『死を誘う暗号』ルース・レンデル 角川文庫

2016-10-26

☆☆☆☆

野良猫たちが集まる、人気のない草地—そこがマンゴーと仲間たちとの暗号受け渡し場所だ。退屈なパブリック・スクールに通うマンゴーにとって、暗号を使った“スパイ活動”はひそかな愉しみだった。園芸店に勤めるジョンは、偶然その受け渡し場所を見つけ、暗号文を手に入れる。誰が、何のために使っている暗号なのか?ジョンは、暗号の解読に没頭していく。それが事件の始まりだった……。暗号を巡って様々な人生が重なり合い、運命の車輪が今ゆっくりと廻り始める。英国ミステリー界の女王レンデルが放つ、戦慄に満ちた傑作長編。 内容紹介より



小尾芙佐氏の訳者あとがきによれば「本書は、ルース・レンデルのノン・シリーズの作品としては十四作目」にあたるそうです。
レンデルが得意とする心理サスペンスの真髄を発揮した作品であり、いったんそれを希釈しつつも、いたって平凡きわまりない男の心理がまわりに存在する奇矯な人物たち、そして少年たちがやり取りする暗号文によって図らずも大きな影響を受けざるを得ないさまを見事に描き出しています。妻に去られた男の戸惑いと執着の鬱々とした日常、対してパブリック・スクールの生徒のスパイごっことその日常。この二つの生活の流れが暗号文で小さな接点が作られ、次第に男の心を占めていく一方で、生徒は敵対するスパイ組織の暗号を解読しようとするとともに、部下たちのなかに二重スパイの存在を疑いが心に持ちあがります。パブリック・スクールでの学生生活や家庭の様子がなかなか興味深く、レンデルの作品には珍しい、少年小説のような明るさとユーモアをもって描かれており、徐々に張りつめていく緊張感に一息つく良いアクセントになっているとともに、男の孤独,暗号に没頭していく異様な姿を対照的に映しだしています。妻の元婚約者と生徒のひとりが暗号文によって繋げられたことによって、状況は急速に転がりはじめて破滅的な事態を引き起こしただけでなく、登場人物に対してちょっと不気味な余韻を残して終わる作品でした。

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『わが目の悪魔』ルース・レンデル 角川文庫

2016-07-12

☆☆☆☆

アーサー・ジョンソンの孤独な日常生活は何物にも妨げられることがなかった。人知れずアパートの地下室で行う悦楽の儀式も…すべてを狂わせたのは、アパートの新たな入居者、アントニー・ジョンソンだった。発端はこの同姓の若者宛の手紙を、誤ってアーサーが開封したことであった。これがアーサーの隠れた狂気を誘発した。誤解と妄想のうちに肥大してゆくアーサーの狂気は、やがて明確な犯罪の形をとり始めた― CWA賞受賞の傑作サスペンス。 内容紹介より



“人格異常者”の棲むアパートに、“人格異常者”についての論文を書こうとしている同姓の人物が引っ越してくる(この非常にシニカルな状況設定がいかにもレンデルらしい)、その“人格異常者”が手紙を間違えて開封したことで、彼の規則正しく整然とした日常生活の歯車が徐々に狂い始め、ガイ・フォークスの日に起きた出来事によって“たがが外れ”てしまい、彼が修復し押さえ込んでいた欲求が蘇ってしまう、そういう心理描写を丹念にねちねちと微細にこれでもかと描いてみせる著者の本領がいかんなく発揮されている作品です。彼が壊れていく様と同時進行でもうひとりのジョンソンの人妻との恋愛の行方を描き、それをクライマックスで見事にリンクさせる手法も見事です。少年期のアーサーの性格形成に絶対的な影響を及ぼした“グレーシー伯母さん”という存在が、後の彼の犯罪衝動に繋がるかというとややそれは弱いような気もしました。しかし、とても完成度の高い作品だと思います。

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『仕組まれた死の罠』ルース・レンデル 角川文庫

2015-11-08

☆☆☆

高名なフルート奏者、マニュエル・カマルグの死に特に不審な点はなかった。老人は雪の夜、池に落ちて溺死したのだ。だが、カマルグの再婚相手と決まっていた女性の話を聞いて、ウェクスフォードの考えは一変した。死の直前、19年間生き別れになっていた一人娘がカマルグを訪れたが、彼は対面後、娘を偽物と断じ、追い払ったという。そして今、その娘はカマルグの大邸宅に移り住み、着々と遺産の処分を進めている。娘は本物か偽物か?そこから始まった捜査は、ウェクスフォードをアメリカとフランスへ導き、ある“罠”の発見に結びつくのだが… 内容紹介より



ルース・レンデルの1981年の作品で、ウェクスフォード警部シリーズとしては11番目にあたるようです。ちなみにレンデルのノン・シリーズを含めると、『地獄の湖』の次にあたる20番目の作品です。
さて、掲げられている謎は、死亡した人物の娘だと名乗る女が本物か偽物か、という二者択一のすごくシンプルなものです。まず、ようやく再会を果たした父親は生前に彼女を偽物と断じ、また、ウェクスフォードは彼女の挙動に不自然さを感じています。一方、昔、彼女と親交のあった人物たちは本物に間違いないと証言し、さらに、かつてかかりつけだった歯科医の治療歴からも彼女が娘本人だと立証しているのでした。そして読者はもちろんウェクスフォードを通して物事を見るので、当然彼女を怪しみます。彼女の正体は暴かれなくてはならないのですから。
策士策に溺れる、という言葉がありますが、今回の印象はこんな感じです。謎が単純なだけに、作者はそれをどう料理してみせるのか、なのですが、並の作家ならこのレベルで申し分ないくらいの出来映えですけれど、ルース・レンデルはいかに料理してみせたのか、となると期待が大きすぎたので評価がやや低めになってしまったのでした。設定をノン・シリーズものにしていたら違っていたかもしれません。最後に、かなり遅くなってしまいましたが、ルース・レンデルさんのご冥福をお祈りします。たくさんの素晴らしい作品を遺していただきありがとうございます。

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『地獄の湖』ルース・レンデル 角川文庫

2015-04-11

☆☆☆

信じられない幸運だった。サッカーくじで10万4千ポンドが当たったのだ。マーティンは自分の人生設計も含めて、ある計画にとりかかった。だがフランチェスカの出現がすべてを狂わせた。菊の花束を持って、戸口に立っていた少年のような娘…それがフランチェスカだった。決して正体を明かさない謎めいた女、彼女との出会いこそが、仕組まれざる惨劇への序曲だったのだが―。ミステリ界の新女王、レンデルが放つ円熟の力作。 内容紹介より



父親が共同経営者になっている会計事務所に勤める二十八歳のマーティン、少年の頃殺人事件を起こし、現在は電気屋兼大工のかたわらパートタイムの殺し屋をしている二十六歳のフィン。中盤までこのふたりの視点が入れ替わってストーリーが進み、中盤以降からフランチェスカというそれまで謎につつまれていた女性の正体が明らかになり、彼女からの視点も加わるという設定をとっています。この彼女の正体というのが結構こちらの意表をつくもので、ふり返ってみるとちゃんと伏線がしっかり張られているのでした。彼女にまつわるある新聞記事のトリックや殺人者を勘違いさせた別の新聞記事の使い方などにレンデルの巧技を見ることができるのですが、なぜマーティンが慈善行為を企てたのかというそもそもの理由など、やや彼の造形に深み(あえて浅く描くことで、善良なだけの平凡な人物を表そうとしているのかもしれませんけれど)が感じられませんでした。また、殺人者のターゲットには状況的にふたりの候補者がいたのにもかかわらず、どうしてそのひとりを選んだのかが納得いきませんでした。

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地獄の湖 (角川文庫)地獄の湖 (角川文庫)
(1986/05)
ルース・レンデル

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『運命の倒置法』バーバラ・ヴァイン(ルース・レンデル) 角川文庫

2014-07-12

☆☆☆☆

豊かな自然に囲まれたカントリー・ハウスで、チップステッド夫妻は愛犬の埋葬の最中に若い女と赤ん坊の白骨屍体を掘り出した。カントリー・ハウスの元所有者アダム・ヴァーン=スミスは、父からその不吉な知らせを受けた。10年前のあの忌まわしい出来事が消しがたい記憶となって甦る。もし大叔父があの家を父に遺していたなら、誰も死ぬことはなかったのに……。過去と現在が交錯し、様々な記憶の旋律が複雑に絡まり響き合う。バーバラ・ヴァインが運命のモザイク模様を冷徹な眼差しで描いたCWAゴールド・ダガー賞受賞作。 内容紹介より



散歩中の犬が遺体の一部を咥えてきたり、掘り出したりというのはよくあるパターンですけれど、ペット専用の墓地に愛犬の埋葬をしようとして人骨を見つけてしまうひねった設定からしてルース・レンデルらしさを感じます。もしも別の場所に埋葬していたとしたら。もし自分でなく、父親があの家を相続していたら、親子のわだかまりがなかったなら。友人を誘わなかったら、彼が女を車に乗せなかったら。別の道を通っていたらなら。運命のもしもに絡めとられた男は、結局、人生で最愛のものを失うはめに陥ります。明瞭に描き分けられた登場人物たちの複数の視点から、過去と現在を自在に操り、描き出す作者の力量と技巧にすごさを感じました。犯罪者に限らず、人が抱える悔恨の様を冷徹に描くという点においてレンデルは一番なのかもしれません。人間ドラマだけでなくミステリとしてもミスリードが巧みに施され、アイロニカルなラストも見事です。ただ、人が死んだのに、その後の関係者たちの感情が淡々としすぎて不自然な気もしました。




運命の倒置法 (角川文庫)運命の倒置法 (角川文庫)
(1991/05)
バーバラ・ヴァイン(ルース・レンデル

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『緑の檻』 ルース・レンデル 角川文庫

2012-07-20

☆☆☆

グレイは本を一冊著わしただけの売れない作家。緑の小径の奥にあるコテージに一人住み、電話も受話器をはずし、まるで世捨て人のような耐乏生活を送っている。そして電話は、彼を怯やかすものの象徴でもあった。それはいつ息を吹き返し、美しい人妻、ドルシラとのすでに終わったはずの“危険な関係”にふたたび火をつけかねないのだ…。二人の間には、果たされないままに終わった或る企てがあった。とうに葬りすてたはずのそれが、やがてグレイを閉じ込める恐ろしい罠に変貌をとげようとは、彼には知る由もないことだった ― 。 内容紹介より



1974年に発表されたノン・シリーズもの。
友人が所有している古いコテージに住み、昔出した本の印税で細々と暮らしている三十代の男が主人公。十代の頃、母親の再婚を苦に自殺未遂を起こしたことがあり、精神的な弱さがある。彼は偶然出会った人妻と不倫関係になるが、彼女が言い出したある要求を拒んだことから関係が終わっている。こういう背景のなかで物語は、銀行からいくら金を下ろし、何に支払ったとか、不倫相手との思い出だとか、フランスに住む母親と継父の話とかが主になり大した事件も起こらず、細々しくスローなペースで進んでいきます。普段刺激過多なミステリ作品を読みつけている身としては、こののんびりした流れがまどろっこしく感じたりしました。病床についていた主人公の母親の容体が悪くなり、彼がフランスへ赴くところから話はようやく動き始めます。
巻頭に引用しているルパート・ブルックの詩のように、“愚か者”がある女を愛したことで被った受難をテーマにしているのですが、主人公の救いようのない駄目さ加減を描きながら、読者が感情移入をできる余地をギリギリまで残し、愛想が尽きる手前で踏みとどまらせるテクニックは見事です。
彼が小悪魔だと思っていた女が実は立派な悪女だったことに気づいた時には、すでに彼は檻の中に……。




緑の檻 (角川文庫)緑の檻 (角川文庫)
(1988/07)
ルース・レンデル

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『虚栄は死なず』 ルース・レンデル 光文社文庫

2011-10-01

☆☆☆☆☆

― 富裕なウィッタカー一族の一員、アリスは、38歳でようやく幸せをつかんだ。9歳年下のハンサムでやさしい夫アンドリューとの新婚生活は、彼女にとって夢のような日々だった。二人の結婚式から三カ月後、花屋の美しい未亡人、ネスタが町から出ていった……手紙を頼りに、アリスはネスタを訪ねるが、その住所は実在しない。ネスタが消えた。そして、アリスの体調にも異変が……。― 名手レンデルが女性の微妙な心理を描いた傑作サスペンス! 内容紹介より



以下、ネタバレしています!ご注意下さい!

わたしの思考回路が単純ということはこの際置いといて、なぜまたまたレンデルさんにしてやられたのか?
まず、本書がノン・シリーズ作品の二作目だということで、習作とまではいわないけれど、いくらルース・レンデルであっても人の子、最初からそれほどの完成度の高い作品を書ける作家だとは思っていなかったこと。ようするに甘く見ていたわけです。
そして、ヒロインの夫や道路工事などきわめてあからさまな赤いニシンを、一般的に初期作品に見られる設定の甘さによる伏線配置だと信じて疑わなかったこと。
さらに、この作品以降もレンデルさんが好んで使っていた“失踪事件”がまた同じパターンをとるとは思わなかったこと。これでも読みはじめはうっすらと疑いはしたんです(天敵の匂いを嗅ぐ野うさぎのように鼻をヒクヒクさせたのです)。しかし、いかんせん人間の思考というものは目の前にある安易な道を選びたがるもので……。
ということで、たとえば本書を研究施設の迷路実験とするなら、さながらわたしはレンデル博士の作った道を彼女の思った通りにひたすらまっしぐらに進むモルモットにしか見えなかったことでしょう。
とにかく、たった256ページですが、人物造形も巧みで、非常にトリッキーで周到な作品でした。やられーでまいったので☆をいっぱい付けました。べつに酔ってはいません。

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虚栄は死なず (光文社文庫)虚栄は死なず (光文社文庫)
(1988/03)
ルース・レンデル

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『無慈悲な鴉』 ルース・レンデル ハヤカワ・ミステリ

2011-08-28

☆☆☆☆

はじめは、愛人との駆落ちぐらいに考えていたものの、ウェクスフォード警部はいまや男の死を確信していた ― 失踪したのは、警部の隣人で会社員のロドニー・ウィリアムズ。その妻に、夫が戻らないと聞いてから二週間後、放置されたままの彼の車がまず発見された。さらに、突然、会社に辞表が送られてきたばかりか、妻に隠していた銀行口座が、池からは彼の身の回り品を詰めたバッグまで見つかった。まもなく、七カ所も刺されたロドニーの死体が掘り出された。折しも近隣では、一人歩きの女に声をかけた男が逆に刃物で傷つけられるという妙な事件が続いており、警部はさっそくロドニー殺しとの関連を調べはじめた。ところが、事件は思わぬ展開を見せた……
死体発見を知って警察を訪れた女は、ウェンディ・ウィリアムズと名乗った。あろうことか、彼女は被害者のもう一人の妻だったのだ!がぜん複雑な様相を呈する重婚者刺殺事件 ― 捜査線上に浮かぶのは、被害者に翻弄されていた二組の妻子、そして、ロドニーの娘も関わる、女権擁護を声高に叫ぶウーマンリブの闘士達……警部の粘り強い捜査が明らかにした事件の真相とは?ミステリ界でつねに動向を注目される実力派の一人レンデルが、現代的なテーマを意欲的に盛り込み、満を持して放つ、シリーズ最新作! 内容紹介より



真犯人も捕まり、おおよその動機も明らかにされ、読み終わるまであと十数ページというところで用事が入ったのでいったん読書を中断して、それにしても今回のウェクスフォード警部シリーズである本書は、読んでいると結構早めに犯人の検討がつくわりに警部のほうはそうでもなくてまどろっこしい思いをさせられるし、全体的にレンデルらしくないあまりぱっとしない作品だったなあ、なんて思いながら用事を片づけて読書に戻るとなんとその後の展開にびっくりさせられてしまいました。悠長な捜査のあとに驚愕の真実みたいな。事件の総括の後でこんなふうなサプライズを仕掛けられる作家はレンデル先生くらいでしょう。どんでん返しよりさらにすごい巧技なのではないでしょうか。これからはくれぐれも、油断してこのひとを見くびらないようにしよう。
最後の展開はたしかにやや強引な印象を与えますし、ウェクスフォード警部が全知全能風にも感じさせるところは不自然な気もします。しかし、作者の一筋縄でいかないミステリの作法がすごくよく表されている作品だと思いました。

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無慈悲な鴉 (ハヤカワ ポケット ミステリ―ウェクスフォード警部シリーズ)無慈悲な鴉 (ハヤカワ ポケット ミステリ―ウェクスフォード警部シリーズ)
(1987/05)
ルース・レンデル

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『女を脅した男 英米短編ミステリー名人選集1』ルース・レンデル 光文社文庫

2010-05-15

☆☆☆

― 「他人をこわがらせるのは、なんともいえず楽しい……まさに最高の気晴らしにだった」(表題作「女を脅した男」)。なにげない日常のなか、男と女が織りなす、そのあやうい心模様を巧みに描く心理サスペンス!
― MWA短編部門受賞二作品を含むノンシリーズ七編に、ウエクスフォード警部もの四編を収録。そのもてる才能を作品に如何なく発揮。輝かしい受賞歴を誇る名人R・レンデルの傑作短編集。シリーズ第一弾! 内容紹介より



「女ともだち」「女を脅した男」「父の日」「時計は苛む」「雑草」「愛の神」「カーテンが降りて」「ウェクスフォードの休日」「藁をもつかむ」「もとめられぬ女」「追いつめられて」収録。

夫に対する以外には男性恐怖症気味の女性が女友達の夫と密会しはじめた訳は……。その意外性、タイトル、ラストの悲劇にいたる伏線と心理描写が上手な「女ともだち」、独り歩きする女性を怯えさせるという悪趣味を持つ男の話「女を脅した男」、男の身に災難が降り掛かってこなかったのが不満足。「父の日」いつか、あるいは今日にでも自分の子供たちを失うってしまう、または奪われてしまうのではないかという妄執に囚われたお父さんの話。あまりにパラノイア過ぎて話に乗れず。「時計は苛む」は、平凡な人物がある出来事によって序々に壊れていく微妙な様が描かれているレンデルらしい作品。夫への愛情が深きが故に目が曇ってしまった妻が、クロスワードパズルという“布切れ”の一拭きで夫の本性を分かってしまった悲喜劇「愛の神」。ノンシリーズものはやや胆汁系苦みが希薄か。
「ウェクスフォードの休日」以降の四編はウェクスフォード警部もの。老婦人の不審死を描いた「藁をもつかむ」の出来が良いのでは、「追いつめられて」は短編作品なのに登場人物が多すぎて若干頭が混乱しました。

『ある詩人の死 英米短編ミステリー名人選集6』ダグ・アリン 光文社文庫
『最低の犯罪 英米短編ミステリー名人選集8』レジナルド・ヒル 光文社文庫




女を脅した男―英米短編ミステリー名人選集〈1〉 (光文社文庫)女を脅した男―英米短編ミステリー名人選集〈1〉 (光文社文庫)
(1998/10)
ルース・レンデル

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『またあの夜明けがくる イギリス・ミステリ傑作選 '77』ジョージ・ハーディング編 ハヤカワ文庫

2009-06-20

☆☆☆

あの女は殺さなくちゃならない―田舎の平穏な村で平凡な暮らしをおくる彼はそう決意した。あの女が村へやってきたときから、自分と妻の生活がおかしくなったのだ。スポーツ・カー、才能、スキャンダラスな過去。妻と生活をあの女の影響から守らなくてはならない。彼は用意周到な計画の末に、ある夜女の家に忍び込み、女を殺したのだったが……人間性に根ざす異常な殺人動機とその皮肉きわまる結末を描くルース・レンデルの第一話「運命の皮肉」をはじめ、コリン・デクスター、パトリシア・ハイスミス等現代の人気作家12人の傑作短篇を収録! 内容紹介より



「運命の皮肉」ルース・レンデル
いまさら言ってもですが、長短篇ともに水準の高い作品を書けるレンデル先生は立派。しかもこれは書き下ろし作品ですからね。被害者の意外な内面、捻った至極苦い結末。

「エヴァンズ、初級ドイツ語を試みる」コリン・デクスター
脱獄名人と刑務所長の対決の話。
こちらはいかにもコリン・デクスターらしい、らしすぎる作品。捻って捻って、二転三転四転くらいする彼の長篇のプロットを短篇でもそのまま使った感じです。ちょっと忙しい気もしますがよくまとめてはいます。

「私用電話」シリア・デイル
毎日、昼食後自宅の妻に電話する男の話。
「きみかい?ぼくだよ。どうだい」、「きみかい?ぼくだよ。どこにいたんだい?ベルが十回も鳴ったのに」、「きみかい?ぼくだよ。どこに行ってたんだい?」などなど。新婚旅行以来毎日こういう電話を受ける奥さんが採った行動も……。

「ヘイゼル、借金取立てをうけおう」P・B・ユイル
ヘタレな男とハードボイルドな女が借金取りをやる話。完全に男女の立場が逆転してます。

「パパの番だ」ジェイムズ・マクルーア
離婚した妻が引き取った子どもたちと婚約者を連れてピクニックに行った男の話。
父親の子どもへの感情の不安定さを心理サスペンスタッチで高め、ラストは子どもの持つ
残酷な心理で落とした作品で、その入れ替わりが上手い。

「一連の出来事」エリザベス・フェラーズ
五年前の未解決殺人事件の記事を書くために、舞台となった村へ取材に行ったジャーナリストが聴いた話とは。フェラーズお得意のそれは真相なのかあるいは間違いなのか、という設定が活きていると思います。

「楽園の午後」マーティン・ウッドハウス
嫌がらせを受け、妻を寝取られた破産目前の男とその敵役の男との決闘話。まあまあ。

「ラッカーの大晦日」ジョン・ウェインライト
すご腕ではあるが、フロスト警部をシリアスにしたような、さらに嫌みで皮肉屋で虫の好かない人物で、当然、警察署員全員から忌み嫌われているラッカー主任警視が主人公の話(苦笑)。まじで嫌な奴です、このひと(笑)。

「またあの夜明けがくる」パトリシア・ハイスミス
育児放棄、児童虐待の問題を先取りしたかのような作品。ハイスミス先生も相変わらずイヤーなところを突いてます。母親が精神的に疲れ病んでいく様子と問題を抱える家庭のモデルのような一家の有り様は非常に現実的で心に迫ります。

「解放者」マーガレット・ヨーク
かつてフランスレジスタンス組織に協力したことのあるオールドミスのイギリス人の元教師が他人に迷惑をかける人たちを片っ端から殺してしまう話。お節介殺人の顛末。
「あなたの従順なるしもべ」ジェフリー・ハウスホールド
ある村に新しく越してきた不思議な雰囲気を持つ男の話。

「静かな夜」デレク・ロビンソン
自宅に百二十六種類の銃を持つ男の話。パーティーから帰ってみると自宅が盗難被害に遭っていて、その日以来彼は来るべき泥棒の侵入に備えて偏執的な行動を取り始める。その妄執の先には……。



またあの夜明けがくる (ハヤカワ・ミステリ文庫 68-5)またあの夜明けがくる (ハヤカワ・ミステリ文庫 68-5)
(1982/01)
ジョージ・ハーディング編

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『殺す人形』ルース・レンデル ハヤカワ文庫

2009-03-28

☆☆☆

家族の絆に亀裂を入れたあの女が憎い……顔に醜いあざがあるためドリーは人づきあいを嫌い、母亡き後、父と弟の世話に喜びを見出してきた。が、父が再婚し、すべてが変わってしまった。継母に罰を与えるため、彼女は弟と共に魔術で呪いをかける。直後、継母に恐ろしい災難がふりかかるが、やがてドリーにも無慈悲な運命の刃が! 英国推理作家協会賞に五度輝く著者が、異常心理を極限まで追究した傑作サイコ・スリラー 内容紹介より



生まれつき容姿にハンデを持った女と爆弾テロで心に病を負った男、ふたりの人生が交差するまでを描くノンシリーズもの。精神に異常をきたし、じわじわと壊れていく様を描かせたらやっぱりレンデル先生ですね。さらに、明と闇のごとく、彼らの異常心理をさらに際立たせる人物(父親、弟)を配しているところも見事だと思います。娘にはまったく無関心で、再婚を重ねる父親と姉を狂気の入り口まで誘った、オカルトに心酔していたものの女を知ったとたん俗物になっていく弟、この親子も決して正常とは言い切れないようなの描き方。それから、哀れな男女ふたりが種類の違う狂気へと堕ちて行く描写。作者の計算された構成力と優れた筆致がさりげなく現れています。

もしかしたら、何かの拍子に心が壊れてしまうかもしれないし、そのスイッチはきっと多くのひとが持っているのだろうなと思って、それが自分にもあるかもしれないと思ったらちょっと気持ち悪くなりました。



殺す人形 (ハヤカワ・ミステリ文庫)殺す人形 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1996/03)
ルース レンデル

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「眠れる森の惨劇」ルース・レンデル 角川文庫

2008-06-08

☆☆☆

五月十三日の月曜日はその年、もっとも不吉な日だった。ウェクスフォード警部の部下マーティンが、銀行強盗に殺されたのだ。そして同じ日の夜、高名な社会学者が住む森の奥の豪奢な館から緊急通報が入った。「助けて、早く来て、早くしないとみんな殺されてしまう」  強盗殺人と森の奥での一家惨殺。二つの事件に何らかのつながりがあることを確信したウェクスフォードは鬱蒼たる森に潜む狂気に近づいていく。が、不可解出来事の連続で、謎はどんどん深まりゆくばかりだった……。待望のウェクスフォード警部シリーズ。 内容紹介より



あくまでもこのシリーズのなかでの話ですが、長い割にはやや凡庸か。ミステリと人物造形共に優れている稀な作家レンデルには期待してしまいますから、まずまずの出来では物足りません。この作者は、平凡なのに普通から少しずれている、しかしそのずれ具合が妙に気持ち悪い人物を描くのが得意で、本書にもブレンダ・ハリソンやグリフィン一家といった人たちを登場させています。その奇矯さには軽い嫌悪感を覚えながらも癖になってしまう味があるのですが、本書ではそこが食足りませんでした。影の主役であるダヴィナの性格は変わってはいるけれど、一般人ではなく作家であり学者であるので少しくらいの奇態さは変わっているうちに入らないし。それと関連して思ったのですが、どうして同じ作家で同じ俗物のガス・ケイシーを登場させたのでしょうか?公私ともに作家に悩まされるシニカルさを現したかったのか。ウェクスフォードが抱える家庭問題を描くためだとしても、ガス(彼の場合は、レンデルの現代文学批判あるいは揶揄が込められているのかも。p489参照)のその後のフェードアウトな扱いはレンデルらしからぬ芸のなさを感じました。

以下、少しネタばれです。ご注意下さい。






一人の女性の行方がわからなくなり、事件に巻き込まれた可能性があるため捜査を始めるのですが、その時、失踪かと思ったらただ休暇を取っていただけという過去の出来事(これはたぶん『運命のチェスボード』のこと)をウェクスフォードが思いだすくだりがあります。結局、この女性の場合も似たようなケースだったわけですが、ひねらずに同じ展開を二回も繰り返すあたり、このアイデアをレンデルは気に入っているのかもしれません。



眠れる森の惨劇―ウェクスフォード警部シリーズ (角川文庫)眠れる森の惨劇―ウェクスフォード警部シリーズ (角川文庫)
(2000/04)
ルース レンデル

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「ひとたび人を殺さば」ルース・レンデル 角川文庫

2006-04-11

☆☆☆☆

ロンドンの甥を訪ねたウェスクフォード警部は退屈していた。仕事を取りあげられたのでは島流しも同然だ。ところが、ロンドンのどんな名所より彼の関心を引くことが持ちあがった。逗留先の近くの墓地で、絞殺死体が発見されたのだ。被害者は若い娘だった。ウェスクフォードは、やはり警察官である甥に協力して捜査に当たることになった。いわば“私立探偵”である。不思議な事件だった。聞き込みを重ねても、被害者の身元が割れないのだ。名前は偽名だった。周囲との交際もなく、一人ひっそりと暮らしていたらしい。こんな影の薄い女が、なぜ、誰の手で、殺されねばならなかったのか?ニ転三転、捜査は意外な結末に辿りつく。 あらすじより



肥満と高血圧のため長期休暇を余儀なくされたウェスクフォード警部は、首都警察警視である甥の家に療養のため滞在しています。出される食事や散歩コースなど、警部とその夫人や甥夫婦の思い込みや齟齬が可笑しいです。
130ページあたりで事件を解決してしまったものと思い込んだ迷探偵なわたしも可笑しいのですが…。ころりと作者のミスリードに嵌まってしまいました。まんまと騙されたので誉めますが、これは佳作ですよ。今まで読んだ中で一番出来が良いと思います。こちらが予測する話の流れを見事に裏切りますね、レンデルさんて。

マゴーンやブランドは、ストーリーの最後半部分であれこれと容疑者たちを犯人として挙げてはそれを打ち消していくという作業を繰り返し、真のラストに真犯人を指摘します。所謂、読者を惑わせ戦意喪失させるパターンですが、読者がじれてどうでも良いやみたいな気にさせるので、サプライズ効果薄くなる恐れもあります。
一方、レンデルは、読者が犯人と思った容疑者を物語の途中で否定していく手法なですが、その度にサプライズを味わえる効果があります。
この作品はそういう意図が見事に成功していると思います。
以下、少しネタバレです。






しかし、その手法にこだわるあまり、手持ち札が無くなったかのようにワンペアというありふれた手札(真相)で終わったのは実に惜しい。

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「友は永遠に」ルース・レンデル 光文社文庫

2006-03-06

☆☆☆

ウェクスフォード警部シリーズ4作目。

結婚式当日の朝、花婿の親友で付添人を務めるはずのチャーリーが死体で発見された。
長距離トラック運転手にしてはなぜか金回りがよく、鼻つまみ者だったチャーリー。
だが、花婿のジャックにとっては、唯一無二の友だった。一方、病院では六週間前の交通事故で入院中のファンショー夫人がようやく昏睡状態を脱した。

                        裏表紙あらすじより 

娘が男友達から預かった犬の散歩中に死体を発見した犬嫌いのウェクスフォード警部は、殺人事件と交通事故の捜査をするはめに。初期作品だからなのかレンデル独特のアク味が薄いような気がします。
チャーリーとジャックの奇妙な友情関係を書いた作者の意図が今ひとつ分からない。
ジャックの親友を想い悼む様子は普通じゃないように感じるので、ただの友情物語を書きたかったわけじゃないと思うのですよね。それに較べてファンショー一家の家庭事情は上手く描かれていると思う。父親が愛人をつくる度に代償として金品を貰う母親。
そんな両親を見て育った娘の恋人に対する考え方とか。

もちろん謎解き小説としても楽しめます。バーデンがあまり目立たない分、捜査スタッフに加わりたがる医者のクロッカー先生が面白かった。

この作品は創元推理文庫からも『死を望まれた男』という題名で出ています。       

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「もはや死は存在しない」ルース・レンデル 角川文庫

2006-01-17

☆☆☆

ウェスクフォード主任警部シリーズですが、いつも主任警部に堅物さをからかわれているバーデン警部が主役のノンシリーズみたいな印象を受けました。

レンデルは特にノンシリーズ作品において人間が持つ負の感情をねちっこく、嫌らしく描かせると天下一品ですが、この作品はシリーズもののレギュラー陣にたいしてそれをやっちゃったみたいな感じでしょうか。

妻に先立たれてすっかり人が変わってしまったバーデンは、子供たちにたいして父親らしい義務を怠り、義理の妹が仕事を辞めて子供たちの面倒や家事をやることも当然のように思っている。行方不明になった子供の母親と付き合い始めると仕事にさえ支障をきたしてしまう。
そういう状況に至る彼の感情の変化や弱さ、情欲から来る身勝手さ、嫉妬などをねちねちと描き込んであります。あのプロテスタント的謹厳実直なバーデンが…みたいな。
ミステリより人間ドラマが印象に残りました。

「わたしが作品に登場させる人物は、憎むべき人物、情緒不安定な人物、だがどこかに哀れさを、同情の余地をとどめている人物。」と、あとがきでレンデルの言葉が紹介されています。

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