『料理教室の探偵たち』 J・B・スタンリー RHブックスプラス

2013-02-28

Tag :

☆☆☆

ダイエットの息抜きになればと、料理教室へ通いはじめた〈デブ・ファイブ〉のメンバー。美味しいメキシコ料理の数々に、ご機嫌で舌鼓をうっていたのもつかの間。メンバーの一人、ルーシーの心変わりで仲良し五人組の固い結束にひびが……。そんななか、料理教室の生徒が洞窟で殺される事件が起こり、教室は捜査会議の場へと様変わり。はたして〈デブ・ファイブ〉は解散の危機を乗り越え、無事に事件を解決できるのか! 内容紹介より



ダイエット・クラブ3。
新たに〈デブ・ファイブ〉と関わるようになった料理教室の先生、メンバーの一人であるジェイムズの父親で画家であるジャクソンのスランプ、ジェイムズの恋人のルーシーの変化、ジェイムズが館長をしている図書館の返却ポストに入っていた宝くじ。新しいキャラクターが加わることによって持ち上がるエピソード、キャラクターの変化や成長、心暖まる出来事、これらをミックスして、常に人間性の明るい一面を見せようとしているところが、本シリーズが抱えるミステリ部分の拙さを補っているような気がします。人生や生活に対して変に捻くれたり、斜に構えたりしないで、単純で楽天的な要素がこのシリーズの魅力だと思うから、ミステリによって大向こうをうならせるとか考えず、妙に気負うことなく、こんな具合にシリーズが続いてくれることを期待しています。後は、これまであまり私生活が語られることのなかったメンバーにも焦点を当てるとさらに面白いシリーズになるのではないでしょうか。

『ベーカリーは罪深い』J・B・スタンリー ランダムハウス講談社
『アイスクリームの受難』J・B・スタンリー ランダムハウス講談社




料理教室の探偵たち ダイエット・クラブ3 (RHブックス・プラス)料理教室の探偵たち ダイエット・クラブ3 (RHブックス・プラス)
(2010/08/10)
J B スタンリー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『サラトガ探偵の難事件』 スティーヴン・ドビンズ 集英社文庫

2013-02-25

Tag :

☆☆

サラトガ署の刑事から私立探偵に転身したチャーリー。助手を買って出たのはもっぱら「人の道より金儲け」のヴィクター。金に執着しないチャーリーにいつもはらはらさせられている。競走馬の牧場主が「妻とその愛人に殺される」と事務所にやってきたときも、探偵の留守を幸いに依頼料をふっかける。しかし次々と殺人事件が起きて……。英国推理作家協会賞候補作家のシリーズ第2弾! 内容紹介より



シリーズ第一作目の『サラトガ刑事の大手柄』は未読です。
ハードボイルドの主人公たちに往々にして見られる、「饒舌」「減らず口」「気の利いた言い回し」「軽口」「ウィット」、つまり自己満足な多弁がわたしのように苦手な人にはまったく勧められない作品。一作目とは語り手が異なっているらしく、今回の探偵の親友のそれがスタンダップコメディのごとく、見るもの聞くもの何かにつけて一言述べずにいられない、しかもそれが始末におえない一人称で、オヤジ風俗物テイストを帯びて綴られているものだから本当にうんざりしてしまいました。木の葉を森に隠すのではなくて、ミステリそれ自体をほとばしり、ぶち撒けられた大量の言葉の中に埋もれさせてどうするのだと言いたい。
二時間もののサスペンス・TVドラマの原作にありそうな内容なのですが、それがどうこういう以前の問題であり、たかだか270ページほどの作品を読了するのに大変疲れてしまったということが正直な感想です。




サラトガ探偵の難事件 (集英社文庫)サラトガ探偵の難事件 (集英社文庫)
(1999/12/15)
スティーヴン・ドビンズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『流刑の街』 チャック・ホーガン ヴィレッジブックス

2013-02-22

Tag :

☆☆☆

ボストンの駐車場で夜間警備員として働く、若きイラク帰還兵メイヴン。ある晩、強盗に襲われた彼は、反撃のすえ相手を殺しかけてしまう。その翌日、メイヴンは一人の美しい女からある人物に連絡するよう伝言を受ける。メイヴンを待っていたのは元軍人だという謎めいた男ロイス。彼はメイヴンに自分のチームで働かないかと言ってきた。除隊後鬱屈した日々を送るメイヴンのような男たちを集め、麻薬組織を襲撃して街を浄化すること ― それがロイスの“仕事”だった。戦場を思い起こさせる仲間たちとの絆と多額の報酬、すべては完璧に思えた。ある日歯車が狂いだし、街に血が流れ始めるまでは……。 内容紹介より



以下、ネタバレしています。ご注意下さい!


麻薬ディーラーたちが金と麻薬の取引しているところを襲って、金を奪い、麻薬を廃棄するという主人公たちの強盗の手口は新味のある設定です。しかし、うまい話には、もとから裏があるだろうことは読者の予想内なわけですから、三つある麻薬組織の内のひとつだけがその被害を受けていないという情報を聞かされたにもかかわらず、主人公は訝しく思いながらも聞き流してしまう、それに対してなんのアクションも起こさないのは流れとして不自然さが否めないし、話が盛り上がる機を逸しているような気がしました。最終盤まで終始受け身のおめでたい主人公のイラク帰りで鬱屈しているという造形、障がいを抱えた妹を持つボスの情婦、このふたりの描写がありきたりで、もう少し掘り下げてあれば良かったのでしょうが、中途半端に感じてしまいました。また、主人公の友人リッキー・ブライとの友情以外に心に迫るものがありません。クライムノベルとしては、ジェイムズ・カルロス・ブレイクほどのリアリティもオリジナリティもない、全体的に深みが足りない作り物感が強い作品だと思います。




流刑の街 (ヴィレッジブックス)流刑の街 (ヴィレッジブックス)
(2011/01)
チャック・ホーガン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『犬橇レースの殺人』 スー・ヘンリー ハヤカワ文庫HM

2013-02-13

Tag :

☆☆☆☆

賞金25万ドルを賭けた有名な犬橇レースで、参加者が木に激突して死亡した。事故の状況には不審な点が多く、アラスカ州警察のジェンセン巡査部長は殺人の疑いを抱き捜査を開始する。彼は女性参加者のジェシーに協力を求め、密かに情報を得るが、やがて新たな犠牲者が!大自然の猛威のなか、ゴールを目指して連続殺人事件の真相を探る刑事。アンソニー賞、マカヴィティ賞の最優秀処女長篇賞を受賞した、迫力のサスペンス 内容紹介より



毎年3月に開催される、アラスカ州アンカレッジからノーム間、約1900キロを十日ほどを掛けて走る実際の犬橇レースであるアイディタロッド・レースを舞台にしたミステリです。当然、大会規則や運営方法など実際のものに則しており、作者自身がアラスカ在住でもあるため自然描写やレースの模様が臨場感を持って描かれています。また、各章の冒頭に、
日付:三月三日 日曜日
レース日程:第二日
位置:スキュエンタ―フィンガー・レイク・チェックポイント間(距離四十五マイル)
天候:晴天。無風もしくは弱い風
気温:最高零下一三・三度、最低零下一五・五度
時間:夕方
このような場面の状況説明が記されているおかげで理解しやすく、また、章が短く設定されているためストーリーの展開もスピーディーでテンポよく進んでいきます。ただ、事件が頻発する序盤のスリリングな流れに対して、中盤にややもたついたような印象を受けたし、犯人捜しについては期待したほどのサスペンス性や意外性はありませんでした。それは、当初から警察が介入していることと、警察官とレース参加者のふたりが主人公になって視点が二分していること、そして容疑者がかなり限定されていることなどが原因なのかもしれません。しかし、いずれにしてもレースものの佳作であることは間違いありません。




犬橇レースの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)犬橇レースの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1997/06)
スー・ヘンリー

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『プレーグ・コートの殺人』 カーター・ディクスン ハヤカワ文庫HM

2013-02-11

プレーグ・コート ― 黒死病流行の時代に端を発する奇怪な呪詛に満ちたこの邸は、今や降霊術が行われる幽霊屋敷として知られていた。そしてその降霊会の夜、石室に籠った降霊術師は血の海に横たわり、無残な姿で発見された。完全な密室だった石室の周囲は、当夜の雨のため泥の海と化し、足跡さえも残っていなかった。しかも死体の傍らには狂気と思われる短剣が……初登場のH・M卿と奸智にたけた犯人の息づまる対決! 内容紹介より



☆☆☆☆

本書は、ヘンリー・メルヴェール卿を主人公とするシリーズの第一作目だそうです。
この作家の一連の作品に見られるオカルティズムと密室への傾倒ぶりと、彼が生み出したトリックは、現代のミステリ作品の中において、名指しされないまでも暗にからかいのネタみたいな形で触れられる傾向になっていますし、プロットから人物造形に至るまで大時代な感はやはり否めないものの、実際に読んでみて作品が持つ力強さを損なっていないところは改めて感心しました。
以前に読んだジョン・ディクスン・カー名義の、1946年に発表された『囁く影』の吸血鬼伝説及び密室トリックの変形である不可能犯罪と、1934年に発表された本書での黒死病と悪霊及び密室殺人のように、二作品の構成要素が非常に似ているのは作者の嗜好からすればあたりまえですけれど、『囁く影』がより動的に人物も活き活きと描かれている点を読み比べられて興味深かったです。それから古典においてある職業の人物が犯人に通じていたという設定は、これまで目にした覚えがなかったので意表を突かれました。

『九人と死で十人だ』カーター・ディクスン 国書刊行会
『時計の中の骸骨』カーター・ディクスン ハヤカワ文庫HM
『エレヴェーター殺人事件』ジョン・ロード/カーター・ディクスン ハヤカワ・ミステリ




プレーグ・コートの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-4)プレーグ・コートの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-4)
(1977/07)
カーター・ディクスン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『殺しの演出教えます』 サイモン・ブレット 角川文庫

2013-02-09

Tag :

☆☆☆

素人探偵として幾つかの事件を解決したチャールズだが、今回ばかりは他人事ではなかった。殺されたのが親友ヒューゴの妻、シャーロットで、チャールズ自身が死体の第一発見者なのだ。夫妻を訪ねたチャールズが、スカーフで首を絞められた死体を、物置で見つけた。その時ヒューゴはへべれけで、自分の行動すら覚えていなかった。当然、容疑はヒューゴにかかった。シャーロットはヒューゴより20歳も年下。所属のアマ劇団に親しい男もいるようだ。最近、二人が不仲なことはチャールズも知っていた。だがそれでも、ヒューゴが犯人とは思えない。友人の冤罪を晴らすべく立ちあがったチャールズは、鉄壁の二重アリバイ崩しに敢然と挑むのだが……。 内容紹介より



俳優探偵チャールズ・パリス=シリーズ。
もしかするとカリカチュアじゃなくて、あちらではそれが真の姿なのかもしれないけれど、ハリウッド映画やTV業界を舞台にしたアメリカのミステリ作品では、登場人物たちの現実離れした奇矯さが目について読みづらかったりしますが、イギリスミステリの本書は、主人公以外のほとんどはアマチュアの俳優たちであるためか、特別にエキセントリックな人物は登場せず、300ページ弱の作品にもかかわらず彼らのキャラクターが巧く描き分けられている印象を受けました。そもそも全体に軽めのミステリ作品であり、作者も重厚な雰囲気をもたせようという意図などはなかったでしょうが、人物の造形にさり気なく一手間かけている感じがして、こういう筆致というか工夫というか、そういう細かなところを疎かにしない作業が何気に作品の質を高めるのだなと感じました。
また、真犯人の見当は早めにつき、その人物のアリバイをいかに崩すかに主眼を置いているのもちょっと目先が変わって面白かったです。肩のこらない作品でした。




殺しの演出教えます (角川文庫 (5570))殺しの演出教えます (角川文庫 (5570))
(1984/01)
サイモン・ブレット

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『殺人セミナー』 B・M・ギル サンケイ文庫

2013-02-07

Tag :

☆☆☆☆

「メイブリッジ主任警部、できたらこの殺人のあらを捜してみてください」 ― 推理作家たちが三十人、〈ゴールデン・ギロチン・クラブ〉の年次例会に集まったその夜、会長の大物作家グラントが怪死。枕元に謎のメッセージが残されていた。作家同士の確執が続き、捜査が難航するなか、第二の死体が発見された!『十二人目の陪審員』で英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞を受賞、クリスティの衣鉢を継ぐと絶賛される、B・M・ギルの正統派推理最新作。 内容紹介より



以下、ややネタバレ気味です。ご注意下さい!


ミステリ作家クラブの例会に講師として招かれたメイブリッジ主任警部。彼は講演会において会員たちが書いたミステリ作品を俎上に上げ、警察官の目から見て気付いた欠点や問題点を次々に指摘していた。という経緯があって犯行現場に犯人から警部に宛てた挑戦状が残されていたと思われるのです。被害者の首には焼肉用の串が刺さっていましたが、それは死後に行われ、直接の死因は薬物の過剰投与です。例会には、妻の愛人である被害者の秘書のほか、被害者との間にできた赤ん坊を連れた元愛人、被害者から盗作を糾弾されている老作家とその息子、無断で作品の登場人物のモデルにされた作家など、被害者との間に問題を抱える会員が参加しています。
このように本書は正統派であり本格派の推理小説の様式をとっているのですが、
「素人がいともあさましい死を描いた本を夢中で読むなんてことは異常なことである」「他人が犯した人殺しの話を、わがことのようにわくわくしながら読む人間たちから金をしぼりとっている、無気味な想像力を持つ男女である」(p6)、と推理小説の読者や作家について、こんな独白を主任警部にぼやかせているように、いかにも英国ミステリらしい皮肉で自虐的なユーモアも備えた作品にもなっています。それから、事件がすっかり解決したかと思いきや、最終盤のおける「意外な事実の判明」という展開にはちょっと時代を感じてしまいました。

『十二人目の陪審員』B・M・ギル ミステリアス・プレス ハヤカワ文庫




殺人セミナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)殺人セミナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)
(1986/10)
B・M・ ギル

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ダーティ・サリー』 マイケル・サイモン 文春文庫

2013-02-05

Tag :

☆☆☆

彼女は首と四肢を切断されていた ― ダーティ・サリー、彼女は何者だったのか。孤独な刑事ダンの捜査が開始された矢先、市の権力者たちに“サリー”の体の一部が届けられはじめた……市の上層部、警察、残忍な悪党が結託する街の暗い底へ踏み込んだダンの怒りの捜査が暴いた哀しい真相とは。エルロイ絶賛のダークな警察小説! 内容紹介より



アメリカの地方都市を舞台に、腐敗した警察にわずかに残る“良い警官”の一人である刑事が猟奇殺人事件の捜査を通して、富と権力に群がり、目的のためには手段を選ばない権力者たちの不正な企みを図らずも暴きだしてしまうという話。
テキサス州オースティン警察殺人課部長刑事ダン・レリスを主人公にしたシリーズの第一作目ですが、邦訳されているのはいまのとこと本書だけのようです。そこで問題になるのが、作者に二作目以降にも今回のストーリーを引きずる意図でもあったのか、事件がすっきり決着しない灰色のままのエンディングになっているところ。この処理の仕方には人それぞれの感想があるでしょうが、個人的にはマイナス評価になりました。巻末に付けられた著者の謝辞でもわかる通り、警察関係者への取材が行き届いている印象を受ける警察小説で、それをベースにノワール及び(やたらと人が死ぬ)バイオレンスを上手く融合させた作品全体の完成度は高く、人物造形もステレオタイプになることなく、技術的に非凡なものを感じることができます。だからこそ結末に不満が残ってしまいますし、次を出してくれない文春文庫にも文句の一つも言いたくなるのです。




ダーティ・サリー (文春文庫)ダーティ・サリー (文春文庫)
(2006/08)
マイケル・サイモン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『あたしの手元は10000ボルト』 ジャネット・イヴァノヴィッチ 集英社文庫

2013-02-03

☆☆☆

あたしはステファニー・プラム。裁判と保釈金をぶっちぎる奴らを捕まえるバウンティ・ハンター稼業が、最近、そこそこ天職と思えるようになってきた。この世界のノウハウを叩き込んでくれたレンジャーが、偽物レンジャーの出現で大ピンチ。あたしまでとばっちりを受けちゃって、仕方なく護身用のスタンガンを忍ばせて真相解明に乗り出したものの……。絶好調ユーモア・ミステリー・シリーズ! 内容紹介より



レンジャーの妻だと名乗る女が主人公の前に現れて付きまといはじめ、また、レンジャーの子供が誘拐され、レンジャーの偽物の存在が明らかになっていく。やがて彼は主人公に接触を図ってくるという展開のシリーズ十二作目。
保釈人が裁判所に出廷しないせいで、立替えた保釈金が戻ってこないケーズが増え、主人公の勤める保釈保証事務所の経営が危うくなりそうになったため、バウンティ・ハンターの新規求人を行ったところ、殺到する奇人変人の求職者たち。その事務所のファイル整理に雇われた、映画館で変態行為をした罪状をもつ男を始めとして凶暴な殺し屋から気性の荒いアダルト・ショップの72歳の女店主などの保釈逃亡者たち。さらに、ロック・バンドを組みクラブや老人ホームで演奏する主人公の友人ルーラと(第四作目『サリーは謎解き名人』に登場している)ドラッグ・クイーンのサリー、そのメンバーに加わるメイザおばあちゃん。彼らが繰り広げる混沌気味のドタバタ話のほうが、メインストーリーである偽物レンジャーの話や主人公、モレリ、レンジャーのぐちゃぐちゃに絡み合いもつれあったいつものロマンス話よりずっと面白かったのでした。特に、ステージ衣裳にまつわる話とか。

タグ:ジャネット・イヴァノヴィッチ




あたしの手元は10000ボルト (ステファニー・プラム・シリーズ) (集英社文庫)あたしの手元は10000ボルト (ステファニー・プラム・シリーズ) (集英社文庫)
(2009/03/19)
ジャネット・イヴァノヴィッチ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『オフシーズン』 ジャック・ケッチャム 扶桑社ミステリー

2013-02-01

Tag : ホラー

☆☆☆☆

避暑客が去り冷たい秋風が吹き始めた九月のメイン州の避暑地。ニューヨークからの六人の男女が休暇をとって当地にやって来る。最初に到着したのは書籍編集者のカーラ。少し遅れて、彼女の現在のボーイフレンドのジム、彼女の妹のマージーとそのボーイフレンドのダン、そしてカーラのかつてのボーイフレンドのニックとそのガールフレンドのローラが到着した。六人全員が到着した晩に事件は勃発した。当地に住む〈食人族〉が六人に襲い掛かったのだ。〈食人族〉対〈都会族〉の凄惨な死闘が開始する!〈解説・風間賢二〉 内容紹介より



1981年にアメリカで発表されたこの作品のオリジナル版はかなりの削除や修正の手が入っていたそうで(作者あとがき参照)、1995年に出版されたイギリス版が無削除版に近く、本書はそのイギリス版にもとづいているそうです。内容もさることながら、1981年によくこういうページから血糊や肉片その他が飛んできそうな過激なスプラッタホラーを出版したものだなと感心しました。さすがに、出版後は世間の反応のせいで不遇な扱いを受けたそうですが。元ネタにソニー・ビーン伝説も入っているのかなと思いました。
さて、ジャック・ケッチャムの諸々の作品は、その内容紹介文で判断する限りでは、要警戒レベルに在って、よくよく注意して選ばないと精神的な苦痛を引き起こしそうなイメージを個人的に抱いています。にもかかわらずどうして本書を手にとってしまったのかというと、スプラッタホラーものは残酷さや凄惨さを極めるほど、スラップスティック・コメディの要素も強くなっていく傾向がありますが、この作品もそんな食人種に襲われる、性格に難があったりひ弱な都会人、つまりゾンビ対まあ殺されても仕方がない(良い人は生き残るだろう的な)人間の対決パターンの派生型だと思っていたからです。ところが、襲ってくる相手は、非人間化したゾンビでも狂った大量殺人犯ジェイソンでもない、人肉や人血が何より美味しいご馳走と考えている子供を含む野生化した人間たちであり、そこにはブラックな笑いは存在せず、嫌な奴が殺されて溜飲が下がるとか、化物が退治される爽快感が湧き上がることもない、残るのは生理的な不快感と殺された子供たちの哀れさです。食人たちの行動はただただ本能からくるものであって、決して性悪ではない、例えば、人間が家畜を殺して解体し、その肉を喰らう様子を牛や豚が見たらなら、きっと彼らのように見えるだろうし。

『老人と犬』ジャック・ケッチャム 扶桑社ミステリー




オフシーズン (扶桑社ミステリー)オフシーズン (扶桑社ミステリー)
(2000/09)
ジャック・ケッチャム

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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

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  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

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