『猫はひげを自慢する』リリアン・J・ブラウン ハヤカワ文庫

2009-01-07

☆☆

古書店からたくさんの本を引き取って大喜びのクィララン。一方のシャム猫ココは、本が詰まったダンボール箱に異常な興奮ぶりを示す。ココの行動は何を示しているのか? クィラランはそれとなく調査を始めるが、ほどなくしてココがおなじみの「死の咆哮」を発した。まもなく女性が蜂に刺されて死亡するいたましい事件が起こってしまう。さらにクィラランの恋人のポリーの身になんと……シリーズの大転機を迎える注目作。 内容紹介より



遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

今年は丑年だそうなので、牛が登場するミステリはないかと考えたのですが思いつきませんでした。ミステリではないのですが、サキの作品に、画家と隣家の婦人とのかみ合わない会話をだしにして画壇や美術界の風潮を痛烈に揶揄した「肥った牡牛」(『サキ短篇集』収録 新潮文庫)という佳作がありますね。

さて、本作は〈シャム猫ココ・シリーズ〉の二十九作目。わたしの中で、このシリーズはミステリの殿堂入りしているから作者が何をどう書こうが、やりたいようにやって下さいという感じです。ミステリの出来不出来などどうでも良いのです(主に不出来ですが)。
粛々と読ませていただき、静かに本を閉じる。でもしかし、もしもシリーズ初読のひとが
初めての作品に本作を選んだとしたら・・・、という危惧の念を抱いてしまうのもファンの一人として否めないわけです。どう見てもブラウンさんは、読者がこのシリーズを以前から読んでいるものという前提で書いてますもんね。このシリーズに今から手を出そうという読者は、デアゴスティーニを購入するのと同じように最初の作品から読むくらいの覚悟と忍耐と寛容が必要かと。〈ピカックス・サーガ〉はまだまだ続く。

ポリーの件については、(ネタバレです→)「もともとキャラが立ってなかったし、最近のふたりの“アビアント”な関係が気持ち悪くなってきたところだったので、これで良かったのではないでしょうか。てっきり飛行機事故で死んでしまうものだと思い込んでいたので、そうじゃなかったことがびっくりでしたね。



猫はひげを自慢する (ハヤカワ・ミステリ文庫)猫はひげを自慢する (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2007/06)
リリアン・J. ブラウン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「サキ短篇集」 サキ 新潮文庫

2005-10-19

Tag : サキ

☆☆☆

サキ傑作集」岩波文庫と同じく21の短篇が収録されています。どうして半端な21篇なのでしょうか?なにか意味でもあるのかな?
サキ傑作集」とのだぶりは「二十日鼠」「狼少年」「話上手」「開いた窓」「宵闇」「セルノグラツの狼」「七つのクリーム壺」の七篇です。あの猫好きにはたまらない「トバモリー」が入ってない!どうも選択の基準が甘いような気がしますね。

岩波文庫版が発行されたのが'81年で新潮文庫版が'58年です。新潮文庫版は改訳や新訳
をせず当時の訳のままなのでさすがに古めかしいです。河田智雄訳とくらべて中村能三訳は直訳かと思うほど堅い感じがします。それが旧版と相まって見た目にもかなり読みにくい印象。そろそろ新訳と西暦表記もお願いしますよ、新潮文庫編集部さま御中。

岩波文庫版に収録されていない作品で今回気に入ったものを上げておきます。
庭に牝牛が入り込んだ家の女性と隣人の画家との毒のある会話がすごく可笑しい「肥った牝牛」、自己中心的なバカップル(古)がでてくる「十三人目」、「開いた窓」の登場人物の“姪”が再び現れたような「休養」。

岩波版は品切れみたいで現在は手に入らないようですが、もし目の前にニ冊あったら岩波版「サキ傑作集」を選ぶと思います。しかし、絶版にせずに長年出版してきた新潮社は偉い、と素直に誉めたいです。

テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

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