『ママ、嘘を見抜く』 ジェームズ・ヤッフェ 創元推理文庫

2011-12-06

☆☆☆

三年に一度の地方検事選挙を控え、町はなにかと騒がしい。そんなある日、デイブたちは殺人容疑をかけられたホームレスの弁護を引き受ける。とても勝ち目があるとは思えなかったが、ママの推理は選挙の行方も左右する、思いも寄らぬ事実を明らかにしていくのだった。いくつもの嘘を暴いた後に現れる、意外な真犯人!綿密な伏線とあざやかな謎解きが快感の傑作シリーズ第四弾。 内容紹介より



地方検事選挙には、仕事を部下の地方検事補に任せっきりで、地元での政治活動にいそしむ現職と急進的な辣腕女性弁護士の二人が立候補しています。ママの息子のデイブたちが運営する公選弁護人事務所の予算に強い影響力を持つ地方検事の職を巡る争いだけに、両陣営がアメとムチをちらつかせて自陣への協力を迫り、公選弁護人事務所は板挟みになってしまいます。こういう状況や政治や選挙についてママが自説を披露する場面が、このシリーズにお約束である彼女の身内エピソードとともにストーリーにアクセントを付けていると思います。真犯人の正体と何故コーヒーに薬が混入していたのかが大きな謎になっています。コーヒーについての真相は、ママしか知らない事実を日記に書き記しるすかたちで読者に明らかにしているのですが、その行動をにおわせる伏線としての感情を発露する場面が不足している気がしました。妻子を事故で一遍に喪ってからホームレスに身をやつした元大学教授の姿に、デイブが妻を病気で亡くした我が身を重ねるしんみりした場面もあるだけに。




ママ、嘘を見抜く (創元推理文庫)ママ、嘘を見抜く (創元推理文庫)
(2000/11)
ジェームズ・ヤッフェ

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ママ、手紙を書く」ジェームズ・ヤッフェ 創元推理文庫

2008-08-13

☆☆

キャラクターが良いのはママだけ。とくに毒舌なところが好きです。あとの登場人物は平板。もう少し描き込んで欲しいです。
やはり、安楽椅子探偵の設定は長編では無理じゃなかろうか?作者の想像の中であれこれプロットをいじっているようで、何でもあり展開はどうでもなるよって感じ。(表現が分かり難くてすみません。誰が犯人であろうとこじつけられるって事が言いたいんですけど)
真犯人については不服ですね。犯罪を犯したという心理的葛藤が表れてない。


以下、ネタばれではありません。

さて、わたしの推理によれば真犯人はママである。息子の住む町に秘密裏にやってきたママは(ロッキー山脈などの観光に興味を示さないのはすでに一度観光済みだからである、p87参照)、その誰にでも好かれてお友達になってしまうという特技で大学関係者に近付き、犯行計画を立てたのである。(ママはパーティーへの参加を断るなど事件関係者と一度も会おうとしないではないか。会うと顔ばれするから…)

動機は快楽殺人。ママは当時ニューヨーク市警殺人課刑事の息子が手柄を立て出世するために(実際、記録的なスピードで警視に昇進している,p10)、数々の殺人事件に手を染め、息子に解決のヒントを与え無実の人びとに罪を被せてきた(想像)。(『ママは何でも知っている』ハヤカワ・ミステリ参照。何でも知っているところが怪しい)

しかし、あまりにも殺人を繰り返したためママは人を殺す事が快楽になってしまったのである。「ママの今度の休暇を最高のものにする秘訣があるとすれば、それは殺人事件だ。」(p17)と息子も薄々感じているのである。
では、なぜ大学関係者を狙ったのか?それはママの知的専門職コンプレックスに原因がある(P9参照)、息子に知的専門職に就くよう勧めたにも関わらず息子は警官になってしまった。この事実が相当な精神的ダメージになったはずだ。

このようにすべてはママが計画を立て、容疑者たちを操ったのだ。でなければこれほどなんでもかんでも知っている訳がない。ママ、恐るべし!

*この記事は別ブログに以前書いたものに加筆したものです。

わたしの推理では、この人が真犯人なのである。
(犯行計画を立てているところであろう)
   ↓
ママ、手紙を書く (創元推理文庫)ママ、手紙を書く (創元推理文庫)
(1997/01)
ジェームズ ヤッフェ

商品詳細を見る






テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ママのクリスマス」ジェームズ・ヤッフェ 創元推理文庫

2005-11-25

☆☆☆

安楽椅子探偵ママ・シリーズのニ作目。
クリスマスが近付いたある日、穏やかに老後を送っていたユダヤ人夫婦の隣家の教会が、突然派手な電飾のディスプレイを点滅させ、クリスマス・ソングを大音響で鳴らし始めた。連日連夜の行いに文句を言いに行った息子ロジャーと牧師の間にトラブルが起こり、ロジャーが訴えられてしまう。弁護人事務所の捜査官デイブが調査する中、牧師の射殺体がダイイングメッセージとともに発見され、容疑者のロジャーが失踪する。

クリスマスの浮かれた雰囲気がないのは、主人公の“ママ”とその息子デイブがユダヤ人だから。ユダヤ教ってクリスマスを祝わないのですか?!知らなかった。アバウトな仏教徒らしき日本人でさえ…(略)

ユダヤ人社会は地方に行くほどマイノリティな存在になるのでしょう。
作者は、キリスト教とユダヤ教の相違、保守的な気風の町及び有力者たちとユダヤ人社会を対比させて、物語への興味を高めていると思います。
プロットがありがちな感じなので、事件の背景にそういう事情を配置して、新味を持たせるあたりは上手いです。

それにしても、ママはデイブの話だけで推理し事件を解明してしまうのだけど、どれだけ詳しく話して聴かせてるんだよ、と思いました。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ママは眠りを殺す」ジェームズ・ヤッフェ 創元推理文庫

2005-11-09

☆☆☆

安楽椅子探偵ママ・シリーズの三作目。

アマチュア劇団の『マクベス』公演初日、舞台上で殺人が起きる。劇中で暗殺される役者が実際に刺し殺されたのだ。折しも調査員デイヴは、部下のロジャーが脇役で出演していたために客席でその場面を目撃していた。

『マクベス』は呪われていて上演すると不幸に見舞われるので、リハーサルや本番中以外に劇場内では『マクベス』という言葉を口にしてはいけない、という言う伝えがあるためわざわざ「スコットランド物」と言い換えているんですね。
そういえばキャロリン・G・ハートの『舞台裏の殺人』にも、舞台上で『マクベス』の中の台詞を口にすると縁起が悪いというジンクスが出てきました。知りませんでしたが、結構ポピュラーな言い伝えみたいです。

演劇中に殺人が起きるという設定はブランドの『ジェゼベルの死』以来お馴染みですが、
かなり衝撃的だからミステリ作家としては使ってみたいトリックなのでしょうね。
でも本文中にもあるように、普通なら殺人と言うのは通り魔のせいにしたほうが良いわけで、観客の前で人を殺すメリットなどないのではないでしょうか。よほど合理的な理由がなければかえって不自然に思えるし、この作品にしてもそれほど納得のいく理由ではないと感じましたが。
ネタバレになるので詳しく書けませんが、殺人を犯した動機がこれではかなり弱いように思います。

デイヴとロジャーが一章ごとに交互に語る形式は良かったです。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF クリスマス・ストーリー アンソロジー アーロン・エルキンズ ルース・レンデル スティーヴン・キング デイヴィッド・ハンドラー キャロリン・G・ハート ジョー・R・ランズデール ローラ・チャイルズ マイクル・クライトン ジョアン・フルーク ジョージ・P・ペレケーノス ドン・ウィンズロウ ポーラ・ゴズリング ジェームズ・パターソン エド・マクベイン ジェイムズ・パタースン ジル・チャーチル ヘニング・マンケル C・J・ボックス ローレンス・ブロック リチャード・マシスン D・M・ディヴァイン レジナルド・ヒル スチュアート・ウッズ リリアン・J・ブラウン ジャネット・イヴァノヴィッチ ピーター・ラヴゼイ パーネル・ホール アリス・キンバリー レックス・スタウト S・J・ローザン ジョルジュ・シムノン ジョー・ゴアズ カール・ハイアセン ウィリアム・カッツ クレオ・コイル マーガレット・ミラー レスリー・メイヤー ジャック・カーリイ カーター・ディクスン ジェフ・アボット マーシャ・マラー エド・ゴーマン コリン・ホルト・ソーヤー ヒラリー・ウォー ルイーズ・ペニー マイケル・ボンド ジェフリー・ディーヴァー アイザック・アシモフ ジョン・ディクスン・カー イーヴリン・スミス ジェームズ・ヤッフェ リタ・メイ・ブラウン キャロリン・キーン ウィリアム・L・デアンドリア ロブ・ライアン ローラ・リップマン ポール・ドハティー フレッド・ヴァルガス G・M・フォード エヴァン・マーシャル オーサ・ラーソン ジョアン・ハリス ドナ・アンドリューズ サイモン・カーニック リン・S・ハイタワー ファーン・マイケルズ アンソニー・ホロヴィッツ ジャン=クリストフ・グランジェ スタンリイ・エリン レイ・ハリスン ケイト・ロス アンドレア・カミッレーリ レニー・エアース ジョン・クリード コニス・リトル デイヴィッド・マレル クリスチアナ・ブランド ウイリアム・P・マッギヴァーン ウィリアム・ランデイ ジャック・フィニイ リック・ボイヤー サキ ジェーン・ラングトン ユージン・イジー ウォルター・モズリイ アン・クリーヴス ビリー・レッツ イーサン・ブラック ダナ・レオン エーリヒ・ケストナー ウォルター・サタスウェイト スタンリー・エリン ポール・ドハティ トバイアス・ウルフ 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント