遅まきながら若妻は夫がマフィアであることに気づいた。幼な子をそんな父親の膝元で育てるわけにはいかない。翻然家を出た若妻はきびしい追手の目を逃れつつ、思いきった計画に着手したーー変装、尾行、セスナ機操縦、武闘訓練…男の世界にヒロインを投げこんで、「ホップスコッチ」「反撃」の名手がキリリと仕上げたサスペンス快作。内容紹介より
内容紹介ほどには面白くない。『ポップスコッチ』並の出来を期待するとがっかりします。前半部分の今までの自分を消して新しい人物へと変わるための様々な手続き、後半部分の逃走場面は緊迫感とスリルを感じましたが、その間を繋ぐ恋愛部分が感情変化の描き方に乏しいため陳腐に思えます。
それと、終盤に都合の良い場所と時間に、都合の良い人物が現れる展開は安直すぎる。
ジョー・ゴアズの『死の蒸発』が失踪人(車)を追う側から書かれているとすれば、本書は追われる側から書いてあります。冒頭にゴアズ夫妻への謝辞が述べられているように、“失踪人追跡術”をゴアズから教わったみたいです。登場人物の私立探偵が主人公に語っている事柄がそれに当たるのでしょう。よくアメリカのミステリで、墓石や過去の新聞記事の訃報欄を探して死亡した人物を名乗り、社会保障番号を入手し新しい人物に成り変わる方法を見かけますが、ネタもとはゴアズだったりするのかもしれません。
![]() | 切迫 (文春文庫) (1986/07) ブライアン ガーフィールド 商品詳細を見る |
