『ブルーベリー・マフィンは復讐する』ジョアン・フルーク ヴィレッジブックス

2009-10-31

☆☆

レイク・エデンに、あの人気料理研究家コニー・マックがやってくる!いつもは静かに厳しい冬が過ぎ去るのを待つ町が、今年は浮き足だっていた。そんななか、ハンナはウィンター・カーニバルの特別ゲストとして招かれたコニーに、自分の店の厨房を一晩貸すことに。翌朝、出勤してきたハンナが発見したのは、ぐちゃぐちゃの厨房と、特製ブルーベリー・マフィンを手にしたコニーの死体だった!殺人現場として店は立入禁止になるは、妹の親友と恋人候補ノーマンまで犯人扱いされるはで、頭に来たハンナはまたまたこっそり犯人探しを始めるが……。お菓子探偵の面目躍如、シリーズ第三弾! 内容紹介より



思うに、このシリーズのミステリ色が希薄な原因は、容疑者たちが容疑者足り得る充分な容疑を持ち合わせていないからではないのかと。例えば、ノーマンの容疑は被害者からかなりぞんざいな扱いを受けて、そのことに立腹して犯行に及んだというもの。被害者とは初対面であり、普段の彼の言動からは乱暴な行為をしそうにはないのもかかわらず、顔馴染みの刑事が容疑をかけるのです。その他の容疑者も被害者から叱責させたとかそんなものなのですね。現実に起きる殺人事件では、そんな単純なことが原因になることが多いのかもしれませんが、ミステリ小説においては興ざめしてしまいます。もとから作者にはレッドへリングを仕掛ける意図などないかのように思えます。

以下、ネタバレしています。


しかし、容疑者たちの中に真犯人を潜ませず、真犯人を中盤まったく舞台に登場させず(真犯人が登場するのは約460ページ中19ページほど)、見当違いな容疑者たちで話を引っ張るつもりなら、いくらコージー・ミステリといえども、彼らを容疑者たるべき姿に、臭いのきついレッドへリングに造り上げるべきです。

『ストロベリー・ショートケーキが泣いている』ジョアン・フルーク ヴィレッジブックス
『ファッジ・カップケーキは怒っている』ジョアン・フルーク ヴィレッジブックス
『シュガークッキーが凍えている』ジョアン・フルーク ヴィレッジブックス




ブルーベリー・マフィンは復讐する (ヴィレッジブックス)ブルーベリー・マフィンは復讐する (ヴィレッジブックス)
(2004/02)
ジョアン フルークJoanne Fluke

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『アンダードッグス』ロブ・ライアン 文春文庫

2009-10-29

☆☆☆☆

19世紀末の廃墟が地下に残る街、シアトル。今、この地下迷宮に、男が一人、少女を人質に逃走した。警察、元トンネル攻撃兵、対テロ特殊部隊、さらには地下に潜む悪党どもが、それぞれの思惑を胸に追撃に出る。巨大な闇の迷宮で息づまる人狩りが開始された。猛烈な疾走感、緻密な構成、驚愕の仕掛け。傑作冒険サスペンス登場!



ロブ・ライアンの処女作で、登場人物のほとんどがエキセントリックなところなど、カール・ハイアセンを思わせる作品です。伏見威蕃さんの訳者あとがきによると、登場人物の名前は、『不思議の国のアリス』に因んで名付けられているようで、ややノワール調な『不思議の国のアリス』と言ったらいいのでしょうか。“兎”にさらわれた少女アリス。その二人を追う者たちのそれぞれに、ただ、少女を救いたいという動機以外の彼らなりの理由を持っていて、それが妙に納得がいくもので、こういうところが上手だなあと思いましたね。ただ、追いかけられる兎役は力不足で荷が重かったのではないかと、もうちょっと強かったり、悪知恵が働いたり、地下世界に詳しかったりすればさらに面白くなったのかもしれません。そして、舞台となる地下世界ですが、おなじような場所を舞台にした、『マンハッタン狩猟クラブ』(ジョン・ソール 文春文庫)よりは趣向を凝らして描いてありますが、さらに無気味なスポットを描き出して欲しかったです。

