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『さよならまでの三週間』 C・J・ボックス ハヤカワ文庫HM

2012-11-20

Tag : C・J・ボックス

☆☆☆

子宝に恵まれず、念願の赤ん坊を養子として迎えた夫婦ジャックとメリッサ。しかし、幸せは長くは続かなかった。実父が親権を主張し、裁判所から三週間以内に子供を返すようにとの裁定が下ったのだ。実父である少年は札付きのワルで、夫婦に執拗な嫌がらせを繰り返し、ついには殺人まで……愛する者を守るため、男が下した決断とは? 『ブルー・ヘヴン』でアメリカ探偵作家クラブ賞を受賞した著者が贈る感動のミステリ 内容紹介より



猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズにおいて、里子にした女の子を実の母親が取り返しに現れる『凍れる森』という作品がありましたけれど、ノンシリーズの本書でも養子の赤ん坊を中心に家族愛や家族の絆がテーマとして前面に押し出されています。 主人公のジャックが実直だけれど平凡な人物で、妻のメリッサは美人で才能の持ち主であるという夫婦間の設定もジョー・ピケット・シリーズと似ていますし、連邦裁判所判事である少年の父親が法律を盾に赤ん坊を要求し、メキシコ・マフィアとつるむ素行の悪い少年が、まじめな主人公夫婦に嫌がらせを行うという構図は、大牧場主が手下を使って近隣の善良な農家に乱暴狼藉をはたらくという、どこか西部劇を基本に据えているような雰囲気も同様です。
ジョー・ピケットは法の執行官として体制側に身を置いているため、法律から逸脱した行いはできませんが、本書のジャックは耐え忍んだ末、相手に対し直接的な行動をとってしまいます。また、印象深いのは、彼の旧友である刑事が正義のために法を曲げてしまう場面があえて描かれているところです。昨今のミステリでは、相手がいかに悪人であっても法律の前ではフェアに処し、こういうストーリーの流れは否定的に描かれるか、あるいは避けてしまう傾向にあります。しかし、敵が極悪人であった場合は、我こそが法だという、感情に抑制を利かせない無骨な開拓者精神を感じさせるところは、いかにもC・J・ボックスらしいと思いました。その役目を主人公にやらせず親友にさせることで、もしかしたら読者からあがるかもしれない批判をかわす狙いでもあったのかどうか、読後に物足りなさが残りました。

ユーザータグ:C・J・ボックス




さよならまでの三週間 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ホ 12-2)さよならまでの三週間 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ホ 12-2)
(2010/05/10)
C・J・ボックス

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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