「ビート・オブ・ハート」ビリー・レッツ 文春文庫

2005-11-29

☆☆☆☆☆

甘ちゃんと呼べば呼べ!わたしはこれで泣きました。

「17歳の少女ノヴァリーは、赤ん坊を身ごもって七か月目に、オクラホマの小さな町でボーイフレンドに置き去りにされてしまう。故郷を捨て、西海岸での新生活を夢見ての旅だったのに。」                       裏表紙あらすじより

文春文庫編集部の海外小説担当部(そんな部署があるかどうかは知りませんが)は、たまにとても良い仕事をしますね。たとえば、M・グライムズのジュリー警視シリーズ、R・マキャモンの「少年時代」、A・タイラーの諸作品など。
そして、この作品もかなり良質な小説です。

作者は、数多くの短篇を書いている経験があり、さらに大学で創作を教えているだけに、短い章を重ねてストーリー展開をスピーディーにしたり、ノヴァリーの恋人だったウィリーの場面を挿んで読者を飽きさせないようにするなど、構成に長けていると思います。また、主人公の不幸な境遇や彼女を囲む善人ばかりの登場人物など、下手すると歯の浮くような甘ったるい物語になりかねないのだけれど、作者は抑制した筆致で、少女の成長物語を語っています。(後半部分に“偉大なるメロドラマ”風なところもあるけど)
登場人物の配置が少しパターン的なところや特定の人物の背景描写が物足りないところ
などはありますが、そんなことは気にならないほど良い作品です。

けなげな主人公に、アメリカ文学の中にあるイノセンスを見たように思いました。

テーマ : オススメの本
ジャンル : 本・雑誌

「ロンドン再発見の旅」林信吾 中公文庫

2005-11-27

Tag :

☆☆☆

英国を舞台にしたミステリを読んでいると、キュウリをはさんだだけのサンドイッチを食べる場面が出て来ることがあります。よほど英国のキュウリは美味しいのかと思っていたのですが、この本によると「昔の英国では、キュウリは珍しい野菜で、珍重されていたため」高級珍味として食べられていたとのこと。その習慣が残っているというわけですね。

英国に暮らした日本人が書いた英国についての、あるいは英国をだしにして日本を語った本を読むと、その人が所属していた階級と日常接した人々の所属する階級によって、いかに英国という国のイメージが形成されているのかがよく理解出来ます。どこの国においても普段接する人々によって、その国の印象が形作られる事は当然でしょうが、階級社会と言われる英国社会だからなお一層その傾向が顕著に、そして悪くすれば偏狭になってしまうのではないでしょうか。

アメリカやイタリアなどについての同様の本と比べて、日本(人)に説教臭くなりがちな理由は、そのあたりにあるのかもしれません。
また、今でも自分が属していた階級に囚われた視点からでしか、英国や日本を語ることができずに本を書いてる人は、己の狭量さを世間に晒しているようなものだと思います。

著者はロンドンで発行されている日本語新聞の編集者として十年間、英国で暮らしたそうです。英国を離れて、三年後に再訪した時の印象を過去の体験を織りまぜて綴った本です。著者はジャーナリストという立場で、様々な階級の人間と接する機会があっただろうし、そういう意味では多面的に英国社会を眺めることが出来たのだと思う。わたしは、著者のそれぞれの国に対するスタンスにはかなり共感を覚えました。

しかし、いかんせん、この著者は文章が拙い。三十代後半に書いたにしては、青臭いというか素人っぽい文章のように感じます。

テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

「ママのクリスマス」ジェームズ・ヤッフェ 創元推理文庫

2005-11-25

☆☆☆

安楽椅子探偵ママ・シリーズのニ作目。
クリスマスが近付いたある日、穏やかに老後を送っていたユダヤ人夫婦の隣家の教会が、突然派手な電飾のディスプレイを点滅させ、クリスマス・ソングを大音響で鳴らし始めた。連日連夜の行いに文句を言いに行った息子ロジャーと牧師の間にトラブルが起こり、ロジャーが訴えられてしまう。弁護人事務所の捜査官デイブが調査する中、牧師の射殺体がダイイングメッセージとともに発見され、容疑者のロジャーが失踪する。

クリスマスの浮かれた雰囲気がないのは、主人公の“ママ”とその息子デイブがユダヤ人だから。ユダヤ教ってクリスマスを祝わないのですか?!知らなかった。アバウトな仏教徒らしき日本人でさえ…(略)

ユダヤ人社会は地方に行くほどマイノリティな存在になるのでしょう。
作者は、キリスト教とユダヤ教の相違、保守的な気風の町及び有力者たちとユダヤ人社会を対比させて、物語への興味を高めていると思います。
プロットがありがちな感じなので、事件の背景にそういう事情を配置して、新味を持たせるあたりは上手いです。

それにしても、ママはデイブの話だけで推理し事件を解明してしまうのだけど、どれだけ詳しく話して聴かせてるんだよ、と思いました。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「絞殺魔に会いたい」パーネル・ホール ハヤカワ文庫

2005-11-23

☆☆☆

事故専門調査員スタンリーが訴訟依頼人に会いに行くたびに相手が絞殺されているのを発見し、またもや容疑者にされてしまうというお約束の展開。
今回はいつになく謎解きの要素が加わり、前作より楽しめました。
いつものマコーリフ部長刑事ではなくて、クラーク部長刑事が事件の担当になります。でも、主人公のスタンリーがバカにされるところは相変わらず。その上になんと、警察の天敵であるスタンリーのボスのリチャードに精彩がなく、クラークにやられっぱなし。どうもこのクラークはマコーリフよりも優秀でしっかりしてますね。今まで以上に本作品では刑事を主人公にして、別の警察ミステリが出来あがるんじゃないのかと思わせるくらいです。しかし、本来、脇役でも良いような人物をあえて主人公に設定するあたりがこのシリーズのユニークなところであり、あまたのミステリの中で存在意義を示している点なのでしょう。と一応分析してみる。

それにしても毎度毎度スタンリーは人の家を訪ねて、ノックしても返事がないと“鍵のかかってない”ドアを開けて“勝手に”中に入り、死体を発見してしまうという愚行を犯しているのですが、いいかげん学習しなさいと思うのはわたしだけでしょうか。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「私のはじめての事件」アネット・ルーム ハヤカワ文庫

2005-11-21

Tag :

☆☆

「知らないうちに歳月が忍びより、気がついたとき、乱雑なキッチンに立っているわたしは四十四歳」、で始まる英国推理作家協会賞新人賞受賞作品。

専業主婦の主人公「わたし」は地元新聞社に就職する。死体を見つけた時は、「『まあ、たいへん』わたしは声に出して、ごく静かに言った。『たいへん!』登っていってよく見なければ。いまのわたしは主婦ではなく、新聞記者だ。」と記者魂を見せたりもする。そして、この時から主人公は同僚の男性記者と共に深く事件に係わり、人生までもが変わっていくことになる。

中年夫婦の倦怠、不倫、麻薬、土地開発、環境破壊などいくつものテーマを入れ過ぎているせいなのか、すごくまとまりの悪さを感じた。それぞれのテーマが終盤、ひとつにならずバラバラなまま終わってしまったような不統一感が残る。

英国女流作家の作品は重厚といったイメージがわたしの中にはあるけれど、この作品にはアメリカ的な軽さがあるように思う。
ソフト・ボイルドを想わせる語り口ながら、作者は英国らしい辛らつなユーモアやウィットを主人公に吐かせて、魅力的な人物像を描いたのに、そこに恋愛を持ってきたのはすごく残念。ここは平凡な中年主婦が、記者という仕事と事件を通して成長する話にして欲しかった。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「不変の神の事件」ルーファス・キング 創元推理文庫

2005-11-18

Tag :

☆☆☆☆

題名が仰々しいし、あらすじを見て暗くてシリアスな話かと思っていました。
が、しかーし、読後、考えてみたらこの作品はスラップ・スティック風、
ブラック・ユーモア風サスペンスではないですか。

