『謝ったって許さない』 ソフィー・リトルフィールド ハヤカワ文庫HM
2012-01-21
- Category : ☆☆☆☆
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ミシンと手芸の店を営むステラおばさんの裏稼業、それは女性を苦しめるクズ男に過激な天誅を下すこと!ある日、以前助けた若妻クリッシーが子供を別居中の夫にさらわれたと泣きついてきた。どうやら徹底的なお仕置きが必要ね ― だが、その夫は怪しげな犯罪組織と関わっているようで……ヤバい奴らを向こうに回し、ステラとクリッシーの熱い戦いが始まった!!タフな毎日を生き抜く女性たちへ、主婦作家が贈る応援歌! 内容紹介より
Dvという重いテーマに対して、更年期障害に悩む五十歳の主人公というやや異色でコミカルなキャラクターとその語り口の軽さとでバランスをとっているように感じました。また、手芸店の主でありながら、裏では仕置き人というギャップの可笑しさも持ち合わせています。かといって、イヴァノヴィッチの〈ステファニー・プラム〉シリーズのようなどたばた路線には走らず、夫にまつわる彼女自身の過去の悲惨な体験とひとり娘との疎遠な関係という負の設定を設けてあり、彼女の人物造形を単純にはしていません。これらの要素がストーリーに他とは違う独特な雰囲気を与えているような気がしました。主人公は裏稼業をやってはいても、ノウハウは独自に身につけたもので、テクニックはアマチュアの延長線上にあるようなものであって、洗練されてない泥臭さがまた主人公に肩入れしたくなる要因になっているのです。依頼人を助けたいという揺るがない信念と一途さの他にも、過去に救った女性たちの間にネットワークを持っていたり、加齢によるハンデを自覚しながら身体を鍛えていたり、保安官にまんざらでもない感情を抱きながら、それを素直に表に出せなかったり、少々パラノイア気質のヒロインの人間性がとても魅力的に描かれています。気になったのは、我が子がさらわれたにしても、クリッシーの伏線のないいきなりな豹変ぶりにはちょっと違和感を覚えました。
謝ったって許さない (ハヤカワ・ミステリ文庫) (2010/10/22) ソフィー リトルフィールド 商品詳細を見る |
テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