『木曜の男』G・K・チェスタトン 創元推理文庫

2015-02-21

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ブラウン神父でおなじみのチェスタトンが、奇想天外な着想でもって一世を驚倒させた唯一の長編推理小説!無政府主義者の秘密結社を支配する委員長「日曜日」の不気味な影。その委員会に単身のりこむ主人公の前に、つぎつぎと暴露される委員たちの意外な正体。前半の神秘と後半のスピードが巧みにマッチして、謎はさらに奥深い謎へと導いていく。悪夢のような、白昼夢のような雰囲気の中で読者もまた息苦しいほどの奇怪な体験を強いられる強烈な迫力は無類である。 内容紹介より



本書が発表されたのは1905年で、ジョン・バカンの『三十九階段』が1915年なのですけれど、逃走劇から追跡劇に変わる構成をとる冒険小説という点ではかなり似ています。しかし、本書は追跡劇に入ってからは、幻想、奇矯奇抜、キリスト教によるところの観念的な何かへと移り変わる非常にへんてこりんな展開と終焉を迎えます。
ひょんなことから「木曜日」として、ヨーロッパ無政府主義会議の委員に加わることになった主人公は、彼らがロシア皇帝を狙ったテロ計画を企んでいることを知ります。単身その計画を阻止しようと決める彼の背後に、委員のひとりである「金曜日」が迫っていることに気付くのですが……。主人公が尾行される場面は不気味な非日常感を持ち、また、「日曜日」を追跡する場面は滑稽なドタバタ感が、そして「日曜日」の正体や彼の言説は寓意性があるという、ストーリーと雰囲気に他にはない誠に不思議な印象を与える作品でした。




木曜の男 (創元推理文庫 101-6)木曜の男 (創元推理文庫 101-6)
(1960/01)
G.K.チェスタトン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『三十九階段』ジョン・バカン 創元推理文庫

2015-02-01

Tag :

☆☆☆☆☆

アフリカからロンドンへ帰って来たリチャード・ハネーは退屈しきっていた。人生とはかくも退屈なものか、と。しかしふと知りあった男が殺されるにおよんでハネーはおそるべき国際スパイ団の大陰謀にまきこまれてしまった。世界大戦勃発の危機をはらむ陰謀!しかし単身それを阻止する手がかりは「三十九階段」という謎の言葉だけ。ハネー青年のゆくてには、つぎつぎとスパイ団の魔手がのびる。スパイ文学史上、不滅の名作! 内容紹介より



冒険小説の歴史を語る上で必ず名前が上がる不朽の名作なのですが、昔読んだ記憶はあるけれど、内容を覚えていないので古本屋で見かけたついでに購入し再読してみました。前半は逃亡劇で後半にかけて追跡劇へと変わるという構成になっていて、敵と対峙する後半部分のサスペンスの場面も見事ですが、それ以上に敵の追跡をかわして逃げ続ける様子が非常にスリリングでした。特に道路工夫に化けて敵の目を欺く場面は秀逸だと思います。この作品において作者がその時々において強調しているのは、正体を隠して相手をだますためには、変装する人物にいかに心からなりきれるかという精神面の重要さです。つまり、上面より心理面がとても大事だというわけです。これは道路工夫になった主人公や中流階級の暮らしに溶け込んで目をくらます敵の場合以外にも、主人公の友人が語った自説、フランスの将軍のアフリカでの狩猟の逸話などにも当てはまっています。発表されてから百年も経つにもかかわらず、本書のように魅力があせない娯楽小説なんてなかなかないでしょう。




三十九階段 (創元推理文庫 121-1)三十九階段 (創元推理文庫 121-1)
(1959/11/06)
ジョン・バカン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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