『破滅への舞踏』マレール・デイ 文春文庫

2009-04-30

Tag :

☆☆

ドロレスが殺された。わたしの親友にして華麗なダンサーだった彼女が。わたしは彼女の遺品を身にまとい、犯人を燻り出そうと決意した。そして謎めいた彼女の過去を探ろうと……。シドニーの暗部へ踏み入ってゆく女探偵クラウディアの鮮烈な活躍を描き、アメリカ私立探偵作家協会ペーパーバック賞を受賞したハードボイルド。 内容紹介より



個人的には外れが多いと感じるPWA賞受賞のタルトノワールっぽい作品。よく知っていると思っていた被害者が実は意外な一面を持っていて、それが徐々に明かになる、というミステリによくある設定です。しかし、本書では被害者像の掘り下げ方が浅くて、じわじわと薄皮を剥いでいき、現れた形にいちいち驚かされる、というまではないです。一つだけかなりなサプライズが用意されていますが、物語の序盤でバラしていまうという、かなりもったいないことをしてしまっています。それをラストに提示すればかなりの衝撃だったと思うのですが、とっても惜しいですね。被害者が身につけていた子どもの写真をミスリードに使い、ラストで被害者の母親が主人公を訪ねて来て真実を明かす場面で終わったなら驚愕とまでは言わないまでも、読者はかなり呆気にとられた結末になったことでしょう。

その他に気になった点は、ショービジネスの周辺で物語が展開するのかと勝手に思っていたら、自然環境破壊の問題に移っていってミスマッチな印象を受けたこと。そして、犯人がバカみたいに弱いことでした。

新潮文庫のタルトノワール・シリーズ
『トレンチコートに赤い髪』スパークル・ヘイター




破滅への舞踏 (文春文庫)破滅への舞踏 (文春文庫)
(2002/12)
マレール デイ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ピーナッツバター殺人事件』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫

2009-04-28

☆☆

列車に轢かれて死んだ男は、高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉の住人と親交があった。被害者の人となりを知りたいマーティネス警部補に頼まれ、嬉々として聞きこみを始めるアンジェラたち。当然、探偵活動はそれだけですむはずもなく、過激に暴走していくのであった。ロビーには新顔のインコ、おなじみ老人探偵団にも新メンバーが加わり、ますます快調なユーモア推理第四弾! 内容紹介より



相変わらず刺激ともの足りなさを感じるシリーズ作品。この〈老人たちの生活と推理〉シリーズに、歳を重ねるごとに醸し出される人間性の滋味みたいな要素を期待するのは間違いなので、猪突猛進型とそれをいさめてコントロールする主人公の凸凹コンビ(体型と性格が真逆という設定が可笑しい)を、もっとコメディタッチにドタバタさせるなり壊れ気味にしないとやや上品で大人し過ぎるんじゃないのかと思います。それにユニークな脇役を老人ホームの入居者としてどんどん登場させ、ストーリーに絡ませて頂きたい。いつまでも凸凹コンビがメインではマンネリに陥ってしまうのも必然でしょうから、隠居した元スパイとか元殺し屋とか元大泥棒とか元F1レーサーとか、なんでもありで探偵団に加入させてもらいたいものです。さらに、犯人以外の敵役を登場させれば話に緊張感と締まりが出るのではないかと思うんですがね。本来ならば老人ホームの支配人がその役なのでしょうけれど、まったく登場しないので。その意味では、ものわかりの良い警部補を憎まれ役にしておけばと悔やまれますね。


『フクロウは夜ふかしをする』コリン・ホルト・ソーヤー



ピーナッツバター殺人事件 (創元推理文庫)ピーナッツバター殺人事件 (創元推理文庫)
(2005/06/11)
コリン・ホルト・ソーヤー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ポイントブランク』アンソニー・ホロヴィッツ 集英社

2009-04-26

☆☆

事故死した叔父の後を強引に継がされてM16のスパイとして大活躍してしまった14歳の少年、アレックス・ライダー。スパイなんてこりごりと決めていたのに、またもや任務を押しつけられる。相次ぐ実力者たちの謎の死。その鍵を握る、雪山にたたずむ私立学校『ポイントブランク』。そこに潜入したアレックスは、世にも不思議で恐ろしい計画を目にする…。大好評のシリーズ第2弾。 内容紹介より



