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『いい女をおさえつけることはできない』アリス・ウォーカー 集英社文庫

2009-08-11

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☆☆☆☆

プレスりーを思わせる青年の成功をあたたかく見つめる黒人女性…。ポルノ雑誌を見てマスターベーションをする夫に決然と戦いをいどむ主婦…。『カラーパープル』でピューリッツア賞、全米図書賞を受賞した、今、世界でもっとも注目される女性作家アリス・ウォーカーの、最高に熱く、最高に哀しく、そして深い、珠玉の短篇集。全14篇。いい女、14人。 内容紹介より



「1955年」「どうやって州一番の腕きき弁護士を殺せたかって?かんたんよ。」「エリーシア」「恋人」「ペチュニア」「別れ」「名声」「中絶」「ポルノ」「ルーナとアイダ・B・ウェルズ」「ローレル」「時の手紙 あるいはこのサド・マゾヒズムを許すべきか?」「春 突然の帰郷」「ソース(源)」収録

アフリカ系アメリカンであり、また女性であるという立場からの、非常にメッセージ性の高い作品集なのでしょう。しかし、それゆえに人種的な偏見、差別、抑圧を幸いにも経験したことのない者にとっては、なかなか真から理解できない部分も当然あって、そこにギャップを感じたりもします。「名声」のなかで作家である主人公が言う台詞「考えてもごらんなさい。黒人たちは黒人であることについてしか書かない。人間であることについては書かないのよ」(p100~p101)。個人がいかに努力しようと変えることのできない皮膚の色、そこからアメリカという国に生まれついたアフリカ系の人々は考えはじめなければならない、これはとても不幸な出来事であり不条理なことでしょう。そしてまた、「ポルノ」や「ルーナとアイダ・B・ウェルズ」、「時の手紙 あるいは…」*などで語られているように、女性であるが故での性的抑圧、暴力、差別の問題も存在しているわけで、特に後の二作品では黒人vs白人、女vs男の複雑な問題も語られています。なんとか頭で理解しても心情面ではとても難しかったりしますが、その努力を続けることが大事でしょう。

*「時の手紙 あるいはこのサド・マゾヒズムを許すべきか?」においては、
『「風と共に去りぬ」のアメリカ ―南部と人種問題―』(青木冨貴子 著 岩波新書)で語られている『風と共に去りぬ』の黒人社会での不人気ぶりの一端が描かれている。



いい女をおさえつけることはできない (集英社文庫)いい女をおさえつけることはできない (集英社文庫)
(1986/08)
アリス・ウォーカー

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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