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『マイアミ・ポリス』 チャールズ・ウィルフォード 扶桑社ミステリー

2012-06-17

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☆☆☆☆

ホウク・モウズリーはマイアミ警察の殺人課の部長刑事。十年前、妻とは別れたが、慰謝料やら生活費やらで、収入の半分を巻き上げられ、年々借金が増えるという惨状。警察官は市内に住めという警察の方針があるので、しかたなく保安係を兼ねて安ホテルに仮住まい中だ。さて、最近おこった市内の高級住宅地での麻薬常用者変死事件を扱いあぐねているところへ、上司が過去の迷宮入り事件の再調査を命じて、殺人課は大忙し。そこへ突然十年ぶりに現れたのがホウクの二人の娘。新しい男をつくったホウクの別れた妻が押しつけてきたのだ。落ち着く間もなく今度は部下の女性刑事が家出した。さしものホウクもたまらずに叫ぶ。お前らどうしておれのまわりでやっかいごとばかり起こすんだ!災難つづきもなんのその、愉快な連中がくりひろげるオキテ破りの警察物語。 内容紹介より



〈刑事ホウク・モウズリー・シリーズ〉の第二作目です。第一作目の『マイアミ・ブルース』は創元推理文庫から出ているそうです。三作目の『あぶない部長刑事』で主人公ホウクが燃え尽き症候群になってしまった理由が本書を読んで良く判りました。公私ともに非常に多忙であり、ストレスに晒されていたのでした。まるで犯罪が頻発する87分署のキャレラ刑事に私生活の面でも様々なトラブルや出来事を背負わせているみたいな状況です。ただ、ホウク刑事は42歳でイケメンでもない総入歯の男ですが。そんな彼が新しい恋人ができた元妻から二人の娘の面倒を押しつけられてしまい、仕事のパートナーの女刑事が妊娠して実家から追い出されて泣きつかれるはめに……。人種が混在するマイアミみたいに物事もごた混ぜになって、さらにそれをぶちまけたような言いようの無い魅力的な雰囲気がこの作品にはあります。
そういう混沌のなかで目を引くのが親子関係とか家庭環境の事柄で、麻薬の過剰摂取で亡くなった若者は母親の再婚相手の養子になり、やがて二人が離婚し母親が出て行ったため義理の父親に元に残され、その義父が再婚し、さらにまた離婚するという複雑な境遇下にあったり、未婚で妊娠してしまった女性刑事は厳格な父親から親子の縁を切られ、ホウクの娘たちは母親の都合から厄介払いされてしまう。そして、ホウクが保安係を務めているホテルでは長期滞在者の老人の孤独死が持ち上がっているという具合です。親によって物のごとくやり取りされたり、関心を持たれず心の居場所がなかったりといった現代社会の抱える家族問題もさりげなく描かれていました。

『あぶない部長刑事』チャールズ・ウィルフォード 扶桑社ミステリー
『炎に消えた名画』チャールズ・ウィルフォード 扶桑社ミステリー




マイアミ・ポリス (扶桑社ミステリー―刑事ホウク・モウズリー・シリーズ)マイアミ・ポリス (扶桑社ミステリー―刑事ホウク・モウズリー・シリーズ)
(1988/12)
チャールズ・ウィルフォード

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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