読んでおいてこんなことを言うのもなんですが、この〈女王陛下の少年スパイ!アレックス〉シリーズは、一体誰が読んでるのでしょうか?面白いとかつまらないとか以前に、というか、このシリーズは6冊出版されているから人気があるのでしょうけれど、読者層はどの辺なのか、かなり気になるんですけど。内容的には小学校高学年から中学生向けだと思いますが、今時のその年齢層はゲームをしたりアニメとか観たりしているイメージが強いし、本を読むにしてもスパイ小説なんてバカにしてそうな気がするんですよね。しかも、まずこのシリーズはハードカバーで出して、その後文庫落ちしてて、ハードカバーは一冊1600円以上するんですけど。

内容は、〈ジェームズ・ボンド〉シリーズで確立したフォーマットの使い回しなので、安定感はありますが、当然、新しさは感じません。こういうスパイアクション系の話において一番の目玉である、主人公が身に付ける秘密兵器も地味なアイテムなので盛り上がりに欠けます。

『ストームブレイカー』アンソニー・ホロヴィッツ



ポイントブランク―女王陛下の少年スパイ!アレックス (女王陛下の少年スパイ!アレックス)ポイントブランク―女王陛下の少年スパイ!アレックス (女王陛下の少年スパイ!アレックス)
(2002/12)
アンソニー ホロヴィッツ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『死の仕立屋』ブリジット・オベール ハヤカワ文庫

2009-04-24

Tag :

☆☆☆

夏のコートダジュールを襲った惨劇。複数の死体を頭部、四肢、胴体と切断し、それぞれ縫合して街角に飾る猟奇事件が起きた。第一発見者のマルセル巡査は昇進を狙い事件を追うが、そんな彼を嘲笑うかのように、なぜかマルセルの担当区域でばかり縫合死体が続々と見つかる。犯人は身近にいる?! やがて、犯人の魔手はマルセル自身にも及び……幾重にも伏線を張った叙述トリックの妙と怒濤の展開をみせる驚愕の本格サスペンス 内容紹介より



シリアルキラーやスプラッターは、それが過激になればなるほど現実から離れて喜劇的な傾向が強くなるものですから、この連続殺人犯の死体の処理の仕方も、グロいけれどコミカルな印象を受けます。ただ、死体の一部を別の死体に縫い付けるこの犯人のやり口は創造性が見られはしますが、R・ブロックやT・ハリスのサイコキラーたちが死体の皮膚を剥いで身にまとったりしたような緻密さには欠けているようで、芸術性を重んじるフランス人にしては乱暴な作業のような気がしますね。でも、本書の殺人鬼は、死体を他人に観せるため作品として扱っているのであって、アメリカのサイコキラーたちのように自分で使用するためではないわけですから、これでいいのかもしれないですけど。
殺人犯が警官の友人で、すぐ身近にいるという設定(犯人側から常に警官の行動が描かれる)は良いと思いますが、それによる緊迫感なりがあまり感じられないのは残念です。フランス・ミステリにしては、その警官のキャラクターが凡庸で、警官夫婦の家庭問題はどうも取って付けたような気がしました。



死の仕立屋死の仕立屋
(2004/06/10)
ブリジット・オベール

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『まるで天使のような』マーガレット・ミラー ハヤカワ文庫

2009-04-22

☆☆☆☆☆

オゥゴーマンは五年前に死にました ― ある宗教団体の尼僧から、オゥゴーマンという男の身辺調査を頼まれた私立探偵クインは、意外な答にぶつかった。事務員だった故人は、嵐の晩に車で出かけたまま戻らず、川に落ちた車だけが見つかったという。妙なのは事件だけではなかった。どうやら過去を暴かれたくない者がいるらしいのだ……多くの謎をはらむ事件の真相とは? 心理サスペンスと私立探偵小説を融合させた代表作! 内容紹介より



まず、私立探偵小説でよくある、依頼人がしがない探偵のもとを訪れ、調査を依頼することから話が始まるというパターンをとっていないのが良いです。物語の導入部分の短い間で、私立探偵の置かれた状況の説明を分かりやすく済まし、さらに、依頼人と出会う場面も特異な状況でありながら不自然ではない。冒頭で読者の興味を惹き付けるこのスムーズな流れはかなり上手いと思います。

依頼人の尼僧、オゥゴーマンの妻、女横領犯、不動産業者の母親とその女性共同経営者。
キーパーソンはオゥゴーマンという男でありながら、実は物語の主役は彼を基にして、知らず知らずのうちに結びついてしまったこの五人の女たちです。狂言回し役でもある探偵は、オゥゴーマンの影を追いながら、実はこの女性たちの真の姿を、心ならずも浮き彫りにしてしまっていきます。ありきたりな表現ですが、まさしく、投げられた小さな石ころによって池に波紋が広がるように、尼僧の依頼が危うい均衡を保っていた状況を揺るがしていく、その過程、波の一山一山の様子を丁寧に描き込んでいる著者の技量と物語の最初から最後まで高いレベルを保っている構成力など、かなり読みごたえがありました。ただ、会話の部分は翻訳がこなれていない印象を持ちました。見当が付いてしまうラストの処理はしょうがないですね。



まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4)まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4)
(1983/01)
マーガレット・ミラー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『アンドロメダ病原体』マイクル・クライトン ハヤカワ文庫SF

2009-04-19

☆☆☆☆

アリゾナ州ピードモントは、無人衛星の着地後、瞬時に死の町と化した。現地で極秘裡に衛星の回収作業を行なっていた回収班からの連絡も、やがてぷっつりと途絶えた。どうやら地球外病原体―それも恐るべき致死性を持つ病原体が侵入したらしい。ただちに最高の頭脳と最新鋭のコンピュータによる特別プロジェクトが発動されたが……。地球が直面した戦慄の五日間を徹底したドキュメンタリー・タッチで描く衝撃の話題作! 内容紹介より



医学用語を初めとして科学用語が満載のわりにはとても読みやすかったです。
『ターミナル・マン』の感想にも書きましたが、人間の役に立つはずの最先端科学技術が
一方ではその逆になる可能性を持っている、という著者のテーマがこの作品にも見られます。昔には存在しなかった大規模で致命的な科学的厄災の危険というやつですね。そもそもこの人工衛星は未知の細菌やウイルスを収集するためであり、それらを生物兵器に応用する目的があったのですね。また、無人衛星がアメリカ国内外に落下し、その地域が地球外生物によって汚染された場合には核兵器による〈焼灼〉を行うというシナリオなど実際に現実味があって恐ろしいです。

それから、ちょっと気になったことは、女性が主役として登場していないことです。ドキュメンタリー・タッチの構成で、さらに主要な登場人物が男性科学者のみなのでちょっと単調になっているきらいがあります。科学者チームに一人くらいいたらバリエーションが広がったのではないでしょうか。ラブロマンスがないことは良かったのですが。




アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫 SF (208))アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫 SF (208))
(1976/10/19)
マイクル・クライトン浅倉 久志

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テーマ : SF小説
ジャンル : 本・雑誌

『チェシャ猫は見ていた』マーシャ・マラー 徳間文庫

2009-04-14

☆☆☆

サンフランシスコに数多く存在する古風なヴィクトリアン・ハウス。その一つの中で“わたし”の友人が何者かに殺された。死体には赤いペンキがベッタリ……。ハウスの保存運動をめぐる確執か、それとも? 唯一の手がかり〈チェシャ猫の眼〉を求めて“わたし”は事件の解決にのりだす。が、〈猫〉を手にした者たちは次々と謎の死をとげていく ―。「不思議の国のアリス」の木の上で笑う猫よ、犯人を教えて! 内容紹介より



