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「ダークライン」ジョー・R・ランズデール 早川書房

2007-08-04

☆☆☆☆

テキサスの田舎町デューモントに引っ越してきた私は、まだ13歳だった。父さんのドライヴ・イン・シアターで映画を観て、新しく出来た友達と遊び、姉とそのボーイフレンドを冷やかして、夏休みを過ごすはずだった。ところがある日、家の裏で犬と遊んでいた私は、地面に埋められていた古い手紙と日記の断片を発見する。それは思春期の少女が綴った恋の記録だった。さらにその先の森には、焼け落ちた屋敷の跡が黒々と聳え立っていた。好奇心にとらわれた私は、古い事件を調べてみた。そこでは13年前、火災で一人の少女が命を落としていたのだ。さらに奇怪なことに、同じ夜、町外れにすむ別の少女が、首無し死体で発見されていた。どちらの事件も真相ははっきりしないままだ。私と姉は、事件の真相を突き止める決心をするが…… 内容紹介より



前回の『ボトムズ』をMWA賞狙いの作品とするならば、本書はニューベリー賞狙いみたいな雰囲気を持った作品。こちらの主人公の少年も『ボトムズ』同様にお行儀がよくイノセントであり、“人種差別は間違ったこと”という訓戒が繰り返されていて、(もちろん人種差別は悪ですが)少々説教臭く感じる部分もあります。人種差別批判に力が入るのはランズデールの特徴か。ただ、少年の造形がこういうタイプになってしまう要因は、川本三郎さんが『フィールド・オブ・イノセンス』(河出文庫)で指摘したように、アメリカの男性作家たちのなかに「無垢」への過剰な思いや憧れの気持ちがあるからなのか、彼等が描く少年小説の主人公は皆似た傾向になるのかもしれません。
また逆に、そのステレオタイプをランズデールが脱することが出来るなら、この少年を主人公にしたジャンルにおいてもう一皮むけてものすごい傑作をものにできるのではないかと思った次第です。


ダークライン (Hayakawa novels)ダークライン (Hayakawa novels)
(2003/03)
ジョー・R. ランズデール

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テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

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