『無頼の掟』 ジェイムズ・カルロス・ブレイク 文春文庫

2011-09-29

Tag :

☆☆☆☆

そこは地獄だった。叔父たちと決行した銀行強盗が失敗、若き強盗ソニーが送られたのは沼地のなかの監獄。不屈の意志で脱獄を狙うソニーだったが、復讐の悪鬼と化して彼を追う男がいた。片腕に凶器を仕込む鬼刑事ボーンズ。見果てぬ夢を追って駆ける男たちに明日はあるか。荒々しい叙情が全編に響く強力無比の犯罪活劇小説! 内容紹介より



少しネタバレしています!ご注意下さい!

本書は「このミス!」2005年海外編3位になった作品だそうです。
主人公は十代後半、時代設定は禁酒法さなかの1920年代。「金は稼ぐより勝ち取るほうが気分がいい」「盗む ― なかでも、強奪する ― のが最高」という信条を持つ二人の叔父たちと銀行を襲った時のスリルに酔い、その味が忘れられなくなった主人公が駆け抜けた金と酒と女の太くて短い人生を描いたクライムノベルです。いいテンポで主人公の生い立ち、両親、叔父たちの過去のエピソードが挿まれ、徐々に加速しはじめると後は突っ走る展開、作品に表れている疾走感が心地良いです。無学だからとか貧乏だから犯罪に走ったというネガティブな要素がまったくない、単にリスクとスリルを求める彼らの行動とあっけらかんとした態度が小気味よさを感じさせているのでしょう。
一方、息子の復讐を果たそうと主人公の行方を追う刑事は、迫り来る死神のようであり、主人公たちの醸し出す陽気な雰囲気の対極にある陰の存在として、ストーリーのアクセントになっていると思いました。とにかく、バッドエンディング気味ながらも全体に湿気たところのない、ドライで軽快で痛快な後味を残す物語でした。




無頼の掟 (文春文庫)無頼の掟 (文春文庫)
(2005/01)
ジェイムズ・カルロス・ブレイク

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『あたしはメトロガール』 ジャネット・イヴァノヴィッチ ソフトバンク文庫

2011-09-27

☆☆☆

あたしはバーニー、整備工場経営の父親から自動車について学び、レース出場の経験もある。そんなあたしの人生は、弟からの電話で一変した。しばらく留守にするが、秘密にしてくれという。背後で女の悲鳴が聞こえて電話は切れた。あたしは弟の住むマイアミに飛ぶが、そこで待っていたのは殺人事件と花形レーサー、サムとの出会いだった……メカについてはお手のもの、タフでキュートなバーニー初登場! 内容紹介より



このシリーズは二作目の『モーターマウスにご用心』を先に読んでいて、こちらが一作目。二作目を読んで感じた物足りなかったヒロインのキャラクターが、本書ではカラッとした調子で中庸というか結構良かったです。イケイケな強さと涙を見せたりする弱さみたいな部分。強過ぎるとステファニー・プラムになってスラップスティック気味になるだろうし、女らしさが強いと並のロマンティック・サスペンスのヒロインになるだろうし、作品的にはこのバランス加減が微妙なところだと思いました。サム・フッカーとの男女の距離感とともに、三十歳という特に若いわけでもないけれど、落ち着いている歳でもない年齢設定もちょうどいい具合です。
乗っている車がぼこぼこ状態になる流れや気っぷの良い女性たちが登場するところはステファニー・シリーズと同様ですが、それ以外に印象に残ったのが、主人公に近づくたびに撃たれたり、落とされたり、轢かれたりする羽目になってしまう正体不明の白人コンビで、このひどい目に遭うギャグの繰り返しが“天丼”で笑えました。

『モーターマウスにご用心』ジャネット・イヴァノヴィッチ ソフトバンク文庫

タグ:ジャネット・イヴァノヴィッチ





あたしはメトロガール (ソフトバンク文庫)あたしはメトロガール (ソフトバンク文庫)
(2008/01/17)
ジャネット・イヴァノヴィッチ

商品詳細を見る



テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ハートウッド』 ジェイムズ・リー・バーク 講談社文庫

2011-09-25

Tag :

☆☆☆☆

息を呑むほどに美しい大富豪夫人。彼女は弁護士ビリー・ボブが、かつて愛した女だった。彼女が再びボブの目の前に現れたとき、静かな田舎町が暗転した。大符号宅のパーティで盗難事件が起こり、容疑者の弁護を担当することになったボブの周辺で殺人が続発する。MWA賞を受賞したビリー・ボブ・シリーズ第二弾。 内容紹介より