まず、事件の発端である新妻が死亡する原因。これが娘時代に舞台俳優に出したファンレターによる恐喝とは…この作品が1936年に書かれたとはいえこれは…作者もそのあたりは充分承知して、わざとこういう設定にしたのではないのかな。その後、恐喝者が新妻の実家で死んでしまうのですが、その死体を処分するのにドタバタする場面。縄張りに死体を捨てられたギャングが別のギャングにそれを押し付け、そしてまた別のところへ…死体がたらい回しされるところ。
第ニの犠牲者が殺されるときの状況。
新妻の妹が二人の男性の間で気持ちが揺れ動く様子と思い込みもなんか可笑しいし、恐喝者が「不変の神」という新興宗教もどきに目覚め、カリフォルニアで信仰活動を始めようとするなどはパロディ気味。しかし、全体を覆うトーンはシリアス・サスペンスなんですよね。

そして作者の気が済んだところで、物語の終盤、急に本格ミステリ風に場面転換してしまいます。この変わり身の早さにびっくりした。
そしてサプライズ・エンディング!!

惜しむらくは物語がやや短かくて事件を解決する警部の影が薄い。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「踊り子の死」ジル・マゴーン 創元推理文庫

2005-11-16

Tag :

☆☆☆☆

寄宿学校の創立記念晩餐舞踏会の夜、奔放な男性関係を噂されていた副校長の妻が殺された。校内で頻発する盗難事件を担当していたヒル部長刑事と上司のロイド首席警部が捜査に当たる。

ロイド首席警部とヒル部長刑事のシリーズ三作目。
このシリーズは三人称形式だけれど、ただ一人の視点から語られるのではなく、
多数の登場人物の視点に切り替わって語られていく。
一作目の『パーフェクト・マッチ』では、そういう構成がなんだか読みにくかったけれど、今回は気にならずに読めた。
このやり方は、長い話の場合は目先を変えて、ダレずに読ませるのに良いかもしれない。
しかし、一方、殺人犯を含めた主な登場人物たちの内面を描写するわけだから、どの程度まで描いて読者に提示するのか、そのさじ加減が微妙になる。この作品では成功しているとは言えないのではないだろうか。わたしは読み終わった後で、犯人の普段の言動に不自然さと違和感を感じてしまった。とても殺人を犯した人間とは思えない。
それから被害者の性癖についても同じように描き足りていないと思う。
優れたミステリなのにその点が惜しい。

なんだかんだ言ったけれど、それでもジル・マゴーンはすごい。全然犯人が当たらない。
捻りまくってその上も一つ念入りに捻ってあるから、疲れてなんだか集中が途切れて、
もう最後はどうでもいいやって気になって終わってしまった。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「犬の人生」マーク・ストランド 中公文庫

2005-11-13

Tag :

????

村上春樹訳、アメリカの桂冠詩人の処女短篇集、14篇収録。

「更なる人生を」
蠅や馬、果ては恋人にまで死んだ父親の気配を感じてしまう男、
あるいは父親のようになってしまいそうな自分を、
または自分の内にある父親の面影をそれらに投影しているのか…

「真実の愛」
五度結婚し、恋愛を六度した男の話。
男は気に入った女性に出会うたびに“真実の愛”だと思い込み妄想を
膨らませるが、“真実の愛”とは別に結婚した妻たちとは上手くいかず
に別れてしまう。実際の結婚生活の乖離と彼の中の“真実の愛”の陳腐さ、
その身勝手さを描いているのだと思う…たぶん。

「犬の人生」なんのことやら。
「水の底で」などは、作者のただの記憶の断片とそれに付随するイメージを
書き連ねた(だけの)ものではないのか。
「ザダール」はセンテンスの短さも相まって、自動翻訳にかけたら
こんな具合だろうと笑ってしまうほど直訳風。

マーク・ストランドのいかにも詩人が書いたような一部の作品を、
短篇小説として日本語に移す作業は、俳句を英訳する以上に困難を伴うだろうし、
かなり無理があると思う。それは村上氏だけでなく柴田氏であっても。
だから、そういう作品は端からきっぱりと散文詩だと紹介するのが一番良いのでは
ないかとわたしは思います。

無人島に一月滞在する予定がある時にはお勧めの本です。
記号論による分析と解釈になる可能性はあるにしても、再読に耐える本だとは思う。
しかし、誰かが言っていたように、人生は短く読まなければならない本は多すぎる
のです。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「誰にでもある弱味 イギリス・ミステリ傑作選 '79」

2005-11-12

Tag : 短編集

ジョージ・ハーディング 編 ハヤカワ・ミステリ文庫
☆☆

短篇を10話収録。
知っている作家は、ジュリアン・シモンズ、サイモン・ブレット、
エリス・ピーターズくらいです。
すべて'79年に発表されたものですから、ひねりが古いです。
おなじハヤカワ文庫から出ていたアメリカのアンソロジーの軽さと比べると、
やはりイギリスものは良い意味でやや重いかなと。

「手ぬかり」ジュリアン・シモンズ
劇作家でもある中年の俳優が自己満足のために、妻を殺害する完全犯罪を
もくろむという話。まあまあ、ですかね。終盤に展開が読めた。

「狙った大物」アイヴァー・ドラモンド
新参の俗物の釣り師に人手の入っていない、自然豊かな釣り場を破壊された
昔気質の釣り師が殺人計画を立てる。フライの話とかが長すぎてなかなか殺人に
至りません。フライ・フィッシングファンにはうけたでしょうが…
個人的にはこの動機は共感できます。でも乱暴すぎる犯行方法にはひと工夫して
欲しかった。たとえば水死とか。

「二重窓」サイモン・ブレット
サイコ(?)もの。犯行に至る主要人物の心の動きがほとんど説明されていないので
唐突な感じを受ける。

「お灯明の代価」エリス・ピーターズ
修道士カドフェル・シリーズの短篇ものです。
上手くまとめた人情物。強欲な領主が僧院に燭台を寄贈するが、それが盗まれ
番をしていた者がマリア様を目撃する。

「北風」グウェンドリン・バトラー
「警察は自信たっぷり」マイケル・レヴィー
この二つの短篇は訳者の中村保男さんが言及しているように、一人称にかかる
欠点があります。前者はストーリーの不自然な流れが、後者は急な展開に
違和感を感じました。

「オファ・レックスの目」ジョナサン・ギャッシュ
希少なコインをめぐって夫を殺された妻の復讐の物語。その方法がユニークです。

「誰にでもある弱味」アントニイ・レジャーン
イギリスの政治家の話。日本に置き換えると、過去の醜聞をネタに恐喝される
アベ官房長官をコウノ衆院議長が気が進まないけど助けるといった物語かなと。

「ブーディカ女王殺し」アントニイ・プライス
古代ローマに支配されたイングランドに起きた反乱。巻き込まれた男の
一か八かの賭けの話。

「ビジネス・リスク」サラ・ゲインハム
不倫をネタに脅される女性社長の話なんですけど、これのどこがミステリなのか?

*この本は絶版か品切れで入手困難です。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ママは眠りを殺す」ジェームズ・ヤッフェ 創元推理文庫

2005-11-09

☆☆☆

安楽椅子探偵ママ・シリーズの三作目。

アマチュア劇団の『マクベス』公演初日、舞台上で殺人が起きる。劇中で暗殺される役者が実際に刺し殺されたのだ。折しも調査員デイヴは、部下のロジャーが脇役で出演していたために客席でその場面を目撃していた。

『マクベス』は呪われていて上演すると不幸に見舞われるので、リハーサルや本番中以外に劇場内では『マクベス』という言葉を口にしてはいけない、という言う伝えがあるためわざわざ「スコットランド物」と言い換えているんですね。
そういえばキャロリン・G・ハートの『舞台裏の殺人』にも、舞台上で『マクベス』の中の台詞を口にすると縁起が悪いというジンクスが出てきました。知りませんでしたが、結構ポピュラーな言い伝えみたいです。

演劇中に殺人が起きるという設定はブランドの『ジェゼベルの死』以来お馴染みですが、
かなり衝撃的だからミステリ作家としては使ってみたいトリックなのでしょうね。
でも本文中にもあるように、普通なら殺人と言うのは通り魔のせいにしたほうが良いわけで、観客の前で人を殺すメリットなどないのではないでしょうか。よほど合理的な理由がなければかえって不自然に思えるし、この作品にしてもそれほど納得のいく理由ではないと感じましたが。
ネタバレになるので詳しく書けませんが、殺人を犯した動機がこれではかなり弱いように思います。

デイヴとロジャーが一章ごとに交互に語る形式は良かったです。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「フェニモア先生、宝に出くわす」ロビン・ハサウェイ ハヤカワ文庫

2005-11-07

Tag :

☆☆☆

文中にiMacが出てきたことに驚きました。ハサウェイさんは林檎使い?

