「カスに向かって撃て!」ジャネット・イヴァノヴィッチ 集英社文庫

2008-07-31

☆☆☆☆

あたしはステファニー・プラム。裁判と保釈金をぶっちぎる不届き者を捕まえる、バウンティ・ハンターをしている。たまたま強盗の顔を目撃してしまったばかりに、少年ギャング団に命を狙われるハメになったあたしは、謎多き同業者、レンジャーの留守宅に隠れることになって……。危険も謎もイイ男も、何故かこの女を放っておけない、大人気・大爆笑のシリーズが、集英社文庫で登場!  内容紹介より



なんとなくステファニー・プラムが家に帰る行動はレース鳩(それは良く言い過ぎだと思う方は、しょっちゅうガソリンスタンドによる燃費の悪いビュイック・ロードマスターと言い換えても可)みたいだと思う。帰巣本能のごとく自宅や実家、居候しているモレリの家、レンジャーの留守宅に律儀に帰る場面が印象に残る小説も珍しいのかもしれません。それだけ彼女の一事件あたりの実動日数、稼働日数が他の探偵たちより多いのでしょうし、イタリア系女性探偵物にみられる地元密着型*さらに家族巻き込み型だからでしょうか。この現象は多かれ少なかれマッチョ指向がある男性探偵物にはみられない気がします。

ストーリーより登場人物が格段に面白いこのシリーズのなかでも、今回は三大豪傑おばあちゃん*の内のひとりであるメイザおばあちゃんの登場回数が多くて嬉しい。レンジャーの隠れ家の一つを発見し勝手に棲みつく展開も目新しい感じがします。ただ、いつまでもモレリの庇護からもレンジャーの掌からも抜け出せないヒロインというパターンはそろそろ限界ではないでしょうか。最期に、これまで書く機会がなかったのですが、「んまあ」を訳出した細美遥子さん、あなたは素晴らしい。


*特別根拠はないのですが、たとえばテス・モナハンとか。
*後のふたりは、『悪童日記』と『シカゴよりこわい町』、『シカゴより好きな町』のお ばあちゃん。



カスに向かって撃て! (集英社文庫 イ 4-1) (集英社文庫 イ 4-1)カスに向かって撃て! (集英社文庫 イ 4-1) (集英社文庫 イ 4-1)
(2008/02/20)
ジャネット・イヴァノヴィッチ

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「出口なき荒野」チャールズ・トッド 扶桑社ミステリー

2008-07-29

☆☆☆

第一次世界大戦後の英国、ウォリックシャー州の静かな村で、乗馬中のハリス大佐が惨殺される。証拠不十分の第一容疑者は大戦の英雄だった。この難事件に任命されたかつての敏腕警部ラトリッジは、重度の戦争神経症に苦しんでいた。戦地でやむを得ず処刑した部下ヘイミッシュの最期が眼に焼きつき、頭のなかで彼の声がするのだ。捜査は難航し、もはや辞職しか道はないと思えたが―過去の傷跡、心の奥行き、意志を信じる力を描き、英米ミステリー界話題の新人C・トッドの処女長編。 内容紹介より



ネタばれを含んでいます。ご注意下さい!

第一次大戦の影を引きずるロンドン警視庁の警官が、英国の田舎で起きた殺人事件に挑むという設定はレニー・エアースの『夜の闇を待ちながら』に似ています。ただ、『夜の闇』が連続殺人をあつかったサイコ・スリラーなのにたいして、本書は殺人は一件しか起きないどちらかと言えば地味めの警察ミステリです。出版されたのは本書のほうが先。
地味めなのは、関係者の心理に重きを置いて描かれているためです。
欠点などなく立派な人物だと皆口を揃える被害者の隠れた部分がじょじょにあらわになっていくのかと思ったらそうではなく、容疑者と被害者との口論に驚愕の真実があるのかと思ったらたいしたこともなく、大佐が後見人になっていた女性とその婚約者を軸とする人間関係の話を、ああでもないこうでもないと431ページ中約380ページを費やして書いているのです。しかも、それが事件の真相に迫っていたかというと…。

登場人物の描き方に落差(レティスとウォルトン大尉のぼんやり感と比べて、役柄の違いもあるがキャサリンとメイヴァーズの存在感)があったり、動きの乏しいストーリーにしては、なぜか魅力的なのが不思議です。そして、残り約20ページで今までの話の流れとはまったく違った驚くべき真相が明らかになって急転直下の事件解決。作者、なんというか配分とか比率とか間違ってますよね。ラストに関連する部分を多めに取るべきでしたね。もったいない。



出口なき荒野 (扶桑社ミステリー)出口なき荒野 (扶桑社ミステリー)
(1999/09)
チャールズ トッド

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「熱気球殺人事件」デビッド・オズボーン 講談社文庫

2008-07-25

Tag :

☆☆☆

ボストン湾に浮かぶ絵のように美しい島マーサズ・ヴィニャード島には、超リッチな上流階級の人達が住んでいる。その島で、五十代の未亡人である私は大金持ちの友人と気球乗りに挑戦するのだが、ある日広大な邸宅の持ち主の老婦人が殺され、貧しく実直な青年が疑われる。―ラストまで息もつかせぬ面白さ! 内容紹介より



本書の紹介文と主な登場人物欄に間違いと内容にそわない記述があるので勝手に訂正します。
まず、紹介文の「大金持ちの友人」とは、気球仲間のエシー・ペックのことでしょうが、彼女は「ちっぽけな遺産で暮らして」いるので大金持ちではない。殺されたのは老婦人グレースじゃなく、その知人のローズ。疑われる人物は、妻とふたりの娘がいる陰気な自尊心の強すぎる「欠陥人間に思える」画家で、「実直な青年」のイメージとはかけ離れています。そして、クリストファーとナンシーは、マーガレットの子供ではなく孫です。

そもそも邦題も熱気球のなかで人が死んだり、それを使って人を殺したりするわけじゃないのでおかしいのですけどね。だから、冒険小説な要素もありません。

内容は中年女性が親友のために連続殺人事件に挑むコージー風ミステリです。冒頭では孫や友人のこどもたちの会話が面白かったのに、残念なことにその後登場しなくなってしまいました。

以下、ネタばれ気味です。ご注意下さい!






主人公が目星をつけた人物の容疑を固めるために奔走し、彼女がいかにして証拠を見つけるかに話が進むのだろうと思っていたら、突如別の人物が怪しくなり、結局、真犯人は主人公が思ってもみなかった人物という展開でした。従来なら伏線が張ってあってそこを読み返せば、〈ああ、そういえば〉的な感想を持つものですが、この作品にはそんな犯人に結びつく伏線が見当たりません。ミステリとして読んでいたらサスペンスで終わったみたいな、なにか腑に落ちない消化不良な読後感が残りました。しかも、動機は金と狂気だなんて、そんなの誰が犯人でもかまわないじゃないか。作者は意外性を狙って真犯人の設定をしたのだろうけれど、ミステリの技量のなさを露呈してしまった気がします。途中まではまあまあのできだったから、そのまま犯人にいたる証拠を地道にひらめきと推理で見つけて欲しかったなあ。そのほうがテクニックを必要とするでしょうが。



熱気球殺人事件 (講談社文庫)熱気球殺人事件 (講談社文庫)
(1994/04)
デビット オズボーン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ファッジ・カップケーキは怒っている」ジョアン・フルーク ヴィレッジブックス

2008-07-23

☆☆☆

義弟ビルの保安官選挙出馬、妹の第二子出産、愛猫のハンスト、さらにはレイク・エデン料理本用のレシピ選考……このごろハンナは落ち着く暇もない。なかでもケスター家のカップケーキは悩みの種。おいしさの元である秘密の材料がわからず、試作を続ける日々だ。そんな試作品のひとつをあげた直後、グラント保安官が殺された。わからずやのマイクは当然、保安官の座を狙うビルを第一容疑者扱い。冗談じゃないわ!とハンナは母や妹の期待を背負って犯人捜しに乗り出すが、保安官の知られざる悪人ぶりが次々発覚、犯人候補は増えるばかり……。おなじみのお菓子探偵ハンナが大活躍、シリーズ第5弾! 内容紹介より



司会者「みなさま、こんにちわ。『海外ミステリを読もう』の時間です。本日の講師は
    ピレリ・橋石先生です。先生、よろしくお願いします」
先生 「よろしくちゃん!」
司会者「・・・。さて、今日取り上げる本は、ジョアン・フルークさんの『ファッジ・     カップケーキは怒っている』です。先生、この本について…」
先生 「はいはい、最初から最後まで甘い本よね。これ一冊でコーヒー三杯いけちゃうみ    たいな」
司会者「先生、それは梅干しとご飯のたとえじゃないですか…」
先生 「冗談よ、それよりあたしすごいこと思い付いちゃったんだけど。この作者には歯    科医師会がバックに付いてる気がするのよね」
司会者「はあ?」
先生 「ほら、ただ読むだけで虫歯の一二本できそうじゃない、その上、内容につられて    クッキーとかケーキとかパクパク食べたりしたら、さらに二三本虫歯になっちゃ    うでしょ。そしたら歯医者が繁盛するってわけ。ジョアンちゃん、いくらか貰っ    てるかもね」
司会者「ジョアンちゃんて…。それにしても、ちょっと飛躍しすぎではないですか?」
先生 「あーら、あなた。その証拠にノーマンて歯科医が友人として登場してるでしょ」
司会者「ところで先生、ミステリとしての評価はいかがでしょう」
先生 「まあ、こういう飲食系ミステリのなかでは普通かしら。そもそもこのジャンルで    はミステリ部分は刺身のつま、サンドイッチのパセリみたいにそえものみたいな    ものだから、読者もはなからそんなもの期待してないのよ」
司会者「それでは犯人の意外性みたいなところもあまり見あたらないと」
先生 「そうね。刑事のマイクが真犯人かと思ったのよね、でも、あたし
    『シュガークッキーが凍えている』を先に読んでたのを思い出してあれにもマイ    クが出てきてたから…」
司会者「先生、そういう読み方は邪道じゃないんですか?評論家として」
先生 「邪道の道も蛇って言うじゃない」
司会者「それを言うなら、蛇の道も蛇ですよ」
先生 「そうとも言うわね。それにしてもこのハンナっていう女、いい男を両天秤にかけ    るなんてムカツクわよね。やっぱり料理が上手な女に男は引かれるのかしら。     あっ、そうだ、かあーいい、かあーいいニャンコちゃんが出てくるところは点数    高いわ。モシェってゆうネコちゃんなんだけど…」
司会者「お話の途中ですが、お時間が来てしまいました。この番組は本みしゅらん新社の    提供でお送りいたしました」


ファッジ・カップケーキは怒っている (ヴィレッジブックス F フ 2-5)ファッジ・カップケーキは怒っている (ヴィレッジブックス F フ 2-5)
(2005/06)
ジョアン・フルーク

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「セカンド・チャンス」ローズマリー・オーバート 講談社文庫

2008-07-21

Tag :

☆☆☆☆

エリスは元判事。事件を起こし、心を病み、今はホームレスの日々を送る。ある日、彼が畑で掘り出した手首にはロー・スクール時代の盟友の指輪が。さらに妊娠した少女が相次いで姿を消す。女性新聞記者アリアナに支えられて殺人事件を追う男の哀愁に満ちた社会派サスペンス。‘98年アーサー・エリス賞受賞作。 内容紹介より



カナダ・ミステリです。
主人公が元裁判長で、いまはホームレスの設定が読者の興味を引くとともに構成上でもうまく働いています。事件の謎と真相の究明、少年時代から判事時代にかけての主人公の過去、そしてホームレス生活、この三つの要素をバランス良く配しながらストーリーを展開しているので物語が単調にならず読み手を飽きさせません。

読者としてはホームレスの日常生活を詳しく読みたいところですが、ミステリ小説という性格上あまりそこだけ詳細に語るわけにもいかなかったのでしょう。
仕事のストレスと飲酒で人生につまずくところは吾妻ひでお氏の場合*に似ていますが、主人公は大都市の中にある渓谷に住んでいても、都市依存型のホームレスではなくて畑を耕したり野草やキノコを採集したりする自給自足型のホームレス生活をしています。主人公がゴミ箱を漁ったりするとどうしてもリアルになり過ぎて、作品のイメージに合わなくなるからかもしれません。ただ、食以外の着るもの、身だしなみ、住まいなどの描写は面白く読めます。

物語後半は、嵐による河川の氾濫と人命救助の場面が大きなウェートを占めすぎてしまい(この自然災害と事件の真相解明がなんらかの形でリンクしていればよかったのでしょうが)、肝心のミステリの部分がしりすぼみ気味で肩すかしな結末になってしまっているのが大変もったいないと思います。秀作ですが、ここを工夫すればさらに評価が上がったでしょう。

シリーズ化されているそうですが、その後邦訳されていないらしく残念です。

*吾妻ひでお『失踪日記』イースト・プレス 参照。



セカンド・チャンス (講談社文庫)セカンド・チャンス (講談社文庫)
(1999/11)
ローズマリー オーバート

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「沈黙の森」C・J・ボックス 講談社文庫

2008-07-19

Tag : C・J・ボックス

☆☆☆

ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット。気持ちは優しいが、州知事を偶然検挙してしまうような不器用な男。ある日裏庭で娘と見つけた死体は、かつて彼の銃を奪おうとした密猟者だった。次いでキャンプ場にも二人の死体が……。「新ヒーロー誕生」と全米で絶賛され、主要新人賞を独占した、大型新人登場!  内容紹介より



「猟区管理官、パイプライン、希少動物」の三題噺を書けと言われたら思いつきそうなストレートで分かり易いストーリーと「ワイオミング、家族愛、狩猟、大自然」の言葉が,
西部開拓時代の血が流れるアメリカ人の琴線に触れ「全米で絶賛され」たのでしょうか。日本人のわたしには少し小さくまとまり過ぎたかなと感じますけどね。悪役と対峙するラストシーンは大自然のなかでの決闘場面にすれば盛り上がったのにと思います。

主人公の造形、不器用ながら素朴で純粋、しかし普通の男、その普通ぶりが好印象を与えています。概してアメリカの作家は、自然のなかで生きる男たちをタフで技術的には何でもできるヒーローに描きたがる傾向がありますが、この主人公は動かない標的を撃つのが不得手であったり、銃を簡単に取り上げられてしまって笑い者になったりします。また、自分の職業のせいで妻に負担をかけていることを気にしたり、義理の母親が苦手だったりするなど、決して強い夫ではありません。

さて、特に目に見えて秀でたものがあるわけでもないこんな男と、家柄も良く、美人で頭脳も優秀な女性がなぜ結婚したのだろうか?
主人公ジョーが苦境に陥ったときに妻はこう言う、
「ジョー、あなたはいい人よ。そういう人種の、貴重な生き残りよ。それを忘れないで。あなたみたいな人は、もうあまりいないわ。善良な心の持ち主だし、あなたのモラルは模範となるべきよ。自分がしなければならないことをして。きっとうまくいって、あとで笑って話せるようになるわよ」(p253)

なにか古い気がしないでもないが、西部劇の登場人物のような主人公の雰囲気をよく表している言葉ではあります。



沈黙の森 (講談社文庫)沈黙の森 (講談社文庫)
(2004/08)
C.J. ボックス

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「ストレンジ・シティ」ローラ・リップマン ハヤカワ文庫

2008-07-17

☆☆

私立探偵テスは、怪しい古物商の男ケネディから偽の骨董を売りつけてきた相手を捜してほしいと依頼された。その相手は、毎年エドガー・アラン・ポーの誕生日にポーの墓参りにくる謎の男らしい。しかし生誕日の夜、遠くから様子をうかがうテスの目前で、謎の男が何者かに射殺されてしまった!依頼人が殺人に関わっているのか悩むテスの前に、ミステリの父ポーに絡まる謎が浮かび上がる。文学的興趣に満ちたシリーズ第六弾 内容紹介より



このテス・モナハンもナンシー・ピカードのジェニー・ケインもどうも好きなキャラクターじゃありません。具体的にどこが気に食わないのかを考えてみてもよく分かりませんが、強いて言えば他人に対する考え方かもしれないです。アイロニカルな感じがいけ好かない、冷たいとまでは言わないけれど、なにかひねくれた見方、意地の悪い見方をしているように感じます。やはり主人公というものは、どこかになにかプラスに感じさせる面を持っていて欲しい。しかし、あたりまえですが、こういう人物造形が現実的であって、すべてのヒロインが素直な思いやりのある良い人であるのは非現実的で、現代社会における女性主人公の考えや立場をなるべくリアルに描いているのかもしれません。向上心あるいは上昇志向を持った身近にいそうな女性像として。

それに、こんなことを言っていますけれど、実際には、わたしが男性であるためにヒロイン像にバイアスがかかっているのではないか、単にそれに外れるテス・モナハンやジェニー・ケインを煙たがっているだけじゃないか、という可能性もおおいにあるわけで。同じことを男性の主人公が言ったり行ったりしても少しも気にならなかったりする場合もあるから、ミステリを評価するうえで注意しなければ、なんて。
で、結局何が言いたかったのでしょうか、わたしは。

ところで、去年の今頃「ポー・トースター」は作り話だったっていうニュースがありましたね。



ストレンジ・シティ (ハヤカワ・ミステリ文庫)ストレンジ・シティ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2003/09)
ローラ リップマン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「高度6万フィートの毒殺」ゴードン・トーマス 新潮文庫

2008-07-15

Tag :

☆☆☆

米国大統領が政治生命を賭けて提唱した、国際的規模の環境保護計画。今こそ世界が一つとなって、自然破壊から地球を救わなければ―。だが、この計画を、巨大多国籍企業がその企業生命を賭け、是が非でも阻止しようとしていた。邪魔者は消せ、あのリンカーンやJ・F・Kと同じように……。大空に仕掛けられた戦慄の罠。もちろんその標的は、合衆国大統領専用機エアフォース・ワンだ! 内容紹介より



いわゆる「神の目」とも言われるスパイ衛星(による写真)と、「神の耳」とも言える米国国家安全保障局(NSA)が収集した通信情報が影の主役でしょうか*。テロ対策指揮官モートンは、集まった情報を分析官が分析したものを統括して(電話で)あれこれ部下に指示する役割であって、最後の方に悪役と対する場面はありますが汗および泥臭い死闘など演じないのです。つまりハイテク時代のヒーロー像*かもしれません。自分の目と耳で得たものを元になにもかも自ら考え、行動していた古い時代のヒーローはこの時代には存在し得ないのでしょう。謀略の大部分を遂行するために自らの頭と手を使い、現場に赴き実行した悪役は古いタイプの悪のヒーロー像であって、ネタばれ→「一発のヘリからの銃弾で仕留められてしまうのです」。できればミサイルかなにかのハイテクのシンボルで始末してしまったほうがハイテク対アナログを象徴していて良かったのかもしれません。

国際謀略小説に常道となったカットバック手法の多用で人間の主人公のみならず登場人物ひとりひとりの存在感が薄い感じがします。結構ページを割いて描かれるパターソン機長が重要な役割を担うのかと思っていたら…だし、ゴア元副大統領をモデルにしたみたいな米国大統領は、終始地球環境保護のことしか頭にない状態。誰もが平均化して、コクもアクもなく魅力がありません。

*「神の口」は、ジョージ・W・ブッシュだったりして。
*リンカーン・ライムもこの一種といえるかも。



高度6万フィートの毒殺 (新潮文庫)高度6万フィートの毒殺 (新潮文庫)
(1999/03)
ゴードン トーマス

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「クリムゾン・リバー」ジャン=クリストフ・グランジェ 創元推理文庫

2008-07-13

☆☆☆

古い大学町周辺で次々に発見される惨殺死体。両眼をえぐられ、両腕を切断され…。同じ頃別の町で起きた謎の墓荒らし。二つの事件の接点は何か? フランス司法警察の花形警視と、いなか町の若き警部がたどり着く驚愕の真相。殺人者の正体は? 死んだ少年の墓はなぜ暴かれた二か?「我らは緋色の川を制す…」という言葉の意味するものは? 仏ミステリ界期待の大型新人登場! 内容紹介より



本作品とグランジェ氏には〈すごく残念でした大賞〉というものを贈りたい。
何故なら主人公のふたりの人物像、謎、テンポ、雰囲気が見事なのに、肝心の真相が脱力してしまうほどにしようもなくありえないから。誠におしい! 期待が高まったぶん、あきれる気持ちも大きなものがあります。

犠牲者たちが行った犯罪行為とその目的は、行動生態学からみると「利他行動」の現れと言ってもいいと思うのですが、数人の個人の集まりでしかない者たちがこんな行為を働くかという疑問。動物の利他行動はおもに自分の遺伝子を持っている血縁関係のなかで観られる現象のはず。これが大きな組織体、たとえばナチス・ドイツや軍産複合の企みならまだ説得力があると思いますが(蟻の群れみたいなナチスは思想、軍産複合体は金、権力が血縁の代わりになっているから)、二世代に渡って数人の人間がやるものかなと不自然に感じました。彼らが目指したものを階級とみなすならば、それに属さない人間が加担していることもおかしい。

これがひとりの行動なら狂信的という言葉で説明がつかなくもないのですが、二、三人なのが微妙にありえない。しかも、彼らはドイツ人じゃなくてあの個人主義のフランス人ですよ。どうせなら時代設定を古めに設ければ良かったかもしれません。



クリムゾン・リバー (創元推理文庫)クリムゾン・リバー (創元推理文庫)
(2001/01)
ジャン‐クリストフ グランジェ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「闇に薔薇」ジェームズ・パターソン 講談社文庫

2008-07-11

☆☆☆

連続して起きる残忍な銀行強盗、殺人、そして誘拐。犯人は大銀行や金融界にうらみを持つ者か? 複数の都市に飛び火する犯行に全米は恐怖の坩堝と化すが、手がかりは皆無の完全犯罪。捜査に当たるワシントン市警のアレックス刑事やFBIの捜査官の身辺にも危険が迫る! 全米大人気シリーズ待望の翻訳。 内容紹介より



こんな結末が待っていたなんて、ちっとも知らなかった。ファストフードみたいにお手軽でおいしくサクサクと読んでいたら、とんでもない落ちが控えていました。ネタばれです→「事件が解決したかと思ったら、じつは真犯人がいることを主人公が知るけれど、その正体は読者にしか分からないまま終わる
続編『血と薔薇』と二部作だそうですが、どうなんですかね、こういう終わり方は。『血と薔薇』を先に読んでしまったら、読者が困惑してしまう気がしますけれど。

『1番目に死がありき』にあったこの作者のひねり部分のくどさ、良く言えばサービス精神の旺盛さが本作品にも見られます。それによってプロットが損なわれてるわけではないからいいのでしょうが、ラストの処理には引っかかります。それから、犯人がある施設にいる疑いがあるのに捜査官たちが悠長に構えていて、不眠不休で捜査しない描写が意外でした。これは主人公の恋愛場面を挟む必要があったからでしょうが、スピード感、緊張感をそいでいると思います。とりあえず続編を探さなければなりません。
本書をお持ちになっていて未読の方は、『血と薔薇』を用意してから読まれた方がストレスを感じなくて良いかもしれません。

『血と薔薇』の感想

タグ:ジェームズ・パターソンジェイムズ・パタースン





闇に薔薇 (講談社文庫)闇に薔薇 (講談社文庫)
(2005/04)
ジェームズ・パターソン

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「シリウス・ファイル」ジョン・クリード 新潮文庫

2008-07-09

☆☆☆

英国の秘密情報部MRUに属するジャックに、奇妙な任務が下された。1970年初頭、北アイルランドにパラシュート降下した工作員の死体を探し出し、その所持品を持ち帰れというのだ。ただし、目的はまったく明かされない。疑念を抱きながら、自前のトロール船でアイルランドへの航海に出たジャックを、何者かが銃撃してくる! 冒険小説復権の鍵を握る、英国推理作家協会賞受賞作。 内容紹介より



英国冒険小説のヒーローたちも、一人称の「わたし」で語り出すとどうやら米国ハードボイルドの主人公たちの悪癖〈気の利いたセリフ〉から〈饒舌〉にいたる病に罹るらしいです。このキャラクターならやっぱり寡黙じゃないとねえ。「テレビや映画では、弾丸というものは脚本上の便法になっている。両手を挙げても、ストーリー上で必要なら殺される。怪我をしたとしても、必要とあれば果敢に戦う。だが現実の銃撃はそれとは異なり、そこにはほんものの恐怖が存在する」(p252) のように、フィクションと現実の違いを述べる箇所が随所に見られるのもしらける。そりゃそうだけれど小説のなかで言われてもですねえ。

