『サンタクロースにご用心』 シャーロット・マクラウド編 扶桑社ミステリー

2016-12-25

☆☆☆

聖なる夜に人はみな、心静かに己れの罪を悔い改め—というわけにいかないのが世のならい。大学構内で出回った贋札造りの犯人探しに奔走するシャンディ教授。いきのいい女探偵のオフィスにころがりこむ死体。クリスマス劇の天使が射殺される一方で、二人の娘とその貧乏亭主に遺産めあてに殺されてしまうと疑心暗鬼の父親。ましてや妻殺しを計画する夫にいたっては……。はらはらさせたり、泣かせたり、一転絶妙なコンゲーム。趣向をこらした書き下ろしのクリスマスミステリーが13編。イヴの夜、とびきりのプレゼント! 内容紹介より



収録作品、「贋札造りのクリスマス」シャーロット・マクラウド、「鹿狩り」レジナルド・ヒル、「私立探偵リズ・ピーターズ」エリザベス・ピーターズ、「赤い髪の天使」メードラ・セール、「もつれた糸をほどくには」ジョン・マルコム、「バーゲン品につき……」ドロシー・キャネル、「サンタクロースにご用心」ビル・クライダー、「ファミリー・クリスマス」パトリシア・モイーズ、「ミス・メルヴィルの好運」イーヴリン・スミス、「俺たちの福音」エリック・ライト、「ニックが街にやってくる」ミッキー・フリードマン、「イヴの罠」ロバート・バーナード、「鍋いっぱいのササゲ豆」マーガレット・マロン

サブタイトルは、「クリスマス13の物語」です。
全編書き下ろしですから、それぞれ出来不出来があります。「鍋いっぱいのササゲ豆」は、ミステリとして大事件が起きるわけではありませんが、万引き常習者である黒人女性の人柄や人間性を良く表して人生の機微を描いたほろりとさせる良作です。また、「バーゲン品につき……」も、想い出のティーポットを割ってしまった女性が、バーゲンセールで一個しかない同じポットを手に入れるために前夜からデパートに忍び込んでしまうというちょっとした人情話。舞台は同じデパートでも「サンタクロースにご用心」は、万引き被害に悩む地元のデパートにサンタの扮装をして子どもたちの願いを聞きながら犯人探しをする話。細部に気が利いていると感じた「俺たちの福音」は、自分たちを警察に密告した酒場の店主を救世軍を装って、面子をつぶして金もだまし取ろうとする話。「サンタなんか大嫌いだっ!」という手紙をある子どもから貰ったサンタクロースが、探偵となって宝石窃盗事件を解決する「ニックが街にやってくる」。クリスマス劇に代役として出演していた天使役の女性が劇中に射殺されてしまう「赤い髪の天使」。“赤い髪”といえば、あの有名な名探偵が活躍する作品を思い浮かべますが、「鹿狩り」は、その名作のモチーフを使ったみたいな話です。しかし、レジナルド・ヒルらしさは感じらず、いかに元ネタが優れているかがわかります。大学構内のクリスマス期間中の夜店で使われた、大学学長を肖像画に替えた贋札造りの犯人を追うシャンディ教授が懐かしい「贋札造りのクリスマス」。これまた懐かしいミス・メルヴィルが元独裁者を暗殺しようとする「ミス・メルヴィルの好運」。クリスマスプレゼントに爆弾を仕掛けて妻殺しを企む内務省の高官の話「イヴの罠」。「ファミリー・クリスマス」は、遺産目当てに娘夫婦がクリスマスディナーの中に毒を盛るのではないかと心配する、スクルージみたいな吝嗇家の夫を気遣った妻がやった余計なこと。人を殺そうとするには不意打ちに限る、ということを再確認できる「もつれた糸をほどくには」。ハードボイルド物のパロディなのか 特大ハーシーチョコ三枚をいっぺんに食べてもへっちゃらな女探偵がどうでもいいような活躍を見せる「私立探偵リズ・ピーターズ」。

ユーザータグ:クリスマス・ストーリー




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『クリスマス・プディングの冒険』アガサ・クリスティー ハヤカワ文庫HM

2015-12-23

☆☆☆

イギリス政府から持ちこまれた重大かつデリケートな依頼―ある外国の王子が由緒ある高価なルビーをだましとられた。もしそれが王子の手もとに戻らなければ政治上の悲劇を招くので、ポアロの力で取り戻して欲しいというのだ。しかし、そのポアロを待ちうけていたものは、新雪を真っ赤に染めた死体と、意外な結末……名探偵の鮮やかな推理と見事な策略を描く上記表題作をはじめ、ポアロ物5篇、マープル物1篇を収録 内容紹介より



クリスティー短篇集13。あいかわらず「甥」へのイメージは良くない、また、変装物が好みなのでしょうか。ポアロの女性秘書との会話がおかしかったり、天才的名探偵を証人として利用しようとする大胆不敵な計画があったり、行動心理学的な話題があったりする短篇集。