シャロン・マコーン シリーズの二作目。この主人公のシャロン・マコーンは、「ハードボイルド型女性探偵*の第一号」(大村美根子さんの訳者あとがきより)だそうです。また、『女探偵で読むミステリ読本』(アスペクト刊 1999年)によると、「ロス・マクドナルドを敬愛するマーシャ・マラーが1977年に創造したシャロン・マコーンは、いわゆる“女性の武器”などを使わず、丹念に調査を重ねて真相を探るタイプ。初の女性私立探偵の誕生である。血の通った現代女性の人格を備えていた」(p9)ということですから、いわゆる女性探偵時代の黎明期において最初に現れたキャラクターなのですね。主人公がペットを飼っていること、警察官と付き合ったり、あるいは対等に渡り合ったりしていること、銃器を携帯し(現在では、銃を持たない探偵が主流になっているのも時代の流れを感じさせますが)、時にはそれを容疑者に突きつけたりすること、現在の女性探偵ものに盛り込まれているひな形を見ることが出来て興味深いです。今の時代からすると、主人公の調査活動はどちらかと言えば大人しめであって、決して突飛な行動をしていないにも係わらず、女性が探偵役をやることは、当時としてはかなり新鮮かつ違和感を持って受け取られたのでしょう。この後、サラ・パレツキー、スー・グラフトンなどの女性ハードボイルド作家が出現したわけですね。

*ミステリ史上初のプロの女性探偵は、P・D・ジェイムズのコーデリア・グレイ。



チェシャ猫は見ていた (徳間文庫―シャロン・マコーンシリーズ)チェシャ猫は見ていた (徳間文庫―シャロン・マコーンシリーズ)
(1991/10)
マーシャ・マラー

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テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

『殺しのグルメ』ロバート・ブロック 徳間文庫

2009-04-10

Tag : 短編集

☆☆☆

血のしたたる殺人料理を十六種類とり揃えました。生のまま、生焼けのレア、それともよく火の通ったウェルダンがお好みですか。味つけも父殺し、母殺し、夫殺し、兄弟殺し、幼児殺しと多種多彩、殺しの万華鏡の観があります。ホラーの名シェフ、ロバート・ブロックが腕をふるった恐怖メニューをじっくり愉しんでください。見せかけの高級料理はありませんが、きっとご満足いただけると思います。 内容紹介より



収録作品
「ナイト・スクール」
「モデル・ワイフ」
「優雅な人々」
「兄弟仲良く」
「裏切り」
「韻を踏んだ犯罪」
「女は霊柩車」
「われこそはナポレオン皇帝」
「ルーシーがいてくれると」
「切り裂きジャックのカバン」
「温かい別れ」
「趣味をもつ男」
「生き方の問題」
「流れ者」
「生きているブレスレット」
「道を閉ざす者」

ロバート・ブロックといえば『サイコ』でしょうが、こんなスタイルの短編ミステリも書いていたのですね。やはり古い作品(1952~1978)なのでもの足りない感じがする話が多いです。しかし、どれも一筋縄ではいかないものばかりでした。下記はいくつかの作品の簡単な内容や感想です。

「ナイト・スクール」
大都会の片隅にある小さな古本屋がどうやって生計をたてているのか。古本屋店主のサイドビジネスの話。

「モデル・ワイフ」
妻に去られた男のヴードゥー魔術を使った復讐譚。

「優雅な人々」
昔、酷いあだ名を付けていじめていた女と結婚した男の話。

「切り裂きジャックのカバン」
20ページほどの小品でありながら、“切り裂きジャック”を軸とした過去と現在と未来が混ざり合ったストーリーで、怪奇性、幻想性も合わせ持った何気に凝った作りであり、『トワイライト・ゾーン』のネタにでもなりそうな作品。

「生き方の問題」
得体の知れないセールスマンが、配偶者に不満を持つ人たちの元を訪れて家庭用洗剤と称した毒物を売りつけて回る話。彼の目的が何なのか分からず不気味。不満を持つ三人がセールスマンをそれぞれ弁護士、保険代理人、警官と勘違いして愚痴るところ、つまり、彼女らが彼に不満の種を話す形式を採ったことで、彼女たちの抱える問題を読者に分かりやすく説明、提示する手法は上手いと思います。

「生きているブレスレット」
小さなサンゴのブレスレットみたいに見えたのは、実はヘビ。嫉妬に狂った男が妻の浮気相手に猛毒のヘビを……。小技が効いた作品。

「道を閉ざす者」
作者本人が登場して、自分の作品について精神科医と討論するユニークな話。でもあんまり面白くないです。



殺しのグルメ (徳間文庫)殺しのグルメ (徳間文庫)
(1989/04)
ロバート ブロック

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『眠れない夜』サラ・ケンプ ミステリアス・プレス ハヤカワ文庫

2009-04-06

Tag :



女検死官ティーナが静養に訪れた田舎町には、初めから無気味な影がさしていた。彼女の借りたコテージの壁に描かれた奇怪な悪魔、以前開かれていたという魔女集会の噂 ― だが、こともあろうに見知らぬ男の生首が届けられようとは! しかもなぜ彼女のもとに?ティーナは単身悪夢じみた事件の謎を追うが……。英国ゴシック・ロマンの香り漂う戦慄のスリラー 内容紹介より



「ティーナは勇気を奮いおこして戸棚を開けた。予想どおりー高い教養を身につけた理性的かつ知的なティーナが予測したとおりーそこには首など見あたらなかった」(p77)、
「理性と高い知性を備えたドクター・ティーナ・メイのような女性が物事を考えると」(p174)、なんだこの三文小説みたいな表現。

気味の悪い壁画、生首、魔女集会、悪魔、毒蛇とか道具立ては揃っていますが、どれもコケ脅しでした。スリラーもサスペンスもこれからというところでピークを迎えてしまい、後は盛り下がるだけでした。悪魔が迎えた最期なんて笑止としか言えません。もっとオカルトっぽいストーリーを期待していたのに、かなりの駄作でした。ノイローゼ気味で不眠症の主人公を現実と幻覚の狭間に置いてしまい、どれが悪夢でどれが本当の事なのかと読者を混乱させる、手っ取り早くて効果的な手法を採ればまだ狙いどおりのサスペンス・スリラーになったでしょうに、主人公を追い込まなさ過ぎです。

それから、主人公視点による三人称が、ラスト近くで急に刑事の視点に移ったり、犯人の供述書がそのまま挿入されたりと、なぜ主人公の視点から外すのでしょう。緊張感が損なわれるのに。



眠れない夜 (ミステリアス・プレス文庫)眠れない夜 (ミステリアス・プレス文庫)
(1989/08)
サラ ケンプ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『想い出は奪えない』マックス・アラン・コリンズ 創元推理文庫

2009-04-02

Tag :

☆☆☆

その夏わたしは、ひとり暮らしの老人に暖かい夕食を届ける、地元病院のボランティアを引き受けることになった。配達先の老婦人は、みなそれぞれに聡明で優しい人たちばかり。だがほっとしたのも束の間、ある夜わたしは、彼女らのひとりが略奪され、殺害される現場に行きあわせてしまう……。駆け出しミステリ作家マロリーの活躍を描く、ノスタルジック・ハードボイルド第一弾! 内容紹介より



軽ハードボイルド風の外観ながら、中身はコージーミステリという作品です。主人公は探偵じゃないし、ミステリ作家が事件に巻き込まれる話ですしね。ハードボイルドっぽいところは、主人公が、わたしの嫌いな饒舌系および気の利いたことを言いたい系なところです。これには読み始めにうんざりさせられますが、後半はあまり気にならなくなりました。
たまに、執筆中、物語の登場人物たちが作者の手を離れて意図せぬ展開になる、みたいな
話を聞きますが、この作品の登場人物たちは作者の思った通り、図面通りの行動しかとらない典型のような感じでして、読者でもたいがい予想できる範囲の展開になっています。だから、100ピースほどのジグソーパズルみたいな、作品全体が分かりやすくこじんまりとまとまっている印象を受けました。そこがコージーぽいんですね。プロットはよく練ってあるし、器用な作家だと思うのですが、なんというか、ダイナミックさというと大袈裟ですが、何かそんなものが欠けているような気がします。あるいは、コージーに特化してしまうか。そのほうが良い作品が書けそうなので、個人的にはそっちに行って欲しいです。

この作者はノベライズ本をかなり書いている人みたいです。



想い出は奪えない (創元推理文庫)想い出は奪えない (創元推理文庫)
(1992/11)
マックス・アラン コリンズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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  • Author:てんちゃん1号
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