『年寄り工場の秘密』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫

2017-07-29

☆☆☆

高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉にちょっとした変化が起きた。長年暮らしていたトッツィが,近くにできた老人ホーム〈黄金の日々〉に引っ越したのだ。そして三週間がたち〈カムデン〉に勇名を轟かすアンジェラとキャレドニアのもとを、そのトッツィが相談に訪れる。どうやら〈黄金の日々〉に幽霊が出るらしく、正体を見極めてほしいと言うのだ。かつて同じ屋根の下にいたよしみで……というよりは退屈しのぎが目的で、名物コンビふたりは体験入居を装い“潜入捜査”を開始するが、思わぬ大事件が待っていた!老人探偵団シリーズ第七弾。 内容紹介より



〈老人たちの生活と推理〉シリーズ第七作目。別にどうでもよいのですけれど、本書では珍しく老人ホームの支配人であるトゥーガスンの登場機会が多く、毎回彼の存在意義が気になっていたわたしにとってはちょっと満足でした。そして作品全体もこれまでよりミステリの体裁を整えてきたのではないかと感じた次第です。序盤の別の老人ホームにおける幽霊騒ぎは、まさにお騒がせ程度の効果しかあげていませんが、効率重視で規則に縛られた〈黄金の日々〉と比較して、優雅な建物にはガタがきているにしても昔ながらのアットホームで居心地が良く食事も美味い〈カムデン〉を七作目にして改めて読者に認識させる一工夫になっているように思いました。また、試験的にペット(猫)可になったことも話に新味を加えていますし、ミステリの伏線にも仕上げています。小さなおばあちゃんがゴミ箱をあさって宅配フードの容器を集めてまわる場面がコミカルですし、主人公の凸凹コンビ以外はその他大勢扱いだった登場人物たちのキャラもこなれてきたし、このシリーズとしてはこれも珍しい犯人との対決シーンも盛り込んであって、コージーミステリの本道に近づいている印象を受けました。

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『メリー殺しマス』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫

2010-12-25

☆☆

高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉のクリスマス・シーズンは、幕開きから大騒ぎ。はた迷惑にも、ロビーの大ツリーの下に、プレゼントならぬ入居者の死体が置かれていたのだ。この一件を殺人だと決めつけたアンジェラとキャレドニアは、ほかの事件で大忙しなマーティネス警部補の協力依頼を拡大解釈し、捜査を開始する……。名物コンビが聖なる季節を騒がせる、シリーズ第六弾。 内容紹介より



〈老人たちの生活と推理〉六作品目。相変わらず、推理というミステリ部分はミステリと名乗れないくらいのレベルで、かといって生活部分が特別に面白くて愉快っていうわけでもないのですけれど、なぜ読んでしまうのでしょう。多分、それはシリーズ作品だからです。シリーズ作品はつい集めてしまいたいという心に潜む蒐集癖と、それにシリーズの登場人物たちに情が移ってしまうのです。きっと。といっても、主人公ふたり以外にキャラがたっている人物は少ないし、その人が活躍するってこともないのですが。マーティネス警部補はいつものようにインパクトがないし、逆にインパクトがある老人ホームの支配人トゥーガソンは、入居者たちの口に上るだけで本人はまったく登場しないのですね。なんだか毎回同じ感想を書いてしまいます。もどかしい。

『フクロウは夜ふかしをする』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫
『ピーナッツバター殺人事件』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫
『殺しはノンカロリー』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫

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メリー殺しマス (創元推理文庫)メリー殺しマス (創元推理文庫)
(2009/12/20)
コリン・ホルト・ソーヤー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『殺しはノンカロリー』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫

2009-10-05

☆☆

ダイエット効果抜群と評判の美容スパで、従業員が殺された。捜査の遅れに業を煮やした経営者のドロシーは、高級老人ホームに住む“名探偵”アンジェラに助けを求める。親友のキャレドニアを伴い駆けつけた彼女を現場で待っていたのは、新たな事件と苦い顔の捜査陣、そしてスパご自慢のダイエット・プログラム!〈海の上のカムデン〉を飛び出し、探偵と運動に汗水流す第五弾。 内容紹介より



ミステリの部分ではテレビドラマの二時間サスペンスくらいのレベルしかない〈老人たちの生活と推理〉シリーズ。来る高齢化社会用にこれを元に脚本を用意しておけば良いかもしれません。ビジュアルというか絵面的にはかなりとんでもないことになりそうですけど。今回はカムデンを出、美容スパへ。なので初出の人たちが大勢登場してきて、誰がどういう人物だったかよく把握できないまま読了しました。スパの宿泊客たちが容疑者になっているけれど、描き分けが弱いためそれぞれのイメージが希薄になっています。真犯人と対決する場面または逮捕する場面などのクライマックスがなく、後日報告みたいな形なのでサスペンス性に欠けています。キャレドニアがしょっちゅうオートミールを食べさせられる、お笑いでいうところの天丼なる設定は可笑しかったです。

『フクロウは夜ふかしをする』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫
『ピーナッツバター殺人事件』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫




殺しはノンカロリー (創元推理文庫)殺しはノンカロリー (創元推理文庫)
(2007/10)
コリン・ホルト ソーヤー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ピーナッツバター殺人事件』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫

2009-04-28

☆☆

列車に轢かれて死んだ男は、高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉の住人と親交があった。被害者の人となりを知りたいマーティネス警部補に頼まれ、嬉々として聞きこみを始めるアンジェラたち。当然、探偵活動はそれだけですむはずもなく、過激に暴走していくのであった。ロビーには新顔のインコ、おなじみ老人探偵団にも新メンバーが加わり、ますます快調なユーモア推理第四弾! 内容紹介より



相変わらず刺激ともの足りなさを感じるシリーズ作品。この〈老人たちの生活と推理〉シリーズに、歳を重ねるごとに醸し出される人間性の滋味みたいな要素を期待するのは間違いなので、猪突猛進型とそれをいさめてコントロールする主人公の凸凹コンビ(体型と性格が真逆という設定が可笑しい)を、もっとコメディタッチにドタバタさせるなり壊れ気味にしないとやや上品で大人し過ぎるんじゃないのかと思います。それにユニークな脇役を老人ホームの入居者としてどんどん登場させ、ストーリーに絡ませて頂きたい。いつまでも凸凹コンビがメインではマンネリに陥ってしまうのも必然でしょうから、隠居した元スパイとか元殺し屋とか元大泥棒とか元F1レーサーとか、なんでもありで探偵団に加入させてもらいたいものです。さらに、犯人以外の敵役を登場させれば話に緊張感と締まりが出るのではないかと思うんですがね。本来ならば老人ホームの支配人がその役なのでしょうけれど、まったく登場しないので。その意味では、ものわかりの良い警部補を憎まれ役にしておけばと悔やまれますね。


『フクロウは夜ふかしをする』コリン・ホルト・ソーヤー



ピーナッツバター殺人事件 (創元推理文庫)ピーナッツバター殺人事件 (創元推理文庫)
(2005/06/11)
コリン・ホルト・ソーヤー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『フクロウは夜ふかしをする』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫

2008-11-01

☆☆

一人目は自販機業者、二人目は庭師……。お年寄りが優雅な老後を過ごす高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉で連続殺人が発生。事件の手掛かりを掴もうと、アンジェラたちはさっそく行動を開始した。刑事がいくら危険だ邪魔だ迷惑だと言って聞かせてところで、もちろん思いとどまってくれるはずもない。元気いっぱいの老人たちが、探偵きどりで連続殺人の謎に挑戦。好評第三弾。 内容紹介より



年を重ねていないせいか、はたまた人生経験が足りないせいか、まあどちらもなんですけどね、部長刑事から「自分の知っていた人間が死んで、なんとも思わないんですか?」、と一喝されたキャレドニアの「死ぬってことは人生におけるひとつの過程でしかない」という言葉が納得できません。このミステリ・シリーズに欠けているものは部長刑事の言っている精神性なのではないでしょうか。この老婦人ふたりは齢を重ねてはいるけれど、結局、社会的に偉い夫の妻であり苦労知らずで、未亡人になってもお金に困らず心身ともに健康な“お嬢ちゃん”にすぎないような気がします。ここにはサブタイトルの「老人たちの生活と推理」の本物の“老人”、それなりの苦労をして人生の酸いも甘いも噛み分ける人間がいないことが・・・。といくら声高く言っても作者が意図するライトミステリには必要ないし、そういう登場人物はかえって邪魔になるだけかもしれません。しかし、シリーズとして考えると軽さだけが目立ち、読後に漠然とした物足りなさを感じてしまうのです。人当たりは良いけれど薄っぺらい警部補みたいに。ミステリ部分が脆弱なのだから、登場人物をもっと魅力あるものにして欲しいです。


フクロウは夜ふかしをする (創元推理文庫)フクロウは夜ふかしをする (創元推理文庫)
(2003/03)
コリン・ホルト ソーヤー

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