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「ペンギンは知っていた」スチュアート・パーマー 新樹社

2008-08-15

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☆☆☆

黒い傘に風変わりな帽子—生徒たちを引率して水族館へ見学に来たミス・ヒルデガード・ウィザーズ。ペンギン水槽で不思議な事件が起きる。凶器、目撃者、動機など、容疑者や被害者にまつわる謎はますますもつれていき、やがて事件は思わぬ方向へ…。パイパー警部の捜査に一役買って出た女教師の動きと推理が冴える…愉快でなつかしいミステリ。
(amazon,「BOOK」データベースより)



私立探偵でもない、ずぶの素人である小学校の女性教師が警察の捜査(おもに事情聴取ですが)に同行、同席するところ以外は時代を感じません。推理作家たちが頭を悩ませている、素人探偵をいかに事件の捜査に関わらせるかという大義名分の問題にひとつの答えが出ているわけで、それは、そんなことはたいした問題じゃないとばかりにまったく気にせず書いてしまうことです。それがどうした?書いちゃえば勝ち、という態度をとることが大事。

さて、〈エラリー・クイーンのライヴァルたち〉会員番号1番のミス・ヒルデガード・ウィザーズは、冒頭登場するや否やスリを捕まえる華々しいを活躍を見せるわりに、その後、キャラクターに個性的な味付けがなされていない感じがして読後の印象が薄いです。彼女の年齢は39歳の設定なのですが、1930年代と現代ではその年齢にたいする受け取り方に差があり過ぎてキャラクター・イメージがあやふやになってしまうのでしょうか。解説の大津波悦子さんによれば、当時は「オールドミスととらえられて」いたそうなので。

以下、ネタばれ気味です。ご注意下さい!

なにせクイーンを読んだのはかなり昔のことなので、ここからうろ覚えで書いてしまいます。彼の作品における男女の恋愛話はストレートで、探偵が助ける恋人たちはあくまで淑女であり紳士であって犯罪の嫌疑をかけられた恋人の身代わりになることはあっても、渦中の恋人たちが心変わりしたり相手に罪を押し付けるなどというようなことはなかったと記憶しています〈たぶん〉。ミス・ウィザーズも元恋人たちが元の鞘に収まることを期待して警察に協力していたのに、本書にでてくる元恋人同士は、はじめは身代わりになるにしてもその後様子が変わってきたり、他の男性に惹かれたりとクイーンとは違ったパターンを示してしまいます。そんな現実的なところやアイロニカルな展開が面白かったです。




ペンギンは知っていた (エラリー・クイーンのライヴァルたち)ペンギンは知っていた (エラリー・クイーンのライヴァルたち)
(1999/06)
スチュアート パーマー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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てんちゃん1号

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