『チェリーパイの困った届け先』 ローラ・チャイルズ RHブックス・プラス

2013-09-02

☆☆☆

早く帰りたいときに限って問題は起こるもの―。公園で開かれる手づくり菓子の販売会を、ボランティアで手伝うことになったスザンヌは、一刻も早く居心地のいい自分の店に戻りたかった。ところが、チェリーパイを取り置きしていった葬儀屋のオジーがいっこうに姿を現わさない。そこでパイ皿を手に、ひと気のない葬儀場を訪ねてみると、そこには息のないオジーが横たわっていて……。ケーキづくしの好評シリーズ第2弾! 内容紹介より



卵料理のカフェ2。
コージーミステリのイベント好きな傾向は以前にも書きましたが、今回は大小イベントてんこ盛り状態で、手作りケーキのコンテスト、食堂に併設された書籍コーナーと編み物コーナーそれぞれにおいて、作家のサイン会、編み物によるチャリティ・イベントが開かれ、新しく開店するブティックではヒロインがファッション・ショーのモデルになったりしています。食堂自体も繁盛して大忙しなうえに、お茶会なんかもやったりと、読んでいて良くも悪くも非常に慌ただしく感じました。このシリーズは、悩みや悲しみを心に秘めたアラフォーである三人の共同経営者の女性たちが、強い友情と絆を結んで、人生に前向きに生きている姿を描くのがコンセプトの一つになっているために、彼女たちが馬車馬のように働くのも致し方ないのでしょう。できれば、もうちょっと強弱を付けていただきたいところです。とりあえず、お約束のロマンスはあるのですけれども。
ミステリの部分では、ヒロインの推理力はあいかわらず拙いけれど、犯人の正体はかなり意外性があったし、コージーでは稀にしかお目にかかれない伏線が最終盤で回収されています。しかし、ネットでも指摘されている問題のケーキはヒロイン以外にも供されていたように思ったのですが……。

『あつあつ卵の不吉な火曜日』 ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

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チェリー・パイの困った届け先 卵料理のカフェ2 (RHブックス・プラス)チェリー・パイの困った届け先 卵料理のカフェ2 (RHブックス・プラス)
(2011/01/08)
ローラ・チャイルズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ホワイト・ティーは映画のあとで』 ローラ・チャイルズ RHブックス・プラス

2013-05-16

☆☆

レッドカーペットを歩く、華やかなドレスに身を包んだセレブたち ― 歴史あるベルヴェデーレ劇場で、映画祭が開催されることに。多数の有名人が招かれ、いよいよ開幕式がはじまった。ところが、映画ファンが心躍らせて見守る中、大物監督が舞台上で何者かに殺されてしまった!衆人環視の中の犯行にもかかわらず、唯一の手がかりはセオドシアの目撃証言だけ。連日のティー・パーティで大忙しなのに、セオドシアは探偵役を引き受けることになってしまい!? 内容紹介より



〈お茶と探偵9〉。
クリスマスやハロウィーンのみならず、その他各種イベントも大好きなコージー・ミステリにあって、本書のように映画祭も題材によく取り上げられる催し事の一つです。今回、犯行の模様が舞台上のスクリーンに影として映り、それを観客が観ているなか、サメ撃退用のスタンガンに改造を施したものを凶器に使って、犯人は凶行に及ぶという、ショッキングな出だしで始まります。しかも、その後、逃走する犯人にドレイトンが襲われるというアクシデント付きです。そこで気になるのは、多くの人の目のある舞台上で犯行に及んだということは、一見、衝動的な殺人に見えますが、改造した凶器を用意して使用したということは計画的な犯行にも思えるわけで、ならなぜわざわざ衆人環視の場を犯行現場に選んだのか、その理由を説明する必要があったのではないのかと。そもそも犯人に襲われ出血して倒れていたドレイトンの件や交霊会での幽霊騒動も読者の興味をひくためだけの場当たり的なエピソードに過ぎず、プロットには何の貢献もしていないと思います。それから、犯行動機のひねりの無さも問題ですが、常人の面を見せる犯人が異常性を垣間見せる伏線は、ミステリの質を高めるうえにおいてはどうしても必要だったのではないでしょうか。