フェニモア先生は、かかりつけの患者から土地と財宝のありかを示した地図を相続したのですが、その土地はいわゆる沼沢地で使い道がない。現地へ行ってみると海賊の財宝伝説があり先生の夢もふくらみますが、旧家の土地をめぐる脅迫事件に巻き込まれてしまいます。

フェニモア先生シリーズの第三作目。
ホレイショの存在に違和感を感じたので、第一作から読んでおけば良かったかな。
古本屋に頼るという事情があるものですから、シリーズ物はなかなか順番通り読めないんです…

のんびりしたミステリですね。印象が薄いというか、なんだか物足りない読後感です。
良い人過ぎるフェニモア先生には、もう少し強力な個性が欲しいように思います。
ドイル夫人の活躍のほうが目立ってた。
題名から、『まやかしの風景画』(ピーター・ワトスン)のような宝探しがメインのストーリーになるのかと思っていたけど、あまり財宝関係の話は出てこなかったです。
あと無駄に長過ぎの気もする。

サールというマーマレード色の雌猫が登場します。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「お人好しでもいい」パーネル・ホール ハヤカワ文庫

2005-11-05

Tag : パーネル・ホール

☆☆

また読みました。軽いから。
今回、主人公ヘイスティングズはマコーリフ部長刑事に泣きつかれて、しぶしぶ個人的な調査を引受けることに。どうもマコーリフの娘婿がトラブルを抱えて、夫婦仲がぎくしゃくしているので原因を探って欲しいというもの。仕方なく娘夫婦の住むアトランティック・シティへ赴き、見張りを始めると夫婦ともに不倫をしている様子があり、妻には尾行が付いている。

関係者の家を訪れると、やっぱり死体発見!なんだか前回と似てる展開だなあ。
すぐに警察から目を付けられてるし、逮捕されてるし。
こんなに軽くあしらわれる探偵も珍しい。シャーロック・ホームズの時代からすると探偵の地位も扱いも落ちたものだ。
刑事から「ばか」「ドジ」「間抜け」なんて言われる探偵がいるなんて、ホームズ先生には信じられないだろう。

主人公よりも目立ったのは、警察や検察と対決したがる彼の雇い主の弁護士リチャードです。主人公に殺人の疑いがかかると取る物も取り敢えず駆け付けて来るけど、主人公が心配なわけではなくてただ自分の手腕を裁判で誇示したいだけなんですけどね。その身勝手さが可笑しいです。

というわけで、三冊目にして少々マンネリを感じるこういうタイプのシリーズ物の感想は難しい。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「マルクスの末裔」バリー・メイトランド ハヤカワ文庫

2005-11-03

Tag :

☆☆☆☆

マルクスのひ孫にあたる老三姉妹が住む街の家々が不動産会社の再開発計画により
次々に買い上げられていた。
そんな中、家の売却を断っていた長姉が自宅で死亡しているのが発見され、殺人の
疑いが持たれる。
首都警察の刑事キャシーが担当になり、ロンドン警視庁の有名な主任警部ブロック
がアドバイザーとして派遣されて来た。重大な事件でもないのにといぶかりながらも
キャシーは彼と捜査を始める。そして、被害者と近隣の住人との間にトラブルがあった
ことが判明し、さらにマルクスの未発表原稿の存在も浮かび上がって来る。
しかし、結局、死因は病死との判断で捜査は打ち切りになってしまう。
数カ月後、今度は残された姉妹の一人が不審死を遂げる。

真犯人が解ったと思たんですけど…大ハズレ。
最後までどんでん返しでした。
まず、何故、辣腕警部が捜査の手助けに派遣されたのか、第二部の初めに明かにして読者の興味を再度引くところ、事件の背景に三つの要因を設定したところ。つまり街の再開発問題、近所の住人とのトラブル、マルクスの未発表原稿、それぞれに容疑者を配置して事件を多面的にし、被害者の人柄や性格を複数の視点から明らかしていく手法。
このあたり作者はかなり上手いと思うし感心しました。描かれる街の様子も独特で存在感があります。

どうしてこの作品が日本で話題にならなかったのかなあ。
参考文献として『資本論』の第一巻は読んでおいたほうが良いでしょう、


って冗談です。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「生きる読書」群ようこ 角川oneテーマ21

2005-11-01

Tag :

☆☆

なんだか妙ちきりんなタイトルだこと。
このひとの本・読書関係のエッセイだけは結構読みました。外国文学のみの『本は鞄をとびだして』はかすかに参考になったような覚えがあります。
今回の本は“この月買った本”として一月約20~50冊、合計450冊ほどのリストが各エッセイの最後に挙げてあります。他人しかも作家がどんな本を買うのかって興味が湧きますよね。
エッセイの内容は、自分の身の回りのエピソードと絡めてさり気なく紹介するいつもの感じです。しかし、取り上げている本は一冊くらいなので、この大量の本をどれくらい読んだのかが分からない。資料として購入しているものもあるのでしょうけど、購入理由でも軽くコメントしてあればと思いました。まあ、雑誌の連載エッセイなので原稿枚数の制限があったのでしょうが。
P185以降の日経夕刊連載のエッセイは読書とは関係のない雑文って感じです。

ちなみに、この中でわたしが持っている本は、『東京に暮らす』サンソム、『森の生活』ソロー、『男の作法』池波正太郎、『ダヤンのスケッチ紀行』(モロッコ、イタリア、英国・アイルランド)池田あきこ、『二重らせんの私』柳澤桂子の計7冊。
見事なまでにかぶってねえや。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF クリスマス・ストーリー アンソロジー アーロン・エルキンズ ルース・レンデル スティーヴン・キング デイヴィッド・ハンドラー キャロリン・G・ハート ジョー・R・ランズデール ローラ・チャイルズ マイクル・クライトン ジョアン・フルーク ジョージ・P・ペレケーノス ドン・ウィンズロウ ポーラ・ゴズリング ジェームズ・パターソン エド・マクベイン ジェイムズ・パタースン ジル・チャーチル ヘニング・マンケル C・J・ボックス ローレンス・ブロック リチャード・マシスン D・M・ディヴァイン レジナルド・ヒル スチュアート・ウッズ リリアン・J・ブラウン ジャネット・イヴァノヴィッチ ピーター・ラヴゼイ パーネル・ホール アリス・キンバリー レックス・スタウト S・J・ローザン ジョルジュ・シムノン ジョー・ゴアズ カール・ハイアセン ウィリアム・カッツ クレオ・コイル マーガレット・ミラー レスリー・メイヤー ジャック・カーリイ カーター・ディクスン ジェフ・アボット マーシャ・マラー エド・ゴーマン コリン・ホルト・ソーヤー ヒラリー・ウォー ルイーズ・ペニー マイケル・ボンド ジェフリー・ディーヴァー アイザック・アシモフ ジョン・ディクスン・カー イーヴリン・スミス ジェームズ・ヤッフェ リタ・メイ・ブラウン キャロリン・キーン ウィリアム・L・デアンドリア ロブ・ライアン ローラ・リップマン ポール・ドハティー フレッド・ヴァルガス G・M・フォード エヴァン・マーシャル オーサ・ラーソン ジョアン・ハリス ドナ・アンドリューズ サイモン・カーニック リン・S・ハイタワー ファーン・マイケルズ アンソニー・ホロヴィッツ ジャン=クリストフ・グランジェ スタンリイ・エリン レイ・ハリスン ケイト・ロス アンドレア・カミッレーリ レニー・エアース ジョン・クリード コニス・リトル デイヴィッド・マレル クリスチアナ・ブランド ウイリアム・P・マッギヴァーン ウィリアム・ランデイ ジャック・フィニイ リック・ボイヤー サキ ジェーン・ラングトン ユージン・イジー ウォルター・モズリイ アン・クリーヴス ビリー・レッツ イーサン・ブラック ダナ・レオン エーリヒ・ケストナー ウォルター・サタスウェイト スタンリー・エリン ポール・ドハティ トバイアス・ウルフ 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント