ニューヨークの名門音楽学校で殺人事件が発生。犯人は人質を取ってリサイタルホールに立てこもる。駆けつけた警官隊が包囲し出入り口を封鎖するなか、ホールの中から銃声が聞こえてきた。ドアを破って踏み込む警官隊。だが、犯人の姿はない。人質もいない。ホールは空っぽだった……。衆人環視のなかで犯人が消えるという怪事件の発生に、科学捜査専門家リンカーン・ライムと鑑識課警官のアメリア・サックスは、犯人はマジックの修業経験があることを察知して、イリュージョニスト見習いの女性に協力を要請する。奇術のタネを見破れば次の殺人を阻止できる。しかし、超一流イリュージョニストの“魔術師”は、早変わり、脱出劇などの手法を駆使して次々と恐ろしい殺人を重ねていく―。
内容紹介より
リンカーン・ライムがソーンダイク博士の系譜を引く探偵なのは間違いないでしょうが、一方、彼とその仲間たち(*1)が相手にする犯人たちはアメリカン・コミック(*2)に描かれる悪党たちの血を引いているのではないかと本書を読んで感じました。その悪党たちは、あちこちに罠を仕掛け、スルリスルリと正義のヒーローの手を逃れてしまう。たとえ死んでしまったかに見えても次回作では名を変え身を変えて復活し、犯罪の芸術家として再び悪事を働くのです。
作者がどんでん返しを繰り返すほど、回を重ねる毎に比例して彼らの不死身さは増していき、それにつれて当然主人公も能力をさらに高めるかあるいは味方の数を頼むようにならざるを得なくなります。つまり読者がこのシリーズに飽くなきエンドフィンを求め作者がそれに応えようとすればするほど、この別名七転び八起きミステリ・シリーズはエスカレートし、「七」と「八」の数字が天文学的(!)に数を増していくことになるでしょう。たぶん、きっと、おそらく。
*1)たとえば『悪魔の涙』のパーカー・キンケイド
*2)スーパーマン、バットマンなど
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