FC2ブログ

『遥かなる復讐の旅』 マイケル・ギルバート 角川文庫

2011-07-07

Tag :

☆☆

ジョン・ベネディクトの運命を変えたのはイタリアの小村に滞在中に起きた残虐な事件だった。彼は事業を人手に渡し、気ままな放浪の旅を続けていたのだが、ある夜、逗留先の一家が皆殺しにあったのだ。マフィアの仕業だった。一家の勤める向上での内紛を片づけるためにマフィアが雇われたのだ。そしてこの時からベネディクトも追われる身となった。イタリアの山岳地帯からフランスへ、そして海峡を越えてイギリスへ。ベネディクトの長い逃亡の旅が始まる。それは愛する者の命を奪ったマフィアと、その背後に潜む巨人、巨大多国籍企業を相手の、知力をしぼった復讐の闘いの旅でもあった…。 内容紹介より



以下、ネタバレ気味です!ご注意ください。

マフィアがからんだ復讐話だとか聞くと、ドン・ペンドルトンの『マフィアへの挑戦』シリーズやA・J・クィネルの『燃える男』なんかを思い出しますが、それらの作品と比べて本書は読後の爽快感が非常に欠けています。その原因は、まず、主人公が格闘技や武器の扱いに長けたそういう方面のプロではなく、使うのは腕力よりもっぱら経済、法律などの頭脳であること。これがコンゲームの様相を呈しているならば、描きようによっては面白いのでしょうが、そうでもないところ。
それにからんで、実行犯の陰で糸を引いていた中心人物が全くといっていいほど復讐の被害を受けなかったこと。これは彼らの営む巨大企業がダメージを受けると、そこで雇用されている大勢の従業員に解雇などの累が及ぶからという理由付けがしてありますが。この点は作者の意向しだいでどうにでもなるところで。
そして、この主人公がすごく薄情な性格に見えるところ。彼が好意を持っていた人物が亡くなったのにもかかわらず、感情の表出がほとんどなされず。特に、二番目に起きた殺人事件の被害者に対するあっけらかんとした様子は冷たく感じました。
ヒーローが卑劣な敵により損害を被る、からくも逃走し、親切な人物の庇護を受ける、傷を癒した後、敵討ちに出る、基本的なプロットはこういう昔からのパターンを踏襲しています。
面白かったのは、イタリアからイギリスへたどり着くまでの、『捕虜収容所の死』にもあった気がする逃避行の部分くらい。

『空高く』マイクル・ギルバート ハヤカワ文庫
『十二夜殺人事件』マイケル・ギルバート 集英社文庫




遥かなる復讐の旅 (角川文庫)遥かなる復讐の旅 (角川文庫)
(1988/10)
マイケル ギルバート

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF アンソロジー クリスマス・ストーリー ルース・レンデル アーロン・エルキンズ スティーヴン・キング キャロリン・G・ハート デイヴィッド・ハンドラー ドン・ウィンズロウ ジョアン・フルーク ローラ・チャイルズ マイクル・クライトン ジョー・R・ランズデール ジョージ・P・ペレケーノス C・J・ボックス ポーラ・ゴズリング ヘニング・マンケル レジナルド・ヒル ローレンス・ブロック カール・ハイアセン パーネル・ホール ジェイムズ・パタースン S・J・ローザン ジェームズ・パターソン エド・マクベイン リチャード・マシスン ジル・チャーチル D・M・ディヴァイン リリアン・J・ブラウン ジェフリー・ディーヴァー レスリー・メイヤー ピーター・ラヴゼイ ジャネット・イヴァノヴィッチ スチュアート・ウッズ ローラ・リップマン ジョルジュ・シムノン レックス・スタウト ジョー・ゴアズ ウィリアム・カッツ マーガレット・ミラー クレオ・コイル ジャック・カーリイ アリス・キンバリー マーシャ・マラー アイザック・アシモフ カーター・ディクスン ヒラリー・ウォー ジョン・ディクスン・カー コリン・ホルト・ソーヤー ルイーズ・ペニー エド・ゴーマン マイケル・ボンド ジェフ・アボット G・M・フォード ジェームズ・ヤッフェ イーヴリン・スミス フレッド・ヴァルガス ロブ・ライアン リタ・メイ・ブラウン ポール・ドハティー キャロリン・キーン ウィリアム・L・デアンドリア ダナ・レオン リン・S・ハイタワー アン・クリーヴス アンソニー・ホロヴィッツ デイヴィッド・マレル ドナ・アンドリューズ サイモン・カーニック ジョアン・ハリス ジャン=クリストフ・グランジェ スタンリイ・エリン ジョン・クリード アンドレア・カミッレーリ レニー・エアース ケイト・ロス ウイリアム・P・マッギヴァーン レイ・ハリスン コニス・リトル クリスチアナ・ブランド エヴァン・マーシャル ファーン・マイケルズ オーサ・ラーソン ジャック・フィニイ ウィリアム・ランデイ エーリヒ・ケストナー リック・ボイヤー ビリー・レッツ サキ ユージン・イジー イーサン・ブラック ジェーン・ラングトン ウォルター・サタスウェイト ウォルター・モズリイ トバイアス・ウルフ ポール・ドハティ スタンリー・エリン 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント