『でぶじゃないの、骨太なだけ』メグ・キャボット 創元推理文庫

2013-12-28

Tag :

☆☆☆

わたしヘザー・ウェルズ。元アイドル歌手で、今は学生寮の副寮母。現在数学の補講の担当教授とお付き合い中よ。わたしはね、でぶじゃないの、骨太なだけ。朝っぱらから不本意なジョギングでへとへとになって出勤してみると、またしても殺人事件。しかも死んでいたのは新しい上司。あんまりじゃないの?『プリンセス・ダイアリー』の著者の、オトナのための過激なミステリ第三弾。 内容紹介より



ヘザー・ウェルズを主人公にしたシリーズの三作目。『サイズ12はでぶじゃない』と『サイズ14でもでぶじゃない』は未読です。本作が完結編らしく、ミステリとしては独立した物語ですが、人間関係において大団円を迎えるので、できれば順番に読んだほうが良さそうです。ヒロインが元アイドル歌手で、「オトナのための過激なミステリ」と紹介文にあるので、かなりエキセントリックな人物がぶっ飛んだ言動を見せるミステリなのかと思っていたけれど、さほどそんな感じはしませんでした。また、主人公が一人称で語るのもかかわらず、多弁でも煩わしくなく、中村有希氏の訳も優れているのか非常に読みやすかったです。そして、何と言ってもヒロインのキャラクターに好感が持てました。ぽっちゃり体形であるのを受け入れず、ついつい理由をつけてあれこれ食べ過ぎてしまうという設定はありきたりなのですけれど、被害者への弔辞の内容とか、知人や仕事に対して、ところどころで描かれる素直さ純粋さ真面目さが彼女をとても魅力的で可愛らしく見せています。




でぶじゃないの、骨太なだけ (創元推理文庫)でぶじゃないの、骨太なだけ (創元推理文庫)
(2011/11/11)
メグ・キャボット

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ダリアハウスの困った聖夜』キャロライン・ヘインズ 創元推理文庫

2013-12-24

☆☆☆

故郷で探偵業を営むことになったサラ。屋敷づきの幽霊ジティと寂しくクリスマスを迎えようとしていたある日、作家ローレンスが訪ねてきた。執筆中の彼の自伝には、数十年来の知人たちの秘密が書かれているらしい。その自伝をめぐりひと騒動あったイヴのパーティの翌日、自宅で亡くなっているローレンスが発見され、問題の原稿は持ち去られていた。サラは犯人捜しを始めるが……。 内容紹介より



ページ数が多い割に面白さに欠け、結果だらだらとした展開に終始している印象でした。何と言っても、このシリーズの特徴なのだと思われる“ダリアハウスの幽霊”ジティとヒロインが交わす会話が前回と同じ内容でつまりません。旧態依然の南部的価値観に固執して、男から気に入られるような立ち振舞や服装、会話をし、早く結婚しろとしつこく迫る幽霊にたいして、自立した女を目指し、結婚のために男におもねることを拒否するヒロイン。この対立軸を中心に堂々巡りするばかりで、ミステリ部分とはまったく絡む気配がないから、幽霊が出現するたびにうんざりしてしまいます。アリス・キンバリーの幽霊探偵のほうがよっぽどまし。ミステリについては、秘密を暴露されそうな状況で口封じのために殺人が起きるという定番な設定で、そもそもどうして被害者がこうも人騒がせなことを公言したのか、その行動原理がよく理解できません。伏線の張り方は上手かったけれど、その正体は唐突な感じがした真犯人の行いも矛盾しているような気がしました。
あと細かいことを言うと、カバーイラストに何故に犬ではなく、猫が描かれているのか理解に苦しみます。

『ダリアハウスの陽気な幽霊』




ダリアハウスの困った聖夜 (創元推理文庫)ダリアハウスの困った聖夜 (創元推理文庫)
(2009/03/20)
キャロライン・ヘインズ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ストレンジャー・フォー・クリスマス』キャロル・リン・ピアソン 飛鳥新社

2013-12-17

☆☆☆☆

クリスマス・イブまであと三日。南カリフォルニアの老人ホームにいる孤独な老婦人ふたり。
一方だけが善と信頼と希望とを今でも信じている。そうして自分の子どもたちに電話をかけさえるれば、見知らぬ旅人「ストレンジャー」に対する思いやりが存在することを証明できると思っている。
ところが、信じられないようなことが起こって、ふたりの人生観は根底から揺さぶられることに……。
内容紹介より



性格俳優としてハリウッドで長年成功を収めてきた経歴を持つ元女優フローレンス、故郷アイダホで夫と共に幸せな家庭を築き、五人の子どもたちを立派に育てたあげたマーナ。老人ホームのルームメイトである対照的なこのふたり。フローレンスは生涯独身だったため家庭的なクリスマスを味わったことがなく、マーナは今年人生で初めてクリスマスを家族で祝うことができない。「クリスマスはそもそも、家族で祝うところから始まったのよ―見ず知らずの他人が入る余地は、ないわ」、ファミリー・クリスマスに憧れ、それを体験してみたいフローレンスが嘆いたこの一言に、マーナは、たとえまったく見知らぬ人間でも、クリスマスのために家庭が欲しいと、心から願っているひとがいるなら、自分の子どもたちはそのひとを招待するだろう、と言います。そして、それを証明するために“ジェネヴィーヴ”という架空のおばあさんを作り、彼女をクリスマスに招くよう子どもたちに電話でお願いすることに……。
〈わたしが見知らぬ旅人であったとき、わたしに宿を貸し……〉
もう少し凝っても良いと思いますが、120ページのいかにもクリスマスらしいハートウォーミングな作品です。




ストレンジャー・フォー・クリスマスストレンジャー・フォー・クリスマス
(1996/11)
キャロル・リン・ピアソン

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『カレンダー・ガール』ステラ・ダフィ 新潮文庫

2013-12-13

Tag :

☆☆☆☆

失踪者捜索の依頼をうけ、NYの高級カジノに潜入したレズビアン探偵サズ・マーティン。そこは、全員そろってブロンド、目は茶色の妖艶なホステスたちが蠢く淫靡な秘密クラブだった。謎の女“セプテンバー”を追うワーカホリック女探偵の体当たり捜査が始まる!女同士の切ないまでの肉欲と愛憎に絡みつく非情な組織の掟とは?―自身もレズの作家、本領発揮のディープな心理劇。 内容紹介より



タルト・ノワールシリーズ。
三年前の偶然の出会い以来、友達付き合いをしている女性から突然連絡が途絶えた、彼女の身に何が起こったのか調べて欲しい、という依頼をある中年男性から受けたサズ。詳しく話を聴いてみると、その依頼人は親友と呼ぶ女友達の住所も電話番号も仕事も本名さえも知らなかった。しかも、彼は彼女に大金を貸していたという。この雲をつかむような話を訝しげに思いながらも、サズはレズ友達や知人らのネットワークを伝手に調査を開始します。この女探偵の物語とは別に、やはりレズビアンでコメディエンヌが一人称で語る恋人との出会い、愛の始まり、同棲、痴話げんか、そして終焉までの物語が細かく綴られていきます。探偵物語はタフでドライでクールであり、ラブロマンスはとてもソフトで切ないです。そして、双方のバランスが非常に良くとれていると思いました。
同性愛者が探偵役のミステリというと、同性愛の部分が良くも悪くも強く出てしまいがちで、主張しがちな面があるように感じますが、本書はそのあたりが自然で違和感がなく、特別意識することもなく読み終わりました。友情や愛を描いたすごく良い作品だと思います。

新潮文庫タルト・ノワールシリーズ作品
『トレンチコートに赤い髪』スパークル・ヘイター
『女探偵の条件』ケイティ・マンガー 
『時間ぎれ』ケイティ・マンガー




カレンダー・ガール (新潮文庫―タルト・ノワール)カレンダー・ガール (新潮文庫―タルト・ノワール)
(2002/10)
ステラ・ダフィ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ジェネシス・シークレット』トム・ノックス RHブックス・プラス

2013-12-07

Tag :

☆☆☆

トルコ東部の巨石建造物ギョべクリ・テベを訪れた記者ロブは、たちまちこの遺跡に魅了された。1万2千年前に建てられた最古の神殿で、エデンの園はここだったと説く者もいた。しかも遺跡は後に人の手で埋められていた。誰が、何を隠すためにそんな厖大な労力を注いだのか?発掘現場で起きた不審な死亡事件を追ううち、ロブははからずも人類史の壮大な謎のなかへと踏み込んでいくことに……。その頃英国では儀式殺人めいた猟奇的事件が相次いでいた! 内容紹介より



トルコに実在している遺跡を扱ったミステリ作品です。
読み始めてちょっと感じたのは、ジャーナリスト出身の作家の文章にたまに見られる、登場人物の心理を仕草や情景描写といったことを用いて間接的に描かず、直接的に説明調で書いてしまう点でした。これは文章に深みが欠けるのではないのかと。「人類史の壮大な謎」には、人類の進化や文明の発祥、原始宗教の芽生えからイスラム教、ユダヤ教、キリスト教などの事柄が含まれているのですが、古代遺跡にまつわるミステリは大好きだけど、古代人の頭蓋骨が出てきたあたりから疑似科学みたいな展開になって、結局読み終わってもテーマ自体が胸に迫ってきませんでした。もしその謎があばかれたとしても本書で述べられているほどに、政治や既存の宗教に多大で壊滅的な打撃を与えられるかどうかは個人的に考えてかなり疑問に思います。殺人犯についても、秘密を守ることが彼にとってどういうメリットになるのか、あんまりよく分かりませんでした。




ジェネシス・シークレット (RHブックス・プラス)ジェネシス・シークレット (RHブックス・プラス)
(2010/10/09)
トム・ノックス

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

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