「骸骨乗組員 スケルトン・クルー1」スティーヴン・キング 扶桑社ミステリー

2005-08-31

☆☆☆☆☆

いまさらですが、やっぱり「霧」ですよね。これは傑作だ!
アンソロジー『闇の展覧会』で初めて「霧」を読んだのはかなり前になりますが、
湖の向こうから徐々に迫って来る白い霧や何百匹もの気味悪い“虫”がついた巨大な脚が車の側を
ドスンドスンと通って行くイメージがずっと残っています。
もやとか霧に遭遇するたびにこの作品が条件反射のように思い浮かびます。
スーパーマーケットに閉じ込められた人たちの変化していく精神状態を巧みに描いていますね。
異常な状況の中で、日常の仕事を続けることで精神の安定を保っていたが、
仕事ができなくなると老女のオカルト思想にはまってしまう男。現実を受け入れられず
店の外に出て行った人たちなど。

ところでこの作品が映画化されるそうですが、いつ頃観れるのでしょうかね。

「握手しない男」
ボンベイ帰り、呪術がでてくる古風な奇譚つう感じですね。

「ウェディング・ギグ」
ギャングとジャズ・エイジの雰囲気が良く出ている話。リング・ラードナーの短篇に
ありそうです。主人公のジャズマンが冷めて一歩退いているところが人情話にならず
に良い。自分が太っていることで、兄が殺された思う女と人種差別を受ける黒人のジャズ仲間について「デブは食べるのをやめりゃいい。だが、ビリー・ボーイ・ウイリアムズの場合、できるのは息を止めることだ」なんて。

「カインの末裔」
これは長編のエピソードを切り取ったような含みのある話。
少年が犯行の前に「すすり泣いた」のは何故なのだろうか?

「死神」
いわくつきの鏡。そういういわれのある物や場所には近付かないのが一番。
万が一ホントだったらどうするんですか?

「ほら、虎がいる」
これは分かったような分からないような話ですねえ。そういえば子どもの頃、自宅に
ライオンがいる夢を二回ほど見たことがあります。キングも見たのか?

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「空白のページ殺人事件」K・C・コンスタンティン 中公文庫

2005-08-30

Tag :

☆☆

昔、炭坑で栄えた町。
凋落した炭鉱所有者の屋敷は、今では学生相手の下宿屋になっていた。
その一室で地元カレッジの女子学生の絞殺体が発見される。
死体の上に残された一枚の白紙のタイプ用紙。

市の警察署長バルジックと州警察の警部補ジョンソンが捜査に当たるが、
捜査が進むうちに彼女の生い立ちがしだいに明かになる。
下宿屋の老婦人の話し相手をする以外、彼女には友人はおろか話をした人間さえ
ほとんどいなかった。
それは彼女が子供のころ両親とドライブ中に交通事故で両親を亡くしたうえに、
事故の原因になった男の一言で心にひどい傷を負っていたためだった。
やがて彼女は育て親の叔父夫婦や幼なじみの励ましで、将来、秘書になるため大学に
入学したのだ。

バルジックが関係者から事情聴取するうちに奇妙な事実が明かになる。
それは彼女が苦手にしていた英語のレポートの評価が、二人の英文科教師で
まったく正反対になっていたことだった。

初版は二十年前です。いつもながら古い本についてうだうだ言ってすみません。
以下、多少ネタばれがあります。



わたしがミステリに求める読後感は“あー、面白かった”です。
だから、お気楽コージー・ミステリが好みです。
ところがこの作品は、辛い、滅入る、哀れ。被害者が気の毒すぎる。

被害者と同じくらいの挫折を味わった犯人を持ってきたつもりかもしれませんが、
わたしは不服ですね。なんだこいつって感じです。
読者を納得させるには、犯人に被害者よりもっと大きな悲劇を過去に体験させるべきでした。
そして最初から登場させていればもっと良い作品になっていたと思います
(わかんないけど)。

ミステリにはなんのひねりもありません。
犯人も被害者との接点もすぐに予想出来ます。
それと被害者以外の登場人物の描き方が中途半端だと思います。
詩人かぶれの英文科教授や体育教師など。

社会派ミステリではないと思うんだけどなあ…、
ミステリの味付けをした『アメリカの悲劇』なのでしょうか?

