『幽霊探偵の五セント硬貨』アリス・キンバリー ランダムハウス講談社

2015-05-19

☆☆☆

社交界の華と呼ばれた女性が殺された。そして今度は、事件の真相に迫った作家までが謎の失踪!?自分の店に招いた作家とあらば見過ごせない!真相究明に乗り出した書店主ペネロピーは、捜査の参考にと、店の倉庫に眠っていた幽霊探偵の事件簿を取り出してみることに。すると、中から一枚の五セント硬貨が転げ落ち……。この一枚がやがて、幽霊探偵とミステリ書店主の名コンビの命運を分ける!待望のシリーズ第2弾。 内容紹介より



ミステリ書店シリーズ第二作目。この回より、生前に幽霊探偵が持っていた五セント硬貨を身につけると、書店の外でもヒロインは彼と会話できる設定変更になっています。また、夢のなかで探偵ジャックが活動していた時代を彼女も訪れることが可能に。過去に探偵ジャックが依頼された恐喝と人妻の変死事件、現在の社交界で起きた殺人事件とそれをスキャンダラスに取り上げた本を出した作家の失踪事件、この二つの事件が描かれます。しかし、相変わらず、それぞれの事件には関連性はなく、幽霊探偵がヒロインに探偵術を教えるためという意味合いが強いだけです。
本書のなかでコージーミステリらしさがあったのは、ヒロインの店が所属する商店会の月例ミーティングの席上で今回の事件のことが取り上げられた場面でした。ヒロインの他、宿屋のオーナー、郵便配達人、食料品店主、金物屋などが、容疑者の若者に対して模擬裁判みたいなことを始める場面ははじめは面白かったですが、勢いがしりすぼみになってしまって残念でした。

『幽霊探偵からのメッセージ』
『幽霊探偵とポーの呪い』
『幽霊探偵と銀幕のヒロイン』




テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『コーヒーのない四つ星レストラン』 クレオ・コイル ランダムハウス講談社

2011-07-29

☆☆

〈ソランジュ〉はニューヨークでも随一の高級フレンチレストラン。料理は、どれも一流の味。そんな大評判の店で娘が料理修行するとなれば、親ならば誇らしいところ。けれど、クレアは素直に喜べない。娘ジョイは、料理長と不倫関係にあるばかりか、店で次々と起こるシェフ殺害事件の容疑者にされてしまったのだ!娘を救うため、クレアは潜入捜査をすることに。美食家も唸る、絶品料理と四つ星コーヒーが満載のシリーズ第6弾。 内容紹介より



わたしにとって〈コクと深みの名推理〉を謳うこのシリーズ(日本語版)の一番の魅力は、藤本将さんのカバーイラスト(↓)にあるわけで、それがなかったらもう手に取ってないと思います。イラストのレベルくらいに内容も素晴らしければいいのですが、ヒロインは好きになれないし、恋人の警部補との恋愛やりとりもつまらないし、そのふたりが良い感じになっているところに必ず現れる元夫のキャラクターは一辺倒だし、内容もお手軽なのです。ちなみに、ヒロインを軸にした三角関係は、ジョアン・フルークの〈お菓子探偵ハンナ・スウェンソン〉シリーズにおけるハンナと二人の男性のそれに似ています。
今回の舞台は四つ星レストランですから、読み手としてはその裏側とか厨房やスタッフの様子に興味がわくものですが、そこらあたりのエピソードがさほど描かれていないところがもの足りません。ローラ・チャイルズのお茶の知識にくらべて、この著者コンビのコーヒーについての知識が付け焼き刃的な感じがするうえに、死体の数ばかり多い恋愛模様重視のストーリー展開で、飲食系コージー・ミステリとしてはかなり低調な作品でした。ああ、なんだかこういう感想を書くと、現代ミステリの潮流に乗れていない旧守派みたいな気がしてテンション下がりそう。

タグ:クレオ・コイル




コーヒーのない四つ星レストラン (ランダムハウス講談社文庫)コーヒーのない四つ星レストラン (ランダムハウス講談社文庫)
(2009/05/08)
クレオ コイル

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『幽霊探偵と銀幕のヒロイン』アリス・キンバリー ランダムハウス講談社

2011-06-04

☆☆☆

閉鎖された映画館が、長い時を経てリニューアル・オープン。記念に映画祭が開かれ、多くの映画関係者が招かれた。なかでも主役は伝説の大女優ヘッダ ― かつて、愛憎劇の果てに起きた殺人事件により、映画界を追われた魔性の女。そして今ふたたび、彼女の周りで血が流れることに。はたして往年の大女優は稀代の悪女?それとも悲劇のヒロイン!? 六十年前、殺害現場を目撃した幽霊探偵と、書店主ペネロピーが真相を探る! 内容紹介より



ミステリ書店シリーズの第四作目。
もともとこの幽霊探偵は地縛霊みたいなもので、ヒロインが営むミステリ専門書店より外には出られない設定だったのが、二作目の『幽霊探偵の五セント硬貨』(未読なんですけれど)でヒロインが幽霊探偵の持っていた5セント硬貨を身に付ければ一緒に外に出られるように変わったみたいです。さらに今回は、ヒロインが眠っている時などには幽霊探偵と共に、あくまでも過去にだけですが、生前彼がいた時と場所へ戻ることができる設定になっています。前作ではなかった過去と現在に起きた事件の関連性が、今回はヒロインも時空を移動することで二つの事件がリンクする仕掛けになっています。こういうふうに時空の幅が広がる特徴を持ったコージーミステリは珍しいのではないでしょうか。
ミステリ部分においても、第一作目と比べるとかなりましになっていますし、意外性のある真犯人を用意してあります。しかし、ミステリ好きの郵便配達人がかなりキャラが目立つのに対して、相変わらずステレオタイプで気障な気質の抜けない幽霊探偵のキャラクター、及びヒロインとの甘い恋愛場面はどうにかして欲しい。

『幽霊探偵からのメッセージ』アリス・キンバリー ランダムハウス講談社
『幽霊探偵とポーの呪い』アリス・キンバリー ランダムハウス講談社




幽霊探偵と銀幕のヒロイン―ミステリ書店 (ランダムハウス講談社文庫 キ2-4)幽霊探偵と銀幕のヒロイン―ミステリ書店 (ランダムハウス講談社文庫 キ2-4)
(2008/10/10)
アリス・キンバリー

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『名探偵のコーヒーのいれ方』クレオ・コイル ランダムハウス講談社

2009-02-16

☆☆

完璧なコーヒーをいれたいなら、絶対に手を抜いてはだめ。そして事件の謎に立ち向かう時も ―。NYの老舗コーヒーハウスを切り盛りするクレアがその朝、店で発見したのは、芳ばしい香りではなく階段から転落した店員の姿。警察は事故と判断したが、不審に思ったクレアは捜査に乗り出し……!? エスプレッソに焼きたてのお菓子。こだわりの味を守る老舗店を舞台に、焙煎したての満ち足りた香りが漂うミステリシリーズ第一弾! 内容紹介より



ジョージ・オーウェルによれば、完全な紅茶のいれかたには十一項目*あるそうですが、
コーヒー、たとえば「エスプレッソひとつとっても、品質を左右する要素は四十以上もある」(p169)そうです。などなど、数ある飲食系コージー・ミステリ作品のなかでも本書は取り扱う商品、ここではコーヒーになりますが、それについての知識はしっかり記述されていると思います。しかし、シリーズタイトルの『コクと深みの名推理』というフレーズにはかなり疑問というか、主人公たちの場当たり的行動、成り行き任せの展開を読むと残念ながら、まったくコクも深みも推理さえもないと言わざるをえません。事件の周辺で騒いでいるばかりで、その核心に近づかないまま棚ボタ式に解決なんて、ミステリファンなめるなよって感じです。

アリス・キンバリー(夫婦合作のペンネーム)が別名義で書いている〈ミステリ書店シリーズ〉より出来は良くないです。まあ共にドングリですけれど。ウィキペディアのクレオ・コイルの項目を読むと、奥さんのほうは昔ソープオペラの小説版を書いていたらしく、作品のなかでの主人公と元夫や警部補とのやり取りがロマンス小説風な気がするのはそのためなのかもしれません。アリス・キンバリー名義の作品は夫の、クレオ・コイル名義の作品は奥さんの色合いが強いのではないのかと勝手に想像しました。

*詳しく知りたい方は、『一杯のおいしい紅茶』ジョージ・オーウェル著 朔北社 をご覧下さい。



名探偵のコーヒーのいれ方 コクと深みの名推理1 (ランダムハウス講談社文庫)名探偵のコーヒーのいれ方 コクと深みの名推理1 (ランダムハウス講談社文庫)
(2006/10/02)
クレオ・コイル

商品詳細を見る

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『幽霊探偵とポーの呪い』アリス・キンバリー ランダムハウス講談社

2009-01-22

☆☆

「先祖代々、蒐集してきた蔵書を今すぐ手放したい」幽霊屋敷に住む、風変わりな老紳士から依頼を受けた書店主ペネロピー。膨大な数のコレクションの中にはなんと幻のエドガー・アラン・ポー全集まで! よろこんで引き取ったまでは良かったけれど、この本に関わった収集家たちが次々に死亡。まさかポーの呪い!? そんなとき耳にしたのは奇妙な噂―全集には秘宝の隠し場所を示す暗号が隠されている、というもので……。 内容紹介より



ミステリー書店シリーズ第三弾。このシリーズには、コージーミステリにハードボイルドの要素を加えて新味を出そうという意図があるのでしょうか。学校での我が子へのいじめを心配する主人公とタフな私立探偵の話、この非日常性は良いと思うのですが、女性作家のためなのか幽霊探偵の描き方が軟化してしまっていてキャラクターにインパクトが足りない感じがします。後見人兼ロマンスを予感させる幽霊の立ち位置、想いを寄せる女性を見守る厳つい騎士というステレオタイプな設定が、そういう甘い印象を与えているのではないのかと。主人公が巻き込まれた事件と幽霊探偵が調査していた事件(これでよりハードボイルド風味を出そうとする作者の考え)の二本立てのストーリーがどうも中途半端で企画力不足に思えました。ネタバレ→「だいたいこの二つの事件に接点が皆無だし

一児の母親であり書店主である主人公と昔気質の剛腕探偵の日常生活上でのギャップを面白可笑しく描いたほうが良いのではないでしょうか。

『幽霊探偵からのメッセージ』アリス・キンバリー ランダムハウス講談社



幽霊探偵とポーの呪い [ミステリ書店3] (ランダムハウス講談社文庫)幽霊探偵とポーの呪い [ミステリ書店3] (ランダムハウス講談社文庫)
(2007/08/02)
アリス キンバリー

商品詳細を見る



テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「幽霊探偵からのメッセージ」アリス・キンバリー ランダムハウス講談社

2007-11-16

☆☆☆

「おれは私立探偵ジャック。いや、正確に言うと、ジャックの幽霊だ」なんて面白くない冗談―自分の経営するミステリ書店で売れっ子作家が急死。そして今度は幽霊のご登場?しかもこの幽霊こそが、死んだ作家の描いた主人公、私立探偵ジャック!? 半信半疑のまま書店主ペネロピーは幽霊の力を借り作家の死の真相に迫るが……!? 頭は切れるが体が動かない幽霊探偵と、体は動くが推理がいまいちのミステリ書店主の名コンビ誕生! 内容紹介より




凡百のいわゆる飲食系ミステリの亜種みたいなものでしょうか。但し、舞台はミステリ専門の本屋〈バイ・ザ・ブック〉です。しかし、G・ハートの〈デス・オン・ディマンド〉ものよりミステリ部分がかなり脆弱です。

幽霊になった探偵というアイデアはなかなか良いかもしれませんが、ストーリーもプロットも陳腐な感じ。ペネロピーの脳内で会話しているばかりで幽霊探偵を登場させた意味がないです。ヒロインへのアドバイスだけでなく、もっとポジティブに活躍させてほうが面白くなったように思いました。このシリーズは三作目まで出ているようで、その後主人公の二人がどう描かれていくのかが楽しみではあります。


ミステリ書店(1) 幽霊探偵からのメッセージ (ランダムハウス講談社文庫)ミステリ書店(1) 幽霊探偵からのメッセージ (ランダムハウス講談社文庫)
(2006/01/22)
アリス・キンバリー

商品詳細を見る

テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF クリスマス・ストーリー アンソロジー ルース・レンデル アーロン・エルキンズ スティーヴン・キング デイヴィッド・ハンドラー キャロリン・G・ハート ジョージ・P・ペレケーノス ジョアン・フルーク ローラ・チャイルズ マイクル・クライトン ジョー・R・ランズデール ドン・ウィンズロウ ジェームズ・パターソン ジェイムズ・パタースン エド・マクベイン ジル・チャーチル ヘニング・マンケル ローレンス・ブロック ポーラ・ゴズリング リチャード・マシスン レジナルド・ヒル D・M・ディヴァイン C・J・ボックス スチュアート・ウッズ ジャネット・イヴァノヴィッチ リリアン・J・ブラウン ピーター・ラヴゼイ パーネル・ホール S・J・ローザン レックス・スタウト アリス・キンバリー ジョルジュ・シムノン ジョー・ゴアズ マーガレット・ミラー ウィリアム・カッツ クレオ・コイル カール・ハイアセン レスリー・メイヤー アイザック・アシモフ ヒラリー・ウォー エド・ゴーマン カーター・ディクスン マイケル・ボンド ルイーズ・ペニー マーシャ・マラー ジェフリー・ディーヴァー ジョン・ディクスン・カー リタ・メイ・ブラウン ジェームズ・ヤッフェ イーヴリン・スミス ジャック・カーリイ キャロリン・キーン ウィリアム・L・デアンドリア コリン・ホルト・ソーヤー ローラ・リップマン フレッド・ヴァルガス ポール・ドハティー ロブ・ライアン ジェフ・アボット G・M・フォード エヴァン・マーシャル オーサ・ラーソン ジョアン・ハリス サイモン・カーニック リン・S・ハイタワー ドナ・アンドリューズ ファーン・マイケルズ アンソニー・ホロヴィッツ ジャン=クリストフ・グランジェ スタンリイ・エリン レイ・ハリスン ケイト・ロス アンドレア・カミッレーリ レニー・エアース ジョン・クリード コニス・リトル デイヴィッド・マレル クリスチアナ・ブランド ウイリアム・P・マッギヴァーン ウィリアム・ランデイ ジャック・フィニイ リック・ボイヤー サキ ジェーン・ラングトン ユージン・イジー ウォルター・モズリイ アン・クリーヴス ビリー・レッツ イーサン・ブラック ダナ・レオン エーリヒ・ケストナー ウォルター・サタスウェイト スタンリー・エリン ポール・ドハティ トバイアス・ウルフ 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント