『ジェインに舞いおりた奇跡』ファーン・マイケルズ ヴィレッジブックス

2009-07-24

☆☆☆

ルイジアナ州で暮らす精神科医のジェイン。人気ラジオ番組を持ち、風情ある古い屋敷で愛犬と暮らしている。太めで見ためがさえないせいか、私生活のほうはどうもぱっとしないが……。そんなジェインの元に、ひとりの男性患者が訪れた。もしかして彼は、ジェインの心に深い傷を残す12年前のある悲惨な事件に関係しているのでは?不審に思ったジェインは、患者の周囲を探りはじめる。意外な協力者 ― 屋敷に住みつく少年の幽霊も現れ、ハンサムな同業者マイク、変わり者の名付け親、そして賢い犬たちと共に、ジェインはしだいに真実に迫っていくが…。全米で愛され続けている人気作家が描く、心あたたまる物語。 内容紹介より



サスペンス・ミステリの要素もある女性読者向けの物語。少女時代の母親から受けた仕打ち、学生時代に起きた事件によって微妙に人生の道筋が変わってしまったヒロインが、ひとりの患者の出現を契機に軌道修正していく話で、それにシンデレラや醜いアヒルの子のストーリーパターンを絡ませた感じです。『閉ざされた記憶』における主人公の祖母とその仲間たちと似たような役割を本書ではヒロインの名付け親の老夫婦がやっています。『シスターフッド』、『閉ざされた部屋』、そして本書といい主人公の近くにはいつも理解ある金持ちがいる設定は毎回都合が良すぎるんじゃないかと。そういう甘い部分と主人公が体験した辛い出来事がどうも梅干しに砂糖をぶっかけたようで、さらに幽霊まで登場させ、お約束のラブストーリーもありのとあって雰囲気独特ですね。ふたりの女性の運命を同じにしたのはどうしてなのか疑問です。それはともかく確実に言えるのは、この作者は犬派だということです。だから犬好きな方にもお勧め。

『シスターフッド』ファーン・マイケルズ 二見文庫
『閉ざされた記憶』 ファーン・マイケルズ 二見文庫



ジェインに舞いおりた奇跡 (ヴィレッジブックス)ジェインに舞いおりた奇跡 (ヴィレッジブックス)
(2003/05)
ファーン・マイケルズFern Michaels

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「閉ざされた記憶」ファーン・マイケルズ 二見文庫

2007-10-20

☆☆

キャディは20年ぶりに故郷インディゴ・バレーに帰ってきた。そこは10歳の彼女が、部分的記憶喪失と以後3年間の療養生活を過ごすことになる事故に遭った場所でもある。その町には元映画スターの祖母が友人たちと大邸宅でくらしていた。幼なじみはそれぞれに立派な社会人として安定した暮らしを送っていた。キャディは祖母たちにそそのかされて幼なじみとデートをしたりしながら事故の真相を突き止め、空白の記憶を取り戻そうとする。傑作ロマンス小説!内容紹介より



ミステリーではなく、大衆小説ですね。
プロローグの箇所をまるごと最終章に移動すれば、ミステリーぽくなったかもしれません。主人公が取り戻そうとする空白の記憶そのものが、プロローグにおいてほとんどすべて読者に提示され明らかにされているので、もし、これから読まれる方がいらっしゃるならば、プロローグを飛ばして読むことをお勧めします。ここを読んでしまうと以後の展開がスリリングでもサスペンスフルでもなくなってしまいます。

キャディの幼なじみのエイミーに比べて主人公であるキャディの人物造形が浅くて魅力がない(エイミー姉弟とその両親の関係に較べてキャディと彼女の両親との関係がほとんど具体的に描かれていない)のと、彼女の祖母を含む三人の老人たちがあまりにも旧態依然の描き方で甘ったるくて温すぎます。まあ、彼女たちが金に飽かせてキャディを甘やかし、孫娘もなんの抵抗もなくそれを受け入れる様子が、この本の微笑ましくも面白い読みどころではありますが…。

それから、いきなり最後に明らかになる真実は取って付けたようで、それに関係している二人の登場人物の心の葛藤とかはいったいどうなっているんだと突っ込みたいくらいあっけない流れです。

同じ作者の作品『シスターフッド』


閉ざされた記憶 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)閉ざされた記憶 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
(2004/01)
ファン・マイケルズFern Michaels

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テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

「シスターフッド」ファーン・マイケルズ 二見文庫

2007-02-13

☆☆☆

法に見捨てられた女たちの秘密結社〈シスターフッド〉。最愛の娘を轢き殺された過去を持つ、富豪の“ゴッドマザー”マイラ、彼女の執事兼恋人で元イギリス諜報部員のチャールズ、明晰な頭脳で組織を支える美貌の弁護士ニキ。さらに復讐の名のもとに招集された個性豊かな五人のメンバーが、裏切り、詐欺、交通事故……失われた正義を取り戻すため、華麗なる鉄槌を下す!話題の全米ベストセラーノベル 内容紹介より



スペシャリストのメンバーたちが被害者の依頼を受けて復讐の代行をするのかと思っていたら、被害者たちが助け合って“鉄槌を下す”お話でした。一話(一冊)で一人づつ復讐を果たしていくシリーズになるみたいです(たぶん)。

ストーリー自体は内容紹介から想像できる範囲内に終始して、ひねりもなく凝ってもいない、ありがちで単純。なんといっても過去の悲劇、大金持ち、元凄腕スパイですから。なんだかアメリカン・コミックっぽいイメージを持ちました(カバーイラスト参照)し、そういう読み方を楽しむべきなのでしょうね。しかし、この荒唐無稽さが彼女たちの被った悲惨さを中和しているのかもしれません。弁護士ニキの恋人の地方検事ジャックは、上昇志向の強いステレオタイプの男かと思ったら、コンプレックスと弱さを持った点も描かれていて、作風にしては意外で印象に残りました。さすがベストセラー作家。

シスターフッド シスターフッド
ファーン マイケルズ (2004/10)
二見書房

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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