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「舞台裏の殺人」キャロリン・G・ハート ハヤカワ文庫

2005-08-24

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☆☆☆

いつもはamazonから無断で本の画像を借用しています。
本当にすみません。
ところで、古い本は画像がないので自分で描いてみることにしました。
あくまで洒落ですので・・・見逃して下さい(苦)。

ミステリ専門書店の店主アニーが所属する地元劇団は、リハーサル中に
何者かに嫌がらせを受けていた。騒動の中ついに殺人事件が起きる。
被害者には劇団員の多くが反感を抱いていたが、アニーの婚約者マックスが
容疑者にされてしまう。アニーは自分で犯人を突き止めるようとする。

かなり読みやすいコージー・ミステリです。青木久恵さんの訳が良いのでしょうか。
数々の海外ミステリの作家や作品名が出てくるので、読んだことのある名前があると
結構嬉しくなります。巻末にミステリ・ガイドが付いていて親切です。
古今のミステリを参考に謎を解こうとする主人公や、色々な探偵に成り切る
ミステリ好きの婦人ヘニーのマニアぶりが可笑しい。
気になるのは、巡回法務官があまりにかけ離れてバカなのと(ちょっと、やり過ぎ)、
動機についての伏線の張り方が弱いこと。
また、ポルシェに乗った金持ちの婚約者と主人公がいちゃつくのが少し嫌みですが、
海外ミステリファンは読んでおいても損はしないでしょう。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「クッキング・ママの名推理」ダイアン・デヴィッドソン 集英社文庫

2005-08-23

Tag :

☆☆4087602664.09.LZZZZZZZ.jpg


クッキング・ママ・シリーズの第3作目。
主人公ゴルディの息子と同居人の少年が通う私立学校での殺人事件。

なんだか登場人物がほとんど嫌な奴ばっかりなんだけど…。
ケータリング先のお客に暴言を吐かれても、商売だから我慢しなきゃならないし,
主人公がウィットにとんだ受け答えをするわけでもなし。読んでるこっちがストレスが溜りますよ。

アメリカのケータリング屋さんて大変だろうなあ。宗教によって食べられない物があるし、ベジタリアンにも種類があるから。
そういえば日本のベジタリアンてあまり目立たない存在ですね。わたしは会ったことがないです。

ケータリングを始めてみたい人には参考になるかもしれません。たとえば、〈ソーセージと塩漬けキャベツ〉は〈シュクルート・ガルニ〉というように、料理の名前には必ずフランス語を使うこととか。

ストーリーは、アメリカの大学受験に関する学校行事のところががわかりにくかった。
あちらも有名大学への進学は大変なんですね。
小さい町を舞台にしたシリーズには避けて通れない“主人公の死神化”の初期徴候が
現れてます。つまり、主人公が行くところ必ず死体ありというものですけど。
ミステリとしては、これを原作にサスペンス劇場:仕出し屋お母ちゃんシリーズを作れそうかな?くらいのレベルです。
主人公は榊原郁恵(すこし年とり過ぎか)、
主人公の友人マーラ役は井森美幸のデリ×デリコンビ。
あるいは定番片平なぎさ、山村紅葉コンビだろうか?
そうなると、恋人の刑事は船越か…。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「大魚の一撃」カール・ハイアセン 扶桑社ミステリー

2005-08-20

☆☆☆☆

新聞社の元カメラマンで現在私立探偵のデッカーは、高額賞金付きバス釣りトーナメント
の不正を調査し証拠写真を撮るように依頼される。先に調査を行っていた男は殺されていた。地元にいる新聞社時代の友人ピクニーに協力してもらい調査を開始するうちにスキンクという奇人ガイドに出会う。やがてピクニーも殺害され、デッカーも銃撃される。

よくできたエンターテインメント。長いけどテンポが良いため全然だれない。
しかし、物語ものがたりしているのはどうなのか、と感じる人もいるかも。
ハイアセンの作品はこれを含めて2冊しか読んだことがない。
アメリカほら話の流れを汲んでいるのか、「HOOT」にも言えることだけど
独特の読後感が残る。

作者には悪質開発業者による自然環境破壊がテーマにあるみたい。かといってシリアスではない。結構軽いノリだったりする。「HOOT」の場合はアナホリフクロウの巣がある場所を守ろうとする風変わりな少年の物語だった。
この作品では開発から自然を守れなかった変わり者スキンクが登場している。このスキンクが主人公より存在感があって、森の中の小屋に隠遁し、道路で車に轢かれた動物を拾って食べてたりする。
他にもかなりいっちゃってる個性的な登場人物たちが入り乱れる。

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

「くたばれ健康法!」アラン・グリーン 創元推理文庫

2005-08-17

Tag :

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☆☆☆

大金持ちの健康法の教祖がホテル4階にある自室で射殺体で発見される。
窓はわずかに開いていたが部屋には鍵がかかっていた。背中の銃創の入射角度から
中庭の水深が180cm以上あるプールの中から撃たれたらしい。そして、奇妙なことに
撃たれてからパジャマを着せられた形跡があった。

以前からミステリ100選に選ばれている作品をようやく読んでみた。
これもユーモア密室物(いわゆるバカミス系か?)。
アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作品。
本国では1949年刊行、日本では1961年初版なのでさすがにちょい古めか。
特に言い回しなんかが人によってはまどろっこしく感じるかもしれない。
(わたしのことですが)
逆にのんびりした感じが良いと思う人もいるかもね。
たまにはこういうのも読まないと現代ものばかりだと殺伐としてしまうよ。
捜査をする頭がよくない警部がもっと駄目駄目だったらもう少し笑えたと思う。

わたしは、終りから15ページくらいでやっとトリックが解りました。
かなり遅めですみません。

犯人はかなり計画的なわけで、わたしが陪審員だったら情状酌量にはしないでしょう。

表紙は登場人物たちが健康体操をしているところ。表情が笑える。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「衣裳戸棚の女」ピーター・アントニイ 創元推理文庫

2005-08-16

Tag :

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☆☆☆☆

ホテルの密室になった部屋で男の射殺死体が発見される。犯行発覚直前にその部屋を訪れた二人の男と犯行現場の衣裳戸棚に閉じ込められていたウェイトレスが容疑をかけられる。挿絵付きユーモアミステリ。


この作品は97年の“このミス”十四位になってるんですね。知らなかった。ということはわたしのような者は、昔の“このミス”を読み返して未読物を古本屋さんで探せば、まだまだ掘り出し物が見つかるかもしれないってことか。泣けてくるよ、いろんな意味で…

イギリスで1951年刊行された作品なので、現代のミステリのサスペンス性に馴れてしまっている身には、どうもストーリーは刺激に乏しいし登場人物はステレオタイプぎみ。

名探偵ヴェリティは、いろいろな証拠を積み重ねてしだいに真相に辿り着くのではなく、デクスターのモース警部みたいに推理が二転三転するタイプです。
でも一介の探偵が警察に邪険に扱われない時代設定は懐かしくていいですね。探偵がすごく偉くて警官を顎で使ってるし。そういうところがいかにも物語といった感じで、古き良き時代のミステリの雰囲気を感じさせてくれます。
正直終盤まではそれほど面白いわけではないが、密室のトリックを解く場面ではあっけにとられました。ありですか?この展開は?それを味わうだけでも読むべきです。

「戦後最高の密室長編」というふれこみですが、密室物によくあるトリック及び状況のややこしさはありません。


それから余談ですがこの作品をネットで紹介されている皆さん、題名は「衣装」ではなく「衣裳」ですよ。わたしも間違えていました。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「魚は夢を見ているか」鈴木克美 丸善ライブラリー

2005-08-15

Tag :

☆☆☆

魚は野良猫の悪夢を見るか?

日本人は世界一魚を食べるのに、河川や海の環境、魚の生態についてはあまり関心を示してこなかったですね。現代でも一部の釣り人のマナーの悪さは環境と生態系を破壊していると言ってもいいくらいだし。

この本は魚の世界に興味を抱いてもらうために書かれています。蘊蓄本と違うところは
なぜそうなるのか?という説明をしているところ。50話の魚についてのトピックスが語られていますが、個人的には数を半分にしてもっと詳しく説明したほうがインパクトがあったように思う。

以下、わたしが興味を引かれたところ。
トビウオが翼(胸びれ、腹びれ)を広げたときの揚力と抵抗の最大比は、約二五もあり、
イヌワシ(!)よりも効率がいい。

魚の舌はものの味を知るのに役立っていないらしい。魚の味蕾は、口の周囲、ひげなどのほか、ひれや皮膚のあちこちに分布している(皮膚味蕾)。

魚の子育ての主役は常に雄の役目。その理由は、最初に産卵があって次ぎに受精があるから。産卵が終わった雌はさっさとその場を離れ、雄と卵があとに取り残される。もちろん哺乳類はその逆ですね。

まだよくわからない疑問も提示してあります。

なぜオニオコゼがみにくくて、姿をかくすのもうまいのに、鋭いとげに毒まで仕込んでいるのか?
たしかにコスト面からは過剰。きっとオニオコゼは捕食者にとってものすごく美味でしかものろまな獲物だった。それでどんなに防御しても襲ってくるので、「しつこいな、お前」と思いながら護身がエスカレートしていき最終的に毒を持つに至ったのでは、と思う。

魚の雌にとって産卵によるリスクはそう大きくないし、産卵しなければ子孫を残せないのに、例外はあるが雄の求愛に消極的で産卵を避けたがるのはなぜか?
さっぱり解りません。

なぜ、サンゴ礁の海に「多様性の高い生物群集」ができ上がったのか?
本書に幾つか答が書いてあります。

最後に魚は夢を見ているかの答えは、
眠っているかどうかもあいまいで、熟睡することもなさそうだから、多分夢は見ていないのではないか、だそうです。だろうね。

2007年6月30日追記

『魚の子育てと社会』桑村哲生 海鳴社 によると、魚類では雄が子育てをするものが多いが、一夫多妻などの場合、雌のみが子育てを行う例もあるそうです。一概に雄のみとは言えないようですね。

テーマ : ペット・動物の本
ジャンル : 本・雑誌

「ロンドン骨董街の人びと」六嶋由岐子 新潮文庫

2005-08-13

Tag :

☆☆☆☆
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大学卒業後にロンドンにある古美術商の老舗スピンクに就職した女性のエッセイ。

最近ではそれほど極端な傾向は見られなくなったが、ひと昔前まではイギリス特にロンドンで暮らした経験のある日本人が書いた本というとイギリス礼賛か批判の二極に別れていたように思う。
その点この本は非常にバランスがとれていて、それは著者がイギリスに留学した当初に「悪名高い下町」であるイースト・エンドに居を構えた経験が少なからず影響しているからではないだろうか。

著者の同居人タニヤは高学歴で美人の金融アナリスト、シティに勤めるヤッピーだが実はイースト・エンド出身で両親は離婚し母親に捨てられた過去がある。

「廊下に駄菓子の紙袋を捨てたり、犬の糞をそのままにする住人たちの腐ったような目に気がついて?あなたの国では、良心やマナーが欠落している人がそういうことをするのではなくって?でも、イギリスの場合はそれだけではないの。この国の階級社会による貧困が深刻なのは、人間としての感性そのものが欠落している人間以下の人間を造ることなのよ」
そう言いながらも彼女は生まれ育ったこの地から離れることができない。
イースト・エンドが2012年ロンドン五輪のメイン会場となったことをどう感じているだろうか?

タニヤの父親が母親に贈ったジョッキを持って、著者は彼女と共にTVの鑑定番組の予選会に参加するエピソードにはしみじみしてしまった。

著者は古美術王国の歴史的背景に英国王室の後押しを受け世界各地からの美術品の収奪という過去の事実もあることを認めながらも、イギリスが美術品の美しさと歴史的意義を後世に残してきた功績を評価している。

スピンクで働く同僚たち、様々な個性を持つコレクターたち、没落貴族とハウス・セールの話などが冷静でブレない視点と分かりやすい文章で書かれている。
骨董品屋を覗いてみたくなる本。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「砂漠の標的」ギャビン・ライアル ハヤカワ文庫

2005-08-11

Tag :

☆☆☆☆

戦車オタクの皆様にかなりお勧め。

ロンドンのホテルでヨルダン陸軍大佐の拉致事件が起こり、ヨルダンの都市アカバでは軍事クーデターが発生する。同じ頃、砂漠地帯でテスト中のイギリス最新鋭戦車が行方不明になる。拉致事件の情報を携えてヨルダン入りしたマクシム少佐は、戦車の軍事機密が反乱軍に渡るのを阻止するため戦車の捜索と破壊任務を受ける。急ごしらえのチームを編成し砂漠へと向かうのだが・・・

マクシム少佐シリーズの『影の護衛』『マクシム少佐の指揮』を読んだ限りでは地味なエスピオナージといった印象でしたが、今回は戦車に乗って砂漠を逃げ回る派手めな展開。紛争地帯で素人のチームにそんな重要な任務を任せていいのか?もう少し敵が強いほうが盛り上がるのではないのか?後半のカットバックはそれ程緊迫感を感じさせないのでなくてもいい、など感想もありますが、設定が単純なので面白くてサクサク読める。主人公が失言して反省したり間違えた判断をしたりしてスーパーヒーローになってないのも良いです。戦車についても詳しく描いてあるのではないでしょうか。
ライアルの洗練されてなさが効いてる冒険小説です。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ホラーSF傑作選-影が行く」P・K・ディック、D・R・クーンツ他 創元SF文庫

2005-08-09

Tag : SF 短編集

☆☆☆☆

日本オリジナル編集のホラーSF13編。有名作家ばかりでどれもレベルが高い。
以下、少々ネタばれがあります。
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「消えた少女」リチャード・マシスン
映画の『ポルターガイスト』の少女はテレビの中に消えたが。

「悪夢団」ディーン・R・クーンツ
ミュータントが超能力を使って手下に人間狩をさせるナイトメア。

「群体」シオドア・L・トーマス
下水はスープ状態の原始海洋と言えなくもないので、そこから化学反応と突然変異により未知の生物が生まれないとも限らない。トイレや台所の流しにスライムみたいなものがくっついていたら直接触ってはいけない。あなたの指が溶けて消えてしまうから。

「歴戦の勇士」フリッツ・ライバー

「ポールターのカナリア」キース・ロバーツ

「影が行く」ジョン・W・キャンベル・ジュニア
映画『遊星からの物体X』の原作。この話は有名ですね。南極で氷漬けの異星人が発見される。解凍された怪物は人間や動物を襲い同化してしまう。
ですから愛地球博のマンモスも解凍すると危ない、と思う。

「探検隊帰る」フィリップ・K・ディック
『時間飛行士へのささやかな贈物』を思い出した。

「仮面」デーモン・ナイト

「吸血機伝説」ロジャー・ゼラズニイ
人間が絶滅した世界での吸血鬼フリッツと吸血機(魔物ロボット)わたしのふれあいの物語。吸血機といっても吸い取るのは他のロボットの電力。
“わたしはフリッツのなごりをかき集め、棺へと運んでいく。骨はもろいうえに、黙して語らない”カッコイイ。

「ヨー・ヴォムビスの地下墓地」クラーク・アシュトン・スミス
でかいキクラゲを想像してしまった。

「五つの月が昇るとき」ジャック・ヴァンス
レムの『ソラリスの陽のもとに』を思い出した。五個の月を持つ惑星の孤島で灯台守をする男。“五つの月が昇るときは、なにも信じないほうがいい”と言われていたが…

「ごきげん目盛り」アルフレッド・べスター
たぶんアンドロイドもロボット三原則が適応されるはずなのに、このMAアンドロイドはある理由で連続殺人を犯す。

「唾の樹」ブライアン・W・オールディス
ネビュラ賞受賞作品。
19世紀末のイギリスの片田舎。プレデターのように目に見えない異星人が乗った宇宙船が農場の池に落下する。プレデターは狩猟星人だがその異星人は栽培星人。農場一帯に肥料の雨を降らせ作物から家畜まで、または野鳥やヒキガエルまで繁殖させ太らせ味まで自分達の好みにしてしまう。

今風に言えばH・G・ウェルズをリスペクトしたらしい作品。
さすがオールディス、雰囲気がいい。

テーマ : SF
ジャンル : 本・雑誌

「ナイト・ソウルズ」キング、マキャモン他 新潮文庫

2005-08-06

☆☆☆

22編のホラー系アンソロジー
有名作家では、
「夜襲部隊」マキャモン、「埋もれた才能」マシスン、「ささやかな愛を」ブロック、
「大きな岩のある海辺で」ランズデール、「ポプシー」キング。

特に「夜襲部隊」にはゾクゾクした。ベトナム戦争で化学薬品を浴びたため戦場の悪夢が実体化してしまう男の話。男が眠ると彼を殺しに昔の戦友がよみがえり戦場となって他の人まで巻き添えにしてしまう。ドラマ・トワイライトゾーンで映像化されたそうです。

「ポプシー」は賭博で莫大な借金を負った男が子供の人身売買に係わるが人間ではない子供を誘拐してしまう。ベタだけど怖い話。

その他「ソフト病」F・ポール・ウィルソン、「廃車置き場」ウィリアム・F・ノーラン、「代理教師」ゲイアン・ウィルソン、「隠れ場所」スティーブ・ラズニック・テム、「夜は早く凍てつく」トーマス・F・モンテレオーネ、「ワードソング」J・N・ウィリアムスン、「追体験」ラムジー・キャンベルなど。