巧い作家だと思うし、作品の質も決して低くはないのですけれど、何故かどうも琴線に触れんのですね。
どちらかといえば、ストーリーも登場人物も画一的だからなのか?よく分かりません。前作同様に西部劇を現代に移し変えたみたいな状況設定で、地元の権力者、その子分であるならず者、腐敗した保安官、虐げられる弱者、権力者の妻となった女性を忘れられない子供好きの主人公。ただ、設定はワンパターンなのですが、登場人物のなかにはキャラが立っているウィルバー・ピケットのような人物がいたりするのですけれど……。しかし、その反面、主要な登場人物に次ぐ結構重要な役割を持つ人物が多過ぎるような気がしました。主人公が弁護を引き受けたピケット夫婦、スカイラー、それ以外にギャング団に所属するメキシコ人と元恋人、その兄などにぎやかで、これらの人物と付属するエピソードが乱立しているように思えたし(これらをコントロールしている著者のテクニックには感心しますが)、それぞれが放物線上に広がっていて、おのおの交わりに乏しいような印象も受けました。
すぐ頭に血が上って暴力的になる主人公と前回も出てきた死んだ友人の幻影の存在も微妙。

『シマロン・ローズ』ジェイムズ・リー・バーク 講談社文庫




ハートウッド (講談社文庫)ハートウッド (講談社文庫)
(2001/07)
ジェイムズ・リー・バーク

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『まちがいだらけのハネムーン』 コニス・リトル 創元推理文庫

2011-09-23

Tag : コニス・リトル

☆☆☆

出会ってたった五日で、中尉のイアンと結婚した看護師のミリエル。ハネムーンは、担当患者で、イアンのおじの邸宅に滞在することになった。だが、ふたりきりで過ごせるはずだった屋敷には、イアンの親戚一家が転がりこんでいた。癖のある人たちと生活する羽目になり、イアンの求婚に裏があることを知らされたうえ、リチャードが急死してしまい……。コミカル・ミステリの快作! 内容紹介より



以前にも書いたことがあるのですけれど、お屋敷を舞台にした定番の一時代前の推理小説において、執事をはじめとする使用人たちの事件にたいする被害者、加害者または捜査側として立場になっての関連度はかなり低く抑えてあることが一般的だったと思います。物語内においてさえも彼らは定められた仕事さえしておけば良いという作家の考えが伺えるような気がします。
それをふまえて、1944年に発表された本書を見てみると、お金持ちの屋敷内外で殺人が起き、犯行は内部の人間の仕業だと示唆されてお屋敷ミステリの体裁をとります。従来の流れではここで名探偵がさっそうと登場となるわけですが、この作品では探偵が執事に変装して雇われ、邸内の調査を始めます。探偵として優秀だか劣等なのかよく分からない、しかも家事全般に不慣れな彼が調査を行いながら右往左往しつつ、彼の正体を知るヒロインとその夫を巻き込んだドタバタ劇を繰り広げる、つまり探偵ながらも一応使用人がメインキャストを務めるという、お屋敷ミステリのパロディっぽい一面も持ち合わせている作品になっているのではないかと考えました。
一方、探偵の存在感と比較し、屋敷に住む「癖のある人」たちが、いわくありげでもないとサスペンスが盛り上がらないにもかかわらず、「いわく」の部分が弱いために存在感が希薄で、容疑者として頭数だけ揃えたみたいになっているのが残念なところでした。

『記憶をなくして汽車の旅』コニス・リトル 創元推理文庫
『夜ふかし屋敷のしのび足』コニス・リトル 創元推理文庫




まちがいだらけのハネムーン (創元推理文庫)まちがいだらけのハネムーン (創元推理文庫)
(2010/03/24)
コニス・リトル

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『デビルを探せ』 リチャード・ホーク ハヤカワ文庫HM

2011-09-21

Tag :

☆☆

感謝祭に湧くニューヨークに衝撃が走った。華やかなパレードを狙い、男が銃を乱射したのだ。百万ドルを払わなければ惨劇が起きるとの脅迫状が市長のもとに届けられ、極秘に捜査をしていた矢先のことだった。私立探偵フリッツ・マローンのはたらきで犯人は捕まった。だが、その男は脅迫犯ではなかった。市長は再び脅され、フリッツは事件の渦中に巻きこまれていく……マイクル・コナリーが絶賛する注目のハードボイルド。 内容紹介より



パレードの最中に銃撃犯に狙われた人物のボディガードを頼まれたのにもかかわらず、その後、当人を不特定多数の面前に連れ出して再度危険な目に遭わせた間抜けな行為については大目に見ても、脅迫犯の要求に対して、修道女に口裏を合わせる措置を怠ったり、脅迫犯とつながりがある殺された人物の携帯電話の住所録さえ確認しなかったり、その電話を恋人に託したりと、主人公のやることなすことに粗が目立って、ドタバタ・ミステリならかまいませんけれど、そういうのではないみたいだし、しかも一人前に軽口だけは叩くというありさま。主人公がミステリ作品の主人公たる資質に欠けてるなんて思ったのは久しぶりだわ。
今時のミステリ作品において主人公である警察官や私立探偵がいつ何時でも抜かりがないことが必要だとか言う気は全くないけれど、プロとして基本中の基本というべきところはちゃんと押さえてくれていないと読んでいて興ざめしてしまいます。それから、NY観光をしているわけではないので建物とか橋とかのいわれやエピソードをいちいち説明してもらわなくてもかまいません。ということで貶してばかりでしたが、誉めるところは真犯人の意外性のみです。




デビルを探せ (ハヤカワ・ミステリ文庫)デビルを探せ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2007/08)
リチャード・ホーク

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ブルー・ムービー』 ジョゼフ・ハンセン ハヤカワ・ミステリ

2011-09-19

Tag :

☆☆☆

十数冊のチャイルド・ポルノ、使途不明の高額の支払済小切手、避妊薬、敬虔なクリスチャンとして反ポルノ・キャンペーンを張っていた人物が残したにしては妙な品ばかりだった……死んだジェラルド・ドースンは、撮影機材の貸出業を営む傍ら、風紀粛正運動の指導者として人望を集めていた。そんな彼が、首の骨を折られた無惨な姿で発見されたのは、うだるように暑いある晩のことだった。犯人はすぐに逮捕された。ドースンに店を荒らされたポルノ書店の店主ツーカーが、被害者を恨んで凶行に及んだと考えられたのだ。薄弱ながら彼と犯行を結ぶ証拠も発見されていた。保険調査員デイヴ・ブランドステッターが妙な“遺品”を見つけたのは、ドースン夫人の保険金請求に基づいて型通りの調査を始めた矢先のことだった。個人は評判通りの聖人君子ではなかったのか?さらに妙なことには、ドースンが自分の子供と称して囲っていた若い娘シャーリーンが、殺人と前後して失踪していたのだ。事件の鍵を握ると思われる娘は一体どこへ?教会からブルー・フィルム・スタジオ、麻薬や売春の氾濫する街の暗部へ ― デイヴは緻密な調査を一歩一歩進めたが……父の死を契機にフリーとなったデイヴが、独立後初めて手がけた難事件!ハードボイルドの本流をゆく、異色のホモセクシュアル探偵登場の人気シリーズ第五作。 内容紹介より



〈デイヴ・ブランドステッター・シリーズ〉初読です。
これまで“ホモセクシュアル探偵”というのに引っかかって手に取りませんでしたが、予想外に出来が良い作品でした。まず、主人公に気取りがなく、控えめで落ち着きがあって好印象を持ちました。これまでのハードボイルドものの主人公のイメージ、斜に構えて無駄口をたたきまくるといったところがありません。大久保寛氏の訳者あとがきによれば「独立したデイヴ・ブランドステッターは、一つふっきれたのか、以前ほど性格の暗さも感じられず、むしろさっそうとした感じで、ようやくハードボイルドの探偵らしくなってきたようだ。多少の軽口もたたけるようになった」「本書をターニング・ポイントとして今後とも大いに活躍を期待できそうだ」(p206~207)と書かれているので、本書におけるキャラクターはいままでとは別みたいですけれど、こういうキャラなら他の作品も読んでみたいです。ただ、「ストーリーは、いつものジョゼフ・ハンセンらしくなく(といっては失礼だが、)明快で歯切れがよく、ちょっぴりサスペンスフルだ」と前述の大久保氏が余計なことを書かれていますが……。
なにはともあれ、作品自体はロサンジェルスがもつ猥雑で浮薄で人を堕落させる街という雰囲気を醸し出しながら、内容は結構密でしっかりと組み立てられていて意外でした。




ブルー・ムービー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1463)ブルー・ムービー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1463)
(1986/01)
ジョゼフ・ハンセン

