『パンプルムース氏とホテルの秘密』 マイケル・ボンド 創元推理文庫

2011-12-04

☆☆☆

『ル・ギード』調査員志望のイギリス娘、編集長宅の元料理人・魅惑のエルシー(!)の研修を担当し、彼女を落第させるのが今回のパ氏の任務。編集長夫人には絶対秘密だ。彼女はなぜ、名もないさえないホテルを選んだのか?オーナー・シェフは行方不明だし、彼女の振舞いもおかしい。おまけにポムフリットは怪しい拾い物をし、事態はとんでもない方向に。ホテルになにが……? 内容紹介より



シリーズ八作目。
隠されたボールペンや写真への細工がパ氏の目論見とは反対にあっさりばれてしまう場面でひと笑いありましたが、中盤あたりまではこのシリーズに期待と警戒を持ちつつ、個人的に抱いているエキセントリックな要素をあまり感じませんでした。ところが、パ氏が調査員志望の女性を捜しながらいつのまにかヌーディストビーチに迷い込んでしまうあたりから、ポムフリットの活躍(!?)もあってストーリーが加速し始めました。ヌーディストビーチの場面や犬との追いかけっこや別人に成り済ます行為など作者のユーモアの発想は古典的あるいは保守的と言えるような定番の型を踏襲したものながらも、かなりセンスがあってついつい笑ってしまうくらいの効果をあげているのです。その点はシリーズの中でも本書はとくに秀逸だと思います。ミステリについてはあいかわらず添え物程度なので、これまでのように事件のクライマックスといえる部分はあっさりと触れられているだけです。




パンプルムース氏とホテルの秘密 (創元推理文庫)パンプルムース氏とホテルの秘密 (創元推理文庫)
(2007/05)
マイケル・ボンド

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「パンプルムース氏対ハッカー」マイケル・ボンド 創元推理文庫

2006-02-22

☆☆☆


『ル・ギード』編集長の偽死亡記事、コンピューターに記録されていた『ル・ギード』
最新版の記事改ざん事件、失踪した経理係のマダム・グラントなど、グルメ・ガイドブックの出版社に降り掛かる怪事件をしぶしぶ捜査するはめになった元パリ警視庁刑事パンプルムース氏。

導入部のテンションの低さはメグレ警視ものかと思いましたよ。
今回なんだか地味めですね。舞台もパ氏の本拠地であるパリ市内なので、このシリーズの特徴であるはじけ方が少ない気がします。

1990年に書かれているようなのでコンピューターや用語の説明はちと古い。
マダム・グラントの部屋に特別意味もなく泊まるパ氏の行動が笑えるけど、その後はルーティン・ワークぽくって刺激がなかった。
せっかくマダム・グラントが恋をしたのだからそこらあたりをもっとストーリーに
絡めれば良かったのにと思いました。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「パンプルムース氏と飛行船」マイケル・ボンド 創元推理文庫

2006-01-05

☆☆☆☆

グルメ・ガイドブック『ル・ギード』の覆面調査員パ氏と愛犬ポムフリットは、英仏間に就航する飛行船の両国首脳を乗せた記念飛行の機内食メニューを考案するよう編集長に命じられた。飛行場のあるブルターニュへ向かう途中、女性サーカス芸人と知り合うのだがその後、彼女は空中ブランコ中に事故に遭ってしまう。それからパ氏は国際的な大事件に巻き込まれるはめに。

パ氏シリーズ5作目。
本当は戌年に対抗して猫本を取り上げたかったのですが、手元に適当な本がないので、しかたなく犬本とも言えるこれ。それに新年早々、殺したとか殺されたとかという話をあれこれするのも人格的にどうかだし。

前作『パンプルムース家の犬』からの流れなのかこの作品もさらにまとまっているような。今回、ドタバタも控えめでお色気もそれほどは…、だからそれを楽しみにしている人には物足りないかもしれませんね。プロットも伏線もジグソーパズルのピースのように、最後には納まるところに納まり、このシリーズらしからぬきれいな終わり方をしています。作者のボンド氏も今回はユーモア・サスペンスとしてちょっと本気だしてますよ。

