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「吠える男」エドワード・マーストン ハヤカワ・ミステリ

2007-08-24

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☆☆☆☆

時は十六世紀末、エリザベス朝のロンドン。町は天才科学者トマス・ブリンクロウが殺害され、首謀者の妻とその愛人、そして直接手を下した殺し屋の三人が絞首刑になったスキャンダラスな事件の話でもちきりだった。折しも劇団ウエストフィールド座の舞台進行係ニコラス・ブレースウェルのもとに《吠える男》と題する匿名の脚本が持ち込まれた。
それはブリンクロウ殺しで死刑になった妻とその愛人は冤罪で、実は無敵の騎士として勇名をはせる人物の陰謀であったことをほのめかす大胆なプロットだった。一読するやすっかりこれにほれこんだニコラスは上演を決意するが、その直後彼は暴漢に襲われ、劇団にも次々と災難が……はたして脚本の内容は真実なのか?そして匿名の作者の正体とは?
内容紹介より



ブレースウェルを主人公にしたシリーズものの一作だそうです。しかし、邦訳されているのは本書のみです。冒険活劇と呼ぶには少しスケールが小さめながら、時代設定や状況設定がともにユニークであって、普段読むことがない種類の時代ミステリだったので興味深かったです。かすかに“三銃士”の雰囲気もあるような、ないような。できればちゃんばらの場面が欲しいところですが、主人公は剣士じゃないので腕力より頭脳で相手を打ち負かす感じですね。劇団の座長や一癖ある俳優が出てくる場面はユーモラスで、ストーリー進行にも手馴れていて、まとまりも良く読みやすかったです。BBCで映像化されてもおかしくないような。ただ、ラストでのトマスの妹エミリアの告白には少々違和感を覚えました。果たして必要なのかな。

こういう目先の変わったミステリは希少なので他の作品も読みたいけれど、出版してはくれないでしょうね。


吠える男 (Hayakawa pocket mystery books (1645))吠える男 (Hayakawa pocket mystery books (1645))
(1997/02)
エドワード・マーストン大庭 忠男

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テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

「盗まれた街」ジャック・フィニイ ハヤカワ文庫SF

2007-08-24

☆☆☆☆

アメリカ西海岸沿いの一小都市サンタ・マイラに、奇怪なマス・ヒステリー現象が、めだたず、静かに進行していた。夫が妻を妻でないといい、親が子を、子が親を、友人が友人を、偽者だと思いはじめる。心理学者も医師も、これを、稀ではあるが時おり発生する集団的な心理錯覚だと考えていた。だがある日、開業医のマイルズ・ペンネルは、友人の家のガレージで奇怪な物体を見せられた。それは、人間そっくりに変貌しつつある謎の生命体―宇宙からの侵略者の姿だったのだ!奇才フィニイが、カリフォルニア州の小都市を舞台に、サスペンスフルに描く侵略テーマSFの傑作!内容紹介より



誰でも知っている地球侵略ものの古典的名作ですね。わたしは『人形つかい』、『トリフィドの日』、『呪われた村』なども読んでいないので、今回、手始めに本書を読んでみました。フィニイの作品は、いわゆる時間の経過による劣化が目立たないものが多いと思いますが、本書も五十年以上前の作品とは感じられませんでした。

ウエルズの『宇宙戦争』がエイリアンと人間との目に見える直接の対決だったのに対し、本書のエイリアンたちは戦わずして住人と置き換わり街を侵略していきます。街がじわじわと汚染される様子はキングの『呪われた町』を思わせます。外見のみならず仕草、過去の記憶に至るまで完全にコピーしてしまいますが、それでも、肉親、友人など親しい者は何かが今までとは違う気がしてしまう。この感覚は醜悪な外見をしたウエルズの火星人に対峙する以上に無気味に思えます。靴磨きのビリイのエピソードで語られるように、自分が良く知っていると思っていた気の良い人物の普段とはまったく違った陰の部分を覗き見してしまったような衝撃を主人公が受ける記述はすごく良く理解できます。人間の精神面を最重要視するフィニイの姿勢が描かれている作品に思えました。そして侵略者の弱点もまた…。それから、(エイリアンに語らせている)文明や環境破壊への批判も隠れたテーマとして含まれているように感じました。


盗まれた街 盗まれた街
ジャック・フィニイ (1979/03)
早川書房

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テーマ : SF小説
ジャンル : 本・雑誌

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てんちゃん1号

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  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

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