『暁の疾走』ロブ・ライアン 文春文庫




アンダードッグス (文春文庫)アンダードッグス (文春文庫)
(2000/10)
ロブ・ライアン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『オイル・タンカー強奪!』コリン・フォーブズ 創元推理文庫

2009-10-27

Tag :

☆☆☆

イスラエルへの支援を完全に打ち切るまでは、石油の供給を50パーセント削減する。サウジアラビアの新石油・経済相タファクのこの通達は、欧米各国をパニックに陥れた。しかも追い打ちをかけるように、彼は恐るべき計画を押し進めていた。英国の巨大オイル・タンカーを核爆弾を盾に乗っ取ろうというのだ!マクリーンと並ぶ英国の雄が贈る迫真の冒険小説。「黄金猿の年」改題。 内容紹介より



まず、サンフランシスコで核爆弾を爆発させなきゃならない訳がどうしても納得いかなかったです。そんなことをやらかして目論みとおりに事態が運ぶのでしょうかね。
ストーリーの運びは上手いと思いますが、なにか薄い。特に善悪双方の登場人物たちが薄っぺらく、人間的魅力に乏しいことも一因かもしれません。特に、ルキャというテロリストの造形がステレオタイプで、体格の良いいじめっ子がそのまま成長して大人になったみたいな単純な暴力指向のキャラクターであり、もう一人の計画の立案者のウィンターも通り一遍の人物としてしか映りません。それから物語全体があっさりしていて、作品のリズムの高低、強弱が乏しいような気がしました。冒険小説に不可欠な読む者を大なり小なりに圧倒させるものが欠けているように思います。佳く出来ているけれど、それ以上でもそれ以下でもなく、読後に面白かった箇所を拾い読みしようとは思わない作品でした。




オイル・タンカー強奪! (創元推理文庫)オイル・タンカー強奪! (創元推理文庫)
(1991/10)
コリン フォーブズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『盗まれた空母』トマス・ブロック 文春文庫

2009-10-25

Tag :

☆☆☆☆

霧雨の朝、記念展示艦空母ヨークタウンは係留地から忽然と姿を消した。その少し前、イラン海軍の潜水艦が残忍な手段で強奪されていた。― そして、2500万ドルの金塊を積んだ旅客機DC-9が信じがたい脅迫を受けた。「海に向かって飛べ」と。世紀の大犯罪と戦うすべは? 「超音速漂流」のトマス・ブロックが考えぬいた最新作 内容紹介より



『超音速漂流』は面白かったけれど、脳にダメージをうけた乗客たちの描写にちょっとした嫌悪感を覚えたり、『亜宇宙漂流』はたいして評判にならなかったりして、ブロックの作品を手にとる機会がなかったのですが、軍事スリラーものが読みたくなってこの古い作品を読んでみました。でも、これ軍事スリラーじゃなかったんですね。盗み出された退役した空母に金塊を積んだ旅客機を強制着陸させ、さらに身代金まで強奪しようと計画する犯人たちと彼らに抵抗しようとする旅客機の乗客たちの話でした。
こういうスケールの大きなプロジェクト犯罪ミステリにしては、ページ数と主要登場人物の数が非常に少ないことと付きもののカットバック手法をほとんど使っていないことが印象に残りました。並みの作家ならページ数、主要登場人物数ともにこの2倍、カットバックもかなり多用して、相当なボリュームになったはずで、それでもエンタメ指数は上がらなかったでしょうね。その点、ブロックの技能と手際は見事なものがあります。ただ、充分佳い作品なのだけれども欲を言えば、あと百ページほど長くして、人質となってからの乗客それぞれのエピソードなど作品にディテールを加えて描いてあればとも思いました。そこのところがあっさり目で淡白だったような、若干もの足りなさを感じました。




盗まれた空母 (文春文庫 (275‐22))盗まれた空母 (文春文庫 (275‐22))
(1985/01)
トマス・ブロック

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『贖いの地』ガブリエル・コーエン 新潮文庫

2009-10-23

Tag :

☆☆☆

マンハッタン対岸の波止場地区レッド・フック。この土地に生まれ育った殺人課刑事ジャックは、あるドミニカ人刺殺事件を担当することになった。ところが、現場を目にしたとたんに、なぜか嘔吐してしまう。百戦錬磨の刑事を動揺させたのは、いったい何だったのか?封印された記憶に秘められた悲劇とは?さびれゆく町を舞台に、一人の刑事の再生の物語を抑制のきいた筆致で綴る。 内容紹介より



このような“再生物語”と称される内容の話は、当事者の年齢が高くなるにつれ描きにくくなるのではないのかと思いました。本書の主人公のような五十代といえば、それなりの人生経験を積み、齢を重ねてきたわけですから、それより下の世代みたいにはちょっとやそっとのことじゃ駄目になったりしないでしょうし、そうなるにはそれなりの納得のいく原因を設定しなくてはなりませんよね。本書の主人公は気が付いてみれば妻とは離婚、息子とは何か月も会っていない状態で、そんな男はどこにでもいそうですけど、彼の場合には、ある殺人事件が生まれ育った町で起き、あらためて目の当たりにした荒廃ぶりと子ども時代の家族の記憶、そして、殺人課の刑事という立場からのストレスにこれまで引きずってきた少年時代の出来事が複合的に作用して心にダメージを受けてしまったケースです。
しかし、肝心の悲劇的な出来事が弟に関係した何かであるという以外に詳しくは書かれないため、読んでいるとまどろっこしく、黄昏ぶりが甘く感じて自ら寂しさに浸っているんじゃないかと思えてしまいます。陥った状況にたいする彼の行いには、まるで背中に貼り付いた濡れ落ち葉みたいな鬱陶しさをたまに覚えました。やはり終盤に明らかにするよりはじめから明かしておいたほうが主人公に共感できたのではないでしょうか。
それから「殺人課特別捜査班のエリート刑事」がとったとは思えないほど不注意で間抜けな行動をしているところが、この本作がミステリ作品でないことを示していると思います。     
余談ですが、目黒孝二氏が好きそうな話だなと思っていたら、やっぱり「中年授業」で取り上げていました。




贖いの地 (新潮文庫)贖いの地 (新潮文庫)
(2003/04)
カブリエル コーエン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『バスルームから気合いを込めて』ジャネット・イヴァノヴィッチ 集英社文庫

2009-10-21

☆☆☆

「バウンティ・ハンターなんてやめてやる!」― 裁判と保釈金をぶっちぎる不届き者を捕まえる仕事に愛想を尽かしたあたし、ステファニー・プラム。あれこれ転職活動してみるも、災難つづきで失敗ばかり。そのうえ、あたしの命を脅かす“亡霊”まで現れちゃって……。イイ男二人に挟まれ、謎めいた事件に苛まれ、殆どヤケで(?)真相究明に奔走するヒロインの、抱腹絶倒、大人気ミステリー・シリーズ! 内容紹介より



このシリーズは、主人公と毎回違う一風変わったトリックスターとのどたばたとした絡みが読みどころのひとつだったと思うのですが、翻訳権が扶桑社から集英社へ移ってからの二作品はそれがなくなってますね。内輪で回す傾向が強くなったみたいで、すると当然、モレリ、レンジャーと絡む場面が多くなり、さらに、この三角関係がマンネリ化しているためにあまり面白くないことになってしまっています。『カスに向かって撃て!』でも書きましたが、ヒロインが二人の男性の掌の上であれこれやらかす、男たちはこれを生暖かく見守り、時に手助けする、このパターンに一層拍車が掛かっているけれど、もうそれは限界でしょう。作者にその傾向を改善しようという意図があるのかどうなのか分かりませんが、下ネタがさらに過激に多用されていて大丈夫なのかなと思ってしまいました。
ミステリ史上、おそらく一番多くの車に乗り継いでいるであろうステファニー・プラム。彼女の乗る車に起きる様ざまな災難、不幸な出来事(爆発、炎上、銃撃、落書きなど)を読むにつれ、アメリカってつくづく車社会で、日本人より車に対する思い入れとかが強くて、こういう場面がウケるんだろうなあと思うこの頃です。

〈ステファニー・プラム〉シリーズ
『お騒がせなクリスマス』ジャネット・イヴァノヴィッチ 扶桑社ミステリー
『カスに向かって撃て!』ジャネット・イヴァノヴィッチ 集英社文庫

〈バーニー〉シリーズ
『モーターマウスにご用心』ジャネット・イヴァノヴィッチ ソフトバンク文庫




バスルームから気合いを込めて (集英社文庫)バスルームから気合いを込めて (集英社文庫)
(2008/07)
ジャネット イヴァノヴィッチ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『バビロン脱出』ネルソン・デミル ハヤカワ文庫

2009-10-19

Tag :

☆☆☆☆

中東平和会議に出席するイスラエル代表団を乗せ、エル・アル航空のコンコルドはニューヨークへ向かっていた。だが、その機内にはアラブ人テロリスト、アメド・リシュによって爆弾が仕掛けられていた。小型ジェット機コンコルドに接近したリシュは、狡猾な手段で同機をハイジャックし、砂漠の古都バビロンへの強制着陸を命じた。これに対し、エル・アル航空の保安部長ハウズナー以下の全乗客は地上での戦闘を決意した 内容紹介より



デミルの初期の作品らしいけれど、かなり技術的に出来上がっている印象を受けました。彼はアメリカ人ですが、いかにもイギリス産冒険小説といった雰囲気です。その流儀なり基本を守って書いているからなのでしょう。話自体は非常に単純で、本書の中でも言及される“アラモ砦”のような、攻めて来る圧倒的な敵を少人数で迎え撃つというもの。デズモンド・バグリイの傑作『高い砦』にかなり近い設定です。ただ、『高い砦』の場合は、たしか、皆、戦闘の素人で武器も手作りだったはずですが、本書では軍人、保安担当者や諜報員もおり、拳銃やサブマシンガンを数丁所持しています。敵(アラブ)はまったくの悪としてしか描かれていません。
後、イギリスの冒険小説と違うところは、自然対人間の戦い、自然の猛威や水不足による
渇きなどの生理的な問題をあまり深く扱っていないところでしょうか。ユダヤの宗教や史実についてほとんど知識を持たないので、概略だけでも知っておけばより興味深く読めたのかもしれません。とにかく、装備、人員ともに優位な敵に対し、奇策を用いて戦うシーンは娯楽小説としてとても楽しめました。
『将軍の娘』を読み、その主人公の軽口に辟易して以来、児玉清氏がいくら絶賛しようとデミルの作品は避けていたのですが、これは秀作だと思います。




バビロン脱出〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)バビロン脱出〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)
(1992/10)
ネルソン ドミル

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ゼブラ』ハイム・ポトク 青山出版社

2009-10-17

Tag :

☆☆☆☆

ある日ぼくらの学校に、不思議な美術の先生がやってきた。
ゼブラ BB ムーン ナヴァ マックス イザベル 6つの物語がおりなす、永遠のピュア・ワールド 帯より



「ゼブラ」
走ることが大好きでそこら中走りまわっていた少年が交通事故に遭ってしまい、走ることはもちろん手の動きも不自由になってしまう。そして、心までも悲しみのなかで立ち止まった少年が、「夏休みの美術教室」の特別講師である、戦争で障害を負ったアーティストと出会ったことで心も身体もほんの少しずつ動き始めるという話。毎夏、アーティストが美術講師を務める訳とは……。

「BB」
母親が出産のため入院した日、BBは父親が家を出ていったらしいことに気が付く。誰にも言えない大きな心配事を抱え込んだ子どもの揺れる気持ちを描いた作品。

「ムーン」
ドラムを叩くのが大好きな、反抗期でとんがった少年と過酷な児童労働問題を訴えるためにパキスタンからやって来た少年とのふれあい。

「ナヴァ」
ベトナム戦争中、ネイティブ・アメリカンの戦友に命を助けてもらったことがある父親
を持つ少女と彼女に交際を迫るマリファナを売る同級生の少年。

「マックス」
ベトナム戦争で戦死したマックスおじさんを英雄視する少女の話。

「イザベル」
父親と弟を事故で亡くしたイザベラと母親を病気で亡くしたベッツィ。それぞれの片親同士が交際し、結婚することになる。少女たちのそれぞれの気持ち。

書名と作者名を見て、てっきりアフリカのサバンナに暮らすひとのことを書いた話かと思いました。実際は、作者はニューヨーク生まれのアメリカ人だそうです。
ヤングアダルト作品に分類されていますが、「マックス」や「イザベル」などは解釈することが難しい作品だと思います。しかし、どの作品をとっても子どもたちの目線まで降りて描かれ、不安や心細さ、心配な気持ち、様々な感情に心を打ち鳴らす心臓の鼓動を感じられそうです。




ゼブラゼブラ
(2001/05)
ハイム ポトク

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テーマ : 児童書
ジャンル : 本・雑誌

『カリフォルニアの炎』ドン・ウィンズロウ 角川文庫

2009-10-15

☆☆☆☆

カリフォルニア火災生命の火災査定人ジャック・ウェイドは炎の言葉を知っている。寸暇を惜しんでは波の上にいる筋金入りのサーファーが、ひとたび焼跡を歩けば失火元と原因をピタリと当てる。彼は今、太平洋を見下ろす豪邸の火災現場で確信している。これは単なる保険金詐欺ではない。殺人だ、と。ジャックは愛するカリフォルニアの太陽の下に蔓延る犯罪と悪徳の世界へ挑戦状を叩きつける。炎の言葉に導かれて ― 。鬼才ウィンズロウ入魂の最新作。 内容紹介より



殺人が絡んだ保険金詐欺をきっかけにした、主人公の火災査定人と被害者の夫であるやり手の実業家との割に単純な対決と思われていたものが、話が進むほどに徐々に犯罪のスケールが大きくなり、ある時点でカメラがいきなりズームアウトしたみたいに主人公の危険な立ち位置が露になる、この仕掛けの転換というかけれん味がかなり効いています。そこに至るまでの伏線の張り方も見事だし、緻密で強固なプロットの構築も著者の技巧の冴えを見せています。特に、実業家の正体と意図が転々と変わっていく様には驚かされました。非常に優れたエンターテインメント作品ですが、それにとどまらず、土地開発、自然破壊の問題も含まれており、メディアでしばしば報じられるカリフォルニアの大規模森林火災とその前ではいかにも無力な人と社会、炎というものが持つ暴力性とすさまじい破壊力について改めて考えさせられる作品でした。

『ウォータースライドをのぼれ』ドン・ウィンズロウ 創元推理文庫
『砂漠で溺れるわけにはいかない』ドン・ウィンズロウ 創元推理文庫
『ボビーZの気怠く優雅な人生』ドン・ウィンズロウ 角川文庫




カリフォルニアの炎 (角川文庫)カリフォルニアの炎 (角川文庫)
(2001/09)
ドン ウィンズロウ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『私が終わる場所』クリス・クノップ ハヤカワ文庫

2009-10-13

Tag :

☆☆☆

職なし、友なし、家族なし。妻と娘に見切られた中年男。それが俺だ。家にこもり、酒に溺れ、たまに海を眺めては無為な日々を過ごしていた。が、ある日、偶然にも隣人の老女の死体を発見してしまう。警察は事故として処理しようとするが、俺は死体に不審な点があるのに気付いてしまった。俺は調査を始め、界隈に隠されていた陰謀を知るが……。やさぐれ中年男サムが立ち直ろうとする様を哀感をもって描いたハードボイルド 内容紹介より



ドロップアウトした酒浸りの“三なし”やさぐれおじさんにしては、身体も心も全体的にしっかりしていて、こんな人物が果たして人生を崩壊させられるものかね、と思う。他人の心配ができるような精神状態なんて生温い、自分の面倒も見られないくらいのどん底状態じゃないと面白くない、とも思う。設定が甘過ぎるんじゃないのか、とか感じる。なんだかスカしてるみたいで、主人公の状況がもうひとつ切羽詰まってるとかギリギリの体とかの印象を受けません。節のはじめごとに、思い出のある風景の描写と過去の出来事を振り返るパターンを繰り返していて、センチメンタルなタッチなのですけれど、黄昏れているポーズ臭さがあって、このまま行くと自己憐憫に堕ちそうな雰囲気があって個人的にどうかと思います。主人公がなぜこういう境遇に置かれたのか、という説明もその過去を振り返る部分でなされるわけですが、それが小出しなのと外縁部をなぞっているだけで一向に核に踏み込まないためよく理解できませんでした。
彼に対する妻と娘の言い分も記述不足なのではないでしょうか。




私が終わる場所 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 12-1)私が終わる場所 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 12-1)
(2007/09/07)
クリス・クノップ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『恐竜クライシス』ハリー・アダム・ナイト 創元推理文庫

2009-10-11

☆☆☆☆

うちのニワトリ小屋を荒らしているやつがいる!ショットガンを手に飛びこんだ農夫の前に、そいつが立ちはだかった。巨大な爬虫類のような頭部、鋭い鈎爪のついた前肢、太く長い尻尾。デイノニクス、はるか太古に滅びたはずの恐竜。やがて、次々に現われた恐竜たちはイギリスの片田舎の町を襲いはじめた……彼らは、いったいどこから?正真正銘、恐竜パニック小説の決定版! 内容紹介より



マイクル・クライトンの『ジュラシック・パーク』のパ○リみたいですが、実は、あれより六年も早く刊行された作品らしいから、クライトンがパ○ったのか、どうなのか?『ジュラシック・パーク』と比較しても作品の出来は遜色ないと思います。とにかく、遺伝子解析とクローン技術を恐竜再生の道具立てに採用したアイデアはもっと評価されてもいいのにと思います。どうして話題にならなかったのでしょうね。いわゆるネームバリューと呼ばれるものがクライトンのほうが高かったのと、イギリスとアメリカにおけるエンターテインメントのすそ野の大きさの違い*なのでしょうか。内容を比べると、本書は性格に難があって、あまり感情移入できない人物を主人公に配し、『ジュラシック・パーク』は子供をメインにストーリーをまわしていること。絶海の孤島と多くの住民がいる町中とでは、恐竜が暴れまわる舞台としては、やはり後者が映えるわけですが、パニックノベルの設定として考えるとあまりにオーソドックス過ぎているのかもしれません。つまり、『ジュラシック・パーク』は、人が動物園の檻の中へ入っていった話であり、『恐竜クライシス』は、動物園から動物が逃げ出した話に分けられると思います。クライトンが本書を読んでいないわけはないでしょうから、このような相違点を意図的に造り出したのではないのでしょうか。

*特に映画化されたこと。




恐竜クライシス (創元推理文庫)恐竜クライシス (創元推理文庫)
(1994/11)
ハリー・アダム ナイト

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テーマ : ファンタジー・ホラー
ジャンル : 本・雑誌

『切断点』リン・S・ハイタワー 講談社文庫

2009-10-09

☆☆☆

セミナー参加中の人妻が失踪した。夫には「しばらく家へ帰らない」と電話が一度あったきり。宿泊先のホテルの部屋に残された新聞の切り抜きには、法曹界の大立て者である男の写真が……。二人の子供を持つ彼女に何が起こったのか?事件の背後に、邪悪な陰謀を嗅ぎとった女性刑事ソノラの執念の捜査が始まった! 内容紹介より



〈女性捜査官ソノラ・ブレア〉シリーズの二作目。前作の薄気味悪いエンディングを引きずっているのかと思っていたら、まったく影響は見られませんでした。ただ、主人公に前作ほどの個性が見られず普通になったような気がします。今回は、物語の当初から犯人が指名されているため、一種の倒叙物の警察ミステリと言えるのかもしれません。読んでいて意外だったのは、犯人が人気の高い切れ者の検事という設定でありながら、犯人から刑事たちに対する目立った捜査妨害や罠や嫌がらせなどのアクションがほとんどなかったことです。ある種の圧力はかかりましたが決定的になるようなものではありません。通常だと、法律の知識や権力を悪用して、ヒロインを社会的、身体的な窮地に陥れるプロットになりそうなものですが、あえてしなかったのか、どうなのでしょうね。読む人にとってはそこら辺りがもの足りなさを感じるかもしれません。しかし、捜査活動に重点を置き、それが淡々と進められ、犯人に少しずつ近づいて行く様子をストレートに描くという点では上手い選択だったかもしれないです。趣向を凝らしてギトギトした作品を読み付けていると、さっぱりあっさりしたストーリー展開もたまには良いと思います。

『引火点』リン・S・ハイタワー 講談社文庫




切断点 (講談社文庫)切断点 (講談社文庫)
(2000/01)
リン・S・ハイタワー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『モーターマウスにご用心』ジャネット・イヴァノヴィッチ ソフトバンク文庫

2009-10-07

☆☆

エンジニアの不審な死、インチキ・レースの疑惑。NASCARをめぐって大規模な不正が行われている?真相を探りだすため、あたしとフッカーはライバル・チームの輸送トラックを盗みだすが、トラックの中からチーム・オーナーの全裸死体が!絶体絶命の窮地、ロマンスも絶不調のバーニーが、エンジニアの意地をかけて勝負を挑む注目のシリーズ第2弾
内容紹介より



正直ステファニー・プラムはふたりもいらないか。しかも、本書のヒロインであるバーニーはステファニーよりまともだし、テンションは変わらないし、やや出来の宜しくないセルフコピーといった印象を持ってしまいます。ペットのイヌやぶっ飛んでる知り合いの女性たちといったいわゆるお約束の小道具の使い方も似ています。ただ、ヒロインがしっかりしているぶん、彼女の元恋人がかなり頼りない設定にしてあります。また、バウンティ・ハンターとして人捜しが毎回の目的となっている〈ステファニー・プラム〉シリーズと違い、巻き込まれ型の本書は行き当たりばったり感、ドタドタバタバタ感、ゴールの見えなさ感が強いです。ロマンス小説出身の作家ですから、従来のロマンティック・サスペンスとは異なったコメディ色の強いロマンティック・ミステリみたいなジャンルを目指しているのでしょうか。わたしとしては、ステファニーの祖母であるメイザおばあちゃんを主人公にしたスピンオフ作品を書いて欲しいのですが。

『お騒がせなクリスマス』ジャネット・イヴァノヴィッチ 扶桑社ミステリー
『カスに向かって撃て!』ジャネット・イヴァノヴィッチ 集英社文庫




モーターマウスにご用心 (ソフトバンク文庫NV)モーターマウスにご用心 (ソフトバンク文庫NV)
(2008/10/17)
ジャネット・イヴァノヴィッチ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『殺しはノンカロリー』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫

2009-10-05

☆☆

ダイエット効果抜群と評判の美容スパで、従業員が殺された。捜査の遅れに業を煮やした経営者のドロシーは、高級老人ホームに住む“名探偵”アンジェラに助けを求める。親友のキャレドニアを伴い駆けつけた彼女を現場で待っていたのは、新たな事件と苦い顔の捜査陣、そしてスパご自慢のダイエット・プログラム!〈海の上のカムデン〉を飛び出し、探偵と運動に汗水流す第五弾。 内容紹介より



ミステリの部分ではテレビドラマの二時間サスペンスくらいのレベルしかない〈老人たちの生活と推理〉シリーズ。来る高齢化社会用にこれを元に脚本を用意しておけば良いかもしれません。ビジュアルというか絵面的にはかなりとんでもないことになりそうですけど。今回はカムデンを出、美容スパへ。なので初出の人たちが大勢登場してきて、誰がどういう人物だったかよく把握できないまま読了しました。スパの宿泊客たちが容疑者になっているけれど、描き分けが弱いためそれぞれのイメージが希薄になっています。真犯人と対決する場面または逮捕する場面などのクライマックスがなく、後日報告みたいな形なのでサスペンス性に欠けています。キャレドニアがしょっちゅうオートミールを食べさせられる、お笑いでいうところの天丼なる設定は可笑しかったです。

『フクロウは夜ふかしをする』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫
『ピーナッツバター殺人事件』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫




殺しはノンカロリー (創元推理文庫)殺しはノンカロリー (創元推理文庫)
(2007/10)
コリン・ホルト ソーヤー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ダン・カーニー探偵事務所』ジョー・ゴアズ 新潮文庫

2009-10-03

☆☆☆☆

チーフのカーニー以下、敏腕調査員オバノン、元ボクサーの黒人へスリップ、新人ラリーら、DKA=ダン・カーニー探偵事務所の面々が直面した様々な事件 ― 令嬢を死に追いやった「メイフィールド事件」、ヒッピーのメッカで麻薬売人を追う「ページ通りの張りりこみ」、大金と共に消えた男を捜す「ペドレッティ事件」などDKAファイルに記された11のケースを集めたハードボイルド短編集。 内容紹介より



収録作品
「メイフィールド事件簿」「ページ通りの張りこみ」「ペドレッティ事件」「ジプシーの呪い」「マリア・ナヴァロ事件」「影を探せ」「黒く名もなき吟遊詩人」「オバノン・ブラーニーの事件」「フル・ムーン・マッドネス」「不具者と貧者」「真紅の消防車」

約25年前から40年前に渡って書かれた作品が収録されているのにもかかわらず、まず短編集全体の統一感が損なわれていないことと作品自体に新鮮さを感じることが印象に残りました。短期間に書かれた作品みたいにパターンのずれがなく、トーンも変化がなく一定しています。そして、探偵が主役の他のハードボイルド作品との明かな相違点は、あくまでも一事務所の調査員であること。つまり組織に属している複数の人物が“探偵役”を務めていることです。主人公がいわゆる個人経営の一匹狼ではないというのが今までなさそうで実際なかったのですね。多分これ以降も出て来ていないと思います。それから、この調査員たちが斜に構えず非常にプロフェッショナルに徹していること(強面の下にごくたまに見せる人情が良いアクセントになっていますが)。仕事をしているより軽口を叩いている時間のほうがあきらかに多いであろうと思われる、はたして探偵業が好きなのかどうなのか疑問に思える探偵が昔から大勢いますからね。
以前にも書きましたが、作者が主人公たちにこういう特徴付けを行ったのは、ゴアズ自身が調査会社に探偵として長年務めた経歴を持ち、その仕事と経験にプライドを抱いているからではないでしょうか。

調査員たちそれぞれ描き分けられており、なかでもオバノンのキャラクターは非常にユニークで秀逸です。

『死の蒸発』ジョー・ゴアズ 角川文庫




ダン・カーニー探偵事務所 (新潮文庫)ダン・カーニー探偵事務所 (新潮文庫)
(1990/06)
ジョー ゴアズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『殺人者は眠らない』ウィリアム・カッツ 扶桑社ミステリー

2009-10-01

☆☆☆

「眠れない ―」不眠症に悩むアンは向かいに住むマーク・チェイニーに興味をもった。前の夫とは正反対、素敵な男性だわ、とアンはひそかに好意を抱いた。しかし、マークの正体は、彼をかつて少年院送りにした教師や判事をつぎつぎに殺している連続殺人鬼だった。「見張られている?」と疑うマーク。あの女は警察のスパイかもしれない。なんとか始末しなければ。だが、マークの真意を知らず、アンは一人勝手な恋にのめり込んでいく。「殺すしかない」マークは決意した ―。『マンハッタン連続殺人』『恐怖の誕生パーティ』で大都会の恐怖を描いた鬼才ウィリアム・カッツが放つ戦慄の心理サスペンス! 内容紹介より



深夜、死体とともに帰宅するイケメンな殺人鬼と彼を覗き見する不眠症の女っていう状況設定は興味を惹くけれど、ストーリー展開に意外性がないために無難な作品に仕上がってしまった感じです。カッツらしい心理サスペンスもの。ハイアセンだったらスラップスティックな味を付けそうだし、レンデルだったら恋する女をどんどんパラノイア気味にもっていったでしょう。そういうのが読みたかったような。ブラック・ユーモア調にもとれますが、やりきってないようで、あるいは最初からやる気がなかったのか不完全でした。午前四時に電話をかけたり、軽食を届けたり、彼の車を尾行したりと徐々に妄執からもう少しで常軌を逸しそうな気配は見られるけれど、それ以上に過激な、または異常な展開にならなかったのは残念でした。彼女の押し付けがましい行動に、殺人鬼がいらいらをつのらせて何度もキレそうになる場面は可笑しかったです。登場人物たちのパターンが単調なので、家庭内暴力が原因で別れた前夫を登場させて、もっと人間関係を錯綜させてもよかったのかもしれません。




殺人者は眠らない (扶桑社ミステリー)殺人者は眠らない (扶桑社ミステリー)
(1990/04)
ウィリアム・カッツ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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