それでもって、なぜ作者はパ氏の愛犬でありグルメ犬をポムフリット(フライド・ポテトの意)と名付けたのか?それはいくらフランス料理に造詣が深いにしても、生まれながらに食していたフィッシュ・アンド・チップスを愛するイギリス人の血がそうさせたのだと想像するのでした。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「パンプルムース家の犬」マイケル・ボンド 創元推理文庫

2005-12-09

☆☆☆

来年の干支は犬なので、犬本だぁ~~。
パンプルムース氏はグルメ・ガイドブック「ル・ギード」の覆面調査員なのです。
三つ星ホテル・レストラン《レ・サンク・パルフェ》で休暇を過ごしていたら、
国家的危機に巻き込まれてしまいました。
デザート目当てにアラブの石油王がホテルに投宿するというのに、当のデザート・
シェフが失踪してしまったのです。石油王の機嫌を損ねるとフランスへの石油供給
が断たれてしまうことに。

パンプルムースとは、フランス語でグレープフルーツのことだそうですが、フランス、グレープフルーツといえば、そうです、フランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』が思い浮かびますね。主人公が朝食にグレープフルーツしか食べずに、義理の母親に注意されてしまう場面がありました。あくまでも私的な推察ですが、作者ボンドはこの場面から…
などと、仏文学に造詣が深いことをにおわせながら、サガンとボンドとの比較文学論を展開したいところですが、すべてが思いつきなのでこれで限界です。
次回、グルメ犬ポムフリット(フライドポテトの意)について考察したいと思います。

でもって、面白かったところ。
パ氏が『ミシュラン』の調査員と疑われるも、車のタイヤがピレッリなので違うと
判断される。
ポムフリットの○しっこが入ったシャトー・ディムケ45年もののワインボトルの行方。
とても盛り上がるはずの肝心の救出劇の場面がまったく省かれているところ。
パ氏が女性の胸と勘違いしたものの正体。

これまでの作品よりまとまっている感じです。ドタバタは押さえられていますよ。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「パンプルムース氏の秘密任務」マイケル・ボンド 創元推理文庫

2005-07-13

☆☆☆☆

「元刑事のグルメ・ガイドブック覆面調査員パンプルムース氏と元警察犬ポムフリット
の今回の任務は、編集長の叔母さんが経営するさえないゼロ星ホテル・レストランの
たてなおし作戦。靴底とまごう肉や、キツツキもビックリのこちこちパイを出すこの店
には、何やら怪しい秘密があるらしい。媚薬がらみの事件に巻き込まれ、ポムフリットまでも大興奮!」
(「キツツキもビックリ」が妙に笑える)

そのホテルで食事をした後に破廉恥な事件を起こした同僚と同じような不祥事を起こした
ポムフリット(ボルドーの赤が大好き)。かれは後にライオンに変身させられます。身分を隠して宿泊したパンプルムース氏は何者かに頭を殴られたり尾行されたり部屋に侵入されたりひどい目にあいます。

でも、ミステリとしてはもうひとつです。

目的地に行く途中にゾラやモネ、プルーストなどのゆかりの地を訪ねて彼らが好きだった食べ物について考えてみたりして、解説にもあるように観光ガイドブックにもなりそうです。
主人公が乗る車はシトロエン2CV!(渋)仕事用七つ道具のライカRカメラ!(欲しい)、ライツ社の双眼鏡!(これも欲しい)出てくる小道具もこだわってますね。

著者は『くまのパディントン』(読んだ事がない)を書いたイギリス人ですが作風がフランス風な感じ。美食と酒にこだわるところはもちろんですが、ちょっと艶っぽい話やマスコミが大挙してやって来るいきなりのドタバタの場面なんかは。しかし、抑制が効いてるので下品な感じはしませんよ。

上質なユーモアミステリだと思います。4488215033.09.LZZZZZZZ.jpg

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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