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『証拠が問題』 ジェームズ・アンダースン 創元推理文庫

2013-07-03

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☆☆☆☆

八月の月曜の晩。わが家でひとり過ごしていたところ、出張中のはずの夫スティーヴンが突然帰宅してきた。仕事が早く終わったので、という弁解に釈然としないものを感じるアリソンだったが、真夜中を過ぎること、今度は二人の刑事の訪問を受ける。彼らは、今夜一件の殺人が発生したこと、その現場で死体のそばにひざまずいているスティーヴンの姿が目撃されたことを告げた。打ちのめされながらも、夫の潔白を証明するため、アリソンは奔走を開始したが……。多彩な作風を誇る技巧派の雄が、二転三転するプロットと意外な真相を仕掛けた最新作! 内容紹介より



本書よりも先に発表されている『血のついたエッグ・コージイ』や『殺意の団欒』(共に文春文庫)は、作品の出来栄えに今ひとつの感じが強かったのですが、この作品は読者を巧みにミスリードしている点ではとてもよく出来たミステリだと思います。ただ、技巧派と紹介されているだけあってそつがなく、手際が良すぎているような気がしました。道を極めた名人の手さばきが素人にはいとも簡単に見えるように、作者のストーリー展開が途中まで淡々としてけれん味がないからかもしれませんが……。364ページの半ばまでは☆(評価)が二つだったにもかかわらず、残りの28ページで☆が四つに変わるというくらいにやられた感の強い、衝撃的なクライマックスを用意する名人級のテクニックを披露しながら、どうして全体が単調な印象になってしまっているのかというと、それは当然364ページまでが凡庸すぎるからです。もう少しクライマックス前までの部分を力を入れて頑張って欲しかったです。
とは言いながら、読後に振り返ってみると、作者の小道具やシチュエーションを使った伏線配置は見事と言わざるを得ません。留置場で妻に面会したスティーヴンが、別れる間際に彼女に言った感謝の言葉は意味深いものがあります。

『血のついたエッグ・コージイ』ジェームズ・アンダースン 文春文庫




証拠が問題 (創元推理文庫)証拠が問題 (創元推理文庫)
(1991/11)
ジェームズ・アンダースン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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てんちゃん1号

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