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『死を騙る男』 インガー・アッシュ・ウルフ 創元推理文庫

2011-09-17

Tag :

☆☆☆☆

小さな町の平穏は、その殺人で完全に破られた。被害者は末期癌の老女。死体は喉が切り裂かれ、奇妙な細工が施されていた。小さな警察署を署長代理として率いるのは、61歳の女性警部補ヘイゼル。不可解な事実が次々と明らかになり、やがて事件はカナダ全土へと波及する……。困難を抱えた女署長と、謎に包まれた殺人犯の対決を圧倒的な筆力で描く、迫真の警察小説デビュー作。 内容紹介より



ミステリ作品のなかにおいて、たいがいのシリアルキラーの犯行動機はサイコパスに由来しているわけで、犯人は殺したいから殺すのだという設定がなされ、子供時代から猫を惨殺していたみたいなお約束の補足説明がそれに付け加えられる傾向にあるようです。その点、本書はそこを一歩踏み込んでおり、難病で余命幾ばくもない人物を安楽死という大義名分で犠牲者に据えるとともに、その死を犯人が自らの宗教目的にも利用しているという設定にしてあります。もっとも、この犯人が宗教家として慈悲深いのか、犯罪者として暴力指向なのか、冷静なのか直情径行なのか、複雑でよく判らんのですね。犯人の来歴と死体に酷い細工を施す行動にすごいギャップを感じました。作者は純文学系の出身らしく、犯人以外の人物造形は秀逸なのですけど。また、それらしく心理描写が細かく、やや重いです。
社会全体が個人主義であり核家族化する流れにあるなか、年齢や病気によって死が身近に迫る者は、自らの命や死を一人きりで対処しなくてはならず、それを持て余してしまい、そういう状況を利用しようとする者が近付きやすい状態にあるのかもしれない、みたいなこともテーマのひとつになっているのでしょうか。終盤のストーリー展開や犯人については不満が残りますが、次回作にも期待が持てる警察小説の秀作だと思います。




死を騙る男 (創元推理文庫)死を騙る男 (創元推理文庫)
(2011/01/27)
インガー・アッシュ・ウルフ

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ワタリガラスはやかまし屋』 クリスティン・ゴフ 創元推理文庫

2011-09-15

Tag :

☆☆

夫に裏切られたレイチェルは、ロッキーマウンテン国立公園に隣接した叔母の農場でひと夏を過ごすことにした。地元の野鳥愛好会EPOCHの面々に誘われ、珍種の鳥探しに出かけた彼女だが、見つけたのは叔母を脅していた雑誌記者の死体だった。その直後、叔母が姿をくらまし、レイチェルたちは調査に乗りだす。鍵を握るのは、現場にいた一羽のワタリガラス!?鳥づくしのシリーズ登場。 内容紹介より



日本でバードウォッチャー(または日本野鳥の会)といえば、某公共放送の凸凹歌合戦に登場するカウンターを持った人たちというステレオタイプかつ、はた迷惑なイメージが定着していますが、アメリカでは双眼鏡を片時も離さず、グループで珍鳥を追いかける奇矯な人間というイメージなのじゃないかと思います。これまでミステリ作品において変わってはいるけれど、一般的に人畜無害扱いだったバードウォッチャーたちが、本書では殺人事件の容疑者となり、なにやら過激な自然保護主義者、環境(エコ)テロリストの疑惑が持ち上がります。従来の自然保護をテーマにしたミステリ作品において、この取り上げかたは目新しいかもしれません。しかし、ミステリとして面白いかというと平均以下だと思います。まず、実在する環境保護主義組織の『ELF』や『動物の倫理的扱いを求める人々の会』を模したとおぼしき『地球の倫理的扱いを求める人々の会』についての説明が講義みたいでストーリーの流れを阻害しているところ。野鳥の会の会員たちの薄いキャラ、ヒロインの個性も勝ち気なだけで凡庸といったところです。




ワタリガラスはやかまし屋 (創元推理文庫)ワタリガラスはやかまし屋 (創元推理文庫)
(2009/01/28)
クリスティン・ゴフ

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『目くらましの道』 ヘニング・マンケル 創元推理文庫

2011-09-13

☆☆☆☆

夏の休暇を楽しみに待つヴァランダー警部。そんな平和な夏の始まりは、一本の電話でくつがえされた。呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように、事件発生の通報が入った。殺されたのは元法務大臣。背中を斧で割られ、頭皮の一部を髪の毛ごと剥ぎ取られていた。CWA賞受賞作、スウェーデン警察小説の金字塔。 内容紹介より



