「カッティング・エッジ」ピーター・ストラウブ 他 新潮文庫

2006-11-28

☆☆

屋根裏部屋で見つけた催眠術の入門書。泣き虫の弟リトル・エディを実験台に、その恐るべき効果を試す少年ハリーを描くストラウブの「ブルー・ローズ」。マンハッタンを徘徊する悪鬼との対決を綴るバーカーの「魂のゆくえ」。他にも、18名の俊英たちが現代の恐怖を鮮烈に描き出す。『ナイト・フライヤー』『闇の展覧会』と並び称される傑作ホラー・アンソロジー、ついに邦訳版で登場。 内容紹介より



ブルー・ローズ(ピーター・ストラウブ)、怪物(ジョー・ホールドマン)
空隙(カール・エドワード・ワグナー)

蒼ざめた震える若者(W・H・パグマイア&ジェシカ・アマンダ・サーモンソン)、バラバラ殺人のためのBGM(マーク・レイドロー)、さらば、闇の恋人(ロバータ・ラン)、向こう側(チャールズ・L・グラント)、いじめ(スティーヴ・ラズニック・テム)、鍬を持つ男(ジョージ・クレイトン・ジョンスン)、やつらの目あては(レス・ダニエルズ)

吸血鬼(リチャード・クリスチャン・マシスン)、とぎれる(チェルシー・クイン・ヤーブロ)、最後の石(ウィリアム・ノーラン)、非関連性(ニコラス・ロイル)、手(ラムジー・キャンベル)、鐘(レイ・ラッセル)、魂のゆくえ(クライヴ・バーカー)

死の収穫者(ロバート・ブロック)、転移(エドワード・ブライアント)、苦痛(ホイットリー・ストリーバー)

わたしは、想像(イメージ)力および理解力に乏しい。観念的な作品を読解する力がない。絵画に例えると、抽象画を観ても画家が何を表したいのかが分からない。と退路を確保しつつ、このアンソロジーについての個人的感想を書きます。

作家の皆さん、それぞれが独特の世界や雰囲気を持ってらっしゃるのは読み取れるのですが(ストーリーとして一番分かりやすく大衆的な『最後の石』ウィリアム・ノーラン作が、もっとも陳腐な世界に思えるのは皮肉な感じ)、どうも作品の完成度の点では中途半端に感じる作品が多いです。良くいえば斬新かもしれませんが、悪くいえば、作者の思い付きにまかせて書き上げた、頭に浮かんだイメージありきだけで終わってしまっているような(まさしく題名通り、「結」の部分であるエッジをカッティングされた)印象を受ける作品が多いのです。ただ、無理に結末をこじ付けるよりは、イメージを膨らませたまま終わる方が良心的かもしれませんが…。しかし、それに見合う技術と+αの才能がなければ、物語はただ見た夢を書き連ねたようなものにしかすぎなくなる訳ですよね。
そんな作品の中で、わたしでも知っている作家たち(ストラウブ、バーカー、ブロック)の作品はそれなりの完成度があると思いました。マシスンのは、訳の分からない詩みたいなもの?でした。
カッティング・エッジ カッティング・エッジ
ピーター ストラウブ (1993/03)
新潮社

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テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

「ことば散策」山田俊雄 岩波新書

2006-11-27

Tag :

☆☆☆☆

「でこぼこ」は凹凸か凸凹か? 鴎外の作品中の「華壇」とは何か?-何気なく使われたことばの来歴や用法の探索に心を遊ばせる筆者は,研究生活半世紀を超える国語学者.幼いころ父母から聞いたことば,今では使われなくなったことばを手がかりに,豊富な文献を自在に繰り出して綴られる,日本語への深い思いのにじみ出るエッセイ集。
  内容紹介より



わたしは、もともと、言葉が時代によって移り変わることは世の習い(表現が古い)だと思っていましたし、当然のことだと肯定的に考えていました。しかし、この本を読んでみたら、現代の言葉がなにか騒々しく短絡で乱暴で品性に欠けるのではないかと思った次第です。

特に、著者の文章が、辛辣なところをユーモアで包み、簡潔でありながら品があって、淡々としながらも枯れていないところがとてもいいと思いました。なんだかほめ殺しみたいですが…。やはりプロの言語学者であり、資質のある人の文章だと思います。

例えば、「山高きが故に貴とからず」の項において、
「猫も股いで通る」を「猫股」というなど、諺や格言などを省略、縮約する傾向があるという導入から、
山高きが故に貴(たつ)とからず、樹(き)有るを以て貴としとす
という句が、「山高きが故に貴とからず」に縮約された結果、その意味を、「山のねうちは高さが高いということではない」という平凡な解釈に表して「したり顔をする辞書編集者」に対し、「諺の解説が、どうも原典に親しんだ経験のすくない、いわば日本語にも漢文にも超越的な立場をとる、主観の濃い、しかも通俗の論法で行われるのは、いかがかと思われる」と、シニカルに理路整然としながら、押し付けがましくなく批判しているのです。まさしく、静かに寸鉄人を刺すという印象を受けました。

ことば散策 ことば散策
山田 俊雄 (1999/08)
岩波書店

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「ある日どこかで」リチャード・マシスン 創元推理文庫

2006-11-22

☆☆☆

脳腫瘍であと半年足らずの命と診断された脚本家リチャードは、旅の途中、サンディエゴのホテル・デル・コロナードでひとりの女性を目にする。女優エリーズ・マッケナ。1896年の色あせたポートレイトからほほえみかける彼女に会おうと、彼は時間旅行を試みるが……時を隔てた恋の行方は? 映画化され熱狂的な人気を博する傑作ファンタジイ。世界幻想文学大賞受賞作。  内容紹介より



質的に起承転結の起承部分の比重が大きいのに比べて、転結部分が平凡で平板な印象を受けました。もっと書き込んで欲しかった後半部分が陳腐なやり取りに終始してしまっている感じで残念です。瀬名秀明さんの解説(p.470)にあるように、第一部とそれ以降の部分のテンションにあきらかな違いを読み取れますが、それは結局、マシスンがエリーズ・マッケナのモデルとなった実在の女優「ミス・モード・アダムズのポートレイト」から受けたインスピレイションが強烈だったがゆえに、リチャードとエリーズが出会う過程までが真に描きたかったことだったからではないのか。

わたしがこの物語に入り込めなかったのは、主人公がヒロインに寄せる思いがアイドルに向けるヲタクのそれのように感じて引いてしまったからです。こういうタイムトラベルが出来ない方が良いかも。さもなくば過去はアキバ系ヲタクでいっぱいに、みたいな(アヴラム・デイヴィッドソンの作品の邦題よりパクリ)。


余談ですが、マシスン脚本で映画化された『ある日どこかで』のリチャード役、クリストファー・リーヴのその後の運命を思うと、時間とか過去とか未来とかを考えてしまいます。


ある日どこかで ある日どこかで
リチャード マシスン (2002/03)
東京創元社

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テーマ : ファンタジー小説
ジャンル : 本・雑誌

「ヘンリーの悪行リスト」ジョン・スコット・シェパード 新潮文庫

2006-11-18

Tag :

☆☆☆

高校卒業以来、他人を騙し、裏切り、蹴落とすことでスーパー・エリートとなったヘンリー。だが、自分を捨てた恋人を見返すべく戻った故郷で、彼女が当時、死期が近いとすでに悟っていたことを知らされる。絶望感に包まれ、ホテルのバルコニーへと歩を進めるヘンリー…と、その背にメイドの声。「すべてにきっちり片をつければいいのよ」こうして彼女との奇妙な贖罪ツアーが始まった。   内容紹介より 



文学的にセンスは無いが、商業的にインパクトのある題名。

人はたぶん誰でも、他人を傷つけたり裏切ったりした記憶や、そういう事への悔恨が心のどこかに残っていると思います(月並みな文学的表現をするなら“喉に刺さった小骨のように”)。主人公ヘンリーが、過去のある事実を知ったために、いままでに犯した悪行への贖罪の旅に出る軽妙な味のロード・ノベル。わたしは、現代風、ディケンズの『クリスマス・キャロル』を思い浮かべました。復讐と出世欲にかられた卑劣なヘンリーがスクルージであり、彼を贖罪の旅に誘う狂言回し的な役割のソフィーは三人の亡霊。しかし、そのソフィーにも秘密を持たせたところが効果的。

いわゆる、「脚本家」が書くアメリカ的エンターテインメント小説に特有の甘さと分かりやすさが現れている物語ですが、それでもかなり良い出来なのではないでしょうか。深みのない人物造形、単純なプロットが却って基本的な主題を浮かび上がらせているように思います。『クリスマス・キャロル』にしても解りやすく単純な話なのだから…。ただ、最後の出来事には賛否あるでしょうが、わたしは無くても良かったのではと思いました。

妹アニーのエピソードが泣けました。

ヘンリーの悪行リスト ヘンリーの悪行リスト
ジョン・スコット シェパード (2005/01)
新潮社

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「顧客名簿」ローレンス・サンダーズ 講談社文庫

2006-11-14

Tag :

☆☆

ハンサムでお調子者、口が達者で浮気者のアーチイ。父の法律事務所で“秘密調査”を
担当しているが、顧客の未亡人が儲け話を持ちかけられた。帝政ロシアの秘宝〈ファベルジュの卵〉に50万ドル。胡散臭い話にアーチイが裏を探ると、一味とおぼしき謎の古美術商が殺された。フロリダが舞台のコミカル・ミステリー。内容紹介より



ローレンス・サンダーズといえば『魔性の殺人』。あの重厚さに較べてなんと軽いことか?!講談社文庫編集部が作者の名前に惑わされて、うっかり版権を買ってしまったんじゃないかと思ってしまうほどの凡作。
以下、二行ほどネタばれ気味なので、読みたい方はカーソルでアクティブにして下さい。
犯人、犯行手口、被害者すべてに捻りもなく読者に提示された通りにストーリーが展開する、ちっともミステリな箇所が見当たらないです。
意外性のない、この話のどこを面白がれというのか?
生活感のないチャラチャラした主人公も好きになれない。サンダーズ晩年の作品なので、この作品の売りであるべき主人公の人物造形は、現代において求められるキャラクターとはずれあるいはギャップがあるような感じがします。つまり、七十七歳の造り出す現代的な主人公は、すでに時代遅れであるということ。

馬鹿みたいにサスペンスものが多い講談社文庫のなかで、数少ない“コミカル”ものを見つけたと期待したのですが…。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ムーチョ・モージョ」ジョー・R・ランズデール 角川文庫

2006-11-13

☆☆☆

地獄のような七月の暑さの中、ハップとレナードは、死去したばかりのレナードの叔父チェスターの家を掃除していた。しかし室内が片づくにつれて、汚れた秘密が姿を現す。腐った床板の下で見つかったのは、ポルノ雑誌に包まれた子どもの骸骨だった。警察に通報しようとするハップをレナードが止める。「誰かが叔父貴を殺人犯に仕立てようとしているんだ」―そして二人の独自の捜査が始まった。東テキサスのやけどしそうな太陽の下、徐々に明らかになっていく醜悪な真実とは……。ジャンルを超越した異才が放つ各方面絶賛の怪作。  内容紹介より



ハップ&レナード物の第二作目だそうです。第三作目が、以前、紹介した『罪深き誘惑のマンボ』 なのですね。『罪深き…』の冒頭でのレナードの放火シーンに違和感を覚えたのですが、この作品を読んで放火の経緯が分かりました。やっぱり順番に出版してくれないと分かりにくい。
『罪深き…』でのKKKが支配する町へ主人公の二人が乗り込んで行くという、まるで西部劇みたいなストーリーよりこの作品のほうが面白かったです。また、シリーズものらしく追いかけて読んでいくほど登場人物に親しみを持ちます。

でも、『罪深き…』でも言ったように弾け方が中途半端じゃないかなあと感じるんですね。放送禁止用語を喋りまくるわりに、生活態度や行動は至極真っ当で良い子で、作者が過度にモラルコードを設けているようで物足りない。二人のうちどちらかでも、もっと(スラップスティック風な読者に嫌悪感を与えない程度の)反社会的行動を取れば、よりスリリングでぶっ飛んだ物語になると思うのですが…。わたしが、ピカレスク小説ぽさを期待し過ぎなのかなあ。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「風の向くまま」ジル・チャーチル 創元推理文庫

2006-11-12

☆☆☆

遺された田舎の屋敷に十年間住み続けること。それが大伯父の莫大な遺産を相続する条件だった。この風変わりな条件に従い、ニューヨークの安アパートから引っ越してきた兄妹が聞かされたのは、大伯父は殺されたらしいということ。つまり、自分たちが一番の容疑者だということだった!はたして濡れ衣を晴らすことはできるのか?グレイス&フェイヴァー・シリーズ、ここに開幕。 内容紹介より



主婦たちの会話(浅羽莢子さん訳)が今風で新鮮だったジェーン・シリーズではなく、貧乏兄妹グレイス&フェイヴァー・シリーズの第一作目。時代設定が大恐慌時代なので、いかにも現代的なジェーン・シリーズのようなラジカルな会話は楽しめませんが、安心して読める、まさしくコージー・ミステリの基本みたいな作品。性犯罪や児童虐待の話が全く出てこないのが良いです。殺伐としたサスペンスやハードボイルド作品を立て続けに読んで精神的に疲れた時には、こういうものを読んで一息つきましょう。
内容について語るべきものはほとんどないのですが、
車ばっかり磨いているけれど、ただ者ではなさそうな兄ロバートが、その後化けて活躍するのだろうか?が気になるところです。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「チェイシング・リリー」マイクル・コナリー 早川書房

2006-11-10

Tag :

☆☆☆☆

「リリーはどこだ?」ナノテク学者ピアスの自宅に、男たちから熱狂的な電話が次々かかってきた。ピアスはその女に会ったことさえなく、明らかに間違い電話だった。しかし、リリーが評判の娼婦だと知るにおよび、ピアスは彼女についてインターネット上で調べ始めた。
人工的に創られた欲望空間の悪夢を描くサスペンス小説。現代アメリカ・ハードボイルド小説界を代表する著者の新境地。   内容紹介より抜粋



ノン・シリーズもの。
なぜにナノテク?、なぜに行方不明の娼婦のことを気にする?

主人公がちょっとした好奇心から調べ始めたことなのに、気が付いた時には抜け出せないような泥沼に首までどっぷり浸かっているような状態へ。ああ、恐ろしや。好奇心の裏には、実は少年時代の出来事が隠れていたのですが、詳細には説明されていない。詳しく書くとトマス・クック風になりそうだからか…(冗談です)。そこらあたりの曖昧さは読者によっては不満かもしれませんね。でも、作者はこの作品については、あまり書き込まず軽めのタッチにしたかったのではと、主人公がおっちょこちょいなところや軽快なストーリー展開など。ボッシュ・シリーズの時に頭を使い過ぎて少し息抜き(手抜きではなく)をしたかったのかも、なんて思ったりもしますが、それでも出来栄えは充分過ぎるほどなレベル。今さらですけど、この人は技巧派名人ですね(少し悪い意味においても)。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「フィッツジェラルドをめざした男」デイヴィッド・ハンドラー 講談社文庫

2006-11-07

☆☆

花々が咲きそろった明るい春のニューヨーク。
バセット・ハウンドの愛犬ルルを連れたもとベストセラー作家の僕は、彗星の如く現われた若き天才作家ノイエスの伝記を依頼された。
が、作業に取りかかった僕の行手には次々と死体が―。
MWAオリジナルペーパーバック大賞受賞のお洒落なアメリカンミステリ。
 内容紹介より 



このホーギー・シリーズは、邦訳としては2作目になるそうです。講談社文庫より計8冊が出ているほどで、ネット上での評価も高いです。が、わたしは読み方のアプローチを間違えたみたいで、『レス・ザン・ゼロ』や『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』風テイストで、現代アメリカ文学を書く上において苦悩する若い作家と彼に降り懸る殺人事件というシリアスでミステリアスな作品だろうなと思って読み始めました。ところが、何のことはない軽めのハードボイルドみたいな、あるいはテレビの二時間サスペンスドラマみたいな作品でした。文学的で深刻なストーリーを想像していたのに…。そこで、わたしは声を大にして言いたい、軽々しくフィッツジェラルドの名前を出すな!と。
前半部分の緩慢な展開にイライラし、ドラマ作家らしい類型的な人物設定ならびにプロットには新しさを感じませんでした。題名に惑わされず、コージー系風(?)のミステリとして読んだ方が良いみたいです。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「1番目に死がありき」ジェイムズ・パタースン 角川文庫

2006-11-04

☆☆☆☆

リンジーは、バツ一の美人刑事。黒人で二児の母でもある検死官クレアとは無二の友人だった。二人は目下、街を震撼させている新婚夫婦殺人事件を担当している。捜査中に出会った新米記者シンディの勘の良さに目をつけたリンジーは、警察とは別の極秘捜査チームを結成することを思いつく。頭の切れる検事補ジルを加え、仕事上だけでなく、女性ならではの悩みを共有し、固い絆で結ばれてゆく女たち。各々の専門を生かし、本音をぶつけ合う中で、捜査の突破口が開けたかに思われたのだが…。全米で大ベストセラー、魅力的な四人のヒロインたちが活躍する、“女性殺人捜査クラブ”シリーズ、ついに日本上陸。
 



という内容に惹かれて読んでみたら、なかなかの掘り出し物でした。上昇志向がありながら、突然、再生不良性貧血という難病を患うヒロイン。新たな恋愛や女同士の友情などの多彩なテーマに、サイコじみた連続殺人事件が絡んでいるわけです。ただ、作者がTVか映画のライターなのかと思うほどにサービス精神が旺盛というか映像化を前提にしているかのようなストーリー展開で、そこら辺は若干興醒めしてしまうような…。
それとプロローグは、その後の展開の予測がついてしまうから、ない方がいいと思います。いくら冒頭で読者の心を掴むためであってもね。

以下、続きはネタばれしています。ご注意下さい。

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「影たちの叫び」エド・ゴーマン 創元推理文庫

2006-11-01

Tag : エド・ゴーマン

☆☆☆

クリスマス・タイム。わたしはある高級レストランのオーナーから店の警備状況を調べるよう依頼を受けた。零下15度のなか敢行した調査がもたらしたものは、凍えそうな子猫と、ゴミ缶を漁る牧師との出会いのみ。あっさり首を切られたわたしだったが、数日後依頼人射殺の報が届けられた……。事件の裏に見え隠れするホームレスの影。モノクロームの街に探偵が見た、衝撃の真実とは。  内容紹介より



マーロウの「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きている資格がない」という耳にタコができるほど聞き慣れた言葉がありますね。この作品の探偵は腕っぷしも強いのですが、優しさはお釣りがくるほど優しい、売るほど優しい。出会う事件関係者の女性に感情移入してしまうか、あるいはときめいたりしてダンスを踊ったりする。誘惑されるけど恋人に操をたてて断ってしまう、離婚した妻に養育されている子供たちには慕われている、野良猫を拾って自宅に連れて帰る、出来の悪い部下に情けをかける。子猫を拾うのは大変結構なことだけれど、他はあまりにもセンチメンタルすぎって感じ。もう少しクールになれ!あと、やたらと出てくる名曲がいかにもなのと、ダンスシーンの歯が浮くようなセリフなども苦手。あまりにもあっけない幕切れ。

作者はホームレスに限らず、夫や男友達の“影”にいる理解されず、報われない女たちを描きたかったのだろうか?特に、シーラやサリイのような女性を。そこら辺りを想うと心が動かされるんですよね。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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