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『俳優は楽じゃない』パーネル・ホール ハヤカワ文庫HM

2019-05-04

☆☆☆

役をもらった!演出家をしている昔の演劇仲間に頼まれ、急死した役者の代役を務めることになったのだ。かつて演劇に命を賭けていたわたしは、即座に現地に赴いた。が、初日直前、偏屈な舞台監督が他殺体となって発見された。しかも警察は、よそ者のわたしに疑いの目を向ける。なんとしても犯人を見つけだすため、わたしは劇団内の人間関係を探るが……晴れ舞台に向けて、控えめ探偵が涙ぐましい奮闘ぶりを見せる第八作 内容紹介より



スタンリー・ヘイスティングズ シリーズの第八作目。今回は法律事務所の雇われ探偵といういつもの肩書きを離れ、ニューヨークからコネチカットに舞台を移しています。一般的にシリーズ物がホームタウンを離れると、常連の不在から話がつまらなくなる傾向にあると思うのですけれど、本書では主人公が舞台役者を務めるというまったくの別の設定になっているからなのか意外に楽しむことができました。舞台に上がったら照明器具が落下したり、主役級なのに楽屋が相部屋だったり、宿泊先も研修生が泊まるバスルームもない部屋だったりと、主人公はのっけからひどい目に遭うのですが、事を荒立てない控え目な姿が異色です。初日直前の舞台稽古の最中、皆から煙たがれていた舞台監督が刺殺されているのを主人公が発見してしまい、最有力容疑者になりながらも、私立探偵の肩書きから地元警察の署長から捜査に協力を求められることになります。ミステリとしてはいつものごとく低調ですが、人の名前を覚えることが苦手だという主人公の設定によって、さして重要でない人物名を極力出さないことで、人名や役名がこんがらがるという演劇ミステリに特有な傾向を避けている点、主人公が劇団にかかわるシーンの合間に警察署長とのやり取りを挿むことで単調にならない工夫をしている点、こんなところが良く工夫されているように感じました。舞台劇の裏側まさしく舞台裏の様子がかいま見れるのも面白かったです。

ユーザータグ:パーネル・ホール




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『撃たれると痛い』 パーネル・ホール ハヤカワ文庫HM

2012-10-16

☆☆☆

恋人の誠意を確かめてほしい。メリッサと名乗る、地味で気弱な中年女性の依頼は、たやすい仕事に見えた。予想通り、当の男と若い美女の密会現場を突き止め、一件落着。と思いきや、その直後に男が他殺死体で発見され、メリッサに殺人の容疑がかけられた。納得の行かないわたしは、密かに真相を探りはじめる。が、その矢先、このわたしが、何者かに撃たれてしまうとは!ひかえめ探偵が絶体絶命の危機に立ちむかう第七作 内容紹介より



恋人を射殺したとして逮捕された依頼人の女性の無実を信じる主人公が、真犯人だと目星をつけた容疑者たちをめぐる顛末は、読んでいる最中に察しがついてしまって、相変わらずのトホホ感が湧き上がるものでした。しかし、弁護士事務所から依頼された調査で知り合った少年にまつわる出来事は、このシリーズのこれまでとは違った一面を見せているように思います。何者かに撃たれた主人公は、いわゆる怖気づいてしまった挙句、家族に迷惑をかけ、警察に目をつけられてしまう羽目の陥ります。そんな状況のなかから、少年のために奮起して再び立ち上がるという、このシリーズには無縁だと思っていたまさかの(ただし、あくまでも控えめな)感動的展開になるという……。次回作以降は、この出来事が主人公のキャラクターに何らかの変化をもたらしているのでしょうか。気になるところです。でも、まあ、アンチヒーロー・タイプとはいえ、読後、毎回感じる非充足感は何とかして欲しい。




撃たれると痛い (ハヤカワ・ミステリ文庫)撃たれると痛い (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1995/06)
パーネル・ホール

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「メールオーダーはできません」レスリー・メイヤー 創元推理文庫

2008-09-10

☆☆☆

クリスマス目前のある夜、通信販売会社の経営者が自殺した。金持ちで美人の妻がいて、人生順風満帆のはずがなぜ? 第一発見者の主婦ルーシーは釈然としない。クリスマスの仕度で大忙しのはずなのに、地元の巡査を巻き込んで事件をつつき始めるルーシー。だが肝心の巡査が事故で重体に……。メイン州の田舎町を舞台に、季節の行事をいきいきと描く、生活感あふれるミステリ開幕。      内容紹介より



ジル・チャーチル〈主婦探偵ジェーン・シリーズ〉にとても似ていますが、実は「主婦残酷物語」とでもいうような過酷な主婦業の実態(少し大袈裟)を描いた話なのではないのかと。たあい無いミステリ部分よりも主婦が担う家事のほうに感心しましたね。クリスマス間際ということもあってプレゼントや食事の買い出し、夫、三人の子供の世話、訪ねてくる実母、義理の両親、当然家事もこなさないといけないし、さらに主人公は共働きで通信販売会社*の深夜シフトのオペレーターまでやっているのですから、やることがいっぱいあってこれは大変ですよ。その上、殺人事件の調査まで…。リアルな生活感*が漂うこの物語を読んで既婚の専業探偵*(および警察官)たちにお気楽さを感じましたね。

ミステリ好きだけど気が利かない旦那を持つ主婦は、ぜひ本書を読ませるべきだと思いました。余計なお世話ですけど。

商品番号13
殺人
季節を問わず、あなたの嫌いな方、いなくなって欲しい方への贈り物に最適です。刺したり、絞めたり、撃ったり、殴ったり、盛ったりと様々なバリエーションを取り揃えています。ご希望の商品の番号と贈り先のお名前、ご住所をご記入下さい。時価。


*本書のなかでも名前が出てきますがL.L.Beanをモデルにしたような会社。
*p238からp239で描かれる主人公のキレかた!
*例えば、パーネル・ホールのスタンリー・ヘイスティングとか。



メールオーダーはできません (創元推理文庫 M メ 2-1)メールオーダーはできません (創元推理文庫 M メ 2-1)
(2007/10)
レスリー・メイヤー

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「パズルレディの名推理」パーネル・ホール ハヤカワ文庫

2007-06-22

☆☆☆

“パズルレディ”の筆名で新聞にパズル連載を持つコーラの朝は、ブラディマリーとともに始まる。だがその日、コーラを叩き起こしたのは警察の訪問。昨晩、酔って喧嘩でもしたかと思いきや、付近でみつかった死体からクロスワードらしき紙片が発見され、専門家であるコーラの意見を聞きたいという。コーラは二日酔いもふっとび、色めきたつが……ユーモラスな謎とパズルが満載の新シリーズ開幕!オリジナル・パズル付き。
内容紹介より



『パズルレディと赤いニシン』は、☆☆☆☆。

スタンリー・ヘイスティングズものよりこっちのほうが好きです。

不思議なのは、ハードドリンカーで少々だらしない伯母さんとDVのトラウマを負う謹厳実直な姪のコンビが織り成す、ともに500ページ以上の作品を中だるみもなく最後まで読ませることです。この二人のキャラクターが特別に秀逸なわけでもないし、プロットが格段に優れているとも思えません。これくらいの内容なら300ページでもあれば十分な気もしますけど。ほど良い面白さの理由は何なのだろうか。いろいろ考えても分かりませんでした。

世間では上品で家庭的な奥様ということになっている伯母さんのギャップのある人物設定と、ありそうでなかった好対照な主人公コンビにあるのでしょうか。まあ、取りあえずそういうことにしておこう。

それから、男性作家が女性(とくに年配の)を探偵役に据えたミステリ作品を書いたというのは珍しいことではないでしょうか。逆のパターンは数多くあるにも関わらず。わたしはジェームズ・ヤッフェの〈ブロンクスのママ・シリーズ〉 くらいしか思い付きません。
後、マイクル・Z・リューインやトマス・ハリスの作品にもありますが…。大げさですけど、海外の女性探偵ミステリ史上において特異な作品かもしれませんね。


パズルレディと赤いニシン (ハヤカワ・ミステリ文庫)パズルレディと赤いニシン (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2003/04)
パーネル ホール

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テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

「依頼人がほしい」パーネル・ホール ハヤカワ文庫

2006-01-24

Tag : パーネル・ホール

☆☆

別居中の妻の浮気を疑う男から調査を依頼されたスタンリーは歯の治療費を稼ぐために引き受けた。が、尾行先のモーテルに宿泊中、その女性が殺され、またもや×4容疑者にされてしまう。その上、依頼人から教えられていた被害者の名前や身元は、全く別人のものだったことが判明する。

「わたしは歯がわるい」という私立探偵ものにはありえない書き出しにはうけたけど、なんか飽きた。ストーリーパターンが毎回同じなんだもの。
その後の歯にまつわる話や女性を尾行する話がだらだら続くので退屈。
全編、主人公の失敗話というのもうんざりしてしまう。
いくら駄目探偵といえどもやっぱり少しは活躍して欲しいよなあ。歯痒くなってしまう。
ストレス解消のために読んでいるのに、逆にストレスが溜りますよ。ほんとに。

でもまたしばらくしたら買って読むんでしょうけど…
ずっとこんなのなんでしょうか?

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「絞殺魔に会いたい」パーネル・ホール ハヤカワ文庫

2005-11-23

☆☆☆

事故専門調査員スタンリーが訴訟依頼人に会いに行くたびに相手が絞殺されているのを発見し、またもや容疑者にされてしまうというお約束の展開。
今回はいつになく謎解きの要素が加わり、前作より楽しめました。
いつものマコーリフ部長刑事ではなくて、クラーク部長刑事が事件の担当になります。でも、主人公のスタンリーがバカにされるところは相変わらず。その上になんと、警察の天敵であるスタンリーのボスのリチャードに精彩がなく、クラークにやられっぱなし。どうもこのクラークはマコーリフよりも優秀でしっかりしてますね。今まで以上に本作品では刑事を主人公にして、別の警察ミステリが出来あがるんじゃないのかと思わせるくらいです。しかし、本来、脇役でも良いような人物をあえて主人公に設定するあたりがこのシリーズのユニークなところであり、あまたのミステリの中で存在意義を示している点なのでしょう。と一応分析してみる。

それにしても毎度毎度スタンリーは人の家を訪ねて、ノックしても返事がないと“鍵のかかってない”ドアを開けて“勝手に”中に入り、死体を発見してしまうという愚行を犯しているのですが、いいかげん学習しなさいと思うのはわたしだけでしょうか。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「お人好しでもいい」パーネル・ホール ハヤカワ文庫

2005-11-05

Tag : パーネル・ホール

☆☆

また読みました。軽いから。
今回、主人公ヘイスティングズはマコーリフ部長刑事に泣きつかれて、しぶしぶ個人的な調査を引受けることに。どうもマコーリフの娘婿がトラブルを抱えて、夫婦仲がぎくしゃくしているので原因を探って欲しいというもの。仕方なく娘夫婦の住むアトランティック・シティへ赴き、見張りを始めると夫婦ともに不倫をしている様子があり、妻には尾行が付いている。

関係者の家を訪れると、やっぱり死体発見!なんだか前回と似てる展開だなあ。
すぐに警察から目を付けられてるし、逮捕されてるし。
こんなに軽くあしらわれる探偵も珍しい。シャーロック・ホームズの時代からすると探偵の地位も扱いも落ちたものだ。
刑事から「ばか」「ドジ」「間抜け」なんて言われる探偵がいるなんて、ホームズ先生には信じられないだろう。

主人公よりも目立ったのは、警察や検察と対決したがる彼の雇い主の弁護士リチャードです。主人公に殺人の疑いがかかると取る物も取り敢えず駆け付けて来るけど、主人公が心配なわけではなくてただ自分の手腕を裁判で誇示したいだけなんですけどね。その身勝手さが可笑しいです。

というわけで、三冊目にして少々マンネリを感じるこういうタイプのシリーズ物の感想は難しい。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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