「あるスパイへの墓碑銘」エリック・アンブラー 創元推理文庫

2006-03-31

Tag :

☆☆☆☆

南フランスの風光明媚な避暑地に遊びに来た青年のカメラの中に、いつのまにかツーロン軍港を写した機密写真が入っていた。青年は自らの手で真犯人を突きとめるか、国外追放の憂き目に会うか、絶体絶命の窮地に立つ。第二次世界大戦前夜を背景に、スパイ小説のスリルと本格謎解きの興味をあわせもち、今や古典的名作となったアンブラー代表作。
                   裏表紙あらすじより



有名な作品ですが、わたしの苦手な重くて暗い話だと思い込んでいたので今まで敬遠していました。ところが、英国伝統の素人巻き込まれ型冒険小説なんですね。

スパイ容疑で留置所に放り込まれた主人公が、良い考えが浮かんでベッドからはね起きるとズボンがずり落ちる(自殺防止のためベルトが没収されている)という窮地に陥った状況の中で笑いを誘う場面があります。こうしたエピソードのように、第二次世界大戦前という切迫した世界情勢の上にほぼ無国籍状態という救いようがない状況でありながら、おっちょこちょいな好青年という位置づけの主人公のキャラが重苦しい雰囲気を和らげストーリーの厚みを増しています。

この作品が執筆された1938年はまだ英国伝統の冒険小説の一部として存在していたスパイ小説が、戦争を経てル・カレやデイトンに代表される一時期隆盛を極めた暗く重苦しいエスピオナージと呼ばれるものにとって代わられ、その後、KGBという好敵手の喪失によってスパイ小説そのものが魅力を失っていった経緯を考えるにつけ、もう一度正統派冒険小説の中のスパイ小説が復活して欲しいと切に思う次第です。アマチュアの復活(復権)とでも言ったらよいのでしょうか…。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「クリプト・マン」ケネス・ロイス サンケイ文庫

2006-03-30

Tag :

☆☆

ウィリー・スコットは元盗っ人。現在は旅行代理店を経営し、恋人のマギーと同棲中だ。彼の仇名は“スパイダー”。蜘蛛のようにビルの壁面を登り降りできるところからこの名がつけられたのだった。ところがそのスコットがとんでもない事件に巻きこまれた。英政界を揺るがす大スキャンダル。英米ソの情報機関が火花を散らす“情報戦争”のまっただ中へ放り出されたのだ。英推理小説界の鬼才が放つ政治冒険小説。
                               裏表紙あらすじより



KGBが将来英国の指導的地位に就きそうな人物の弱味を握り、自分たちの意のままになるスパイに仕立てようと画策するのですが、その人物が狙われていることを英国側も勘付いてしまったのでその時点で計画失敗じゃないの?その人物の出生の秘密を握る男や“スパイダー”に恨みを持つKGBの上級大将などが絡んで物語が進んでいくのですが、やたらだらだらと長過ぎ。物語の導入部における重要な役割のゴードン・チェスフィールドがどういう経緯で刑務所に入ることになったのかが説明不足。主人公が事件に関わる出来事なんだから、まずそこを語れ。

スコットは元泥棒の技術を生かして屋敷に忍び込んだりして活躍するけれど、どうも主人公のキャラクターが定まらずに損している感じ。個人対組織ではなく個人対個人みたいな戦いだし、敵役の存在感が今ひとつなのでスパイ・スリラー的面白さは味わえません。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ハイヒールの死」クリスチアナ・ブランド ハヤカワ文庫

2006-03-28

☆☆☆

新しい支店を誰が任されるか老舗ブティックは噂で持ちきりだ。筆頭候補は仕入部主任で才色兼備のミス・ドゥーンだが、実際に選ばれたのはオーナーの美人秘書。店員間では冗談まじりに秘書毒殺計画が囁かれたが、その直後、ミス・ドゥーンが毒殺された。
この事件の担当になったのは美女に滅法弱いハンサムなチャールズワース警部。
冷酷な毒殺犯は美女揃いのブティック内にいる?!女流本格の第一人者の記念すべきビュー作                    裏表紙あらすじより



真犯人と目される人物がニ転三転するところなど、デビュー作ながら後のブランド女史のスタイルというかストーリー・パターンがすでに見られる作品です。
店内に容疑者が十人もいて、その内八人が女性で、雑用係を除いて皆同じような年齢層、職種なので非常に紛らわしい。キャラクターの書き分けがあまり成功していないので登場人物を区別するのに時間がかかりました。
海外ミステリが苦手な人は登場人物の名前で混乱することが多いみたいなので、この作品はくれぐれも手に取らないように致しましょう。

惚れっぽくお坊っちゃんのチャールズワース警部がユーモラスなのは良いのだけれど、頼りないぶん作品全体に締まりがない印象を受けました。
それから、何故、題名が『DEATH IN HIGH HEELS』なのかが分かりません。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「スタンド・アローン」ローラ・リップマン ハヤカワ文庫

2006-03-21

☆☆☆☆

念願かなって私立探偵となったテスに、元受刑者だという老人が依頼を持ちこんできた。
調査の内容は、かつて彼が危害をくわえた少年たちを探しだすことだった。償いのため、彼らに経済的援助をしたいという。奇妙な依頼にとまどいつつ、テスは調査の末、少年たちを探しだす。が、彼らが次々に殺され、彼女の胸に老人と事件の関連への疑惑が……
                            裏表紙あらすじより



テス・シリーズ三作目。わたしは初めて読みました。
短いセンテンスと、意図的に「テス」を主語に用い「彼女」という言葉の使用を少なくして、軽快なハードボイルドっぽい感じを出しています。また、比喩を多用したり、言葉をこねるようなモノローグは、主人公の性格や考えを読者に理解させるのに効果的だと思います。少し頼りないところなど、テスが可愛らしく感じましたが、女性の読者はどんな印象を持つのでしょうか。
テスの周囲の環境は、祖母、両親は健在だし、「彼女にはすぐに利用できる友人や親戚が街の重要な機関にいる」とかなり恵まれています。そこらあたりは探偵ものにしてはいささかぬるいかも。

以下、少しネタバレしています。








最初の依頼人の心の変化が上手く書かれているけれど、犯人の心情や犯行に至る心理が通り一遍の説明だけで済まされているのは残念です。まあ、主人公に視点が固定されているので仕方ないかもしれません。
エピローグでの大団円は甘くてちょっと恥ずかしい。

ストーリーとは全く関係ありませんが、本文中にトヨタの“レクサス”が登場したので、アメリカのミステリに出て来る日本車の表記の流れをメモしてみました、
ただ一括して「日本車」>メーカー名「トヨタ」、「ホンダ」など>車種名「シビック」、「セントラ」など>高級車「レクサス」「インフィニティ」
なんだか感慨深いです。次はプリウスに乗った環境保護派探偵か…

テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

「ハイヒールをはいた殺人者」サイモン・ショー 扶桑社ミステリー

2006-03-19

Tag :

☆☆☆

田舎町の銀行の副支店長のマークはささいなことから、妻のマディとけんか。気がつくと妻の首を締めていた。
しかしマディの死を隠そうと、女装したところ、事件は意外な方向へ。
妻の知り合いまでだまされてしまうし、新しく越してきた隣人はデートを
申し込んでくる始末。マーク本人も“新しい自分”にまんざらではない 。
とはいえ、死体の始末をどうしたものか?     
裏表紙あらすじより



ブラックユーモア・サスペンス。
ケネディの『ビッグ・ピクチャー』やウェストレイクの『斧』みたいに、主人公が一般人を殺して、それを隠ぺいしようという話は読者にとって抵抗感があると思います。この本の著者もそれを考慮して妻マディのマークにたいする普段のひどい仕打ちを描いて、主人公に感情移入をしやすくなるようにしているし、彼女の死因が事故あるいは病死である可能性を匂わせる表現をしています。しかし、偶然した女装にハマったり、都合よく関係者が死んだりするその後の展開には違和感を覚えてしまうのですね。読後、後味の悪さが残ってしまいました。プロットはよく練られているのですが、後半のマスコミが出てくる
ドタバタ場面はもっと短くても良かったのではないでしょうか。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「新エドガー賞全集 アメリカ探偵作家クラブ傑作選(14)」

2006-03-17

Tag : 短編集

マーティン・H・グリーンバーグ 編 ハヤカワ文庫
☆☆☆

81年から88年までのエドガー賞最優秀短篇賞を受賞した作品集。
「エミリーがいない」ジャック・リッチー
てっきり、わたしはエミリーの夫が死体を掘り起こすところで物語が終わるものと思っていました。すっかり騙されました。よくできたショート・ショートで、それ以上でもそれ以下でもないと悔し紛れに言ってみる。

「アイルランドに蛇はいない」フレデリック・フォーサイス
人種偏見や文化の相違による悲劇を描いた作品。書きたいのは分かるけど、ラストは余計な気がします。国際謀略小説で成功した人がこういう作品を書いていたなんて意外な感じ。

「女ともだち」ルース・レンデル
いかにもレンデルらしい作品。
先日、『ハイヒールをはいた殺人者』というミステリを読んだのですが、そこでも女装にはまった男が出てきました。イギリス人て女の人(カミラさんとか)も大柄だから男が女装しても違和感がないのだろうか?すごく疑問。

「夜明けの光の中に」ローレンス・ブロック
『聖なる酒場の挽歌』の元になった作品。短篇ゆえにブロック節がより冴える。
訳ありの女性とベッドを共にして「誰がマット・スカダーなんかと夜明けの光の中にいたいと思う?」と内省し、ひとり自宅に帰るスカダー。シニックでちょっと格好良すぎ。

「稲妻に乗れ」ジョン・ラッツ
長篇にする上で何を付け加えたのか、その効果はどうなのだろうか。再び長篇版を考えてみると、
胃弱で頼りない主人公の性格付けは明暗のバランスをとっているけど、作品の雰囲気を考える上ではマイナス、探偵事務所の一階の軽食堂の店主はプラス、ナジャーの恋人の存在は付け足し感があり、あまり効果なし、ナジャーが襲われる設定はありがちだがプラス。
結局、短篇を読めば、あえて長篇を読む必要はなさそうです。

「ピントン郡の雨」ロバート・サンスプン
バイオレンス。話の流れが勢いって感じ。わたしには受賞理由が分かりません。
「ソフト・モンキー」ハーラン・エリスン
ギャングの暗殺現場を目撃したホームレスのおばあさんの話。気の毒な境遇だけど、ぬいぐるみに対する執着が無気味。これが一番面白かったです。
「映画館」ビル・クレンショウ
長篇で読んだらもっと面白そうな話。従来の警察小説と較べて一風変わってますね。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「クレージー・ユーモア 海外SF傑作選」福島正実編 講談社文庫

2006-03-15

Tag : SF 短編集

☆☆☆☆

昔読んだのですが、古本屋さんで見かけ懐かしくて再読しました。
「もののかたち」レイ・ブラッドベリ
わたしたちが見る“もののかたち”とは一体どういう意味を持つものなのか、大袈裟に言えば考えさせられる作品だと思います。分娩機などの作動不良により異次元の世界に生まれてしまった赤ちゃん。その子は人の目には小さな、青いピラミッドに見えるのだった。両親の苦悩と、やがて下した決断は…。まさしく出だしの発想はSF的ありがちな話(書き手によってはありがちなまま始まり、ありがちなまま終わりそうな発想)ながら、その後の展開は意表を突いていて、訴えかけることの多い秀作だと思います。ブラッドベリらしい、彼の良さが出ている小品だと思います。
「ナンバー9」クリーヴ・カートミル
ある日、ジャクソンは、「実験用のウサギ、9号が、眼鏡をかけて研究書を読んでいるところをみつけた」。このウサギは飲酒運転に厳しくて、運転手がお酒を飲もうとすると、読んでいた新聞の車の運転に関係のある記事のうえに前肢をのせて注意するのです。この場面を読んでいて、思わず知らない人の前で笑ってしまうところでした。

「人類供応法」デーモン・ナイト
豚そっくりの異星人が人類のためになる様々な科学技術を贈る訳とは。
「クレイジイ・プラセット」フレデリック・ブラウン

「バスカヴィル家の宇宙犬」ポール・アンダースン&ゴードン・R・ディクスン
文中のトーカ?という文字…なんだか胸騒ぎがして、次のホーカ人!で思い出しました、あの『地球人のお荷物』!!!
外見は子熊そっくりで人間並の知性を持つが、事実と虚構の区別がつかないホーカ人。
そのホーカ人がヴィクトリア朝イギリスの真似を始めたトーカ星の“ロンドン”へお尋ね者を追跡してきた人間たち。そこには当然“シャーロック・ホームズ”がいたのでした。

「時は金」マック・レナルズ
時間旅行をして巨額の金を運用する男の目的とは。皮肉な作品。
「旅する男」ヘンリー・スレッサー
スレッサーにしてはアイデアのみの作品か。
「怪獣の時代」ガイ・エンドア
科学者の劣等感がワニを竜に変え、人類滅亡の危機に立たせる。
「グレート・デーンになった男」ミリアム・アレン・ドフォード
綺談系のお話。
「四次元フープ」ジョン・D・マクドナルド
次元の異なる他の世界に通じる「輪」を偶然手に入れた男の話。
「不景気」ロバート・シェクリー
不景気のせいで、ダークサイドからの誤注文を引き受けた仕立て屋の真昼の悪夢。
「衝動」エリック・フランク・ラッセル

テーマ : SF
ジャンル : 本・雑誌

「稲妻に乗れ」ジョン・ラッツ H・P・B

2006-03-12

Tag :

☆☆☆

強盗殺人の罪で、一週間後に処刑される恋人の無実を証明して欲しい。
彼の婚約者から依頼を受けた私立探偵アロー・ナジャー。
事件当日は別の場所にいたのだというのだが、男の犯行であることは、
四人の目撃者が証言していた。確証が得られないまま、事件の関係者と面会を重ねていたナジャーは、見知らぬ男から暴行を受け調査から手を退くように脅迫される。

“稲妻に乗る”とは電気椅子で死ぬこと。
カウントダウン物の一種です。ネタバレしてしまうので詳しくは書けませんが、変則的な作品です。本書は、エドガー賞最優秀短篇賞を受賞した同名の作品を長篇化したもの。
だからなのか、なんだかチマチマした印象で広がりに欠けるような気がするのですよね。

離婚した元妻からの扶助料の取り立てを心配し、女友達との関係に悩み、制酸剤をしょっちゅう飲んでいる胃弱探偵ナジャー。
テーマが重い割りにあまりシリアスな感じがしないのは、このキャラクターだからでしょう。

短篇は、『新エドガー賞全集』ハヤカワ文庫に収録されています。所有していますが、積読本なので今度読んでみよう。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「処刑6日前」ジョナサン・ラティマー 創元推理文庫

2006-03-10

Tag :

☆☆☆

妻殺しの罪を着せられ自暴自棄になっていた死刑囚が、処刑を一週間前に控え無実の罪を晴らす決意をする。状況証拠では犯人は彼以外に考えられない中、弁護士、私立探偵、友人たちが調査を開始する。しかし、新たに現れた証人や証拠が次々に消されていく。

アイリッシュの『幻の女』より前に書かれ、カウントダウン物としてはかなり早い時期の作品ではないでしょうか。『幻の女』はスリラー・サスペンス系ですが、この作品はシカゴが舞台でギャングも登場するハードボイルド系です。
また、状況が密室殺人で、犯人が関係者の中にいるという点では謎解きの面白さもあります(多少)。

1935年に発表された作品だけに、展開がのんびりしていてなんだか緊迫感が伝わらない。本格物であれば気にならないけど、この設定は時間との戦いなのだから、レストランでの食事とかお酒を飲んだりだとか女性を口説いたりする場面は緊張感を削ぎます。もしかして、時代に流されたわたしがせっかちになっているだけかな…。
登場機会の少ない主人公以外に魅力的な人物がいないのもストーリーに入り込みにくい原因なのかもしれません。
ミステリ史上、記念碑的な作品なのに『幻の女』にその座を奪われ絶版状態になっている
のは案外そういうことが理由なのでしょうか。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「明日を越える旅」ロバート・シェクリイ ハヤカワ文庫SF

2006-03-07

Tag : SF

☆☆

今を去ること1000年ものむかし、21世紀のことであった。ジョーンズという名の若者が、アメリカめざし旅立ったー電力会社を支配するアーサー理事長と《円卓の男たち》、刑務所にもぐりこもうと悪戦苦闘するエドモン・ダンテス、ひもを片手に複雑怪奇な政府の建物をさまよい歩くテセウス……多彩な登場人物に彩られた旅行記を収録した本書は、21世紀という霧のかなたの遠い過去、その時代の風俗と文化を知る上で最適といえるだろう……!? 遥かなる未来から眺めた21世紀のアメリカを、SFの名手シェクリイがおもしろおかしく描いた傑作長篇!

           
                    裏表紙あらすじより

シェクリイといえば、短篇でありわたしにとって印象深い作品は『徘徊許可証』です。

この作品は『トム・ジョーンズの華麗なる冒険』の主人公を思わせる名前ジョーンズを狂言まわしにしたアメリカ現代文明批評的大人の寓話みたいなお話。

1962年に書かれたにしては、相変わらず現代が抱える問題をテーマにしていると思うけれど、なんだか描き方がストレートでひねりがないように思えます。よく言えば素朴なのだけど、たとえが時代を感じさせます。以下、

マッカーシズムに対する揶揄。
刑務所に入りたがるダンテスはモンテ・クリスト伯のエドモンド・ダンテスのもじり。
神を目の前にした精神科医の態度。
大学の学者たちが自分たちの都合の良いように創った原始的ユートピア。
地図制作部の大佐でさえ迷子になる国家の中枢の建物オクタゴン(!)。その中を独裁者を暗殺するためヒモを手に探しまわるテセウスは、迷宮に住むミノタウロスを倒したギリシャ神話の英雄のパロディ…等など。

ウェルズ、ヴェルヌなど未来の科学技術を作品で予測した作家は大勢いますが、未来の人間社会を予測した作家は数少ないと思います。今のところシェクリイの予言は高確率で当たっているようですが、もし、21世紀の世紀末に、この作品が再評価されシェクリイの先見性が誉められるとしたら、SF界にとっては名誉なことかもしれませんが、その時代に生きる人類にとってはさぞ不幸なことでしょうね。

テーマ : SF
ジャンル : 本・雑誌

「友は永遠に」ルース・レンデル 光文社文庫

2006-03-06

☆☆☆

ウェクスフォード警部シリーズ4作目。

結婚式当日の朝、花婿の親友で付添人を務めるはずのチャーリーが死体で発見された。
長距離トラック運転手にしてはなぜか金回りがよく、鼻つまみ者だったチャーリー。
だが、花婿のジャックにとっては、唯一無二の友だった。一方、病院では六週間前の交通事故で入院中のファンショー夫人がようやく昏睡状態を脱した。

                        裏表紙あらすじより 

娘が男友達から預かった犬の散歩中に死体を発見した犬嫌いのウェクスフォード警部は、殺人事件と交通事故の捜査をするはめに。初期作品だからなのかレンデル独特のアク味が薄いような気がします。
チャーリーとジャックの奇妙な友情関係を書いた作者の意図が今ひとつ分からない。
ジャックの親友を想い悼む様子は普通じゃないように感じるので、ただの友情物語を書きたかったわけじゃないと思うのですよね。それに較べてファンショー一家の家庭事情は上手く描かれていると思う。父親が愛人をつくる度に代償として金品を貰う母親。
そんな両親を見て育った娘の恋人に対する考え方とか。

もちろん謎解き小説としても楽しめます。バーデンがあまり目立たない分、捜査スタッフに加わりたがる医者のクロッカー先生が面白かった。

この作品は創元推理文庫からも『死を望まれた男』という題名で出ています。       

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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