『ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する』ダナ・レオン 講談社文庫

2008-10-24

☆☆

イタリア刑事はひと味違う。昼は妻のパスタを楽しむ中年警視ブルネッティ。コネ社会ヴェネツィアで、美人秘書と組み独自の手法で犯罪を追う。「祖父の過去の汚名を晴らしたい」と相談にきた女子大生が殺された。遺された口座への不審な巨額入金、略奪美術品の謎とは。CWA賞作家が贈る街の魅力満載の快作。 内容紹介より



『ヴェネツィア殺人事件』に続く二作目です。もちろん、わたしは前作は未読です。すみません。作者はヴェネツィア在住のアメリカ人だそうです。わたしの数少ないイタリアン・ミステリ読書歴(ここで言うイタリアン・ミステリとはイタリアを舞台にし、イタリア人が主人公のミステリの意味です。)イギリス人作家マイクル・デュブディンの「ゼン・シリーズ」とイタリア人作家アンドレア・カミッレーリの「モンタルバーノ警部シリーズ」に照らし合わせてみますと、主人公が美食家で自宅で昼食をとるところはモンタルバーノ警部に似ていますし、コネ社会に現されるイタリアに古くから溜まっている澱を描いているところはデュブディンの『血と影』を思わせます。後者の部分では、イタリアの戦争責任について触れているところが興味深いです。

ただ、ゼンに比べてもダナ・レオンが描く主人公はイタリア人らしくなく、世間(官僚組織や闇社会からの圧力とか)のしがらみのなかで苦悩するとかはなくて、どちらかといえば第三者的立場で物事を見ているみたいな印象があり、この影のなさや妻との会話などはなんだかアメリカ人のような気がしました。事件もそういう方向には向かいませんでしたし。

それにしても、事件に係わりのある過去の出来事や人物のことは何でも知っている伯爵である義父に、美術品のことに関しては友人の画家に、その他の事柄については副署長の秘書がインターネットでと、この主人公は情報収集を手近でお手軽にすませて調子が良すぎるんじゃないですかねえ。



ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する (講談社文庫)ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する (講談社文庫)
(2005/04)
ダナ レオン

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「モンタルバーノ警部 悲しきバイオリン」アンドレア・カミッレーリ ハルキ文庫

2006-02-26

☆☆☆

以前、紹介したと『おやつ泥棒』 同様にモンタルバーノ警部シリーズです。

モンタルバーノが発見した殺人事件を捜査中に、彼を疎む警察上層部から担当を外されてしまう。その後、失踪していた容疑者が機動隊員に射殺され,警察は事件の収束を図る。しかし、状況に不自然なものを感じたモンタルバーノは独自に捜査を再開するのだが…。

イタリア本国ではこのシリーズはかなり絶賛を博した(している)らしいのですが、日本では二冊のみ出版されただけです。日本人向けではないとは思わないのですが…メグレとウェクスフォードを足して美食系を混ぜて、二で割った感じでしょうかね。奇抜なトリックや目の覚めるようなプロットはないけど、地味は地味なりに人情味があって味があると思いますよ、わたしは。数を読んでいくうちにますます好きになるようなシリーズだと思います。その後、刊行されなかったのはとても残念ですよ、春樹社長。

モンタルバーノが朝食を贅沢に楽しんでいる時、それをぶち壊すように「警部、警部殿でありますか。この電話に出てんのは警部本人でありますか」と電話をしてくる電話交換手カタレッラのキャラクターがすごく可笑しい。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「おやつ泥棒」アンドレア・カミッレーリ ハルキ文庫

2005-07-26

☆☆☆

イタリアのミステリです。
チュニジア艦艇のイタリア漁船への銃撃死亡事件、エレベーター内での男性の刺殺事件と彼の事務所の掃除婦とその5歳の息子の失踪事件、子供のおやつ(弁当)泥棒事件。
主人公の警部は行方不明だった男の子を自宅にかくまうことにする。

彼は仕事はとても有能なのに上層部うけが悪く、唯一の理解者は退職間近の署長。本人も出世する気はないけど。
私生活では結構駄目男で、車がガス欠でエンストしたのにその原因さえ分からなかったり、ビデオカメラの録画ボタンを押し間違えてたり機械には弱い。44歳の彼は33歳の恋人と付き合って六年になるけど結婚の話はいつもうやむやになっている。恋人と男の子が仲良くしているのを見て疎外感を覚えたりする。やがて彼女の中に母性本能が生まれて彼にある決断を迫る…

そんな状況の中、長く疎遠になっている父親が瀕死の病床にあるとの連絡が入るが、死んで行く姿を見るのが恐ろしくて見舞に行けない。逃げるようにやって来た休暇先の宿で、ついに哲学教授から「いつになったら大人になる決心をなさるのですか?」と看破されひとつの決心をする。

ミステリは派手さに欠けますが、登場人物の描き方が上手。

米英ミステリに馴れているとイタリア人の名前には戸惑う。軽く右脳を刺激される感じがします。それから、やはりイタリア、出てくる料理の種類が豊富ですね。主人公もグルメだしね。
で、米英の各ミステリの中での定番飲み食い、わたしなりの印象。
アメリカ
やはりハンバーガー、TVディナー(先日、発明した方が亡くなりましたね)とマティーニ、缶ビール。
イギリス
サンドイッチ、キドニーパイとシェリー酒、パイントグラスでビール。

TVディナーについては、
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200507210026.html

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