『硝煙に消える』ジョージ・P・ペレケーノス ハヤカワ文庫

2011-05-31

☆☆☆☆

あの日から、すべてが崩壊に向かった。ある老人に行方不明の孫を捜してくれと頼まれた日から ― 家電販売会社で働くニックは、二週間前に突然失踪したアルバイトの少年ジミーを探しはじめた。まもなく彼は、少年が過激なパンクグループの男と謎の美女とともに消えたことを突きとめる。が、失踪事件はやがて麻薬絡みの殺人事件へと発展し……ハードボイルドの次代を担う新鋭が放つ、ノワールの香りが漂う話題の新シリーズ! 内容紹介より



ペレケーノスのデビュー作であり、ワシントン・サーガの第一作目です。
佐藤耕士氏が、訳者あとがきのp392~p393にかけて述べられていることと同じ感想を持ちました。ハードボイルドではお約束の行方不明人捜しという設定に青春物語(ただし、主人公は三十代ですが)、この陰と陽を絶妙に絡ませた物語です。本文中にもあるように、主人公は「向こう見ずな二十代が過ぎ去ったことをうらめしく思い」ながら、昔の職場に戻ると、仕事中に同僚とビールやマリファナをやったり、友人と馬鹿騒ぎをしたり、調査に赴いた先で列車に飛び乗るという悪ふざけをしたりして、もう一度向こう見ずな二十代に戻っていきます。これらの場面が、祭りの後とか、つかの間の輝きを放った後に来る暗闇を予感させて非常に印象に残りました。そして、少年の失踪事件が彼にもたらしたものは、友人の死と二十代との完全なる決別でした。ハードボイルドの部分は、少年との会話ややり取りが省かれいることなど、やや深みに欠けているようにも感じましたが、意外なひねりも用意されおり、作者のそつのなさが表れているように思います。

タグ:ジョージ・P・ペレケーノス




硝煙に消える (ハヤカワ・ミステリ文庫)硝煙に消える (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1997/01)
ジョージ・P・ペレケーノス

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『首切り』ミシェル・クレスピ ハヤカワ文庫

2011-05-29

Tag :

☆☆☆

一流の経営コンサルタントだった私は、突如解雇され失業者へと転落した。が、人生は苦もあれば楽もある。突然好機は訪れた。ある企業がリストラされた優秀な人材の就職先を斡旋してくれるというのだ。私たちは孤島に集められ、すぐに奇妙な就職試験を受けることになった。陰惨な結果が待つとも知らず……。紳士淑女を野獣へ変える血の再就職サバイバルへようこそ。フランス推理小説大賞に輝く、苦みの効いたサスペンス。 内容紹介より



登録されたら一流企業への就職を斡旋してくれる人材登録会社の試験を受けるべく、孤島に集められた主人公を含む選抜された15人の失業者たち。三チームに分けられた彼らは会社運営のシミュレーション試験に臨むことになり、個人やグループ同士の闘争心にいっそう拍車がかかり、やがて暴走し始めるというストーリーです。頭脳戦だった前半から中盤にかけてのやりとりは、やや長めな感じがしましたが、それでもかなり興味深く面白かったです。しかし、終盤になり暴力場面になるとありきたりの展開で意外性に欠けてた印象を受けました。極端に言えば、緊迫感を出すためと物語を身軽にするために、失業者はメインの三人でも良かったのではないでしょうか。職を得るために、欺瞞や暴力を用いてライバルを蹴落とすという設定はたまに見ますけれど、本書のように次第に追いつめられて心がおかしくなってしまう様子を描いた作品は比較的珍しいかもしれません。ただ、その過程にメリハリが効いていないのといきなり暴力に至った直接的な理由が説明(あるいは誇張)不足気味のような気もしました。
とにかく、フランスミステリには毛色の変わった作品が多いものですが、これもミステリとリストラ、再就職を組み合わせて、違った角度から捉えたユニークな作品だと思います。




首切り (ハヤカワ・ミステリ文庫)首切り (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2002/07)
ミシェル クレスピ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『スネークスキン三味線』ナオミ・ヒラハラ 小学館文庫

2011-05-27

Tag :

☆☆☆

ラスヴェガスのカジノで五〇万ドルの大金を手にした日系人男性が殺された!傍らには、壊された三味線が……。殺人容疑をかけられた親友G・Iの無実を晴らすべく、日系人庭師マス・アライがG・Iのガールフレンドで私立探偵のジャニタとコンビを組んで奔走する。オキナワの歴史と戦時中の日系人収容所での出来事が複雑に絡み合う、事件の裏に隠された根深い真相とは?前作『ガサガサ・ガール』に続き、ユーモラスで強烈な個性を放つ「庭師マス・アライ事件簿」シリーズ第二弾。日系人初のアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作! 内容紹介より



前作の『ガサガサ・ガール』の内容紹介文にはコミカルという言葉があって、本書にはユーモラスとあるのですけれど、今回も、わたしにはそこまでコミカルさとかユーモラスさとかを感じとれませんでした。寡黙でさも苦虫を噛み潰したかのような渋いマイナスオーラが出ていて、いつも否定から入っていくような感じの主人公があらゆるポジティブなものを翳らせているように見えてしかたありません。でも、とにかく、それが気に入るか気に入らないかは別にして、主人公が持つ雰囲気は、他では見られない独特のものがあり、それがこのシリーズの特徴の一つだと思います。それから、日系人の作者の目を通して見た日系人や日系人社会、彼女が捉えている日本の習慣や文化が英語で書かれ、それを邦訳したものを日本人が読むという流れは、日系人ではない外国人が同じことをするのとはまた違った趣を感じられて、ちょっとまどろっこしくユニークな読書体験だと思いました。
昨今クールジャパンとして海外へ伝播されたものとは違う日系が本書の中で描かれています。たとえばそれは、太平洋戦争中、日本で捕虜となったアメリカ人と交換するために、日系ペルー人がアメリカ政府によって強制的にアメリカに連れてこられた事例のような負の歴史だったりします。

『ガサガサ・ガール』ナオミ・ヒラハラ 小学館文庫




スネークスキン三味線―庭師マス・アライ事件簿 (小学館文庫)スネークスキン三味線―庭師マス・アライ事件簿 (小学館文庫)
(2008/04/04)
ナオミ ヒラハラ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『泥棒はクロゼットのなか』ローレンス・ブロック ハヤカワ文庫

2011-05-25

☆☆☆

まさに絶体絶命だった。盗みに入った部屋で私が宝石を物色していると、突然、部屋の主が帰ってきたのだ。あわててクロゼットに隠れたものの、中に閉じこめられてしまった。やっとのことで鍵をこじあけ外に出ると、なんとそこには女の死体が!そのうえ、宝石を詰めた鞄があとかたもなく消えていた。このままでは泥棒バーニイの名がすたる。私は犯人探しに乗りだすが……小粋な泥棒探偵の活躍を軽妙に描くシリーズ第2弾 内容紹介



八年くらい前に、このシリーズ第一作目である『泥棒は選べない』を読んで以来の第二作目です。一作目を読んだ時は、泥棒が主人公ということに軽く違和感を覚えた気がします。それも「怪盗」とか「快盗」とかいう粋なところがなくて、本書の主人公は普通の泥棒であり、リアルなのです。そこが個人的に生臭いというか俗っぽくて嫌なのです。この作者のことですから、殺し屋ケラーみたいに、スマートさに行かず、わざわざ庶民的、現実的な造形にして差別化したのでしょうけれども。
泥棒というのは、他人の普段は覗けない秘密とか私生活を本人に知られることなく、見たり知ったりできる職業のひとつですし、本シリーズのように泥棒仕事が現実に近い設定であるほど、読者はそのスリルと愉しみをより生々しく追体験できる魅力があるわけです。確かに、軽いエンタメ作品ですから、家宅侵入の様子や部屋の内部が微に入り細に入って描写しているのではありませんけれど、片手間に読み流すミステリ作品としては最適だと思いました。

タグ:ローレンス・ブロック




泥棒はクロゼットのなか (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 146-5))泥棒はクロゼットのなか (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 146-5))
(1993/04)
ローレンス・ブロック

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『コヨーテの風』ピーター・ボーエン ハヤカワ文庫

2011-05-22

Tag :

☆☆☆

ガブリエル・デュプレは、モンタナの牧場で牛の出荷を管理する焼き印検査官。ある日、山中で発見された軽飛行機の残骸を調べに赴いた彼は、そこで三体の人骨を見つける。が、奇妙なことにそのうち一体は手と首が切り取られており、当時の記録から乗員は二人だったことも判明する。首なし死体はいったい誰のものなのか?調べを進めるデュプレは、数十年前に端を発する悲劇に突き当たる。西部の大自然を背景に描く注目作 内容紹介より



257ページと短めの物語なこともあり、ミステリ色を全面にだした凝った仕掛けのある作品ではありません。主人公の日常生活と焼き印検査官の仕事を主に描き、ミステリ部分もそこに加わった一つの出来事ととして扱われています。犠牲者や犯人は誰なのか、ということより主人公の三つの情愛みたいなもの、つまり、娘たちへの家族愛、恋人への愛情、そして友情がテーマになっていて、家族愛と友情に事件が関係して行く展開になっています。優秀だけれど素行が悪い次女、夫が出て行ったため一人で子育てする主人公の恋人、飲んだくれな金持ちの牧場経営者、大なり小なり問題を抱えるこれらの登場人物たちに、事件に係わったことで家族の過去を背負い込むはめになった中年男性の主人公が交わることで、彼の人間像が浮かび上がり、抱えているいくつかの問題が解消され、事件も解決に向かいます。特に印象に残ったのは、人生をやり直したいと思いながらも酒に溺れていた牧場主が、次第に心と身体の再生を果たしていく場面です。さすがにページ数が少ないこともあり、その過程があっさり描かれ過ぎているようにも感じました。でも、全体に、細々、ジメジメしてなくて、おおらかであっさりしているのは良いと思います。




コヨーテの風 (ハヤカワ・ミステリ文庫)コヨーテの風 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1996/05)
ピーター ボーエン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『犯罪小説家』グレッグ・ハーウィッツ ヴィレッジブックス

2011-05-19

Tag :

☆☆☆☆

犯罪小説を書いてそれなりに成功している作家のアンドリューは、ある日なぜか病院で目が覚めた。そして突然、殺人犯になっていた ― 血まみれでこと切れている元婚約者ジュヌヴィエーヴの横で包丁を握ったまま、意識不明の状態で発見されたのだという。動かぬ証拠で有罪判決を受けたが、脳腫瘍の発作による一時的な心神喪失状態にあったとして無罪放免になったアンドリュー。だが、記憶はないものの、自分が殺人をおかしたとはどうしても思えず、執筆取材でえた犯罪に関する知識や人脈を駆使して事件の真相を探るはじめるのだが……新サスペンスの帝王によるジェットコースター・サスペンス!
内容紹介より



極端なことを言わせてもらうなら、本書は物語の中盤を飛ばして、スリリングでキャッチーな導入部分と唸らせる(しかし、どこかで読んだことがあるようなプロット)真相が明らかになるクライマックス部分だけを読んでもかまわないような内容。心と身体に傷を持つヒロイン、友情に厚い元野球選手、生意気なストリートキッズ、物わかりの悪い刑事、これらの登場人物たちが二面性に乏しいステレオタイプなのが欠点じゃないでしょうか。主人公が担当編集者の自室を訪ねる箇所は、編集者の別の一面が描かれていて良かったけれど、恋愛模様はありきたりの展開だし、親友との関係も浅いし薄く感じました。それから、過多な人生訓もどき。まあ、タイトルの『犯罪小説家』(原題The Crime Writer)は、単に主人公の職業を示しているだけではなく、彼自身が現実の犯罪を作り出した、または、フィクションを超えて彼が犯人を生み出した、みたいな意味を含んでいるので、虚構の世界と現実の人生に思いが及ぶのでしょうが、ややくど過ぎるような気がしました。p372からp376にかけてのもってまわった言い回しは、わたしが担当編集者だったら、ばっさり削除したくなるようなものです。




犯罪小説家 (ヴィレッジブックス)犯罪小説家 (ヴィレッジブックス)
(2010/02/20)
グレッグ ・ハーウィッツ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『緊急の場合は』マイクル・クライトン ハヤカワ文庫

2011-05-16

☆☆☆☆

中絶手術で患者を死に追いやった容疑で産科医が逮捕された。彼が違法な中絶を手がけていたのは事実だが、この件に限っては身に覚えがないという。無実を信じる同僚の医師ペリーはひとり真相を探り始めた。しかし、関係者は固く口を閉ざし協力しようとしない。いったい彼らは何を恐れているのか?執拗な調査を続けるペリーに、やがて黒い圧力が!アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した迫真の医学サスペンス 内容紹介より



最先端科学技術と恐竜、あるいは中世社会、または精神、これらのつなぎ方をセンセーショナルに、かつ、節度を保ちながら派手に行うのがクライトンの小説作法だと思いますが、医学と妊娠中絶問題を扱った本書では、執筆当時は医学部の学生だった作者の最初期の作品であるためなのか、病院や医師を主に描き、ミステリタッチなこともあって、全体的に地味な感じに仕上がっている印象を持ちました。この人は、作品を書く上で調査、収集した膨大な情報を過剰すぎず、それとなく読者に指し示す技術に長けている人ですけれど、そういう傾向はこの初期の作品にも表れていて、医学の知見を飲み込みやすく、また興味深く盛り込んでいます。その意味では、作者の作品作りの基礎が出来上がっているということでしょう。
この作品の内容は、誰が被害者の中絶手術を行ったのかという謎を追うシンプルなもので、調査する過程で、彼女の家族や関係者の秘密が明らかになっていきます。ただ、病院が舞台だとお決まりの権力闘争とかパワハラとか男女関係のもつれとかいったものが、それほど深く描かれているわけではないので意外でしたし、それでよりいっそう淡々とした雰囲気を感じたのかもしれません。
それから、例外を除いて中絶手術が非合法化されていた当時のアメリカ社会と日本では、作品の捉え方が少々違っているでしょう。

タグ:マイクル・クライトン




緊急の場合は (ハヤカワ文庫NV)緊急の場合は (ハヤカワ文庫NV)
(1993/03/30)
マイクル・クライトン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『サイモン・アークの事件簿 1』エドワード・D・ホック 創元推理文庫

2011-05-11

Tag : 短編集

☆☆☆☆

73人もの人間が崖から飛びおりた、謎の大量自殺事件を取材に出かけたわたしは、現場の村で不思議な男性と知り合う。悪魔や超常現象を追い求めつづけ、その年齢は二千歳とも噂される彼の名は、サイモン・アーク ― 。ホックのデビュー短編「死者の村」を巻頭に、世界じゅうで起こる怪奇な事件の数々に、オカルト探偵が快刀乱麻の推理力で挑む10編を収録した、待望の第一短編集。 内容紹介より



「死者の村」「地獄の代理人」「魔術師の日」「霧の中の埋葬」「狼男を撃った男」「悪魔撲滅教団」「妖精コリヤダ」「傷痕同盟」「奇蹟の教祖」「キルトを縫わないキルター」収録。

結局、このショッキングな事件の怪奇さ真相の意外性などから、巻頭の「死者の村」が一番印象に残ったような。私立探偵の免許を持っている訳ではないけれど、オカルト探偵風な活躍を見せる主人公ですから、ストーリーと謎とその真相を、悪魔や超常現象と科学的あるいは現実的な解明方法を絡めながら、グレーゾーンに持ってこなくてはならないと思います。そのあたりが一番成功している作品が「死者の村」なのではないのかと。また、悪魔の姿を妻以外の女性に惹かれる友人の心の中に見た「地獄の代理人」や悪魔に命を狙われていると言っていた男の内に悪魔がいたという「霧の中の埋葬」、情欲と自尊心という悪魔の話である「狼男を撃った男」、悪魔撲滅を教義に唱えながら、無知や盲信から悪魔に従っていた「悪魔撲滅教団」などの作品は、オカルトというブラックゾーンから離れて、人間の心の中に芽生えたり棲んだりしている悪魔をモチーフにしています。他の作品は、軽くオカルトチックな感じに抑えられ、怪奇性とか不気味さが薄れて、謎解きを重視している印象を受けました。

「妖精コリヤダ」は、『聖なる夜の犯罪』シャーロット・マクラウド 編 ミステリアス・プレス ハヤカワ文庫にも収録されています。




サイモン・アークの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)サイモン・アークの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)
(2008/12)
エドワード・D. ホック

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ノンストップ!』サイモン・カーニック 文春文庫

2011-05-06

☆☆☆☆

電話の向こうで親友が殺された。死に際に僕の住所を殺人者に告げて。その瞬間から僕は謎の集団に追われはじめた。逃げろ!だが妻はオフィスに血痕を残して消え、警察は無実の殺人で僕を追う。走れ、逃げろ、妻子を救え!平凡な営業マンの決死の疾走24時間。イギリスで売上40万部、サスペンス史上最速の体感速度を体験せよ。 内容紹介より



一般的に、ミステリの内容紹介文は大げさに書いてあるものですが、本書の「サスペンス史上最速の体感速度」の文に偽りはなくて、読書スピードが半端なく速い速い。びっくりしたので☆4つです。ただし、量産型のスポーツカーが、スピードのために、いろいろな物を省き軽量化するとともに、大量生産のためには単純で汎用性のある部品を用いなければいけないように、本書は心理描写、情景描写、背景描写などのもろもろの面倒くさいものを極力省き、文章と主人公の性格を非常に薄く軽くし、彼の妻の秘密や殺し屋の造形、警部補の過去を類型化して取り入れることによって、チープな分かりやすさと体感速度を得ることに成功しています。また、空力特性を向上させるため、前二作品に見られた灰汁みたいなクセを取り払って、広く大衆受けする形にしていると思いました。個人的にはあまり感心しませんけれど、本国で40万部も売れたのなら、とりあえずカーニックはエンタメを突き詰めたこの路線を進むのでしょう。
ちなみに、『覗く銃口』で登場したギャラン刑事の消息が出てくるので、『覗く銃口』をお持ちの方は先に読んでおかれたほうが良いかもしれません。

『殺す警官』サイモン・カーニック 新潮文庫
『覗く銃口』サイモン・カーニック 新潮文庫




ノンストップ! (文春文庫)ノンストップ! (文春文庫)
(2010/06/10)
サイモン・カーニック

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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