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ホワイト・ティーは映画のあとで (お茶と探偵 9) (RHブックス・プラス)ホワイト・ティーは映画のあとで (お茶と探偵 9) (RHブックス・プラス)
(2010/06/10)
ローラ・チャイルズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『あつあつ卵の不吉な火曜日』 ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

2012-02-05

☆☆☆

小さな田舎町にアンティーク調のカフェが開店。その名もカックルベリー・クラブ。スザンヌをはじめ、少々訳ありのおばさま三人組が振る舞うのは、豊富な卵料理。ふわふわオムレツにベイクドエッグ―自慢の料理のおかげで店は連日大賑わい。ところがある朝、日替わり卵メニューをテイクアウトした弁護士が、店の駐車場で殺される事件が! 否応なく三人は事件に巻き込まれてしまい……!?人気著者による新シリーズ開幕。 内容紹介より



〈お茶と探偵 シリーズ〉の作者による新シリーズでシリーズタイトルは〈卵料理のカフェ〉です。
カックルベリー・クラブというその店では、卵料理をメインに食事ができるカフェに書籍、編み物用品コーナーを併設しています。〈お茶と探偵 シリーズ〉の舞台であるインディゴ・ティーショップでは、お茶や軽食しか提供していないのに比べると事業が拡大しているわけです。主要登場人物は店の共同経営者である三人の中年女性で、ひとりは夫を病気で亡くし、ひとりは施設に入所しているアルツハイマーの夫がおり、もうひとりは離婚協議中です。この店の人員構成は〈お茶と探偵 シリーズ〉と似ていますし、警察官との関係性も同様です。おまけに主人公のペットも犬なのです。ただ、殺人事件が二件、放火が一件、カルト教団がらみの事件が一件というふうに、一作品に結構事件が盛ってあるのは〈お茶と探偵 シリーズ〉と違うところです。つまり、それ以外の作品の骨組みは〈お茶と探偵 シリーズ〉とそうとう被っているし、ミステリの質の面においても、これはコージーミステリ全般に見掛ける弱点ですけれど、真犯人の登場場面の少なさ、主人公たちとの関連性の低さが改善されていません。真犯人の存在は極力希薄にしておいて、一方では、なんでもかんでも容疑者をたくさん取り揃えとけばいいっていうようにもとられかねない手法はいい加減止めたほうが……。

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あつあつ卵の不吉な火曜日 (卵料理のカフェ 1) (ランダムハウス講談社文庫)あつあつ卵の不吉な火曜日 (卵料理のカフェ 1) (ランダムハウス講談社文庫)
(2009/12/10)
ローラ・チャイルズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ロンジン・ティーと天使のいる庭』 ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

2010-09-09

☆☆☆

うららかな春の植物園。さまざまなイベントが催され、セオドシアの提供した冷たい龍井茶も大人気。なかでも珍種植物のオークションは、希少なランの花が出品されるとあって大盛況だった。愛好家たちが競り合うなか、落札したのは地元B&Bの元オーナー。さっそく手に入れたランを自慢しながらセオドシアのお茶を口にすると、その場に倒れこんでしまい……!?生のミントに色とりどりの花々がグラスを飾る、春の日の悲劇とは。人気コージー・ミステリ第8弾! 内容紹介より



〈お茶と探偵8〉
お茶が発酵するように良い具合にマンネリ化してきたこのシリーズもすでに8作目。やはりシリーズものは読む側にとって中毒性、常用性が強いです。これも登場人物たちに親しみが湧いてくることも理由のひとつなのでしょう。しかし、さすがに8作目ともなると主要登場人物のセオドシア、ドレイトン、ヘイリー、デレイン、この四人の性格付けはほとんど判ってしまったし、これからこの人物たちに隠された秘密とかのなんらかのサプライズ的要素が加わりそうにもないです。このシリーズはわりと人間関係が固定化していて広がりがないと思うのでですけれど、新しくかつ魅力的な人物を投入し続けないと澱んでしまいそうです。今回はティーショップにシャーリーという実習生がやってきますが、どういう人物なのかと次回に期待をもたせるところもシリーズもの、特にミステリ度が低いコージーミステリには大切なことでしょうから。

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ロンジン・ティーと天使のいる庭 お茶と探偵8 (ランダムハウス講談社文庫 チ 1-8)ロンジン・ティーと天使のいる庭 お茶と探偵8 (ランダムハウス講談社文庫 チ 1-8)
(2009/07/10)
ローラ・チャイルズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『アール・グレイと消えた首飾り』ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

2010-04-18

☆☆

その時、凄まじい轟音が婚約披露の会場にこだました。天井が崩れ落ち、華やかな場は一点。悲鳴に包まれる。そして気がつけば、この夜のために飾られたマリー・アントワネットゆかりの婚約指輪も忽然と姿を消していた……。だが事件はこれだけでは終わらない。街で開かれた名宝展でも、高価な首飾りが盗まれたのだ。この街に怪盗が!?真相究明に乗り出したセオドシアと、愛犬アール・グレイも大活躍の、シリーズ第3弾! 内容紹介より



amazonにおける本作の評価は五件あってすべて☆四つです。しかも、99%の人が各レビューが参考になったと答えていますね。レビュワーやその他の方々に喧嘩を売るつもりはさらさらないけれど、そんなに面白かったのかなこれ。このシリーズは回を重ねる毎に上手くなっていくって書こうと以前の自分の評価を見直したら第1,2作が☆三つで、以降の作品は☆二つでした。評価下がってるじゃん。てか、世間の評価との乖離が甚だしいじゃん。まあ、そんな感じで。
今回は「怪盗」を登場させることで目先を変えています。しかし、相変わらず目撃証言とかアリバイとか科学捜査とかいう部分の記載が少なく、ヒロインの空回りにも等しい根性と見当違いな行動が目立っておりました。作者はサービス精神旺盛にいくつかの赤いニシンをばらまいていますが、読者よりも先にヒロインが真っ先にそれに食い付いてどうする?って感じです。以前、このシリーズには、本当の意味での探偵が不在であると書きましたけれど、実はワトソン役が欠落しているのだなあと思いました。

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アール・グレイと消えた首飾り お茶と探偵 3 (ランダムハウス講談社文庫)アール・グレイと消えた首飾り お茶と探偵 3 (ランダムハウス講談社文庫)
(2006/12/02)
ローラ・チャイルズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ブラッドオレンジ・ティーと秘密の小部屋』ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

2010-03-05

☆☆

美しいヴァイオリンの調べと、美味しい紅茶を味わう優雅なひと時。コンサート会場に選ばれたのは、古いヴィクトリア様式の豪邸 ― かつて病院や葬儀場として使われていたという、暗い歴史をもつ邸宅だ。それでも、すべてが順調に運んでいたその時、地元の名士が何者かにナイフで刺殺され、会場は騒然!まさか屋敷の呪い!?手がかりを求め、後日セオドシアが邸宅に忍び込んでみると、なんと隠し扉を見つけてしまい……。冒険と美味しさが詰まった第7弾 内容紹介より



毎回、読む度に文句を付ける、わたしのような読者には、作者もきっと「じゃあ読むな」という一言でも言いたくなるでしょうが、肩が凝らないから読んでしまうのですよね。このシリーズ自体がお茶みたいな、次のミステリ作品との間のつなぎみたいな存在になっている(笑)。よく考えなくても、このシリーズは本書でも名前が上げられている〈ナンシー・ドルー・シリーズ〉と似ているところがあります。謎解きより冒険の要素が強いし、今回、主人公が女友達のデレインとともに屋敷へ忍び込み調査する場面などは、ナンシー・ドルーの『幽霊屋敷の謎』を彷彿とさせます。つまり、主人公セオドシアは、大人になったナンシー・ドルーではなく、ナンシー・ドルーみたいな大人(あまり良い意味じゃなくて)なのですね。
ラストにおいて他所の地域の野鳥を地元に放つ場面があって、こういう子供っぽいセンチメンタルな、しかし、それらが帰化動物化しかねない迷惑な行為をやっちゃうところなんか特にそう思いました。

タグ:ローラ・チャイルズ




ブラッドオレンジ・ティーと秘密の小部屋 (ランダムハウス講談社文庫 チ 1-7)ブラッドオレンジ・ティーと秘密の小部屋 (ランダムハウス講談社文庫 チ 1-7)
(2008/12/10)
ローラ・チャイルズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ジャスミン・ティーは幽霊と』ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

2010-01-22

☆☆

たなびく霧に、不気味に明滅する青白い光。墓石の後ろからは、南北戦争の英霊たちが忍び寄り ― というのが、今夜催される〈ゴースト・ウォーク〉。地元医師会が企画した慈善イベントだ。ティーショップの面々も、墓地でお茶を出したり、幽霊に扮したりと大忙し。そう。幽霊はみんな素人役者 ― のはずだったのに、幽霊役が本物の幽霊になってしまい……!?思わずジャスミン・ティーが飲みたくなる、人気シリーズ第5弾。 内容紹介より



お茶と探偵5。
物語の最初に登場人物のひとりが墓地の中で写真を撮るために、ヒロインからデジタルカメラを借りる場面があるので、てっきり心霊現象か犯人を指し示す証拠でも写っているのかと想像していたら、結局何の前フリにもなっていませんでした。
よく考えたら、このミステリに名を借りたティー・ショップ繁盛記は、そこらのミステリ作品みたいにあちこちに手がかりを仕込むほど細かいことなんかしないし。
ヒロインの相変わらずな推理とも言えない直感による容疑者の列挙ぶりを見るにつけ、カフェインという物質はアデノシンレセプターを阻害して頭をはっきりさせるらしいけれど、物事をものすごく単純に結び付けて考える、または直結させて判断する働きもするのではないだろうかと考えてみずにはいられません。
とにかくシリーズ作品は、回を重ねるごとに登場人物たちに親しみが湧いてくるもので、このシリーズもミステリはどうでもいいからお店が商売繁盛なら嬉しく、その様子を読んで微笑ましくという具合になってきました。

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ジャスミン・ティーは幽霊と [お茶と探偵5] (ランダムハウス講談社文庫)ジャスミン・ティーは幽霊と [お茶と探偵5] (ランダムハウス講談社文庫)
(2007/12/01)
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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『イングリッシュ・ブレックファスト倶楽部』ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

2009-09-14

☆☆

宵の明星が夜空に姿を見せる頃。浜辺で海ガメ保護のボランティアをしていたセオドシアは、ぷかぷかと沖に浮かぶ死体を発見!骨董商で、沈没船の財宝を狙うトレジャー・ハンターの男だった。同じ骨董商たちが集う倶楽部のメンバーもつぎつぎに襲われ、おまけに宝の地図までどこかへ消えてしまい……。犯人も目的は海に眠る財宝?それとも!?気品漂う紅茶の香りと、さわやかな潮の香に包まれた好評シリーズ第4弾! 内容紹介より



お茶と探偵シリーズ4。
ミステリ小説のエッセンスがミントティに浮かんだ一枚のミントの葉っぱ以下であるこのシリーズの特徴を一言で表すなら、それは名探偵の不在です。物語としては一応セオドシアというヒロインが探偵役に設定されてはいますが、実は本来ホームズものでいうところのワトスンやポアロものでのヘイスティングズが彼女の役割なのです。まるで盤上から名探偵というキングをつまみ上げ、どこかへやってしまったかのようなぽっかりと開いてしまったスペースがわたしには見えます。そして仕方ないどころか、やる気満々で犯人を推理するクイーンである主人公。ただし、名探偵の代役をその助手がやったとしても推理能力のレベルが上がるわけではありませんから、犯人以外の人物たちをものすごく薄い根拠と間違った大いなる確信でもって疑ってかかります。それを訂正したりたしなめたりして正しい方向を指し示してくれる名探偵はいないのですから、始めから終りまで見当違いの思い込みをしてしまっているのです。そして、そこを笑いに変えるためにはもっと大袈裟に誇張する必要があると思います。

お茶と探偵シリーズ
『ダージリンは死を招く』
『グリーン・ティーは裏切らない』




イングリッシュ・ブレックファスト倶楽部 お茶と探偵4 (ランダムハウス講談社文庫)イングリッシュ・ブレックファスト倶楽部 お茶と探偵4 (ランダムハウス講談社文庫)
(2007/04/28)
ローラ・チャイルズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「グリーン・ティーは裏切らない」ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

2007-08-26

☆☆☆

チャールストンの夏の恒例行事といえば、ヨットレース。ゴール地点で開かれる「浜辺のお茶会」では、セオドシアも新作のミント・グリーンティーを振舞うのに大忙し。さあいよいよ、ゴールの号砲が撃ち鳴らされ―と同時に、銃が暴発!号砲係の資産家は即死。警察は事故と判断したが、セオドシアの謎解きの虫はむずむずと頭をもたげ……!?
焼きたてスコーンに夏向けブレンド。紅茶情報とレシピも増量したシリーズ第2弾  
内容紹介より



ミステリ小説としてはすべての要素がB級。しかし、作者もそのファンもそんなことはたいして気にしてないようなきもしますが…。というのも、作者の意図は《お茶》の普及と啓蒙にあるのではないのかと思ってしまうほどお茶についての記述に力が込められているからです。ミステリ作品とは仮の姿であって、それは実は《お茶》の布教のための一つの手段でありテキストに過ぎないのではないかと思ったりなんかして。

そのようなことなので、銃の暴発事故をすぐさま殺人事件と決めつけるセオドシアの根拠なき確信、ティドウェル刑事を自分の店に呼びつける何様な態度などの違和感を覚える場面もありますが、細かいことに一々こだわらないようにしましょう。きっと作者は《お茶》について書くのが楽しいのであり、その楽しさが読者にも伝わっているのでしょうから。


グリーン・ティーは裏切らない お茶と探偵(2) (ランダムハウス講談社文庫)グリーン・ティーは裏切らない お茶と探偵(2) (ランダムハウス講談社文庫)
(2006/04/01)
ローラ・チャイルズ

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「ダージリンは死を招く」ローラ・チャイルズ ランダムハウス講談社

2007-03-19

☆☆☆

こだわりのティーショップを営むセオドシアは36歳。アメリカ屈指の茶葉鑑定人と、一流の菓子職人の3人で切り盛りする店は、いつも常連客で大にぎわい。毎年恒例の出張ティーサロンは今年も大盛況…のはずが、カップを持ったまま死んでいる男が発見されたから、さあ大変。容疑をかけられた大切な友人の無実を証明するため、セオドシアが素人探偵となって殺人事件に挑む、シリーズ第1弾!巻末には紅茶レシピ付き。 内容紹介より



もし、日曜日の午後、読者がミステリを楽しむ目的で本書と共にアフタヌーン・ティーをたしなもうとする状況にあるならば、あくまで、お茶とお茶菓子がメインであって、この本はそれらの添え物のポジションにしかならないことを覚悟しておくべきである。
それくらいミステリファンにとっては生温い本です。コージーと言うのもはばかられるので、ボライソーの作品で覚えた「ライトミステリ」という言葉を使いたい気がします。

素人が探偵役をするミステリにおいては、警察官は捜査で知り得た情報を探偵役にリークする役割を担っているのが常ですが、本書では肝心の容疑者たちのアリバイ、毒物の成分がまるで探偵役に伝えられていない。そのために主人公はあれこれ実りのない妄想じみた推理をしてしまう結果になるのです。また、主人公が容疑者の一人とは面談もしていなかったりと、かなりミステリとしては稚拙なのは確かです。しかし、重金属なみに重いテーマがあるわけでもないので、そんなミステリやサスペンスを読み疲れた読者には癒し系ミステリとして読んでみるのも良いかもしれません。その意味では一服のお茶の時間にふさわしいかもしれませんし、わたしも嫌いな作品ではありません。また、シリーズ化するにはこれくらい力が抜けている方が長続きするでしょう。

ダージリンは死を招く お茶と探偵 (1) ダージリンは死を招く お茶と探偵 (1)
ローラ・チャイルズ (2005/09/15)
ランダムハウス講談社

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  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

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