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『特捜部Q―カルテ番号64―』ユッシ・エーズラ・オールスン ハヤカワ・ミステリ

2015-07-04

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☆☆☆☆

「特捜部Q」―過去の未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。「Q」が今回挑むのは、八〇年代に起こったナイトクラブのマダムの失踪事件。アサドとローセの調査によるとほぼ同時に五人もの行方不明者が出ているという。カール・マーク警部補は大事件の匂いを嗅ぎつけ捜査に着手。やがて、壮絶な過去を持つひとりの老女と新進政党の関係者が捜査線上に浮かび上がってくるのだが……。デンマークを代表する文学賞「金の月桂冠」賞受賞!世界的ベストセラー人気警察小説シリーズ、待望の第四弾! 内容紹介より



1923年から1961年まで、デンマークのある島に実際に存在した女子収容所には、「法律または当時の倫理観に反したか、あるいは、“軽度知的障害”があることを理由に行為能力の制限を宣告された女性を収容していた」(p543)。そして、彼女たちは不妊手術の同意書にサインしなければ、そこから出られなかった。この歴史的事実を基にした物語です。
家庭環境の変化、教師の誤解、周囲の偏見、関係者の思い込みなどから、教育を満足に受けられなかった少女が、ようやくある人物たちから救いの手を差し伸べられた時には、すでに子どもが産めない身体にさせられていた。彼女は教育を受け直し、やがて勤め先の会社社長に見初められ、幸せな人生をおくるかに思えたのだが……。
少女期から青年期にかけて、波乱に満ち、悲惨な生き方をした女性が、ある出来事をきっかけにこれまでに関わった人物たちへの復讐を始めるというもので、その時代設定を八十年代に置き、一方、彼女が起こした未解決の行方不明事件の捜査を二十数年後に主人公たちが始めるというものです。さらに、そこに移民排斥や優生法を主張する政党の活動を絡ませています。
読者には、犯人の正体も動機も予め提示されているため、サスペンス性はちょっと弱い気がしましたが、捜査陣がいかにして犯人へ辿り着くのか、被害者たちはどういう人物でどう犯人に関わったのか、という部分が読みどころでした。また、捜査が引き起こした余波が、過去と現在進行形の出来事に繋がりを生じさせる構成は巧い。

『特捜部Qー檻の中の女ー』
『特捜部Q -キジ殺し- 』
『特捜部Q-Pからのメッセージー』




テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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