「クリスマス・プディングの冒険」
クリスマス真近、田舎の名士の屋敷でポアロを待ちうけていたのは、評判の良くない青年と交際する孫娘を心配する老夫妻、そして、子どもたちが企む悪戯だった。という具合に物語をルビーとそれを騙しとった女の行方を調査するのにあてるのではなくて、家庭問題を中心にして進めているところ、つまり読者の目を別の方に向け、さらにある悪戯を派手な演出に使っていきなりのクライマックスを迎える手品的手法が見事。

「スペイン櫃の秘密」
友人たちが集まって催された内輪のパーティーの翌日、会場となったアパートの一室に置いてあったスペイン櫃のなかから刺殺体が発見される。被害者は急用ができたからと、パーティーを直前になって欠席した友人たちのひとりだった。新聞で事件を知ったポアロが誰からも依頼されていないのに調査を始めるというもの。

「負け犬」
「塔の部屋」と呼ばれる書斎で屋敷の主が撲殺死体で発見され、犯行当夜、酒に酔って帰り、被害者と口論していた甥が逮捕される。甥の無実を主張する被害者の妻も同夜被害者と口論している、その彼女に犯人だと指摘される被害者の秘書、未亡人の話し相手として雇われている若い女性は何らかの秘密を抱えている、アフリカ帰りの被害者の弟は気性が荒く、アフリカで殺人を犯している。

「二十四羽の黒つぐみ」
あるレストランに十年近く前から毎週火曜日と木曜日の夜に訪れ食事をする老人。ところが彼が月曜日の夜に現れ、普段頼まない料理を食べたのだとウェイトレスから聞かされたポアロ。ポアロの友人は老人が何かの事情で取り乱していたからだと推測する。そして、その老人が一週間ほどレストランに姿を見せないと知ったポアロは……。

「夢」
毎晩、決まって同じ時刻にピストル自殺をする夢を見るという資産家の男。相談を受けたポアロは男の様子に違和感を抱く。一週間後、ポアロは依頼人がピストル自殺を遂げたとの連絡を受け、さらにその状況は依頼人が語った夢のとおりだったことを知る。

「グリーンショウ氏の阿房宮」
マープル物。地元の人たちから「グリーンショウ氏阿房宮」と呼ばれている奇館。そこの女主人が何者かに弓矢で射られて殺されてしまう。動機を持つのは、家政婦、庭番、被害者の甥、だが、三人共にアリバイがあった。

タグ:クリスマス・ストーリー




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『サンタクロースは雪のなか』アラン・ブラッドリー 創元推理文庫

2015-12-20

☆☆☆☆

クリスマスの季節がやってきた!だけど、サンタなんていないと姉たちは言う。だからこの問題にけりをつけようと、今年はサンタ捕獲のとっておきの計画を立てている。でもうきうきしてばかりもいられない。一家の困窮を打開するため、バックショー荘を映画撮影に貸しだすことになったのだ。それに便乗して、司祭の願いで協会への寄付金も集めるべく、大女優フィリスに『ロミオとジュリエット』を屋敷で演じてもらうことに。けれど村人が集まった上演の夜、大雪で屋敷が孤立して……。CWAなど九冠受賞の少女探偵シリーズ、新展開の第四弾! 内容紹介より



二、三作目は未読です。姉たちに対抗して自家製鳥もちでサンタを捕まえようと画策したり、クリスマスの夜に自作のロケット花火を打上げようとしたりする、この化学、特に毒物の知識に精通している十一歳の少女はあいかわらず非常に魅力的でした。一方、ミステリの部分が弱いところも第一作目と同じ気がします。せっかくのクローズドサークルの設定も活かしきれていない、というか別に活かす気もないのかもしれませんけれど。事件は映画撮影のために屋敷に滞在していた大女優が自室で絞殺されているのを主人公が発見するというもの。もちろんこの女の子は死体に臆することもなく、体をあらためたり、持ち物を探ったりしてまわります。想像すると結構グロテスクだけれどブラックな笑いを感じさせる場面でもあります。子どもが登場し、奇跡が起きる、というクリスマス・ストーリーの条件を満たしている、ちょっとせつないけれど心温まる本書はこの季節にピッタリな作品だと思います。

『パイは小さな秘密を運ぶ』




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『クリスマスの木』ジュリー・サラモン ジル・ウェーバー[画] 新潮社

2014-12-23

☆☆☆☆

父を亡くした少女は、ひきとられた修道院で一本の木と出会った。その小さな木を、少女は「トゥリー」と呼び、二人は友だちになった―いくたびも四季が巡 り、トゥリーはみごとな木に育った。ひとりぼっちだった少女は、修道女として穏やかな日々を送っていた。私がトゥリーに目を止めたのは、そんな春の日のこ とだった…一本の木がおこした、やさしい奇蹟。  文庫版内容紹介より



両親を相次いで亡くした女の子は、一時的に預けられた孤児院でのある出来事で心を閉ざしていました。その後、彼女は修道女の叔母の計らいにより、修道女たちの休養所として運営されている自然に囲まれた修道院へ引きとられます。ある日、女の子は森の片隅に生えている自分の背丈くらいに伸びたドイツトウヒの幼木に出会い、彼女はその木に語りかけ友だちになることで心を癒やすようになります。やがて、その木は若木から大樹へと成長し、女の子は修道女として修道院に仕えています。そこへ物語の語り手であるロックフェラー・センターの造園管理部長が面会にやって来るのです。
毎年彼はセンターに飾るクリスマスツリーを調達するために各地を探しまわっていて、修道女の木を見つけたのでした。彼は彼女との交流を深めてゆくなか、彼女の生い立ちや彼女の木への思い入れ、そして、彼女だけではなく、彼女が世話をする子どもたちや他の修道女たちにもその木が愛されていることを知ります。大げさでなく押しつけがましくもなく綴られるストーリーと、控えめでありながら穏やかで強い修道女の造形がとても良い感じでした。




クリスマスの木クリスマスの木
(1996/11)
ジュリー・サラモン、ジル ウェーバー 他

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『クリスマス・セーター』グレン・ベック 宝島社

2014-12-20

☆☆☆☆

あなたは本当に大切なものはなにか、知っていますか?
プライベートな実話にもとづくこの本は、温かく、かつ厳しく読者に語りかけ、
家族について、愛について、許しあうことについて、人生を見直すきっかけを与えてくれます。
カバーより



父親を病気で亡くし、母親と二人暮らしをしている12歳の男の子。母親がいくつもの仕事を掛け持ちしていても決して経済的に楽とはいえない生活を送っています。クリスマスを前に、プレゼントに念願の自転車を貰うために、男の子は神様にお願いしたり、家事の手伝いをしています。そしていよいよクリスマスの朝、期待していた贈り物の箱を開けると、そこにはあったのは母親が手編みしたセーターでした。男の子の目から見たら決して格好いいとは思えないセーターに彼は失望を隠しきれず、その気持を母親に気付かれてしまいます。母親の心を傷つけ、がっかりさせてしまったことを後悔しても男の子は素直になれないのでした。やがて彼は、貧乏と愛する人を守ってくれなかった神を恨むようになってしまいます。
謝ろうとしても率直であろうとしても、どうしても心を開けず意固地な態度をとってしまう、ほんの些細な心のほころびがどんどん大きくなって、どうしようもなくなってしまう、そんな思春期の少年のもどかしい気持ちが切々と伝わってきますし、彼の心情がとても良く理解出来ました。ラストの展開はかなり意外な流れでしたが、「あれはぼくへの贈り物であり、ぼくから読んでくれたあなたへの贈り物である」(p319)、と作者が書いているように、どうしてもこうせざるを得なかったのでしょう。
人生に自分を形づくらせてはならない、ってなかなか含蓄のある言葉だと思いました。




クリスマス・セータークリスマス・セーター
(2009/10/15)
グレン・ベック

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『クリスマスに捧げるミステリー』ジョルジュ・シムノンほか 光文社文庫

2014-12-17

☆☆☆☆

―“クリスマス”の語源はキリストChristのミサmass.クリスマス・ストーリーの鼻祖C・ディケンズは、キリスト降誕のこの日に、改めて他者への善意、慈善の心の大切さを見つめなおそうと説いた。以降、この聖なる日を題材に数多くの作品が生まれている。心温まる話、ちょっぴり怖い話……趣向は様々だが、共通するのは、ディケンズのクリスマス精神である。―G・シムノンの中編「メグレ警視のクリスマス」はじめ、珠玉の8編を収録! 内容紹介より



「聖夜の警官」トマス・L・アドコック
ニューヨークで浮浪者の姿になり、路上犯罪を取り締まる私服警官の話。彼はクリスマス・イヴにパトロール中、馴染みの引ったくりとスリに目を付けるが相次いで逃げられてしまう。この二人の小悪党と街の浮浪者たちが聖夜に企んだこととは……。恵まれない人びとのクリスマスを描いた作品。

「小列車強盗」パトリシア・モイーズ
おもちゃ売り場で偶然知り合いになり、それぞれクリスマス・プレゼントに蒸気機関車の模型を買った二人の男性。彼ら二人とも同じ日程でスイスへのスキー旅行の予定があり、しかも宿泊先も同じホテルだった。彼らの子どもたちはホテルでそれぞれの機関車で競争して遊び始める。そして、帰国し空港でも遊んでいると、子どもの一人が声を上げて言った「こいつ、ぼくのきしゃ、ぬすんだよ!」。クライマックスでの二回のひねり技が印象的な作品。

「刑事の休日」ジョン・ディクスン・カー
警視が、その婚約者とともに彼女の甥をデパートのサンタクロースに会わせるため、順番の列に並んでいる時に、彼が話して聞かせた犯罪者にまつわる不思議な出来事。それは、ふたりの人間が、まったく同時に、まったく違う場所で、警官の目の前から消えてしまった、という話だった。トリック自体はそれほどでもないけれど、なかなか洒落たプロット。

