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「フォークランド館の殺人」ケイト・ロス 講談社文庫

2008-04-14

Tag : ケイト・ロス

☆☆☆☆

十九世紀初頭のロンドン。夜会が開かれた貴族の館で当主の息子が殺された。召使い、妻、議員ら参会者の誰もが疑わしい。依頼を受けた社交界の伊達男ジュリアン・ケストレルが上流階級の隠微な扉を開くと、事件は思わぬ過去の惨劇へと繋がっていく……。傑作『ベルガード館の殺人』に続くアガサ賞受賞の探偵シリーズ第二弾。内容紹介より



マーサ・グライムズ、デボラ・クロンビー、エリザベス・ジョージ、そしてケイト・ロス。これらの優れたアメリカ人女性作家たちが創出したイギリス人の主人公たち、グライムズのジュリー警視とメルローズ・プラント(元伯爵)、ふたりを合わせたようなトマス・リンリー警部(伯爵)、ジェマに対しちょっと色ボケ気味ですがキンケイド警視、そしてケストレル。彼らには病人、年寄り、子供、動物への押し付けがましくない優しさと思いやりを持っているという共通点があり雰囲気もどことなく似ています。この傾向はもっと注目されても良いのではないでしょうか。彼女たちが好ましいと思う理想に近い男性像なのでしょうか。ああ、それに比べてアメリカ人男性作家らが描くアメリカ人主人公たちのなんと饒舌で精神的にマッチョなことか…。なんというこの乖離!
以下ネタばれです。









被害者の正体が徐々に暴かれてゆくにつれて、周囲の人物たちの真の姿も浮き彫りになって行く過程。仮面を付けて芝居をしていたのは被害者だけではなく、ケストレル自身もそうなのではと自問するし、ある人物からも指摘される場面。丁寧な書き込みと主人公の性格に深みを与える繊細な描き方。作者の才能をうかがわせる秀作だと思います。
ただ、ひとつ都合が良すぎるのは双子を二組登場させたこと。やはり不自然です。


『ベルガード館の殺人』ケイト・ロス


フォークランド館の殺人 (講談社文庫)フォークランド館の殺人 (講談社文庫)
(1998/10)
ケイト ロス

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テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

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