ヘニング・マンケルは、もともとレベルの高い作品を書き続けている作家だから、CWA賞受賞は当然でしょう。個人的にはむしろもう一段レベルアップした作品を書いて欲しいくらいです。五作品目である本書はなにかこれまでの集大成ないしは象徴するような位置づけのような気がします。全体にそつが無い印象で、かえってまとまり過ぎている印象を受けました。これは、主人公のヴァランダー警部に加えて犯人側からの視点も取り入れられ、そのためもあって早々に犯人と犯行動機が明らかにされてしまい、サスペンス性が緩和されてしまっているという作品構成によるものかもしれません。ただこのことは、国際犯罪やスウェーデン社会に潜む闇の部分とその犠牲者となる人々の内面をより描くという作者の意図の現れなのでしょう。
あと細かいことを言わせてもらうと、焼身自殺と連続殺人事件のつなげ方が、ほぼ主人公の勘だけで、何かの伏線があるわけじゃなかったのは芸がないように感じました。それから、車検の手配とか洗濯物の件、ボールペンのインク漏れなどストーリーとは関係ない日常の細々したこと、捜査に向かう途中で道を間違える場面など、さりげなく現実感を出す描写が非常に巧いです。

『殺人者の顔』ヘニング・マンケル 創元推理文庫
『リガの犬たち』ヘニング・マンケル 創元推理文庫
『白い雌ライオン』ヘニング・マンケル 創元推理文庫
『笑う男』ヘニング・マンケル 創元推理文庫




目くらましの道 上 (創元推理文庫)目くらましの道 上 (創元推理文庫)
(2007/02/10)
ヘニング・マンケル

商品詳細を見る

目くらましの道 下 (創元推理文庫)目くらましの道 下 (創元推理文庫)
(2007/02/10)
ヘニング・マンケル

商品詳細を見る



テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『殺戮のキャンパス』 リチャード・レイモン 扶桑社ミステリー

2011-09-11

Tag : ホラー

☆☆☆

平和な大学町が、惨劇の舞台に変わろうとしていた。サイクリング中の女子学生が、突然1台の車に襲われる。無差別に獲物を狙う殺人鬼の襲来か、それとも……単身捜査に乗り出した警官ジェイクは、悪夢のように残虐な光景に遭遇した!一方、美しい女子大生アリソンは、淫らな恋人の仕打ちに苦悩を深めていた ― 死よりもおそろしい恐怖が忍び寄るのも知らず。『殺戮の〈野獣館〉』で圧倒的な支持を得たR・レイモンが、またもエロスとバイオレンスの嵐を巻き起こす、驚愕のホラー・タペストリー巨編! 〈解説・東雅夫〉 内容紹介より



ネタバレ気味です!ご注意ください!

もっと過激で血しぶきや体液や肉片がぐちょぐちょした衝撃的な内容を想像していたら、それほどでもなかったので拍子抜け。はじめのほうのレストランでの場面が一番ショックだったかも。「そいつは赤と青の血管で網目のようにおおわれた、ぬらぬらした黄色い肉の塊だった。目は痰のようなどんよりとした灰色だ」(p165)、この生き物が人間の体内に寄生し、快楽という刺激を与えて他の人間を襲わせるという話です。ただ、ラストの場面以外、宿主になるのは男ばかりで、襲う相手は若い女性ばかり、これらのことと謎の生き物の形状もあわせて考えてみると、この生物は男性生殖器をシンボライズしているのでしょうか。それはともかく、狙われる女子大生のひとりが悩む心模様あるいは恋愛模様の話が、良く言えば丁寧、悪く言うといつまでも長くて細かくてくどい。東雅夫氏は、「青春ドラマの、悪意に満ちたパロディ」って解説していますけど。最後に襲われる人物が男だったら風刺が効いていたかもしれません。

『喘ぐ血』リチャード・レイモン ナンシー・A・コリンズ 他 祥伝社文庫

タグ:ホラー




殺戮のキャンパス (扶桑社ミステリー)殺戮のキャンパス (扶桑社ミステリー)
(1997/09)
リチャード・レイモン

商品詳細を見る

テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

『すったもんだのステファニー』 エヴァン・マーシャル ヴィレッジブックス

2011-09-09

☆☆

ジェーンは、わがままな作家と狡猾な編集者の相手に、毎日へとへと。でももうすぐ久しぶりの休暇!とうきうきしていたところへ突然、亡夫のいとこステファニーから家に泊めて欲しいと連絡がきた。ステファニーは、東洋のグレース・ケリーとも言われた元アナンダ王国王妃フェイスが経営する出版社を手伝いに来たという。勝手気ままで、辛辣なステファニーに振り回されっぱなしのジェーン一家。やがて愛猫ウィンキーにも何やら重大な変化が ― 。ウィンキー&ジェーンのおかしな事件簿、好評第3弾! 内容紹介より



王族や王室といった存在に対してハリウッド・スキャンダル並みの興味を抱くアメリカ人を揶揄したのか、それとも単なるその興味目当てなのか、中国と国境を接する(架空の国)アナンダ王国の元王妃であるフェイスというアメリカ人の女性が登場します。それは良いとして、引っかかるのが彼女の夫でアナンダ王国の国王ラヴィがパレード中に銃撃され暗殺されるシーンが、ケネディ大統領暗殺事件の有名な車中のシーンにそっくりなところです。「フェイスは衝撃のあまりパニックを起こして、座席によじのぼると、その血まみれのものを手でつかんだ……ラヴィの脳みそを」(p348)。「このとき撮られたのが、だれもが見た有名な写真、その後世界じゅうに配信されたあの写真よ」、とステファニーが回想して語るのですが、この意図のよくわからないパクリじみた、趣味がよいとはいえない箇所がちょっと不快でした。その他、ヒロインの潜入調査のいきなり感、作品中でのホームレスの扱いの雑さ、真犯人の犯した殺人の多さと場当たりさ、全体を覆う大雑把加減が気になりました。

『迷子のマーリーン』エヴァン・マーシャル ヴィレッジブックス
『春を待つハンナ』エヴァン・マーシャル ヴィレッジブックス




すったもんだのステファニー―三毛猫ウィンキー&ジェーン〈3〉 (ヴィレッジブックス)すったもんだのステファニー―三毛猫ウィンキー&ジェーン〈3〉 (ヴィレッジブックス)
(2006/09)
エヴァン・マーシャル

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『第二の銃声』 アントニイ・バークリー 創元推理文庫

2011-09-07

Tag :

☆☆☆☆

高名な探偵作家ヒルヤードの邸で、ゲストを招いて行われた推理劇。だが、被害者役を演じるスコット=デイヴィスは、二発の銃声ののち本物の死体となって発見された。事件発生時の状況から殺人の嫌疑を掛けられたピンカートンは、素人探偵シェリンガムに助けを求める。二転三転する論証の果てに明かされる驚愕の真相。探偵小説の可能性を追求し、時代を超えて高評価を得た傑作。 内容紹介より



本編に入る前に書かれている「A・D・ピーターズに」という一文にある「探偵小説の新しい勢力中の最良のもの」として、バークリーが考え、創造したプロトタイプが本書なわけで、この作品が従来の本格推理小説のカリカチュアないしはパロディみたいにもとれるのはそういった理由があるのだと思います。アンティークというかビンテージというか、そういう意味において存在感のある一時代前の探偵小説であり、一方、七人の容疑者を取り揃えたり、「二転三転する論証」や死体に施された細工だったりが非常に非現実的、作りもの感満載で作者が嬉々として行う一人遊びを傍から眺めている気分にもさせる物語でした。そういうところがありながらも本書は、意外な真相を秘めた一級のユーモア・ミステリであって、特に物語の語り手であるピンカートンの序盤のスノッブさはかなりこっけいで、被害者の従妹やシェリンガムとのやり取りはユーモラスです。ただし、そういう部分にも作者の冷静な計算が隠されていたことに読後気がつくとともに、読者であるこちらはあくまで表層しか見ていなかったのだとも思い知らされるのでした。

『ピカデリーの殺人』アントニイ・バークリー 創元推理文庫
『ジャンピング・ジェニイ』アントニイ・バークリー 創元推理文庫




第二の銃声 (創元推理) (創元推理文庫)第二の銃声 (創元推理) (創元推理文庫)
(2011/02/12)
アントニイ・バークリー

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『看護婦探偵ケイト』 クリスティン・グリーン 扶桑社ミステリー

2011-09-05

Tag :

☆☆☆

看護婦ケイトは、恋人の死をきっかけに、思いきって探偵事務所を開業したものの、理想と現実の落差にがっかり、そこへ突然、大事件が持ちこまれた。深夜の病院の敷地内で看護婦が殺されたのだ。信仰心も篤く、ボランティアにも熱心だった彼女が、なぜ殺されたのか?ケイトは事件が起きた病院に職を得て潜入調査を開始、複雑な人間模様を解きほぐして真相に迫るが……看護婦探偵ケイトが、変人の中年大家とともに、はじめての殺人事件に果敢に挑戦!英国注目の新星、初登場。〈解説・水星今日子〉 
内容紹介より



1991年CWA最優秀処女長編賞の最終ノミネート作品だそうです。
時代設定は現代だけど、ミステリそのものはなにかアガサ・クリスティの頃みたいなもので新旧混ざり合ったような印象を受けました。シリアル・キラーものは別として、最近のミステリ小説の傾向だとさほど多くの死体を登場させたりせず、だいたい犠牲者は一人くらいですが、本書は不審死をいれると三人が亡くなっているところもそういった感じをさせるのかもしれません。
とても殺人事件の被害者になりそうもない真面目な若い女性が実は別の顔を持っていたということが、本書の核心部分でしょうが、この被害者の人物像がいまひとつぼんやりとしていてインパクトに欠けている気がしました。(ネタバレ→)「お金に執着していたのに、見返りの薄い不良少年たちへの善行は矛盾しているような」、そもそも彼女の性格の変化の原因は一体なんだったのだろうか?など説明が不十分だと思いました。足およびハイヒール・フェチである事務所の大家のキャラクター、また彼と主人公の関係はユニークで、また真犯人の動機も巧みに設けてあります。
うまく表現できないけれど変わった雰囲気を持った作品でしたが、この作家には時代がかった探偵小説が似合うかもしれません。といってもこのシリーズは本国でさらに三作も出ているようですけど。




看護婦探偵ケイト (扶桑社ミステリー)看護婦探偵ケイト (扶桑社ミステリー)
(2001/08)
クリスティン グリーン、Christine Green 他

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『犬の力』 ドン・ウィンズロウ 角川文庫

2011-09-03

☆☆☆☆☆

キシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラー。叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継バレーラ兄弟。高級娼婦への道を歩む美貌の不良学生ノーラに、やがて無慈悲な殺し屋となるヘルズ・キッチン育ちの若者カラン。彼らが好むと好まざるとにかかわらず放り込まれるのは、30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争。米国政府、麻薬カルテル、マフィアの様々な組織の思惑が交錯し、物語は疾走を始める……。 上巻内容紹介より



この作者の作品に一貫しているのは、良い意味で青臭い正義感を持つ人物を主人公に据えていることだと思います。本書においてもそのような人物が、家族や私生活ときには良心をも犠牲にして愚直にそして孤高を持して敵と戦う様が30年のスパンで描かれています。もちろんここに現される対立構図は、麻薬捜査官と麻薬組織という単純なものだけではなく、中南米政権の左傾化を阻止しようとする米国政府や右派勢力、それに対抗する左翼革命勢力、バチカンの意をくむ現地のカトリック教会など政治的または宗教的信条や思惑もそこに入り込んでいます。決して断つことのできない悪にも向かうしかない主人公の姿は、清濁が渦巻く巨大なハリケーンに対するドンキホーテみたいにも見えます。また、彼の闘い以外にも敵味方になる登場人物たちの姿も綿密に描写されており、まるでミステリの大河小説*みたいです。傑作というよりものすごい力作だと思いました。

*人物によっては精神的な面での成長が感じられないところもあって、そこらがやや作品の難になっている気もします。

『ウォータースライドをのぼれ』ドン・ウィンズロウ 創元推理文庫
『砂漠で溺れるわけにはいかない』ドン・ウィンズロウ 創元推理文庫
『ボビーZの気怠く優雅な人生』ドン・ウィンズロウ 角川文庫
『カリフォルニアの炎』ドン・ウィンズロウ 角川文庫




犬の力 上 (角川文庫)犬の力 上 (角川文庫)
(2009/08/25)
ドン・ウィンズロウ

商品詳細を見る

犬の力 下 (角川文庫)犬の力 下 (角川文庫)
(2009/08/25)
ドン・ウィンズロウ

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ブラッド/孤独な反撃』 デイヴィッド・マレル ハヤカワ文庫NV

2011-09-01

☆☆☆☆

ある日建築家のブラッドの前に、幼いころに行方不明になった弟が突然現われた。喜びに包まれるブラッドだったが、いっしょにキャンプに行った山の中で、思いもかけず弟にいきなり断崖から突き落とされてしまう。半死半生で生還したものの、すでに彼の妻子は弟に連れさられて姿を消していた。愛する家族を取り戻すため、ブラッドは肉体を鍛え、すべてを投げうって立ち上がった!新生マレルが男の闘いを熱く描く傑作冒険小説。 内容紹介より



遊び友達の手前、弟を邪険に扱ってしまい、そのために一人で自宅に帰る途中の弟が行方不明になってしまった過去を悔やむ主人公。数十年が過ぎ、仕事がらみで出演したTV番組で行方が判らなくなった弟について触れた三日後、彼の前に弟だと名乗る人物が現れる。最初は訝りながらも兄弟しか知らない幼少時代の出来事を詳しく語るその男こそ本当の弟だと確信するのだが……。
その後、主人公が弟によって崖から転落させられ、彼の妻子が誘拐されて失踪し、警察やFBIが捜査に乗り出すと、弟と名乗っていた人物が犯罪歴のある別人ではないかという疑惑が浮かび上がってきます。手がかりも消え、捜査も暗礁に乗り上げた時、犯人が語った言葉の断片をヒントに過去にさかのぼって主人公は独自に捜査を始めます。
犯人が過去にたどった足跡を追いかけ、少しずつ判明していく事柄と犯人は弟なのかそれとも別人なのか。こういった要素がミステリ性とサスペンス性をよりいっそう盛り上げ、単なる犯人を狩り、妻子を取り戻すだけのストーリーとは一線を画しているところだと思います。犯人からの視点があればもっとよかったかも。

『廃墟ホテル』デイヴィッド・マレル ランダムハウス講談社
『真夜中に捨てられる靴』デイヴィッド・マレル ランダムハウス講談社




ブラッド/孤独な反撃 (ハヤカワ文庫NV)ブラッド/孤独な反撃 (ハヤカワ文庫NV)
(2002/09)
デイヴィッド・マレル

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF クリスマス・ストーリー アンソロジー アーロン・エルキンズ ルース・レンデル スティーヴン・キング デイヴィッド・ハンドラー キャロリン・G・ハート ジョー・R・ランズデール ローラ・チャイルズ マイクル・クライトン ジョアン・フルーク ジョージ・P・ペレケーノス ドン・ウィンズロウ ポーラ・ゴズリング ジェームズ・パターソン エド・マクベイン ジェイムズ・パタースン ジル・チャーチル ヘニング・マンケル C・J・ボックス ローレンス・ブロック リチャード・マシスン D・M・ディヴァイン レジナルド・ヒル スチュアート・ウッズ リリアン・J・ブラウン ジャネット・イヴァノヴィッチ ピーター・ラヴゼイ パーネル・ホール アリス・キンバリー レックス・スタウト S・J・ローザン ジョルジュ・シムノン ジョー・ゴアズ カール・ハイアセン ウィリアム・カッツ クレオ・コイル マーガレット・ミラー レスリー・メイヤー ジャック・カーリイ カーター・ディクスン ジェフ・アボット マーシャ・マラー エド・ゴーマン コリン・ホルト・ソーヤー ヒラリー・ウォー ルイーズ・ペニー マイケル・ボンド ジェフリー・ディーヴァー アイザック・アシモフ ジョン・ディクスン・カー イーヴリン・スミス ジェームズ・ヤッフェ リタ・メイ・ブラウン キャロリン・キーン ウィリアム・L・デアンドリア ロブ・ライアン ローラ・リップマン ポール・ドハティー フレッド・ヴァルガス G・M・フォード エヴァン・マーシャル オーサ・ラーソン ジョアン・ハリス ドナ・アンドリューズ サイモン・カーニック リン・S・ハイタワー ファーン・マイケルズ アンソニー・ホロヴィッツ ジャン=クリストフ・グランジェ スタンリイ・エリン レイ・ハリスン ケイト・ロス アンドレア・カミッレーリ レニー・エアース ジョン・クリード コニス・リトル デイヴィッド・マレル クリスチアナ・ブランド ウイリアム・P・マッギヴァーン ウィリアム・ランデイ ジャック・フィニイ リック・ボイヤー サキ ジェーン・ラングトン ユージン・イジー ウォルター・モズリイ アン・クリーヴス ビリー・レッツ イーサン・ブラック ダナ・レオン エーリヒ・ケストナー ウォルター・サタスウェイト スタンリー・エリン ポール・ドハティ トバイアス・ウルフ 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント