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『魂よ眠れ』ジョージ・P・ペレケーノス ハヤカワ文庫

2009-09-16

☆☆☆☆

黒人探偵デレク・ストレンジは、死刑が濃厚な元暗黒街のボス、オリヴァーを救おうとしていた。デレクはかつてオリヴァーの父の死に関係し、罪の意識に苛まれていたからだ。オリヴァーを助けることができる重要証人の女の存在を知ったデレクだが、ストリート・ギャングもその女を尾け回していた。やがてデレクは、ギャングたちの血で血をあらう抗争に巻き込まれてゆく……街を支配する強大な暴力にデレクは独り立ち向かう。 内容紹介より



複数の殺人や麻薬の売買に関わったギャングのボスを死刑判決から免れさせようと主人公ストレンジが努めるているのは、彼がボスの父親の死に関係したことが直接の理由ですが、永らく行われていなかった死刑を是が非でも執行することで犯罪者への見せしめにしたいという司法機関の強い意図を感じているからです。物語の舞台であるワシントンDCの多くの市民が死刑に反対し、死刑制度が犯罪抑止力になりえないとストレンジは主張し、続けて、「おれが言いたいのは犯人の素姓なんかじゃない。生まれたときから、機会も与えられなければ、指導してくれる人もいないってことを問題にしたいんだ」(p267)。つまり、「誰でも最初は無垢な子供なのだ。金があり、愛する両親がいて、なにひとつ不自由のない生活を送っている子供たちと、貧しい子供たちとでは、社会へ巣立つ入口がちがう。それだけのことだ。貧しい子供たちは、言ってみれば、レースに出る前に手足の自由を奪われているようなものだ」(p185)と子供たちの家庭環境*や社会、生活環境に関心を向けて改善しないことには犯罪者予備軍はいっこうに減らないと言っています。彼はその一端として貧しい黒人地区の子供たちを集めて作られたアメリカン・フットボールのチームを支援しています。これがデレク・ストレンジ・シリーズに一貫して流れる非常に分かりやすく共感できるテーマになっています。

*本書の中で誰かの父親として登場してくるのは、継父のストレンジただひとり。後は皆母子家庭なのがこの物語を象徴しているような気がします。

ジョージ・P・ペレケーノスの他の作品
〈デレク・ストレンジ・シリーズ〉
『曇りなき正義』
『終わりなき孤独』

〈ワシントン・サーガ〉
『明日への契り』




魂よ眠れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)魂よ眠れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2006/06)
ジョージ・P. ペレケーノス

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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