FC2ブログ

『十二枚のだまし絵』ジェフリー・アーチャー 新潮文庫

2015-07-24

Tag : 短編集

☆☆☆

どうしても欲しい高価なネックレスを手に入れるための、見事な策略を成功させた人妻を描く「割勘で安あがり」、夕刻車で友人宅へ向う途中に追跡車に気づき、必死で逃げる女性の恐怖とその意外な結末「高速道路の殺人鬼」、四通りの全く違う結末が用意され、読者が好きなものを選べる「焼き加減はお好みで…」など、いずれも奇想天外なアイディアと斬新な趣向を凝らした十二編を収録する。 内容紹介より



タイトルに「*印のついたストーリーはよく知られた出来事にもとづくものである」だそうです。


「試行錯誤」
妻との仲を疑った末に副会長を殺害した容疑に問われた運送会社の会長。死体が見つからないなか、彼は被害者が生きており、彼の妻と謀って会社を乗っ取ろうとしていると裁判で訴えるのだが終身刑に処せられてしまう。彼は獄中から腕利きの調査員チームを雇い、無実を証明しようとする。なかなか面白いけれど、被害者の変装が明らかに現実的、合理的ではない気がしました。

「割勘で安あがり」*
自分へのプレゼントに百万ポンドのネックレスを買わせようとする女性のしたたかな策略を描いた作品。

「ダギー・モーティマーの右腕」*
ケンブリッジ対オックスフォードのカレッジ対抗のボート・レースにおいて、三年連続で優勝に貢献したアメリカ人学生。彼は帰国する前に所属するボート・クラブに記念になる品物を贈ろうと、二十世紀初頭に彼と同様に活躍した選手のブロンズ製の腕を手に入れる。そして、後に彼はその選手をめぐるある逸話があることを知る。

「バグダッドで足止め」*
サダム・フセイン政権下のイラクで農業大臣を務めていた男。彼はその職を罷免され、身に危険が迫ったためにアメリカへ亡命し、現在ではトルコ絨毯を扱う商人となっている。トルコで絨毯を仕入れての帰りの便が機体不良のためバクダッドの空港に着陸してしまう。イラク政府は亡命した彼に死刑宣告を下していたのだった。

「海峡トンネル・ミステリー」*
世間の評判になっている新作を発表したばかりの作家が、NYに住む友人の作家を訪ねる。レストランで夕食をとっている最中、その友人は彼に新しいアイデアが浮かんだ長篇小説のプロットを語って聞かせる。プレイボーイの作家に仕掛けた元彼女の復讐話。

「シューシャイン・ボーイ」*
北大西洋上にある英国の植民地である小諸島。突如、マウントバッテン卿から島への訪問の連絡を受けた総督夫妻。予算も少なく、人手や設備も不足しているなかで行わざるをえない、歓迎式典、晩餐会をめぐるドタバタ劇。

「後悔はさせない」*
生命保険の契約を交わす際に受けなければならない健康診断でのトリック。物語の最初からプロットが分かってしまうがラストは意外。

「高速道路の殺人鬼」*
ピーター・へイニング編による短編集『死のドライブ』(文春文庫)にも「高速道路で絶対に停車するな」として収録されている作品。仕事を終え、友人宅へ向う女性ドライバーの車を執拗に追いかけてくる不審車。同じ道路で最近発生した女性ドライバー殺人事件が彼女の脳裏に浮かび、謎の車から必死に逃れようとするのが……。

「非売品」*
美術学校で才能を認められた女性画家の卵、彼女はある美術商の画廊に作品を持込む。さらに十二点の作品を仕上げれば、彼女の個展を開くという画商の提案を彼女は受け入れる。一方、画廊で知り合った男性と恋に落ちた彼女は、仕事と恋愛に充実した時間を過ごしていたが、個展を前にした新聞記者の取材日、彼女の身に重大な出来事が降りかかってしまう。いくら短篇にしても、恋人の造形が不鮮明な感じ。

「TIMEO DANAOS」*
父親の助言通りに銀行員になっていなければ、企業家として一財産築いていた、と思い込んでいる銀行支店長が休暇先のギリシャで遭遇した、彼の思い込みとはまったく違ったヘマをやらかす様を描き、その俗物ぶりをシニカルに見せた作品。

「眼には眼を」*
夫殺しの容疑で逮捕された女性。彼女は、事件当日には夫から暴力をふるわれたために、目が見えなくなり、病院に入院していたと供述していた。無実を主張する彼女の担当弁護士は、目が見えないという彼女にひとつのトリックを仕掛ける。

「焼き加減はお好みで…」
偶然、街で見かけて一目惚れした女性を追いかけて劇場に入り、彼女の隣の席を占めた男の恋の行方を四通りの結末を用意して描いた作品。趣向自体は楽しいが、四つの結末すべてにさほど驚きはない。

『十二の意外な結末』
『15のわけあり小説』
『十一番目の戒律』



商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF アンソロジー クリスマス・ストーリー ルース・レンデル アーロン・エルキンズ スティーヴン・キング キャロリン・G・ハート デイヴィッド・ハンドラー ドン・ウィンズロウ ジョアン・フルーク ローラ・チャイルズ マイクル・クライトン ジョー・R・ランズデール ジョージ・P・ペレケーノス C・J・ボックス ポーラ・ゴズリング ヘニング・マンケル レジナルド・ヒル ローレンス・ブロック カール・ハイアセン パーネル・ホール ジェイムズ・パタースン S・J・ローザン ジェームズ・パターソン エド・マクベイン リチャード・マシスン ジル・チャーチル D・M・ディヴァイン リリアン・J・ブラウン ジェフリー・ディーヴァー レスリー・メイヤー ピーター・ラヴゼイ ジャネット・イヴァノヴィッチ スチュアート・ウッズ ローラ・リップマン ジョルジュ・シムノン レックス・スタウト ジョー・ゴアズ ウィリアム・カッツ マーガレット・ミラー クレオ・コイル ジャック・カーリイ アリス・キンバリー マーシャ・マラー アイザック・アシモフ カーター・ディクスン ヒラリー・ウォー ジョン・ディクスン・カー コリン・ホルト・ソーヤー ルイーズ・ペニー エド・ゴーマン マイケル・ボンド ジェフ・アボット G・M・フォード ジェームズ・ヤッフェ イーヴリン・スミス フレッド・ヴァルガス ロブ・ライアン リタ・メイ・ブラウン ポール・ドハティー キャロリン・キーン ウィリアム・L・デアンドリア ダナ・レオン リン・S・ハイタワー アン・クリーヴス アンソニー・ホロヴィッツ デイヴィッド・マレル ドナ・アンドリューズ サイモン・カーニック ジョアン・ハリス ジャン=クリストフ・グランジェ スタンリイ・エリン ジョン・クリード アンドレア・カミッレーリ レニー・エアース ケイト・ロス ウイリアム・P・マッギヴァーン レイ・ハリスン コニス・リトル クリスチアナ・ブランド エヴァン・マーシャル ファーン・マイケルズ オーサ・ラーソン ジャック・フィニイ ウィリアム・ランデイ エーリヒ・ケストナー リック・ボイヤー ビリー・レッツ サキ ユージン・イジー イーサン・ブラック ジェーン・ラングトン ウォルター・サタスウェイト ウォルター・モズリイ トバイアス・ウルフ ポール・ドハティ スタンリー・エリン 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント