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『ミッドナイト・ボイス』ジョン・ソール ヴィレッジブックス

2019-12-09

Tag : ホラー

☆☆☆

突然、通り魔に夫を殺されてから、キャロラインは必死で12歳の娘ローリーと11歳の息子ライアンを育ててきた。でももう限界—ところが、偶然出会った知的でハンサムでお金持ちの紳士トニーと恋に落ち、結婚することに。一家はトニーの住む高級アパートメントに移ったが、そこロックウェル館は“セントラルパーク・ウェストの大妖館”として知られる不気味な建物だった!毎晩、悪夢にうなされるライアン。みるみるやつれていくローリー。この建物にはいったいなにが巣くっているのか?親切だがどこか風変わりな住人たちの正体は?—名手ジョン・ソールが描く、恐怖と驚愕のホラー・サスペンス。 内容紹介より



ややネタバレ気味です。ご注意下さい!

本書の舞台はNYのセントラル・パークの西側にそびえ建つ古い高級アパートメントです。その古色蒼然とした外観から大妖館と呼ばれ、子供たちの間には魔女や吸血鬼が住んでいるという噂話が広まっている館です。そこに住むのは、養子に迎えられた女の子以外ほとんどが高齢の住人たちです。そして、そのアパートの住人の一人と再婚し、娘ローリーと息子ライアンとともに移り住んできたキャロライン。住人たちは子供たちが加わったことを喜び、彼女たちは皆から親切にされるにもかかわらず、ライアンは彼らを嫌い、ローリーは悪夢に悩まされるようになります。いわゆる幽霊屋敷ものの一つで、そこに変形した吸血鬼ものを組み合わせた物語になっています。やや珍しいのは魔物たちが人間からエネルギーを吸い取る手口くらいで、長いわりに高低の変化に乏しい感じがしました。キャロラインよりは子供たち、特にライアンの視点を中心に進行した方がサスペンスとしては盛り上がったような気もします。クライマックスは彼がメインを務めているわけですから。館が崩れ落ちたり、焼け落ちたりする定番のエンディングを採用せず、エピローグでかたを付ける形はスケールが小さくてちょっと不自然な感じがしました。

『闇の教室』扶桑社ミステリー
『マンハッタン狩猟クラブ』文春文庫




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『戦慄のシャドウファイア』ディーン・R・クーンツ 扶桑社ミステリー

2019-09-16

Tag : ホラー

☆☆☆☆

エリック・リーベン=天才的な遺伝子工学者。彼はその才能を武器にベンチャービジネスを成功させ、莫大な財を築いていたが、別居中の妻レイチェルと口論した直後、自動車にはねられ即死した。しかし、奇怪なことに彼の死体が、死体公示所から忽然と消えた!恋人ベンとともに極秘の調査を開始したレイチェルの前に、謎の追手がたちふさがる。一方、エリックが手がけていたプロジェクト〈ワイルドカード〉の機密漏洩を恐れる情報局のシャープも二人の追跡を開始した。鬼才クーンツが放つ、超大型サスペンス! 上巻内容紹介より



前回読んだ『殺人プログラミング』同様にSFホラーです。優れた科学者に幼少期のトラウマという陰影を付けて、単なる悪の権化にはしておらず、また女性を敵視している設定も同じです。育った家庭環境とトラウマから極端に死に恐怖心を持っている遺伝子工学者が、遺伝子改変によって寿命を延ばすどころか不死の身体を手に入れる研究を行っていましたが、妻との離婚調停の直後、彼は交通事故死してしまいます。しかし、死体解剖を行うために安置されていた彼の遺体が消えてなくなる事態が起きます。実は自らの身体に遺伝子工学的処置を行っていた彼は、元妻に復讐するため死からよみがえり……という展開です。話は復讐譚と追跡行なのですけれど、特に迫力があるのは遺伝子が勝手に暴走し始めて、身体が逆行進化、またはこれまでの生物の進化の流れとはまったく異質な変化を描いているところだと思います。昆虫や甲殻類、爬虫類それに未知なるものに変身した化け物、身体的変化のみならず、シャドウファイアの幻影をはじめとして、人と獣の間を交互に揺れ動くなかでの、苦悩や歓喜など意識の移り変わりの様も丹念に描写しているあたりはとても感心しました。

ディーン・クーンツ




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『タイタス・クロウの事件簿』ブライアン・ラムレイ 創元推理文庫

2019-09-10

Tag : ホラー 短編集

☆☆☆

『ネクロノミコン』『妖蛆の秘密』『水神クタアト』……太古の邪神たちの秘儀を記した魔道書の数々を解読し、その悪しき智慧を正義のために使う男、タイタス・クロウ。魔教の使徒やら不死の魔術師、あるいは数秘術を操るテロリストと戦う彼の全中短篇を一冊に収録。二十世紀最大の怪奇小説家H・P・ラヴクラフトの衣鉢を継ぐ英国ホラー界の重鎮がおくる、連作オカルト探偵小説。 内容紹介より



「誕生」
サハラ砂漠に建つ寺院から〈霊液〉を盗み出した盗人は、教団が放った追跡者〈不死なる死の僧〉に追われてロンドンへ舞い戻る。彼は子供時代の隠れ家だったある建物に逃れ、石室に据えられた石鉢に、汚れなき者を覚醒させるという〈霊液〉をこぼし入れる。タイタス・クロウ誕生のいわれ。

「妖蛆の王」
終戦とともに陸軍省の暗号解読の職を失った主人公は、ある宗教組織の総師が募集した、オカルト文献を整理する仕事に採用される。彼は総師の屋敷に寝泊まりしながら仕事を始めるが、その夜から奇妙な夢を見るとともに、邸内のあちこちで薄桃色の太った蛆虫を見かけるようになる。彼が調べるうちに、古代中東に起源を持つ妖術を用いる妖蛆魔道士の言い伝えにたどり着き自分が狙われていることを知る。

「黒の召喚者」
退屈しのぎに悪魔教団に入団した人物から助けを求められた主人公は、教団を率いる男に自らの命を狙うよう仕向ける。男が唱える呪文によって召喚される〈暗黒のもの〉とは、そしてそれを防ぐ方法は。

「海賊の石」
〈血まみれ斧〉という悪名を持った海賊。彼が戦死した後、母親の魔女が残した墓碑を掘り起こして持ち帰ろうとする友人を止める主人公。彼が列車の窓から見た海賊船とその舳先に立つ骸骨の姿。

「ニトクリスの鏡」
ある古い詩に言及されている女王ニトクリスの鏡。女王が政敵に用いたという魔力を持つとの伝説があるその鏡を競売で落札したクロウの友人の話。

「魔物の証明」
自著の内容にクレームをつけられた主人公は、その人物を屋敷に招待することに。その相手は荒唐無稽な魔物がさも実在したかのように書いていることに不満を持っているらしく 固く口止めして相手に見せた髑髏の由来とは。

「縛り首の木」
主人公が所有している稀覯本を閲覧させてもらうため、深夜の邸を訪れた作家。神秘奇怪な出来事の実話集を著す作家にもかかわらず、彼は幽霊なども一切信じていないと語る。家の梁がきしむような音とともに、主人公が聞かせた縛り首の木の話。

「呪医の人形」
南アフリカの病院で呪医に呪いをかけられた英国人医師 ブードゥー教のような民間信仰の話を捻った作品。

「ド・マリニーの掛け時計」
主人公が所有する奇妙な動きをする四っつの針がある大時計と彼の屋敷に押し入った二人組の強盗の話。金目の物がしまわれていると思った強盗は、棺の形をした時計を開けようとするが。

「名数秘法」
核兵器を使って世界を破滅させようと計画する悪魔の使いと主人公の対決を描いた話。

「続・黒の召喚者」
「黒の召喚者」の後日談。

ユーザータグ:ホラー




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『殺人プログラミング』ディーン・クーンツ 光文社文庫

2019-09-07

Tag : ホラー

☆☆☆☆

—視覚プログラムと薬剤を使って人間の心を自在に操る……ペンタゴンの研究員ソールズベリの恐怖の研究。彼はこの人体実験の場に、人口400の田舎町ブラック・リヴァーを選んだ。だが、そこに休暇を楽しもうと、都会から親子が……。—“本書を読み終えられるころには、読者の多くが落着きを失い、不安に怯え、恐怖すら感じるかもしれない……著者”ベストセラー作家が人間の欲望と意識下の世界に挑んだ戦慄のハード・サスペンス! 内容紹介より



ペンタゴンのある研究者が大富豪と共謀して、自らの研究を私利私欲のために転用しようとメイン州の孤立した田舎町で人体実験を行います。薬剤が撒かれた貯水池からの水を飲み、あらゆるメディアを使ってサブリミナルに刺激を受けた住民たちは研究者の言いなりになってしまう状態に陥ります。その町へ休暇にやってきた親子三人が事件に巻き込まれ、実験の影響を受けなかった住人とともに陰謀に立ち向かうという話です。現在では都市伝説化したみたいな“サブリミナル効果”を題材に取った1976年発表の作品です。設定は荒唐無稽ながら物語は大変面白く、細かな点も充分に目がいき届いた娯楽作品になっていると思います。わたしがこれまで読んできたクーンツの作品に感じるプロットや人物にある薄さあるいは底の浅さみたいなものが、本書では結構軽減されているような印象を受けました。この作品でも前回の『ウィスパーズ』同様に子供時代の虐待経験を負う人物が登場するのですけれど、その凄惨な経験が犯行のひとつの動機とする一方、盤石と思われた計画にほころびをもたらす原因にも持っていきているところに巧さを感じました。難点があるとするなら、ある人物の死は衝撃的ではあるもののかなり余計だったような気もします。




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X』J・W・キャンベルJr. H・P・ラヴクラフト ラムジー・キャンベル 扶桑社ミステリー

2019-09-04

☆☆☆

人類の神のイメージとなった〈旧支配者〉が太古の地球を征服し、それに準ずる神々も存在した。いまは地下や海底や異次元で眠っていいるかれらは復活のときを狙っている……。極地で見つかった謎の生物との壮絶な戦いを描いて三度も映画化された名作「遊星からの物体X」。映画『エイリアン』『プロメテウス』の原型にあたる「クトゥルフの呼び声」。さらに「恐怖の橋」「呪われた石碑」「魔女の帰還」などラムジー・キャンベルの未訳中短篇五本を収録した、待望のクトゥルフ神話アンソロジー! 内容紹介より



「遊星からの物体X」J・W・キャンベルJr.
ホラーSF傑作選ー影が行く』(創元SF文庫)に「影が行く」として収録されている作品の新訳版です。エイリアンが登場するサバイバルSFホラーの先駆けといえる傑作ですが、まったく経年劣化していません。いわゆる従来の呪われた屋敷で起きる怪奇現象型ホラーとは対極にあるサイエンス・ホラーであり、科学者たちが南極基地において知性を用いて異星人に挑むという斬新さがその原因だと思います。

「ヴェールを破るもの」ラムジー・キャンベル
禁忌を侵す者の行方。人が見ているものは、実際には姿形がゆがめられて見えているのではないかと考えている男が、偶然知り合った黒魔術の研究家に招かれ、物の形をゆがめているヴェールを破る実験に参加します。彼ら二人がヴェールの下に見た物とは……。ちょっと迫力不足な感じがしました。

「魔女の帰還」ラムジー・キャンベル
近隣の住人から魔女だと噂されていた老女が亡くなり、遺された屋敷を買いとって住むことにした作家は、開かずの部屋を開けてしまう。その夜、彼は墓地に埋められた柩を掘り起こし屋敷に持ち帰るという奇妙な夢をみます。タブーを侵して、死んだ魔女に操られる男の話。やたら親切な医者が都合良く現れるのもちょっと無気味かも。

「呪われた石碑」ラムジー・キャンベル
自死した父親が遺したファイルに入っていた、ある小島に祭られている古代の石碑についての資料を見つけた息子は死の理由がその石碑にあることを知る。それは過去から現在までの島にまつわる奇妙な事件や出来事についての資料だった。それを確認するために彼はひとりボートに乗り、島に上陸する。それ以後、彼の周りに宙に浮かぶ胴体の無い顔が現れ、しかもその数が増えていく。

「スタンリー・ブルックの遺志」ラムジー・キャンベル
余命幾ばくもない男が遺産を弟姉妹に遺すという遺言状の内容を書き換え、遺産のすべてをある受取人に遺すという。遺族がまったく会ったこともないその受取人は故人に瓜二つの男だった。血管が透けて見えるほど青白い肌をした男の正体は。

「恐怖の橋」ラムジー・キャンベル
魔性のものが棲む地下都市への封印を解いたために、町を襲った恐怖の災い。

「クトゥルフの呼び声」H・P・ラヴクラフト
怪物をかたどった小像が示す人類以前の遥か昔に地球を支配していた邪悪なもの。彼らは深海で復活の時を待っている。人が夢の中、あるいは実際に垣間見た太古の怪物たちの話。「クトゥルフ神話」の世界観、その基本がとても判りやすく現わされていると思います。

ユーザータグ:ホラー アンソロジー





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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『サマー・オブ・ナイト』ダン・シモンズ 扶桑社ミステリー

2019-09-01

Tag : ホラー

☆☆☆☆☆

小さな町に威容を誇ってきた学校オールド・セントラルが、長い歴史を閉じ取り壊されることになった。終業式の日、教室を抜け出したタビーはトイレの壁に穴を見つけ入り込む。奥にはぼんやりした光。誘われるように彼は光の方に近づいていった……微かな悲鳴に生徒たちは不審を抱くが、教師らは取り合おうとしなかった。その日以来消息をたったタビーを自分たちで見つけ出そうと遊び仲間は相談する。それは夏休みの格好の冒険となるはずであった。しかし、その時を境に異様で恐るべき現象が少年たちを襲い始めた! 上巻内容紹介より



時代は1960年の夏、舞台はイリノイ州、郊外にトウモロコシ畑が広がる田舎町です。取り壊される予定の古い歴史を誇る校舎で、最後の終業式が行われている中、一人の生徒が忽然と姿を消してしまいます。校長や教師の言い分に不審を抱いた少年たちが秘密を探ろうと目論み、老教師の跡をつけた少年の一人が夜の教室で異様な場面を目撃してしまいます。それ以来、少年たちは周囲に怪異な現象が起き始めていることに気づくとともに、別の少年がトラックに命を狙われる事件が発生します。物語は、少年たちの日常の暮らしと夏休みのちょっとした冒険や草野球などの遊びに興じる姿が活き活きと描かれるとともに、彼らが遭遇する災厄の予兆のような現象が差し挟まれて進んでいく上巻から、邪悪の正体が徐々に明らかになり、それに命がけで対決する少年たちの姿を描く下巻へと移っていきます。キングの『スタンド・バイ・ミー』やマキャモンの『少年時代』と同じ雰囲気を持つ、非常にアメリカ的な少年小説であり、ベトナム戦争前のアメリカの片田舎を描き出しています。登場人物の中では、コーディとデュエインの二人が印象に残りました。

『ダーウィンの剃刀』ハヤカワ文庫NV

ユーザータグ:ホラー




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『ウィスパーズ』ディーン・R・クーンツ ハヤカワ文庫NV

2019-08-29

Tag : ホラー

☆☆☆☆

大邸宅に住むハリウッドの若き女性脚本家ヒラリー・トーマスを、突然の侵入者が襲った。一度会っただけの、柔和で紳士的な印象さえあった中年男が、耳を疑うようなおぞましい欲情を口にし、彼女を強姦して殺そうと迫ってきたのだ。とっさの機転で一度は暴漢を撃退したヒラリーだったが、男は何かに憑かれたような異常な執念で再び侵入し、彼女に襲いかかってきた。窮地に立ったヒラリーは、ついにその手にナイフを握った! 上巻内容紹介より



ハヤカワ文庫NVから出ているモダンホラー・セレクションのなかの一冊です。美女が執拗に男から襲われる、というシンプルなプロットで、両者に子供時代の虐待を背景として設定しています。男は単なる悪に駆られて凶行に及ぶという状況ではなく、虐待のトラウマから彼なりの動機を持っており、被害者である女性も同じトラウマを抱えているため、彼に憐れみを抱く場面もあります。かと言って過度に男への同情的な流れには持っていかず、残虐な場面で相殺しています。ただ、こういう点は作者の実体験によるとことがあるのでしょうか。物語は、死者のよみがえり、意味をなさない囁き声や身体を這う不気味な生き物たちの悪夢などの超常的な味付けもされて進みます。そんな不可思議なことがラストにおいて収斂され、合理的な解釈がなされるところは巧いのですけれど、わずかに奇妙な要素も残しても良かったような気もしました。あえて言えば、美男美女のロマンスがありきたりで、クライマックスはヒロインに花を持たせるべきだったようなところはやや残念な感じもしました。

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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『呪われた少女』ディーン・R・クーンツ 扶桑社ミステリー

2017-10-15

Tag : ホラー

☆☆☆

精神科医キャロル・トレーシーが車でひとりの美しい少女をはねたのは、期待していた養子縁組が延期された直後のことだった。ショックで記憶喪失となった少女はキャロルに引きとられて、記憶を呼び戻すための催眠療法を受けることになった。ある日突然、少女はだれかの名前を呼んだ。同時に激しい苦痛に襲われながら、さらに別の二人の名前を呼び続けた。炎にまかれ、首を切断され、脇腹に斧を打ちこまれる。たて続けに起こる無惨な出来事。少女はいったい何者なのか?さらに家をゆるがすポルターガイスト。少女の周辺で起こるすべての出来事は、不吉で邪悪なものの存在を予感させた。全篇を恐怖の衝撃が走る! 内容紹介より



以下、ネタバレしています。ご注意下さい!

リインカネーションをテーマにしている物語です。ただし、その要素に憎悪も加味するやや珍しいアプローチをとっています。思春期の娘の母親への複雑な感情が、ある出来事によって憎しみへと変化し、娘が死んで生まれ変わった後も生前の憎悪を持ち続けてしまい、その感情を“悪”なるものがあおり立てて利用しようとするという話です。雷を落としたり、ポルターガイストを起こしたり、飼い猫をあやつったり、悪夢で悩ませたりというオーソドックスながら舞台効果はサスペンスを盛り上げてはいるのですけれど、裏で糸を引く肝心の“悪”を登場させないのは迫力に欠ける印象でした。
それからヒロイン夫婦と彼女の養母が見る悪夢が、当然といえば当然なのですが皆一緒で同じ話が繰り返されるところに芸が無い感じがしました。クライマックスも迫力や感動が乏しくてもうちょっと書き込んであれば良かったように思いました。全体的に、本来のクーンツが持つ良さがマイナスに働いてしまっている作品のような気がします。

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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『WORLD WAR Z』マックス・ブルックス 文春文庫

2017-10-01

Tag : ホラー

☆☆☆☆

中国で発生した謎の疫病—それが発端だった。急死したのちに凶暴化して甦る患者たち。中央アジア、ブラジル、南ア……疫病は急速に拡がり、ついにアウトブレイクする。アメリカ、ロシア、日本……世界を覆いつくす死者の軍勢に、人類はいかに立ち向かうのか、未曾有のスケールのパニック・スペクタクル。大作映画化。 上巻内容紹介より



本書は、原因不明の謎の疫病によるゾンビ化現象が発生した、各国のさまざまな地位や立場にいた人々への事後のインタビューという形式をとっています。わたしの知る限り、これまでのゾンビ作品は、限られた場所でのアウトブレイク、または世界的なパンデミックであっても特定のサークルを切り取って舞台にしたものが多数だと思いますが、ここでは全世界の場所を取り上げています。この二つが作品の大きな特徴なのではないでしょうか。そして、ゾンビという触媒を用いて、各国の政治体制、社会構造、軍事組織、経済構造、文化、科学、などが抱える矛盾なり問題点を浮かび上がらせるとともに、皮肉な苦い味付けをした作品であるように感じました。それは、これまでに使い古された“戦争”というキーワードに“ゾンビ”を付け加えたものともいえます。世界的な災厄をもたらしたという意味では、ヨーロッパにおけるナチスであるし、アジアにおける日本軍でも、あるいはISISに当てはまるかもしれませんが、彼らとは違い人肉を喰らい感染性をもつ、極めて異質で誇張された外敵に代えながらも、基本的なアプローチは従来どおりであり、ゾンビの生態は旧態依然のままなんら変更が加えられていないため、『ウェットワーク』みたいな新境地を開いているとは言い難いです。




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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『ねじの回転』ヘンリー・ジェイムズ 創元推理文庫

2017-03-01

Tag : 短編集 ホラー

☆☆☆☆

「この百年間に世に出た怪奇小説で傑作といえるのは、わたしにはシャーリー・ジャクソンの『たたり』と、この『ねじの回転』の二作だけという気がする」スティーヴン・キング(『死の舞踏』より) 幼い姉弟の家庭教師が体験した恐怖を独自の手法で描き、ゴースト・ストーリーの古典として称賛される一方で、その難解さばかりが喧伝されてきたこの名作が、泰西怪談に精通する役者により、真の姿をここに現す。あなたは、この物語の本当の恐ろしさを、ここにはじめて知ることになるだろう。他に、数多い短篇の中から厳選された、怪奇譚四篇を併録。ホラー作家としてのヘンリー・ジェイムズに焦点を当てた、本邦初の傑作集である。 内容紹介より



収録作品、「ねじの回転」「古衣装の物語」「幽霊貸家」「オーウェン・ウィングレイヴ」「本当に正しい事」。

内容紹介文には「姉弟」とありますが、本文では10歳の男の子、8歳の女の子の兄妹関係です。
本書が難解だという話は知っていてこれまで食指が動かなかったのですけれど、実際に読んでみたら難解というか解釈の仕方がいろいろとあるように感じました。それはとにかくそもそもの原因となった出来事の記述の曖昧さによるのでしょう。家庭教師の手記という形式であるために視点が固定されて、読者は彼女の述べることを信じる、または懐疑的な見方をする、という立場に置かれるために、彼女が見る二人の幽霊の存在と生前に彼らが幼い兄妹に行ったという邪悪な行為(ある程度予測はつくものの)の不確かさが土台になっているせいで、語り部が描く物語の信憑性が揺らぐのです。また、訳者後書きで英米人の階級意識に言及しているように、英国社会の存在する階級制度が物語の大きな背景となっています。家庭教師の雇い主である兄妹の伯父は眉目秀麗で性格も温厚の上流階級に属する男性ですが、その階級につきものの、養育を乳母や家庭教師任せにして、それらにまつわるトラブルが持ち込まれるのを嫌う無責任ともとれる傾向が顕著です。そして、家庭教師は父親は社会的には地位のある牧師の身分ですが経済的に困窮し、その末娘である彼女は家を出て自ら職を見つけなければなりません。幽霊の片割れの女も前任の家庭教師でした。階級の下である女中頭は、新任の家庭教師に全面的に協力しますが、兄妹を盲目的に可愛がり、彼らの問題には見て見ぬ振りをする態度を取ります。そして男の子に悪影響を及ぼしていた下男は当然階級的には一番下の身分に当たります。家庭教師は雇い主に恋心を抱き、女中頭は上に者に対して無批判。このような各階級間の差異をシンボル化しているようにも感じました。これは米国生まれ育ちの作者による英国階級社会へのアイロニーを含んでいるのかもしれません。

ほかに他の作品とは異なる捻りが加えられた幽霊貸家」は、毛色が変わった話で面白かったです。

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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『ビースト』ピーター・ベンチリー 角川ホラー文庫

2017-02-06

Tag : ホラー

☆☆☆☆

それは、長いあいだ、誰にも知られることなく生存していた。深く喰らい海の中で、獲物を求めてただ漂っていた。それは、眠りというものを知らなかった。そして、自分がどれほどの力を持っているのか知らなかった。唯一の天敵をのぞいて、全ての生き物は獲物だった。それは、ひどい空腹を感じていた。自然環境の変化で、獲物が激減していたのだ。それは、深海からゆっくりと浮上した……。戦慄の長編、待望の文庫化。 内容紹介より



内容紹介文だけを読むと、シオドア・スタージョンの短篇「それ」が頭に浮かんできたのですけれど、中身は海洋パニックスリラー系の話でした。舞台となるのはバミューダ諸島、長期間に渡って外洋をヨットで旅する夫婦、ダイビングを趣味にしている、金持ちの親を持つ双子の兄妹、彼らに雇われた漁師、動物カメラマンと彼女が乗船した潜水艇のスタッフ、などの“それ”の獲物となる被害者が大勢登場して、それぞれにまつわるエピソードを添えて話を進めていくという、パニックスリラー物の常套の手法をとっています。そして、地元の賢人といえるような老漁師が当地に駐留している海軍中尉とともに“それ”と立ち向かう(立ち向かわなければならなくなる)、という展開です。そこに一つの主要なテーマとして、“それ”が深海から人間たちの前に現われざるを得なくなったそもそもの原因に、漁業による水産資源の枯渇や、それに伴う海洋生態系の破壊をあげています。日本の漁船による底引き網漁にも言及してあって、日本人としては耳の痛い話ですが……。主人公である漁師の造形はしっかりしていて存在感がありますが、環境破壊や汚染についてたびたび触れる以外には、全体的にはオーソドックスなパニックスリラーそのもので、それ以上でもそれ以下でもなく、特別に目新しい点が感じられなかったのは残念でした。

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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『みんな行ってしまう』マイケル・マーシャル・スミス 創元SF文庫

2017-02-03

Tag : 短編集 ホラー SF

☆☆☆

『スペアーズ』『ワン・オヴ・アス』で知られる鬼才作家M・M・スミスが贈る、哀感と郷愁に満ちたSFホラー傑作集。小品ながら忘れがたい味わいを残す表題作を巻頭に、奇跡の医療用ナノテクがもたらした人類の意外な終末「地獄はみずから大きくなった」、田舎町に暮らす不思議な絵描きを巻き込んだ事件を描く英国幻想文学大賞受賞作「猫を描いた男」、近未来の巨大ハイテク・テーマパーク兼養老院での奇怪な冒険劇「ワンダー・ワールドの驚異」まで12編を厳選して収録。 内容紹介より



「みんな行ってしまう」「地獄はみずから大きくなった」「あとで」「猫を描いた男」「バックアップ・ファイル」「死よりも苦く」「ダイエット地獄」「家主」「見知らぬ旧知」「闇の国」「いつも」「ワンダー・ワールドの驚異」

子供が成長して大人になっていく過程で少しずつ失っていったもの、消えていったもの、無くしたものを少年の形にして表した、ブラッドベリ風な感傷性をもった物悲しい作品「みんな行ってしまう」。ナノテクに医療科学を組み合わせた最先端医療用ソフトとハードウェアを開発しようとした三人組。その中のひとりが研究中に亡くなったため、研究目的はまったく違った方向へ向かってしまう。医学と心霊の取り合わせが、この作品においては木に竹を接いだみたいな心地悪さを感じさせる「地獄はみずから大きくなった」。交通事故で突然に愛妻を失った夫のとった行動は……。愛さえあれば奇跡が起き、愛ゆえに何ごとも成し遂げられる、ということでしょうか。これまでのホラー作品を一歩進めたような物語「あとで」。夫による家庭内暴力から妻や子供が逃れてくる場面が、三回繰り返されるところがワンパターン気味に感じられました。全体的に振り切れていない、詰めが甘い印象が残った「猫を描いた男」。幸せの頂点と感じられる瞬間をバックアップして、なにか不都合が生じたときにバックアップした時点へ戻ることができるサービスを受けていた男。妻子を事故で亡くした時、彼は過去に戻ろうとするが……、「あとで」の流れを汲んでいる話ですけれど、かなり苦い結末が待っている「バックアップ・ファイル」。「死よりも苦く」「家主」「見知らぬ旧知」「闇の国」、これらは心の影の部分をテーマにした作品ですが、それゆえに少々インパクトがなく、全体的に平板な感じがしました。「闇の国」は、実際に見た、ただ厭な夢を物語に仕立てただけのような。これまでのサイズのジーンズが履けなくなった男が、ダイエットも運動もくそくらえと思って、タイムマシンを作り昔の体形を取り戻そうとする、おバカSFの「ダイエット地獄」。母親を亡くした娘に父親がクリスマスプレゼントとにラッピングした贈り物。センチメンタルな「いつも」。テーマパーク内に設けられた老人向けの住居で犯行を重ねる殺し屋。依頼を受けた彼は、ターゲットの老女が暮らす屋敷に入り込むのだが。テーマパークが帯びる狂気、奇妙さを描いた「ワンダー・ワールドの驚異」。