「ソフト病」は人間の骨を崩壊させるウィルスに罹患し人類が死に絶えていく中で生き残った父娘の絶望的話。ニュースキャスターの顎がソフト化して垂れ下がった場面ではアボットの図書館長シリーズの主人公を思い出して笑ってしまったけどそういう話ではないですよ。

「廃車置き場」は誰にでもある薄気味悪い場所にまつわる話。子供の頃、気味の悪かった廃車置き場にはじいさんと灰色の犬がいたのだが、三十歳になり父親の葬儀で久しぶりに町に帰るとまだそこは彼らが…

「代理教師」は異次元からの侵略者と子供たちのおかしな話。

このアンソロジーの編者であるウィリアムソンの「ワードソング」は完成度は低いと思うが終わり方に趣があって余韻が残る。

ジェームズ・ハーバートの「モーリスとネコ」は核シェルターで生き残った男の話。ネコの扱いが不満。

レイ・ラッセルの「シャデク」には失笑してしまった。

残念ながらブラッドベリの収録作品は詩です。

「密造人の娘」マーガレット・マロン ハヤカワ文庫

2005-08-03

Tag :

☆☆
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どうも合わないようです、マロンさんとは。
人種差別的な裁判官に義憤をおぼえて判事の選挙に立候補する主人公の描き方はとても良いと思う。選挙期間中にも関わらず昔ベビーシッターをした娘の頼みで十八年前の母親殺人事件の調査を引受けたり、密造人だった主人公の父親との葛藤があったりと。
しかし、作者は主人公を生かしきってないような。もうちっと主人公の周辺を整理したらどうなんだ。なんせ主人公の地元の南部の地方町が舞台なもんだから家族、親戚、同僚、町の住人、政治家、高校の同級生、警官などなんでもかんでも登場させ過ぎ、いちいち説明し過ぎ。パーティーなんか始めたりした日には大変ですよ、カタカナ多くて。
マーガレットちゃんは続・『風と共に去りぬ』でも書くつもりだったのかな?!
それから新聞社や葬儀場の描写がそんなにいちいち必要なのかな?テンポが悪くなって進行が滞るように感じるんですけど。

アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作品。
訳者の高瀬素子さんもあとがきに書いているように『土臭い南部の香りがする小説』なので、南部の人の様子や風物を感じたい人にはお勧めです。そこらあたり好みが分かれるミステリだと思います。

「ぬき足、さし足、にゃんこ足-猫のあいうえおもしろエッセイ-」加藤由子 PHP研究所

2005-08-01

Tag :

☆☆☆

わたしは猫好きなので猫本の紹介をさせて頂きます。
猫本ファンの方にはおなじみの加藤由子さんのエッセイです。
PHP研究所と加藤由子さんのタイトルのセンスにはかなり苦笑。

あ~わまであいうえお順に『あ』からはじまるエッセイ、『い』からはじまるエッセイという風に著者の体験をもとに書かれたものです。
たとえば、
『あ』愛想の良い猫と悪い猫、どちらがいいか。
『い』家の中にハエが一匹、これで猫が大騒ぎをする場合もある。
『う』薄目を開けて寝る猫がいる。
『え』映画に出演する猫の調教をやった。
『お』おっぱいを猫にかまれたことがある。

動物行動学を専攻し、長年、沢山の猫と暮らしてきた著者だけに観察が鋭い(ところもある)。

「『せ』背中にオンブするのが大好きな猫がいた。」では猫の後ろ足が開くか開かないかによってオンブできるかできないかが決まり、長毛種は開くタイプで短毛種は開かないタイプとのこと。日本猫は短毛だが両方のタイプがあり過去に両種の血が混ざり合ったからだそうです。う~ん、かなり微妙。解剖学的に証明してみたら…でも、一般の研究者は猫をおぶったりしないよなあ。

「『ね』眠くなった猫はダダをこねる。」では『グズり癖』のついた猫は、尿意と眠気の区別が飼い主にはつかない。そこで肉球で判断できるそうです。肉球が真っピンクの場合は眠いとき、白っぽければおしっこ。肉球が黒い猫の場合は、鼻の頭で判断できるそうで眠いと赤くなる。どちらも黒い猫は耳の血管を見れば良いそうで、血が通っているのがはっきりと見えるときが、眠いときだそうです。しかし、この知識って役にたつのかどうなのか?

猫を飼っている人は共感するところが多いと思います。

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

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