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『友はもういない』ユージン・イジー ミステリアス・プレス ハヤカワ文庫

2008-11-14

☆☆☆☆

シカゴの金庫破りフェイブと麻薬課の捜査官ジミイ ― 子供時代からの無二の親友でありながら、二人はまったく別の道を選んだ。しかし二人は、お互い相手の仕事には干渉しないはずだった。フェイブが相棒と押し入った部屋で、無惨な女の死体と大量のコカインを目にするまでは……クライム・ノヴェルの次代を担うと絶賛される大型新人が放つ鮮烈なデビュー作  内容紹介より



「話の展開は前半がややスローだが、そのぶん後半が急ピッチで愉しめる」(安倍昭至氏の訳者あとがきより)。
いきなり料理番組に例えますと、材料の紹介(産地は何処だとか、どうやって育てられたかとか、どんな色形をしているだとか)が長くてくどくて煩わしい。人物の背景描写、情景描写、人物の容姿や服装の描写が無駄に詳細に書かれています。通行中のショッピング・バッグ・レディの描写に四行、プール・バーの様子に三十五行そのうち不必要なのが二十五行など、これは作家の新人時代の作品によく見られる傾向ですが、良く言えば丁寧な書き込み、悪く言えば過剰な記述が多すぎです。130ページ以降になると材料説明も一段落して、包丁さばきも巧みに、味付け、火入れとスピードアップして料理完成。前半のイライラが解消されました。

男同士の友情をクライム風にハードボイルド・タッチで描いているところは、ジョージ・P・ペレケーノスの作品と類似点があるかもしれません。偶然かもしれませんが、著者は、ひとつの出来事を三人称多視点から重複して描いていて、これは『『明日への契り』』でペレケーノスが採った手法と同じです。ちょっと分かりにくいかもしれませんので、『明日への契り』の訳者あとがきで佐藤耕士氏が書かれている部分を引用します。「この作品の特徴としてまず挙げておかなければいけないのは、クエンティン・タランティーノ映画の影響だ。タランティーノの《パルプ・フィクション》や《ジャッキー・ブラウン》という映画を見た方ならおわかりだろうが、ひとつのシークエンスを別々の視点から何度も繰り返すのである」(『明日への契り』p518~p519)。ただし、本作品は1987年に発表されているので、タランティーノやペレケーノスの作品よりイジーのほうが早いことになります。



友はもういない (ミステリアス・プレス文庫)友はもういない (ミステリアス・プレス文庫)
(1991/04)
ユージン イジー

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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