最高峰だと思いますが、本書はシリーズ集大成と言えるくらいの完成度を誇っていると思います。ただ、一連の事件の黒幕が判明した時に、なんだか興ざめした気持ちがしたのは、そこに力技とか強引さを感じたからかも知れません。その人物がいなくても充分成り立っていたものに、読者サービスなのかどうなのか、サプライズありきの余計な印象を受けたからかもしれません。
本シリーズの鉄壁のフォーマットを作り上げたディーヴァー工房の名職人ジェフリーさんは、これからマンネリを感じさせない作品を出していけるのでしょうか。

ユーザータグ:ジェフリー・ディーヴァー







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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『上手に人を殺すには』マーガレット・デュマス 創元推理文庫

2022-11-07

Tag :

☆☆☆

ようやく新居を手に入れ、最愛の旦那様ジャックとの甘い生活を満喫するはずだったのに、またもや人死にに出鼻をくじかれるわたし。夫が作ったコンピューター・セキュリティ会社の取引先である、IT企業CEOの婚約者が怪しい状況下で死亡したのだ。彼女はたまたま、親友ブレンダの同級生だったことがわかり、チャーリーは夫に内緒で事件を調べ始める。ついには、渋るジャックを説き伏せて、顔を知られているジャックに代わりに、友人たちとくだんの企業に潜入捜査を敢行することに―セレブな新妻とその旦那様、および仲間たちの華麗な活躍、第2弾。 内容紹介より



本書は、超がつくほどのお金持ちの「わたし」と元海軍所属の秘密工作員疑惑のあるジャック、このカップルが活躍するユーモア・ミステリの第二作目ですが、第一作目の『何か文句があるかしら』より面白かった気がしました。やはりヒロインの妙に浮世離れしているけれど嫌味のない言動が魅力的なのと、その彼女を取り巻く脇役たちの存在が良い味を加えていると思います。夫が設立した会社の取引先であるIT企業の役員の不審死をヒロインたちが潜入捜査するという、端から見るとお金持ちの有閑夫人の手遊びみたいな探偵ごっことも言える活動を始めると、さらなる不審死が続き、その上に車での襲撃や銃撃事件もヒロインたちに降り掛かってくるといったアクション場面も用意されています。ただし、楽しみどころは、鼻持ちならないレベル以下に抑えられた気の効いた台詞回しに尽きるのですが。

『何か文句があるかしら』







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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ドランのキャデラック』スティーヴン・キング 文春文庫

2022-11-04

☆☆☆☆

敵は厳重な警備下にいる。倒せるチャンスはただひとつ、自動車で移動している間だけ……。妻を殺された男が犯罪組織の大物に挑む復讐戦。完全防護のキャデラック相手に仕組んだ奇想天外な計略を描く表題作ほか、キング一流の恐怖の物語から意外な結末が待つアイデア・ストーリーまで、巨匠の多彩な才能を味わえる傑作短篇集。 内容紹介より



本書は、短篇集Nightmares & Dreamscapesの日本語版で四冊(『いかしたバンドのいる街で』『メイプル・ストリートの家』『ブルックリンの八月』)に分けて出版されたなかの一冊にあたります。
キング自身による作品解説があります。

『ドランのキャデラック』
犯罪組織の大物によって妻を爆殺された、しがない教員の夫が企てる狂気じみた復讐計画。計画を実行するまでの、まさしく血と汗の努力を描いた作品。復讐を果たした後は、それだけに達成感と満足度は半端ないことでしょう。

『争いが終るとき』
近隣の地域と比べて、極端に暴力や犯罪件数が少ない町。そこにある物質を調査分析して、地球上から争いを無くしてしまおうとした弟、それに協力した兄が事の顛末を記した物語。

『幼子よ、われに来たれ』
古参の小学校教師の恐怖と狂気を描いた作品。幻覚なのか、それとも侵略なのか、二つの視点で愉しめる話。

『ナイト・フライヤー』
セスナを操縦して、各地で吸血鬼まがいの連続殺人事件を起こしている犯人を追う扇情的なタブロイド紙の記者。彼の人間性及び倫理観の欠如が吸血鬼と同様に恐ろしく感じる作品。

『ポプシー』
カード賭博で多額の借金を抱えた男が、借金返済のために始めた子供を狙った誘拐。ショッピングモールで家族とはぐれた男の子をさらった彼に降り掛かった恐怖の話。

『丘の上の屋敷』
丘の上に立つ無人の屋敷が見下ろす、寂れた町にある雑貨店で老人たちが交わす屋敷とその住人たちにまつわる話。キャッスルロック関係のサイドストーリーのひとつみたいです。

『チャタリー・ティース』
セールスマンが旅の途中で立ち寄った雑貨店。そこで手に入れた玩具と同乗したヒッチハイカーの物語。程よい感じのB級感。

批評家や評論家たちに言いたいことや主張したいことが書いてある、まえがき(序)にある、「一部の批評家たちはスティーヴン・キングなら洗濯物のリストを出版しても百万部売れるなどといっている」(p18)というくだりは、どこで読んでも笑えます。

ユーザータグ:スティーヴン・キング







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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『野獣よ牙を研げ』ジョージ・P・ペレケーノス ハヤカワ文庫HM

2022-11-01

☆☆☆

車上のコンスタンチンは、運転席の初老の男ポウクを見やった。脚の障害をものともせず一流の犯罪者となり、いままさに犯罪組織から抜け出そうとしているポウク。彼が最後の犯罪を行う決意をした時、コンスタンチンは純粋な友情から協力を申し出た。彼らは大金を貯め込んだ酒屋を襲撃する計画を実行しようとしたが……非情な犯罪世界に芽生えた一瞬の友情の美しさと、血まみれの死闘を描いた渾身のクライム・ノヴェル。 内容紹介より



高校を卒業後、主人公は折り合いの悪かった父親の元を離れ海兵隊に入隊、除隊後は世界各地を放浪する生活を続けていました。帰国しヒッチハイクの旅の途中、ポウクという初老の男性に拾われた彼は、金を回収するために犯罪組織のボスを訪ねるポウクと行動をともにします。金を渡す代わりに、ボスから新たに大金強奪の仕事を持ちかけられた彼らは……。
1994年に発表された本作は、ニック・ステファノ シリーズである『硝煙に消える』(1992年)、『友と別れた冬』(1993年)に続く、初期の作品に当たるノンシリーズものです。それまで犯罪を犯したことのない人物が行きずりに知り合った男と組織犯罪に加担するという設定には結構違和感があり、刹那的というか達観しているというか、主人公の行動理念に説得力を欠いているいる印象を受けました。スピード感はないのですが、ゼロ・アワーへ、そして悲運の予感をじわじわとサスペンスを高めていく流れは上手いです。モチーフでは本書が『俺たちの日』に繋がっているのでしょうか。

ユーザータグ:ジョージ・P・ペレケーノス







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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『荒野へ』ジョン・クラカワー 集英社文庫

2022-10-29

Tag :

☆☆☆☆

アラスカの荒野にひとり足を踏み入れた青年。そして四か月後、うち捨てられたバスの中で死体となって発見される。その死は、やがてアメリカ中を震撼させることとなった。恵まれた境遇で育った彼は、なぜ家を捨て、荒野の世界に魅入られていったのか。登山家でもある著者は、綿密な取材をもとに青年の心の軌跡を辿っていく。全米ベストセラー・ノンフィクション。 内容紹介より



本書は、1992年4月、ヒッチハイクでアラスカにやって来た青年が、四か月後死体となって発見された出来事をきっかけに、著者が取材をもとに彼の放浪の半生と死に至った経緯、心の動きを表したノンフィクションです。青年は決して死を望んでいた訳ではないにしても、自ら進んで死の淵に挑むという青年期の無鉄砲さで行動していたのでしょうし、彼が渇望し理想とした自由や大自然の中での孤独を突き詰めていけば、それは死と隣合わせになるということになるのかも知れません。
本書は、いわゆる冒険家の死にいたるまでの軌跡を辿ったものなのでしょう。わたしとしては、広大な国土と自然のスケールもですが、彼の心の強さや信念、行動力に驚かされました。ヒッチハイクの旅ながら道中で強盗や傷害事件などの犯罪が起きていないことに、いつものミステリ作品の世界と違っていて意外と安全なのかなと思いました。






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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

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