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『夏の夜のわるい夢』ジェイニー・ボライソー 創元推理文庫

2019-09-19

Tag :

☆☆

だれもかれもローズに打ちあけ話をしたり、問題を解決してくれとたのむらしい。若い女性のレイプ事件を捜査中のジャック・ピアーズ警部は心のなかでつぶやいた。ローズときたら被害者の親友の母親がたまたま絵画教室の生徒だった関係で、何やら相談を受けたというのだ。できることならローズには事件にかかわってほしくなかった。だが、レイプ事件はいっこうに解決せず。ローズもジャックの懸念をよそに、どんどん事件に深入りしていってしまう。英国の西の果て、風光明媚なコーンウォールの魅力満載。好評、コーンウォール・ミステリ第6弾。 内容紹介より



空き巣事件が頻発する町に、新たにレイプ事件が発生し、ついに犯行は殺人事件までにエスカレートしてしまうことに。ヒロインは、講師をしている絵画教室の生徒の娘が、最初の被害者となった女性の親友だったことから事件にかかわることになります。色々な人たちから慕われ、好かれているヒロインの魅力がいっこうに伝わってこない描写力を備えている作者ですけれど、シリーズ六作目においてもそれは変わらず。ミステリ部分でも、わざとらしく、かつ強引に感じるくらい容疑者候補を並べるたてる始末です。300ページに収めるために、あえて容疑者をはじめとした人物の心理描写を軽くし、それぞれの過去の背景を膨らませていないのかもしれませんが、それが作品を非常に凡庸にしているように思います。しかし、作者が目指していることが、コーンウォールにおける自然と町の風景、ヒロインの私生活と交遊、そして申し訳程度の推理なのだったら作品としては立派に成り立っていることになるのでしょう。このシリーズも安野玲氏の訳者あとがきによると次作で最終巻だそうです。

ジェイニー・ボライソー




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『戦慄のシャドウファイア』ディーン・R・クーンツ 扶桑社ミステリー

2019-09-16

Tag : ホラー

☆☆☆☆

エリック・リーベン=天才的な遺伝子工学者。彼はその才能を武器にベンチャービジネスを成功させ、莫大な財を築いていたが、別居中の妻レイチェルと口論した直後、自動車にはねられ即死した。しかし、奇怪なことに彼の死体が、死体公示所から忽然と消えた!恋人ベンとともに極秘の調査を開始したレイチェルの前に、謎の追手がたちふさがる。一方、エリックが手がけていたプロジェクト〈ワイルドカード〉の機密漏洩を恐れる情報局のシャープも二人の追跡を開始した。鬼才クーンツが放つ、超大型サスペンス! 上巻内容紹介より



前回読んだ『殺人プログラミング』同様にSFホラーです。優れた科学者に幼少期のトラウマという陰影を付けて、単なる悪の権化にはしておらず、また女性を敵視している設定も同じです。育った家庭環境とトラウマから極端に死に恐怖心を持っている遺伝子工学者が、遺伝子改変によって寿命を延ばすどころか不死の身体を手に入れる研究を行っていましたが、妻との離婚調停の直後、彼は交通事故死してしまいます。しかし、死体解剖を行うために安置されていた彼の遺体が消えてなくなる事態が起きます。実は自らの身体に遺伝子工学的処置を行っていた彼は、元妻に復讐するため死からよみがえり……という展開です。話は復讐譚と追跡行なのですけれど、特に迫力があるのは遺伝子が勝手に暴走し始めて、身体が逆行進化、またはこれまでの生物の進化の流れとはまったく異質な変化を描いているところだと思います。昆虫や甲殻類、爬虫類それに未知なるものに変身した化け物、身体的変化のみならず、シャドウファイアの幻影をはじめとして、人と獣の間を交互に揺れ動くなかでの、苦悩や歓喜など意識の移り変わりの様も丹念に描写しているあたりはとても感心しました。

ディーン・クーンツ




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『サイモン・アークの事件簿Ⅱ』エドワード・D・ホック 創元推理文庫

2019-09-13

Tag : 短編集

☆☆☆

二千年の長きにわたる人生の大半を、悪魔と超自然現象の探求についやす謎の男、サイモン・アーク。本書は彼が対峙した多くの怪事件の中から、著者ホックの自薦作をまとめた、日本独自の短編集第二弾である。大企業が牛耳る街ベイン・シティーで発生した殺人の謎と、大学で進められる遺伝学の研究に隠された秘密をめぐる、本邦初紹介の力作中編「真鍮の街」を始め、カスパー・ハウザーの伝説や宇宙からの侵略者、吸血鬼、ファラオの呪いなどが引き起こしたとしか思えない難事件を、卓越した推理力で解明していくアークの活躍譚、全8編を収録。内容紹介より



「過去のない男」
ある夜、イギリスに忽然と現れた過去を持たない青年。その後、アメリカに移り住み養父と暮らす彼を訪ねるアークに同行した物語の語り手である「わたし」は、雪原をひとり歩いていた彼が「刺された」といきなり叫んで倒れる姿を目撃する。青年は腹部を刺されて死んでいたが、奇妙なことに雪の上には彼の足跡しかなく、凶器も見つからなかった。カスパー・ハウザーの伝説に酷似した異様な事件に挑むアーク。

「真鍮の街」
出張帰りの旧友の家を訪ねた「わたし」に、地元の大学で広報の仕事をしている友人から相談事を持ちかけられる。それは大学教授が行っている遺伝と進化に関する実験のことで、友人はその実験が人類に有害なものだと危惧し、アークに調査して欲しいというものだった。その後、友人の義理の妹が何者かによって射殺される事件が起き、再び「わたし」はアークを伴って友人を訪れる。企業城下町で起きた射殺事件を取り留めなく描いた中短篇。

「宇宙からの復讐者」
ロシアで引退した宇宙飛行士が落雷と思われる事故により死亡した出来事を皮切りに、アメリカの元宇宙飛行士が連続して、同じような状況で変死する事件が発生する。その事件以前にNASAに宇宙人から宇宙飛行士たちが雷神によって復讐されるという警告を行っていた男の存在を知らされた「わたし」とアークは怪事件との因果関係を探る。

「マラバールの禿鷹」
ボンベイを舞台にゾロアスター教の鳥葬を題材にした話。


「百羽の鳥を飼う家」
籠の鳥が幽霊の出る屋敷から幽霊や悪霊を追い払うという言い伝えを信じていた老姉妹の家で起きた殺人事件。夜中に怪しい行動をとる下宿人の男の隠れた正体をアークが暴き出す。トリックが子供騙しみたいな。

「吸血鬼に向かない血」
マダガスカル島で吸血鬼に挑むアーク。闘牛や闘鶏ならぬ闘猪が珍しく、その後の使い方も奇妙な話。

「墓場荒らしの悪鬼」
先祖代々の敷地に妻と息子と住む人物から、敷地内にある家族の墓地が荒らされ、悪魔教のシンボルがその近くで発見されたという相談を受けた「わたし」とアーク。単に墓を暴くだけの犯人の目的とは……。

「死を招く喇叭」
エジプトで発掘された喇叭は、発掘した四十歳代の考古学者がそれを吹いてまもなく死亡し、死因が老衰だったことから呪われた喇叭と呼ばれていた。それが展示されている私設博物館を訪れた「わたし」とアークの間近で喇叭を吹いた所有者の女性が怪死する事件が発生する。その遺体には言い伝え通りにまさしく老化の痕跡を留めていた。

『サイモン・アークの事件簿 Ⅰ』





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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『タイタス・クロウの事件簿』ブライアン・ラムレイ 創元推理文庫

2019-09-10

Tag : ホラー 短編集

☆☆☆

『ネクロノミコン』『妖蛆の秘密』『水神クタアト』……太古の邪神たちの秘儀を記した魔道書の数々を解読し、その悪しき智慧を正義のために使う男、タイタス・クロウ。魔教の使徒やら不死の魔術師、あるいは数秘術を操るテロリストと戦う彼の全中短篇を一冊に収録。二十世紀最大の怪奇小説家H・P・ラヴクラフトの衣鉢を継ぐ英国ホラー界の重鎮がおくる、連作オカルト探偵小説。 内容紹介より



「誕生」
サハラ砂漠に建つ寺院から〈霊液〉を盗み出した盗人は、教団が放った追跡者〈不死なる死の僧〉に追われてロンドンへ舞い戻る。彼は子供時代の隠れ家だったある建物に逃れ、石室に据えられた石鉢に、汚れなき者を覚醒させるという〈霊液〉をこぼし入れる。タイタス・クロウ誕生のいわれ。

「妖蛆の王」
終戦とともに陸軍省の暗号解読の職を失った主人公は、ある宗教組織の総師が募集した、オカルト文献を整理する仕事に採用される。彼は総師の屋敷に寝泊まりしながら仕事を始めるが、その夜から奇妙な夢を見るとともに、邸内のあちこちで薄桃色の太った蛆虫を見かけるようになる。彼が調べるうちに、古代中東に起源を持つ妖術を用いる妖蛆魔道士の言い伝えにたどり着き自分が狙われていることを知る。

「黒の召喚者」
退屈しのぎに悪魔教団に入団した人物から助けを求められた主人公は、教団を率いる男に自らの命を狙うよう仕向ける。男が唱える呪文によって召喚される〈暗黒のもの〉とは、そしてそれを防ぐ方法は。

「海賊の石」
〈血まみれ斧〉という悪名を持った海賊。彼が戦死した後、母親の魔女が残した墓碑を掘り起こして持ち帰ろうとする友人を止める主人公。彼が列車の窓から見た海賊船とその舳先に立つ骸骨の姿。

「ニトクリスの鏡」
ある古い詩に言及されている女王ニトクリスの鏡。女王が政敵に用いたという魔力を持つとの伝説があるその鏡を競売で落札したクロウの友人の話。

「魔物の証明」
自著の内容にクレームをつけられた主人公は、その人物を屋敷に招待することに。その相手は荒唐無稽な魔物がさも実在したかのように書いていることに不満を持っているらしく 固く口止めして相手に見せた髑髏の由来とは。

「縛り首の木」
主人公が所有している稀覯本を閲覧させてもらうため、深夜の邸を訪れた作家。神秘奇怪な出来事の実話集を著す作家にもかかわらず、彼は幽霊なども一切信じていないと語る。家の梁がきしむような音とともに、主人公が聞かせた縛り首の木の話。

「呪医の人形」
南アフリカの病院で呪医に呪いをかけられた英国人医師 ブードゥー教のような民間信仰の話を捻った作品。

「ド・マリニーの掛け時計」
主人公が所有する奇妙な動きをする四っつの針がある大時計と彼の屋敷に押し入った二人組の強盗の話。金目の物がしまわれていると思った強盗は、棺の形をした時計を開けようとするが。

「名数秘法」
核兵器を使って世界を破滅させようと計画する悪魔の使いと主人公の対決を描いた話。

「続・黒の召喚者」
「黒の召喚者」の後日談。

ユーザータグ:ホラー




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『殺人プログラミング』ディーン・クーンツ 光文社文庫

2019-09-07

Tag : ホラー

☆☆☆☆

—視覚プログラムと薬剤を使って人間の心を自在に操る……ペンタゴンの研究員ソールズベリの恐怖の研究。彼はこの人体実験の場に、人口400の田舎町ブラック・リヴァーを選んだ。だが、そこに休暇を楽しもうと、都会から親子が……。—“本書を読み終えられるころには、読者の多くが落着きを失い、不安に怯え、恐怖すら感じるかもしれない……著者”ベストセラー作家が人間の欲望と意識下の世界に挑んだ戦慄のハード・サスペンス! 内容紹介より



ペンタゴンのある研究者が大富豪と共謀して、自らの研究を私利私欲のために転用しようとメイン州の孤立した田舎町で人体実験を行います。薬剤が撒かれた貯水池からの水を飲み、あらゆるメディアを使ってサブリミナルに刺激を受けた住民たちは研究者の言いなりになってしまう状態に陥ります。その町へ休暇にやってきた親子三人が事件に巻き込まれ、実験の影響を受けなかった住人とともに陰謀に立ち向かうという話です。現在では都市伝説化したみたいな“サブリミナル効果”を題材に取った1976年発表の作品です。設定は荒唐無稽ながら物語は大変面白く、細かな点も充分に目がいき届いた娯楽作品になっていると思います。わたしがこれまで読んできたクーンツの作品に感じるプロットや人物にある薄さあるいは底の浅さみたいなものが、本書では結構軽減されているような印象を受けました。この作品でも前回の『ウィスパーズ』同様に子供時代の虐待経験を負う人物が登場するのですけれど、その凄惨な経験が犯行のひとつの動機とする一方、盤石と思われた計画にほころびをもたらす原因にも持っていきているところに巧さを感じました。難点があるとするなら、ある人物の死は衝撃的ではあるもののかなり余計だったような気もします。




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X』J・W・キャンベルJr. H・P・ラヴクラフト ラムジー・キャンベル 扶桑社ミステリー

2019-09-04

☆☆☆

人類の神のイメージとなった〈旧支配者〉が太古の地球を征服し、それに準ずる神々も存在した。いまは地下や海底や異次元で眠っていいるかれらは復活のときを狙っている……。極地で見つかった謎の生物との壮絶な戦いを描いて三度も映画化された名作「遊星からの物体X」。映画『エイリアン』『プロメテウス』の原型にあたる「クトゥルフの呼び声」。さらに「恐怖の橋」「呪われた石碑」「魔女の帰還」などラムジー・キャンベルの未訳中短篇五本を収録した、待望のクトゥルフ神話アンソロジー! 内容紹介より



「遊星からの物体X」J・W・キャンベルJr.
ホラーSF傑作選ー影が行く』(創元SF文庫)に「影が行く」として収録されている作品の新訳版です。エイリアンが登場するサバイバルSFホラーの先駆けといえる傑作ですが、まったく経年劣化していません。いわゆる従来の呪われた屋敷で起きる怪奇現象型ホラーとは対極にあるサイエンス・ホラーであり、科学者たちが南極基地において知性を用いて異星人に挑むという斬新さがその原因だと思います。

「ヴェールを破るもの」ラムジー・キャンベル
禁忌を侵す者の行方。人が見ているものは、実際には姿形がゆがめられて見えているのではないかと考えている男が、偶然知り合った黒魔術の研究家に招かれ、物の形をゆがめているヴェールを破る実験に参加します。彼ら二人がヴェールの下に見た物とは……。ちょっと迫力不足な感じがしました。

「魔女の帰還」ラムジー・キャンベル
近隣の住人から魔女だと噂されていた老女が亡くなり、遺された屋敷を買いとって住むことにした作家は、開かずの部屋を開けてしまう。その夜、彼は墓地に埋められた柩を掘り起こし屋敷に持ち帰るという奇妙な夢をみます。タブーを侵して、死んだ魔女に操られる男の話。やたら親切な医者が都合良く現れるのもちょっと無気味かも。

「呪われた石碑」ラムジー・キャンベル
自死した父親が遺したファイルに入っていた、ある小島に祭られている古代の石碑についての資料を見つけた息子は死の理由がその石碑にあることを知る。それは過去から現在までの島にまつわる奇妙な事件や出来事についての資料だった。それを確認するために彼はひとりボートに乗り、島に上陸する。それ以後、彼の周りに宙に浮かぶ胴体の無い顔が現れ、しかもその数が増えていく。

「スタンリー・ブルックの遺志」ラムジー・キャンベル
余命幾ばくもない男が遺産を弟姉妹に遺すという遺言状の内容を書き換え、遺産のすべてをある受取人に遺すという。遺族がまったく会ったこともないその受取人は故人に瓜二つの男だった。血管が透けて見えるほど青白い肌をした男の正体は。

「恐怖の橋」ラムジー・キャンベル
魔性のものが棲む地下都市への封印を解いたために、町を襲った恐怖の災い。

「クトゥルフの呼び声」H・P・ラヴクラフト
怪物をかたどった小像が示す人類以前の遥か昔に地球を支配していた邪悪なもの。彼らは深海で復活の時を待っている。人が夢の中、あるいは実際に垣間見た太古の怪物たちの話。「クトゥルフ神話」の世界観、その基本がとても判りやすく現わされていると思います。

ユーザータグ:ホラー アンソロジー





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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

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てんちゃん1号

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