「ミス・クリンドルとサンタ」マルカム・グレイ
経済的に余裕のない村人数人に、飼っている七面鳥をプレゼントするように主張する妹、それに対してまったく聞く耳を持たない農場主である兄。そんな兄妹げんかが起きた後、村にサンタクロースの目撃情報が伝わり、七面鳥の贈り物が置かれた家庭があった。そして件の農場から四羽の七面鳥が盗まれていることが判明し、村の巡査がしぶしぶ捜査を始め、農場主の妹にも疑いがかかるのだが……。ほのぼの系の話。

「ランポールとクリスマスの精神」ジョン・モーティマー
少年が絡んだ殺人事件の訴訟について、このところ裁判で負けが込み、クリスマスを前に手心を加えてくれと個人的に頼む被告側弁護士とその相手である検察側弁護士との駆け引き。

「聖夜に死す」ジェイムズ・パウエル
「クリスマスの日が明けて最初の一時間のあいだ、人間の目にふれないところで、動物たちは言葉を話し、おもちゃたちには命がかよう」。百貨店のショーウィンドウにディスプレイされた人形やぬいぐるみ。そこで起きた殺人形事件の謎をクマのぬいぐるみとシャーロック・ホームズの人形が解決する愉快な話。

「シヴァーズ嬢の招待状」ピーター・ラムゼイ
クリスマスを前にした若い夫婦。彼らのもとに見知らぬ女性からイヴ前日の夕食会への招待状が届く。不思議に思いながら招待を受けた二人は目的地への列車に乗り込む。夫が席を外して妻ひとりになった時、彼らの客室に一人の若い男が入ってくる。やがてその男は妊娠している妻へのプレゼントを彼女に披露してみせる。さりげない伏線が見事な切ないゴーストストーリー。

「メグレ警視のクリスマス」ジョルジュ・シムノン
脚を骨折して自宅で療養中の七歳の女の子が、クリスマス・イヴの夜に目を覚ますと、部屋にサンタクロースがいて床でなにかをしていた。そして、サンタは女の子が目を覚ましたのに気付くと人形をくれた、と言い出した。その話を聴いて不審に思った女の子の隣人が、近所に住むメグレの元を訪ねて来る。些細な出来事が糸口になって秘められた事件が徐々に明らかになっていくという、この作者お得意のパターン。メグレの自宅が舞台になり、メグレ夫人の様子も詳しく描かれています。彼女の心情がやるせない。




クリスマスに捧げるミステリー (光文社文庫)クリスマスに捧げるミステリー (光文社文庫)
(1993/12)
ジョルジュ シムノンほか

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『クリスマス・ウェディング』ジェイムズ・パタースン&リチャード・ディラロ ヴィレッジブックス

2014-12-13

☆☆☆

今度のクリスマスに私は結婚します。相手は当日まで秘密よ、だから必ずみんな帰ってくること―。三年前に父と死別して以来、実家の農場で一人暮らしを送っていた母から突如届いたビデオレター。マンハッタンで暮らすエリート弁護士の三女、脳腫瘍の夫を献身的に介護する次女、冷えきった夫婦関係に苦悩する長女、挫折続きの作家志望の長男、四人きょうだいはそれぞれ人生に悩み葛藤しながらも、美しいニューイングランド地方の農場へ帰省する。花婿候補は彼らもよく知る地元の紳士三人。やがて聖夜に一堂に会した家族を待っていたものとは……。全米ベストセラー作家が「愛」の意味を問う感動の物語。 内容紹介より



夫に先立たれ、困窮者に朝食を配給するボランティアをしながら、農場で一人暮らしをしている五十四歳のヒロインが、ボランティア仲間の三人から同時にプロポーズされる。求婚者は義理の弟、アイスホッケーの元プロ選手、ユダヤ教会堂のラビ。ヒロインが決めた結婚相手はクリスマスの結婚式当日になって初めて明かされるという趣向。そして彼女の四人の子供たちそれぞれの悩みが語られる構成はお定まりか。長女は、酒浸りで甲斐性のない夫とマリファナ漬けの長男を抱え、次女は、しばしば発作を起こす脳腫瘍の夫の介護、三女は、有能ながら弁護士事務所で強いストレスにさらされて、長男は自信作が出版社から断られたばかり。誠実で信頼され友人たちにも恵まれた、自立して生きる女性がもう一度誰かに愛されたいという願う姿と母親として家族に向ける愛情を描いている作品です。パタースンらしくストーリーの運びにそつがなく、上手いことまとめていると思いました。ただ、長女の夫への扱いはクリスマス・ストーリーらしいひと工夫が欲しかったところです。

ユーザータグ:ジェイムズ・パタースンジェームズ・パターソン




クリスマス・ウェディング (ヴィレッジブックス)クリスマス・ウェディング (ヴィレッジブックス)
(2012/11/20)
ジェイムズ・パタースン

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『クリスマス・ファンタジー』風間賢二 編 ちくま文庫

2014-12-10

☆☆☆☆

メリークリスマス!子どもたちの心を躍らせるこのうれしい言葉の響きは遠い昔に生まれ、いつまでもそして宇宙の涯てまでも広がってゆく。クリスマスの物語はディケンズの『クリスマス・キャロル』以来、欧米の作家たちによって変わらず書き継がれてきた。その中からファンタジー、ホラー、SFと、ジャンルを問わずとっておきの12篇で編む文庫オリジナルの楽しいアンソロジー。 内容紹介より



「道」シーベリイ・クイン
幼子キリストの命を救った北欧出身のある傭兵が、キリストの予言通りにサンタ・クロースになるまでを描いた歴史ファンタジー。ヘロデ大王による幼児虐殺やゴルゴタの丘の磔刑の話を上手く絡ませていると思います。

「墓掘り男を盗み去った鬼どもの話」チャールズ・ディケンズ
終始気むずかしく憂うつな墓掘り男が、クリスマス・イヴの夜に墓掘りをしていて鬼たちにさらわれてしまう話。彼は鬼たちが見せる人びとの貧しくとも幸福な人生、豊かな自然にたいする喜びの光景によって生まれ変わるのですが……。『クリスマス・キャロル』と似たようなプロット。

「新クリスマス・キャロル」アーサー・マッケン
こちらはまさしく『クリスマス・キャロル』の後日談風な話。内容がどうこうより、オチがひどい。

「岸の彼方へ」A・ブラックウッド
家族へのクリスマス・プレゼントをかかえて帰宅した、平凡な男が体験する奇妙な話。クリスマス・ゴーストストーリー。

「クリスマス・プレゼント」ゴードン・R・ディクスン
シドーという沼地惑星に入植した家族の男の子が仲良くなったシドー人と迎えたクリスマスの出来事。男の子からもらったプレゼントのお返しにシドー人が贈ったものとは……。ちょっと切ない物語。

「ガニメデのクリスマス」アイザック・アシモフ
衛星ガニメデのガニメデ物産で、地球人と共に働くオストリ人にクリスマスの話をしてしまったことから起きた騒動。オストリ人たちはサンタ・クロースがプレゼントをくれなければ作業をボイコットすると言いだし、会社からノルマを課せられている地球人たちはしかたなしに橇やトナカイを現地調達するはめに。スラップスティック・コメディ。

「クリスマスの出会い」ローズマリー・ティンパリー
はじめてひとりでクリスマスを過ごす中年女性。下宿先で彼女がクリスマスの思い出に浸っていると
見知らぬ青年が部屋に入ってくる。彼は自分の部屋と間違えたと言い、しばらく会話を交わしていたがいつの間にかいなくなってしまう。残された彼女は部屋に備え付けられている一冊の本を手に取りページをめくると……。トリックアートを見たみたいな気持ちになる、時の錯綜あるいは時間旅行を描いた幻想的な作品。

「ジャックと火の国の王女」メアリ・ド・モーガン
火の国の王女と水の国の王子の仲を取り持った男の子の話。王女の求めで、男の子は風の妖精に乗って何でも知っているという北の翁に会いに行くというファンタジー。

「ハッピー・バースデイ、イエスさま」フレデリック・ポール
大手デパートの贈答課課長とそこに配属されたきたボルネオ帰りの伝道師一家の娘。近未来の設定をとり、宗教的儀式など忘れ去られ、クリスマスシーズンという名のプレゼント選びと注文が夏の季節から始まるという状況で、そんな物質主義と商業主義を極めた社会の一員である課長。これに対して、昔ながらの伝統的なクリスマスを過ごそうとする伝道師一家。この二つの間で起きる誤解や食い違いを描いたシニカルなラブ・コメディ。

「クリスマスの恋」フランク・R・ストックトン
由緒ある家柄の屋敷を買った男とクリスマス・イヴの夜に彼の前に現れた美しい女の幽霊。彼女はこの屋敷の若くして死んだ女主人だった。クリスマス・イヴの晩の一時間だけ大広間に現れるのを許されているのだという。男は彼女に一目惚れしてしまう。幽霊綺談。

「幸運の木立ち」H・ラッセル・ウェイクフィールド
広大な敷地内の一角にある、そこから木をとってはならないと言われている“聖なる場所”。クリスマスを前に、その言い伝えを知らずに屋敷の使用人がそこから樅の木を引き抜きクリスマス・ツリーに仕立ててしまう。それ以来ツリーをめぐる事故や奇妙な出来事が起きるようになる、というホラー。

「サーロウ氏のクリスマス・ストーリー」ジョン・ケンドリック・バングズ
雑誌の編集長からクリスマス・ストーリーを依頼された作家が、自分自身の幻影のせいでまったく執筆が進まず、苦しんでいる時に訪ねてきた彼のファンを名乗る男から渡された原稿を自分が書いた物だと偽って編集長に送った後の顛末。一連の出来事の言い訳で物語を仕上げたメタフィクション。




クリスマス・ファンタジー (ちくま文庫)クリスマス・ファンタジー (ちくま文庫)
(1992/12)
風間 賢二

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テーマ : 海外ファンタジー
ジャンル : 本・雑誌

『ダリアハウスの困った聖夜』キャロライン・ヘインズ 創元推理文庫

2013-12-24

☆☆☆

故郷で探偵業を営むことになったサラ。屋敷づきの幽霊ジティと寂しくクリスマスを迎えようとしていたある日、作家ローレンスが訪ねてきた。執筆中の彼の自伝には、数十年来の知人たちの秘密が書かれているらしい。その自伝をめぐりひと騒動あったイヴのパーティの翌日、自宅で亡くなっているローレンスが発見され、問題の原稿は持ち去られていた。サラは犯人捜しを始めるが……。 内容紹介より



ページ数が多い割に面白さに欠け、結果だらだらとした展開に終始している印象でした。何と言っても、このシリーズの特徴なのだと思われる“ダリアハウスの幽霊”ジティとヒロインが交わす会話が前回と同じ内容でつまりません。旧態依然の南部的価値観に固執して、男から気に入られるような立ち振舞や服装、会話をし、早く結婚しろとしつこく迫る幽霊にたいして、自立した女を目指し、結婚のために男におもねることを拒否するヒロイン。この対立軸を中心に堂々巡りするばかりで、ミステリ部分とはまったく絡む気配がないから、幽霊が出現するたびにうんざりしてしまいます。アリス・キンバリーの幽霊探偵のほうがよっぽどまし。ミステリについては、秘密を暴露されそうな状況で口封じのために殺人が起きるという定番な設定で、そもそもどうして被害者がこうも人騒がせなことを公言したのか、その行動原理がよく理解できません。伏線の張り方は上手かったけれど、その正体は唐突な感じがした真犯人の行いも矛盾しているような気がしました。
あと細かいことを言うと、カバーイラストに何故に犬ではなく、猫が描かれているのか理解に苦しみます。

『ダリアハウスの陽気な幽霊』




ダリアハウスの困った聖夜 (創元推理文庫)ダリアハウスの困った聖夜 (創元推理文庫)
(2009/03/20)
キャロライン・ヘインズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ストレンジャー・フォー・クリスマス』キャロル・リン・ピアソン 飛鳥新社

2013-12-17

☆☆☆☆

クリスマス・イブまであと三日。南カリフォルニアの老人ホームにいる孤独な老婦人ふたり。
一方だけが善と信頼と希望とを今でも信じている。そうして自分の子どもたちに電話をかけさえるれば、見知らぬ旅人「ストレンジャー」に対する思いやりが存在することを証明できると思っている。
ところが、信じられないようなことが起こって、ふたりの人生観は根底から揺さぶられることに……。
内容紹介より



性格俳優としてハリウッドで長年成功を収めてきた経歴を持つ元女優フローレンス、故郷アイダホで夫と共に幸せな家庭を築き、五人の子どもたちを立派に育てたあげたマーナ。老人ホームのルームメイトである対照的なこのふたり。フローレンスは生涯独身だったため家庭的なクリスマスを味わったことがなく、マーナは今年人生で初めてクリスマスを家族で祝うことができない。「クリスマスはそもそも、家族で祝うところから始まったのよ―見ず知らずの他人が入る余地は、ないわ」、ファミリー・クリスマスに憧れ、それを体験してみたいフローレンスが嘆いたこの一言に、マーナは、たとえまったく見知らぬ人間でも、クリスマスのために家庭が欲しいと、心から願っているひとがいるなら、自分の子どもたちはそのひとを招待するだろう、と言います。そして、それを証明するために“ジェネヴィーヴ”という架空のおばあさんを作り、彼女をクリスマスに招くよう子どもたちに電話でお願いすることに……。
〈わたしが見知らぬ旅人であったとき、わたしに宿を貸し……〉
もう少し凝っても良いと思いますが、120ページのいかにもクリスマスらしいハートウォーミングな作品です。




ストレンジャー・フォー・クリスマスストレンジャー・フォー・クリスマス
(1996/11)
キャロル・リン・ピアソン

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『ディミティおばさまと聖夜の奇跡』 ナンシー・アサートン RHブックス・プラス

2012-12-23

☆☆☆☆

双子の息子と過ごす、初めてのクリスマス。待望の雪も積もり、これで「完璧なクリスマス」が迎えられる!そう思った矢先、ロリは家の前で倒れている男性を発見。服はぼろぼろ、身元もわからず、意識不明のまま病院へ運ばれた。調べてみると、これまで男が各地で聖人のような奇跡を起こしてきたことだけがわかった。いったい何者なのか?そして命を削ってまでロリの家にやってきた目的とは?ロリのクリスマスは思いがけない方向へ転がっていくことに。 内容紹介より



ヒロインが小さなコミュニティに住み、莫大な遺産を相続して慈善活動を行う財団を設立しているところなど、リリアン・J・ブラウンの〈シャム猫ココ・シリーズ〉のクィラランを彷彿とさせるところがあります。しかし、〈シャム猫ココ・シリーズ〉をはじめとして一般的なコージーミステリにおいては村や町ではやたら殺人事件が頻発し、住民が減ることはあっても増えることはないのにたいし、このシリーズでは殺人事件などは起こらず、かえって住人が増えそうな傾向にあります。そんな数あるミステリ作品のなかでも独自の路線を行くこの〈優しい幽霊シリーズ〉。今回はクリスマス・ファンタジーと言えるほどファンタジー色が強いように感じました。幼い頃父親を亡くしたヒロインは、その体験から近づくクリスマスに夫や双子の子供たちと理想的なクリスマスを送ろうと準備に余念がありません。そんななか、彼女は自宅の庭でホームレスのような身なりをした男が倒れているのを発見します。この謎の男性の出現と彼の過去を調べていくうちに、ヒロインのクリスマスは、自分と家族や親しい知人たちとで祝う狭い定義のクリスマスから、恵まれない見知らぬ人々のことをも思う博愛のクリスマスへと大きく変化します。謎の男とカトリックの神父のふたりのキャラクターが重なる部分が多いのが気になりましたし、テーマのストレート具合に読んで気恥ずかしさも感じましたが、ヒロインが一つの殻を破り、人間的な成長を遂げていく過程を描いた、この季節にふさわしいなかなか感動的な物語でした。

『ディミティおばさま現わる』ナンシー・アサートン ランダムハウス講談社
『ディミティおばさま旅に出る』ナンシー・アサートン ランダムハウス講談社
『ディミティおばさまと古代遺跡の謎』 ナンシー・アサートン ランダムハウス講談社




ディミティおばさまと聖夜の奇跡 優しい幽霊4 (RHブックス・プラス)ディミティおばさまと聖夜の奇跡 優しい幽霊4 (RHブックス・プラス)
(2010/09/10)
ナンシー・アサートン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『史上最悪のクリスマスクッキー交換会』 レスリー・メイヤー 創元推理文庫

2012-12-21

☆☆☆

毎年楽しみにしているクリスマスクッキー交換会。今年はルーシーが自宅を会場提供したのはいいが、苦労は並大抵ではなかった。飲酒運転撲滅のビラを持ちこむ者あり、離婚のことばかり話題にする者あり、さらに息子の大学進学問題で参加者同士が一触即発の状況に。ぼろぼろのルーシーに追い打ちをかけるように、参加していた若い女性が翌日死体で発見される。好評主婦探偵第六弾。 内容紹介より



シリーズ第一作目の『メールオーダーはできません』と同じくクリスマス・シーズンが舞台になっている話。このシリーズは他のコージーミステリと比べてもストーリーの進め方が手馴れていて読みやすいと思います。ただ、相変わらずコージーにはつきものの伏線不足が顕著で、どうしても真犯人登場部分のいきなり感が否めません。ロブスターの漁獲規制、学校でのドラッグ汚染、未成年の飲酒などの主人公が暮らす町で起きる問題が、主人公の家族や友人知人に影を落としている様子が描かれて、それなりにおおまかな伏線作りの土台は用意しているのに、それらが序々に犯人という一点に集約していくプロセスに至らないのがいきなり感の原因だと思います。
クリスマスの用意で大忙しななか、家族や友人に降りかかる問題に当惑したり、憤慨したりする主人公の心理が上手く描写されているだけに、あと少しミステリ部分の出来が良ければと欲が出てくるわけです。それでもクリスマスクッキー交換会における参加者たちの表の顔や裏の顔、陰口、嫉妬や虚栄心などの姿が現され、交換会が史上最悪の事態を迎えてしまう序盤の部分はとても楽しめました。

ユーザータグ:レスリー・メイヤー




史上最悪のクリスマスクッキー交換会 (創元推理文庫)史上最悪のクリスマスクッキー交換会 (創元推理文庫)
(2010/11/20)
レスリー・メイヤー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『クリスマス・ラテのお別れ』 クレオ・コイル RHブックス・プラス

2011-12-22

☆☆☆

サンタクロースが遅刻 ― といってもクリスマスにではなく、クレアが招待したラテの試飲会に遅れていた。ボランティアでサンタをしているアルフは町の人気者で、「クリスマスの味」をラテにしようと発案したのも彼だった。心配したクレアが雪の中を捜し回ると、なんと高級アパートの裏庭で殺されているアルフを発見。しかも死の直前に、不法侵入しようとした形跡があった。サンタが泥棒?朗らかなサンタの意外な一面と、事件の真相とは。シリーズ第8弾。 内容紹介より



以下、少々ネタバレ気味です!ご注意下さい。

〈コクと深みの名推理〉シリーズ 8。
他のコージーミステリのシリーズ作品に比べて何かいつも生臭く感じるのは、登場人物たちの恋愛沙汰が多いせいなのでしょうかね。特にヒロインの中年同士、義母の老年同士の恋愛が生々しいのかも。しかもヒロインの場合は、年がら年中発情している元夫が毎回絡んできて、清々しさの欠片もないし、俗な面が出過ぎているような気がします。いい加減にこのパターンは止めたほうが良いかも、飽きたかも。それから登場人物が多過ぎるし、プロットも整理してもっと簡潔にして欲しいです。真犯人と繋がっていたらしい黒幕なんて登場するのがいきなりだし、遅過ぎるし、というか特別登場させなくても処理できるだろうし。実はサンタクロースが二人存在していたことを犯人が知らなかったという設定は評価しますけれど、二人が似たようなことをしているなら、ストーリーをシンプルにする意味では、最初から一人のサンタだけでもよかったんじゃないかとも思ったり。ところで、本書では被害者の娘に懇願されたからなのですが、ヒロインが事件の調査に乗りだす理由を毎回のように書いているのは面白い。作者って律儀な人なんでしょうか。

タグ:クレオ・コイル




クリスマス・ラテのお別れ コクと深みの名推理8 (RHブックス・プラス)クリスマス・ラテのお別れ コクと深みの名推理8 (RHブックス・プラス)
(2010/11/11)
クレオ・コイル

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『悲劇はクリスマスのあとに』 ノーラ・ロバーツ 角川文庫

2011-12-20

☆☆☆

ドーラはフィラデルフィアでアンティークショップを経営する美しく活発な女性。クリスマスを前にヴァージニアでおこなわれたオークションで商品を仕入れて戻ってきた。しかしそれからというもの、ドーラの周囲で事件が次々に起こり、常連客が殺され、店も荒らされる。ドーラは、店の二階に部屋を借りた元警部のジェドとともに事件の解明に乗りだすが……。 上巻内容紹介より



もちろんロマンティック・サスペンスなので男女いちゃいちゃします。家族間に問題を抱えた家庭に育ったという陰影を男性に与えてあり、一方、女性は風変わりだけれど愛情深い家族に囲まれて育ったという(男性に対し陽の)設定です。人を愛することに臆病な彼。お約束通りに惹かれあいながらも反発しあう彼女と彼。素人探偵と元警察官のお決まりの確執。必定のベッドシーン。このようなロマンティック・サスペンスに付き物の要素でもってミステリをケーキのようにアイシングしてあるので、ひとそれぞれ、それが好きな読者もいるだろうし、わたしみたいにちょっとくどいと感じる読者もいるでしょう。また、事件が一通り起きてからは、同じような男女間のやりとりが繰り返されるために下巻に移る頃にはやや飽きてしまいがちです。四散した芸術品を取り戻す目的で送り込まれた犯人が次々と犯行を重ねていく部分が、ミステリ的には早目のクライマックスであり、後は惰性でだらだら恋愛話を中心に進むだけであまりエキサイティングな様は見せず、分量としてはこの半分のページ数で済みそうな話でした。

タグ:クリスマス・ストーリー




悲劇はクリスマスのあとに (上) (角川文庫)悲劇はクリスマスのあとに (上) (角川文庫)
(1997/12)
ノーラ・ロバーツ

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悲劇はクリスマスのあとに (下) (角川文庫)悲劇はクリスマスのあとに (下) (角川文庫)
(1997/12)
ノーラ・ロバーツ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『クリスマス・ボックス』 リチャード・P・エヴァンズ 講談社文庫

2011-12-18

☆☆☆

ひょんなことから、老婦人の住む豪奢な館に移り住むことになった「わたし」は、ある日、屋根裏部屋で美しい小箱を見つける。その箱に隠されていた秘密とは?「人生でいちばん大切なものは何?」永遠の問いへの答えが告げられる、まさにその時……。雪が振り積む天使像に、世界が涙した感動のベストセラー。 内容紹介より



笹野洋子氏の文庫版訳者あとがきによると、本書は「世界中で1100万部以上売れた」らしいです。
こういう言い方をするといろいろ語弊があるかもしれませんけれど、わたしが思ったことは、こんな基本的なことを作品のテーマにしなくてはならないほど、そしてこういうテーマをわざわざストーリーにして説いて聞かせなくてはならないほど、また、それほど多くの人が購読し、それに感動してしまうほど、現代における親子や家族の心のつながりが希薄であり、情緒や精神的な面において本書のような作品を読んで再確認しなければいけないくらい、世の中の状況はそんなにも切実になっているのだろうかということでした。一方、子供がいる方はより身近に感じられるテーマであり、強く心に迫るだろうし、受け止め方も深くなるかもしれません。とにかく、家族に限らず愛する者がいつまでもそのままの状態でずっとそばにいるわけではない、という当たり前だけど当たり前に肝に命じているわけでもないことを気づかせてくれる作品なのでしょう。

タグ:クリスマス・ストーリー




クリスマス・ボックス (講談社文庫)クリスマス・ボックス (講談社文庫)
(2005/11/15)
P・リチャ-ド・エヴァンズ

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テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

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  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

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