それから、どうみてもあんまり優秀そうでない主人公が旧知の人間に出会うたびに、その人物と知り合った経緯や事件など過去の出来事に遡ってしまうのが、ストーリーを滞らせている気がします。登場人物の背景描写なのですが、一歩前進二歩後退みたいでいちいちこれをやられると少しうんざりします。それから最後に、冒険小説を復権させるのに、捻りのない恋愛話は百害あって一利なしと言いたい! と思います。



シリウス・ファイル (新潮文庫)シリウス・ファイル (新潮文庫)
(2004/07)
ジョン クリード

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テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

「16品の殺人メニュー」アシモフ 他編 新潮文庫

2008-07-07

☆☆☆

ママ特製チキン・スープ、自宅の庭に生える珍しい茸のシチュー、自家菜園でとれた野菜サラダ、愛情のこもったラム・レッグのロースト、もちろん年代物のワイン……。みんなおいしくて、完璧な凶器です。ひと味足りないから塩を取ってほしい?それはとても危険! なぜって塩も立派な凶器ですから。名シェフのアシモフが、16品のフルコースの献立にちなんで殺人事件を集めました。 内容紹介より



創元推理文庫の短編集『ディナーで殺人を』の新潮文庫版みたいなもの。

「毒薬ア・ラ・カルト」レックス・スタウト、「特別料理」スタンリー・エリン、「おとなしい凶器」ロアルド・ダールが重複。これらの作品とダンセイニ卿の「二本の調味料壜」は老舗の定食ですかね。いまさらコメントするまでもない感じ。

有名料理人の屋号の料理が、レンデル「茸のシチュー事件」(ウェクスフォード警部)、アシモフ「追われずとも」(黒後家蜘蛛の会)、ホック「使用済みティーバッグ窃盗事件」(怪盗ニック)、マリック「ギデオンと焼栗売り」(ギデオン警視)。レストランチェーン店料理人のプロンジーニ「いつもの苦役」。手堅いし特色があるけれど、食べつけていて少し飽きてきたのでアクセントが欲しいような。

キャロル・カイルの「凶悪な庭」は無気味で面白かった。ネドラ・タイアー「幸せな結婚へのレシピ」は異色味。ジャズ・エイジ風のR・L・スティーヴンス(ホック)「チキン・スープ・キッド」、いかにも中南米料理風のT・S・ストリプリング「亡命者たち」、ポテトチップスみたいなフランシス・M・ネヴィンズJR.「ドッグズボディ」。料理名だったら舌を噛みそうなヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリングの「死の卵」、ジェイムズ・ホールディングのたわいない味「ノルウェイ林檎の謎」。



16品の殺人メニュー (新潮文庫)16品の殺人メニュー (新潮文庫)
(1996/12)
アイザック アシモフ、

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「さよならの接吻」ジェフ・アボット ハヤカワ文庫

2008-07-05

Tag : ジェフ・アボット

☆☆

犯罪のない町ポートレオでは、判事の仕事も気楽なもの。だから最近までアルバイトを転々としていた青年モーズリーが判事になっても、なんの問題もなかった。でも男の惨殺死体が発見され、状況は一変。しかも男が上院議員の息子でアダルト・ビデオ男優だったとわかり、大スキャンダルに発展する。満を持してモーズリーが難事件を解決に導く……か? 型破りなほどフレンドリーな判事が活躍する、話題の新シリーズ第一作。 内容紹介より



図書館長シリーズはそうでもなかったのに、これは無駄に長くて、途中でどうでもよくなりました。最後まで読めば、明らかになる真相はなかなか上手くできていることがわかるのですが、そこに至るまでの進行がダレダレでめげます。自殺か他殺かひっぱりすぎ、読者にはご丁寧に内容紹介で「惨殺死体」と知らされていて、他殺なのは分かってしまっているのですから登場人物にも早く分からせろよと言いたい。カットバック手法にシリアルキラーの視点を挿入する工夫はしていますが…。元アルバイト青年の判事の設定は物珍しさがありますし、大岡裁きみたいな判決は面白いと思います。しかし、その他大勢に魅力がないような、余計な存在のようなのが多い気がします。魅力的なのはグーチくらいですが、この謎の助っ人の存在も取って付けたような都合の良さを感じます。
こういうコージー系ミステリにはとくに脇役の描き方が重要ですよね。

amazonで本書に付いている“モースリー博士の事件メモ”というサブタイトルはいったいどこからきたのだろう?モーズリー判事の事件メモならわかるけど。



さよならの接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 モースリー博士の事件メモ)さよならの接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 モースリー博士の事件メモ)
(2004/03/24)
ジェフ・アボット

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ブルー・ブラッド」デイヴィッド・ハンドラー 講談社文庫

2008-07-03

☆☆

ミッチ・バーガーは、NYで最も権威のある新聞のコラムを担当する映画批評家。コネティカット州のビッグシスター島で生活をはじめた彼は、家の前に埋められていた死体を発見してしまう。女性警部補とともに犯人を追いはじめるが、死体の数が次々と増えていく……。MWA賞受賞作家、待望の新シリーズ! 内容紹介より



海外文学を好む者にとって翻訳家はとてもありがたい存在なのでとても悪口、批判など口にできないのですが、個人的に少しだけ気になった部分を言わせてもらいます。
主人公のひとりである警部補が傍白で使う「ったく」という言葉。これはたぶん「まったく」の短縮形だと理解しているのですが、わたしはこの表現がすごく苦手で、一回や二回なら許せますが、これが七、八回も出てくると「ったく」うんざりしてしまいます。
それからもうひとつ、差別化するためなのか、ホーギー・シリーズの主人公は「僕」で、このシリーズのミッチ・バーガーは「俺」になっています。主人公の年齢、高学歴、批評家、映画オタクなどを考えると「僕」と表記したほうが違和感がないような気がしました。

さて、肝心の内容ですが、どうも作者とは相性が悪いみたいで読んでいて退屈でした。何故なのかはよく分かりません。ミッチとデズの視点で交互に書かれる形式に展開が遅く感じさせられるためかも。
犯罪犠牲者である死体の写真を見ながらその絵を描くことが趣味の警部補と悲惨な出来事のせいでPTSDを負っている女性の過去が白日の下に晒されるというのに事件の顛末を新聞記事にしようとする映画批評家、人間性に疑問符がつきそうなふたりの主人公たちはいったいどうなんでしょう。ただ、猫がたくさん登場するのは○。



ブルー・ブラッド (講談社文庫)ブルー・ブラッド (講談社文庫)
(2006/04/14)
デイヴィッド・ハンドラー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

「ストームブレイカー」アンソニー・ホロヴィッツ 集英社文庫

2008-07-01

☆☆

「シートベルトの締め忘れで即死? 叔父に限ってありえない!」親代わりだった人の事故死を悲しみながらもアレックスの明晰な頭脳と運動神経はフル回転、解体工場に忍び込み弾痕だらけの叔父の車を発見! 翌日叔父の勤務先から呼び出された彼に、さらに驚愕の事実が突きつけられる。「叔父さんは我国の特殊工作員だった。今度は君が手を貸す番だ」14歳の少年スパイ、アレックス誕生の第1弾。 内容紹介より



主人公が少年少女ならば、読者は彼らの精神や身体(能力)の成長過程をみていくことで主人公に感情移入や共感をしやすくなると思うのですが、このアレックス君は始めから頭脳が優秀で空手の有段者であり、工作員の訓練キャンプでSAS隊員にいじわるをされても寛容な心で許してしなうほど人間ができている、いわば完成品の状態で読者の前に現れるのです。
そんな具合ですから物語も意外性なし、どんでん返しなし、お手軽なスパイ活劇に終始してしまっているわけです。しかも悪役がカリスマ性がなく犯罪動機が個人的すぎてせこい。なにも敵役まで精神的お子ちゃまである必要はないので…。とりあえず、主人公には肉体的弱点、精神的欠点、大きな声では言えないオタク趣味などなにかしらの特色、特徴をつけてもらわないと味の薄くなったガムを噛んでいるみたいで、ものすごく物足りなさが残ります。どちらかと言えば、スパイキッズの再放送でも観てたほうがいいでしょう。



ストームブレイカー (集英社文庫 ホ 9-1 少年スパイアレックス・シリーズ 1)ストームブレイカー (集英社文庫 ホ 9-1 少年スパイアレックス・シリーズ 1)
(2007/07)
アンソニー・ホロヴィッツ

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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