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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『ブルー・ワールド』ロバート・R・マキャモン 文春文庫

2017-01-31

Tag : 短編集 ホラー

☆☆☆☆

妻と寝たはずなのに目覚めると隣りに骸骨が横たわっているのを発見した男。往年の怪奇俳優の化粧箱に隠されていた秘密。新興別荘地のハロウィーンの命がけの仮装ごっこ。内も外も真っ赤な家に住む不思議な一家。ポルノ・スターに魅入られた若き神父。乗る人を待つばかりのスポーツカーのように軽快なストーリーテリングが絶妙。 内容紹介より



「スズメバチの夏」「メーキャプ」「死の都」「ミミズ小隊」「針」「キイスケのカゴ」「アイ・スクリーム・マン」「そいつがドアをノックする」「チコ」「夜はグリーン・ファルコンを呼ぶ」「赤い家」「なにかが通りすぎていった」「ブルー・ワールド」。

スズメバチとの意思の疎通ができる能力を持った少年が、田舎の町を支配する「スズメバチの夏」。化粧箱の中の品を使ってメーキャプすると異様な力が身に付く「メーキャプ」。妻を含めた町の住人たちや生物が一夜にして肉を剥ぎ取られた姿に変わり果てた「死の都」。『ナイト・ソウルズ』(新潮文庫)に「夜襲部隊」として収録されている「ミミズ小隊」。よくわからない「針」。キイスケというカナリアを飼っている、刑務所内で魔術師と呼ばれる受刑者の老人。外の世界を自由に飛び回るカナリアの見聞きした様子を老人が受刑者たちに語って聴かせる「キイスケのカゴ」。核戦争後、ある一家の父親が夢想する幸せな家庭団らんを描いた、切ない「アイ・スクリーム・マン」。『戦慄のハロウィーン』(徳間文庫)に「ドアにノックの音が……」というタイトルで収録されている作品「そいつがドアをノックする」。障碍をもった男の子が実はものすごい超能力を持ちあわせていたという「チコ」。かつてテレビ・シリーズのスーパーヒーロー役だった老人が、ヒーロー時代のマスクとスーツを身にまとい、女友だちを殺害した連続殺人犯を追いかける「夜はグリーン・ファルコンを呼ぶ」、大量の新聞や雑誌を蒐集し、人々の行動を秒単位で記載する“見張り男”などの登場人物たちも充実して、この一編だけではもったいない。灰色の家に住み、同じ部品工場で働く町の人々。その家々のひとつに暮らす青年に、突然、赤く塗られた一軒の家の家族が教えた人生のありかたとは……「赤い家」。原因不明のカタストロフが頻発する世界。コンクリートは水銀のように液状化し、水が爆発する一方でガソリンが飲料できるようになり、霧雨は血と生肉やはらわたを降らせ、人体が突然爆発して燃えあがり、重力カタパルトが畑や家屋を押しつぶす。ある一家の子供部屋は一夜にして真空状態になり、子供を失った母親は精神に変調をきたし、そして、変化はその夫婦の身体にも現われ始める。想像を超えた圧倒的で理不尽な力、環境の激変下での一組の夫婦の愛情,母性愛を痛切に描いた終末世界をテーマにした傑作「なにかが通りすぎていった」。いわゆるboy meets girlものですが、変わっているのはふたりが神父とセクシー女優なこと。教会側からしたら、堕落して汚れた街の一画は足を踏み入れるなどもってのほかであり、布教など考えられない場所。彼女に寄り添ううちに考えが変わっていった神父が最後に決めた行動とは……。結末もありきたりでない、サイコキラーを絡めた中篇「ブルー・ワールド」。

『戦慄のハロウィーン』アラン・ライアン編 徳間文庫
『ナイト・ソウルズ』キング、マキャモン他 新潮文庫

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『北極星号の船長 ドイル傑作集2』コナン・ドイル 創元推理文庫

2017-01-28

Tag : ホラー 短編集

☆☆☆☆

氷に閉ざされた極地の洋上を舞台にした怪異譚「北極星号の船長」を表題に、高空飛行の限界に挑むパイロットが目撃した怪物たちの世界「大空の恐怖」や、アンティークが呼びさます古の出来事「革の漏斗」「銀の斧」、ファム・ファタルに翻弄されてゆく男の曲折をつぶさに描く「ジョン・バリントン・カウルズ」「寄生体」など十二編を収録。シャーロック・ホームズを生んだコナン・ドイルの、怪奇小説作家としての横顔に焦点を定める。理趣と夢想・幻想のあわいを軽やかに往還する、ドイル・コレクション第二集。 内容紹介より



「大空の恐怖」「北極星号の船長」「樽工場の怪」「青の洞窟の恐怖」「革の漏斗」「銀の斧」「ヴェールの向こう」「深き淵より」「いかにしてそれは起こったか」「火あそび」「ジョン・バリントン・カウルズ」「寄生体」

「大空の恐怖」「青の洞窟の恐怖」「深き淵より」「いかにしてそれは起こったか」「火あそび」、これらの作品には挿絵が付いています。虎が棲むジャングルのような、大気圏上層にも人間を襲う怪物が存在するジャングルがあると信じるパイロットが自説を証明しようとする「大空の恐怖」、怪物の挿絵がまったく怖くありません。婚約者と死別した捕鯨船の船長の身に起きた不可思議な出来事の顛末を描いたロマンスホラー「北極星号の船長」、アフリカの大河の河口に建つ樽工場、大雨による氾濫が起きて以降、工場の従業員が夜間に姿をくらますという事件が起きる。いかにもアフリカを舞台にして成り立つ物語「樽工場の怪」。石灰岩の丘陵にある、青蛍石を採掘するため古代ローマ人が掘った鉱坑にまつわる化け物の噂話。その地方に転地して養生している男が、鉱坑を探検しようとして体験した恐怖談「青の洞窟の恐怖」。昔、名高い毒婦の拷問に使用された革の漏斗がもたらす悪夢を描いた「革の漏斗」。中世時代に作られた、妖刀のような魔力を帯びた斧が起こす連続殺人事件「銀の斧」。イングランドに残るローマ人の砦の跡を見学した夫婦によみがえる生まれ変わりの記憶を描いた不思議な話「ヴェールの向こう」。船上で亡くなり水葬にされた男が、まだ訃報を知らされていない新妻の前に現れる「深き淵より」。降霊会がらみの「火あそび」。催眠術を用いて男を意のままにしようとする悪女を描いた「ジョン・バリントン・カウルズ」と「寄生体」。 
オカルトチックな様相をまといながらも、怪談一辺倒にならずに科学的な観点から不可解な事象や怪異な事件を分析しようとする話も多く、それが作品を二重に楽しめる要因になっている気がしました。

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『悪魔は夜はばたく』ディーン・R・クーンツ 創元推理文庫

2017-01-25

Tag : ホラー

☆☆☆

「メアリー・バーゲンか……」男は虫の息でうめき、口から噴き出す血がパトカーの窓ガラスを染める。透視能力者メアリーに追いつめられた殺人犯が、いま警察の手で射殺された。だが、男はなぜ彼女の名を呼んだのか?それは新たな大量殺人の前兆にすぎなかった!その夜からメアリーはさらに凄惨な殺人現場の幻視に見舞われるばかりか、ポルターガイストにまで襲われる。しかし、そのときはまだ知るよしもなかった……この事件が彼女自身の忌まわしい過去さえもよみがえらせることになろうとは!霊能者と連続殺人鬼の対決を描き、ベストセラー作家の原点となった傑作ホラー。これを読まなければクーンツは語れない! 内容紹介より



1977年に発表された本作品は、巻末の創元推理文庫編集部編 ディーン・クーンツ著作リストによると、フィクションでは37作目にあたるようで、三橋暁氏の解説によれば著者の出世作といえるそうです。霊能力者のヒロインを核にしてホラーとミステリを融合させた物語で、殺人事件を事前に察知できる能力を持ったヒロインが警察に協力して連続殺人犯を追います。しかし、その過程で彼女の透視能力を妨げようとするかのように、これまでにないほどひどい惨劇のイメージが浮かんだり、彼女を狙ったポルターガイスト現象が起きたりします。そのようなモダンホラーの部分はかなり上手く効果的に仕上がっていると思うのですけれど、ミステリ部分では、真犯人の正体が早々に見当が付くにもかかわらず読者の目をそらすような工夫はなく、わざとらしいこれ見よがしなミスリードだけが目につく印象が残りました。ただ、クーンツの創作人生を方向付けた指針、あるいは転換点となるような作品と言われれば、なるほどそうなのだという感じは受けました。

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ディーン・クーンツ




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