『消えた境界線』アラフェア・バーク 文春文庫

2015-11-28

Tag :

☆☆☆

待望の重大犯罪訴追課に異動し張り切る地方検事補サムを待ち受けていたのは、著名な医者の妻でポートランド市行政法審判官を務める女性の誘拐殺人事件。彼女の裁定を恨む黒人男性が逮捕されるが、被害者の私生活を探るうちにサムは、市の名士たちの巧みに隠蔽された“腐敗の連鎖”に気づき、暴こうとする……。解説・池上冬樹 内容紹介より



〈女検事補サム・キンケイド〉シリーズの第二作目。一作目の『女検事補サム・キンケイド』は未読です。著者の父親はジェイムズ・リー・バークだそうです。
ジャンルは一応リーガル・サスペンスなのですけれど、従来の検察側と弁護側が対決し、法廷において丁々発止やり合う、というパターンを採らず、検事補の主人公が弁護士側に協力する形を採っているところは目新しく感じました。作者自身、地方検事補の経歴を持っているため、専門的知識や経験を当然踏まえているわけで、それがリアリティを生む一方ややくどい印象を与える部分もあるような気がします。事件に地元の土地開発をめぐる利権が絡んでくる展開はかなりありきたりに思いました。黒人に対する偏見に度々言及し、白人の富裕層と黒人の貧困層の対比を盛り込んでいたり、主人公に、過去の秘密を抱えた父親との関係、元夫への複雑な感情を持たせたりとミステリ以外の部分にも味付けしている印象でした。それから読んでいると登場人物たちが入り交じってちょっと混乱してしまいました。




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『ユダヤ警官同盟』マイケル・シェイボン 新潮文庫

2015-11-25

Tag : SF

☆☆☆

安ホテルでヤク中が殺された。傍らにチェス盤。後頭部に一発。プロか。時は2007年、アラスカ・シトカ特別区。流浪のユダヤ人が築いたその地は2ヶ月後に米国への返還を控え、警察もやる気がない。だが、酒浸りの日々を送る殺人課刑事ランツマンはチェス盤の謎に興味を引かれ、捜査を開始する―。ピュリッツァー賞受賞作家による刑事たちのハードボイルド・ワンダーランド、開幕! 内容紹介より



1948年、建国後三ヶ月も経たないイスラエルはアラブ諸国に敗れ、米国はユダヤ難民のための入植地としてアラスカ州シトカに特別区を設けた。しかし、その地はあくまでも暫定的なものであり、60年後には地位が元に戻るためユダヤ人は再度行き先を決めなくてはならない。その期日が2ヶ月後に迫るとき、殺人事件が起きる。周辺国のロシアは第三共和政で、中国は満州国になっている、という具合でいわゆる歴史改変小説の形をとっているSF作品です。黒原敏行氏は、訳者あとがきで「改変歴史SF+ハードボイルド・ミステリー+純文学」と記し、ジャンル横断型文学の意欲作と述べています。まず始めに、作者が創りだした仮想世界にわくわくしたものを感じるのですが、残念ながらそれが長続きしません。そのときめきは、ユダヤ宗教にまつわる記述や純文学作家らしい書き込みのなかに紛れてしまいました。“境界線の知者”などのユダヤ人の慣習、風習は興味深いし、作者の表現力、描写力は際立っているのですが、ミステリ読みとしては、警察ミステリの形式を採ったことはどうなのだろうかと疑問に思うところです。在米ユダヤ人によるイスラエル・ロビー活動の凄まじさは『アメリカのユダヤ人』(土井敏邦著 岩波新書)で取り上げられていますけれど、彼らならこれくらいの計画を立てそうな気はします。



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『剝がされた皮膚』クリス・シムズ 小学館文庫

2015-11-22

Tag :

☆☆☆

「最初の被害者は胸と上腕の皮膚だけが剝がされたんだったね?今回は被害者の喉、胸、上腹部、太ももの皮膚までも剝ぎ取った」―イギリス北部の中心都市、マンチェスターで、格差社会から零れ落ちたような孤独な女性たちが次々と襲われ、被害者の傍らには剝がされた皮膚がきちんと積まれていた。ラガーマン警部、ジョン・スパイサーが、不思議な同僚リック・サヴィルと共に猟奇犯を追いつめていくが、次に狙われたのはジョンの知人・フィオーナだった。ドメスティック・バイオレンス、ゲイ文化、アル中患者、貧困家庭、売春組織など、マンチェスターの荒廃した社会に潜む犯人の正体は―。 内容紹介より



〈マンチェスター警察殺人課ファイル〉シリーズの邦訳第一作目。
主人公は地元のラグビークラブに所属している体格の良い、やや直情的な傾向にある人物です。私生活では妊娠した恋人と暮らし、若干プレッシャーを感じつつ、仕事では、過去の事件が原因で上司から疎まれ、新しく組んだ同僚はゲイです。こういうふうに主人公を取り巻く状況や恋人や同僚とのやり取りも過不足なく描かれているのにもかかわらず、なにか掴みどころがなくてなぜか魅力を感じません。そのせいかもうひとりの主役である、夫によるDVを受け続けた末に家を出たフィオーナのほうが存在感を示している印象を受けました。ミステリ部分においても、フィオーナが家出した夜に泊まったモーテルの隣室で殺人が起きたような物音を聞いたと思い込み、被害者の行方を捜しまわる展開が、主人公たちの捜査活動よりミスリードを含みサスペンス性を感じました。どこかで化けそうな予感がする作家ですので、邦訳が止まっているのは残念です。

『残虐なる月』



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『暗殺者グレイマン』マーク・グリーニー ハヤカワ文庫NV

2015-11-19

Tag :

☆☆☆

身を隠すのが巧みで、“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる凄腕の暗殺者ジェントリー。CIAの特殊活動部に属していた彼は、突然解雇され命を狙われ始めたが、追跡を逃れて今は民間警備会社の経営者から暗殺の仕事を受けている。だがナイジェリアの大臣を暗殺したため、兄の大統領が復讐を決意、やがて様々な国の暗殺チームがグレイマンを標的とする死のレースを開始した!激烈な戦闘が連続する冒険アクション 内容紹介より



弟を殺されたナイジェリア大統領が国内のエネルギー資源開発計画の契約をたてに、多国籍企業に暗殺者である主人公の首を要求し、その企業は莫大な報奨金を約束して第三世界十二カ国の特殊部隊からなる暗殺チームに主人公を狩らせる、というロードノベル型バイオレンス冒険アクション小説。敵の数と手強さからいったら、マシュー・ライリーの『アイス・ステーション』並です。主人公の造形はプロットのせいなのか、A・J・クィネルのジョン・クリーシーに似ているような気がしました。個人的には、暗殺チームの数が多すぎではないかと、多すぎて終盤に彼らの処理が雑になり、シャトーでの銃撃戦の場面など収拾がつかなくなっているみたいに感じました。さらにこういう物語は、主人公が強すぎることによるスーパーヒーロー化現象に陥る危険性があるわけで、この作品の主人公も片足をそこに踏み入れています。縫合と点滴と輸血をしながら車を運転するなんてギャグにしか思えません。また、主人公が悪人しかターゲットにしない、などというガードもはってあって、作品全体にアメリカン・コミックのシリアス版みたいな印象を与えている気がしました。しかし、こういったジャンルが好みな方には十分一読の価値があるます。



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『窓際のスパイ』ミック・ヘロン ハヤカワ文庫NV

2015-11-16

Tag :

☆☆☆

〈泥沼の家〉と呼ばれるその部署は、英国情報部の最下層だ。不祥事を起こした部員はここに送り込まれ、飼い殺しにされるのだ。若き部員カートライトも訓練中のミスのせいでここに放り込まれ、連日ゴミ漁りのような仕事をさせられていた。もう俺に明日はないのか?ところが英国全土を揺るがす大事件で、状況は一変した。一か八か、返り咲きを賭けて〈泥沼の家〉が動き出す!英国スパイ小説の伝統を継ぐ新シリーズ開幕 内容紹介より



英国スパイ小説で窓際に追いやられたスパイが主人公となる作品だと、その内容は極めて重いかあるいはつとめて軽いかのどちらかになりそうなイメージがあるのですけれど、本書は後者のほうでした。しかも、主人公が一応所属しているMI5のナンバー2が企む陰謀が、企てが単純なほどリアリティがあるかもしれませんが、拍子抜けするほど間抜けっぽいのです。大事件とは、謎の組織がある大学生を誘拐し、ネット配信によって彼が監禁されている様子を世界中に流し、しかも四十八時間後に彼の首を刎ねるメッセージを放ったことです。読者はここまでで当然ISIS関連の事件を思い浮かべるわけですが、そこで作者は読者が抱く固定観念に意表をつきます。そして、こういうアイロニカルな傾向は、落ちこぼれの情報部員という設定からしてそうですが、作品全体に見られました。シリーズ物ですから、これから各情報部員たちのキャラクターが立っていくのでしょうけれど、なかでも彼らのボスはかなり下品で魅力的な人物なので楽しみです。



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『冬の裁き』スチュアート・カミンスキー 扶桑社ミステリー

2015-11-13

Tag :

☆☆☆☆

真冬のシカゴ。深夜、若い夫婦が二人組に襲われた。夫は射殺され、妻は重傷。老刑事エイブ・リーバーマンにとって、これは特別な事件だった。殺されたのは、彼の甥だったのだ―こうして、長い一日がはじまった。犯罪が続発し、哀しみの葬儀が進むなか、リーバーマンの執念の捜査はつづく。そして24時間後、彼は事件に潜む真の悲劇を裁く場に立っていた……一日を時系列的に追う緊密な構成で、からみあう犯罪と人間模様を浮き彫りにする野心的ミステリー。MWA賞作家カミンスキー、渾身の一作!〈解説・鵜條芳流〉 内容紹介より



〈刑事エイブ・リーバーマン〉シリーズの第三作目。二作目の『裏切りの銃弾』は未読です。
物語は、「真冬のシカゴ、午前〇時二分」からはじまり、「午後十一時三十分」で終わる一日を時系列に描いています。また、警察小説に最適なモジュラー型をとり、かつ三人称多視点形式のため非常にスピード感、緊迫感が高まっています。そして、主人公の甥夫婦を犠牲者に設定しているために、彼自身や家族、身内の深い哀しみを描き出して物語に陰影を付けており、さらに、家庭内暴力を受けていた母子、射殺事件の被害者の妻、別居中の娘夫婦、これらの人物たちそれぞれが抱える悲哀が蔭に濃淡を添えているように感じました。登場人物たちは、メキシコ系マフィアのボスからチョイ役の刑事弁護士にいたるまでキャラクターが細かく設けられ、ストーリーにいっそうの味わいを与えている気がします。事件の真相は読み始め早々に見当がつきますが、ミステリだけに依存しない滋味に富む作品でありシリーズだとあらためて思いました。

『愚者たちの街』




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『チャーチル閣下の秘書』スーザン・イーリア・マクニール 創元推理文庫

2015-11-11

Tag :

☆☆☆☆

アメリカで育ったわたしが、ロンドンで暮らしはじめて1年余り。その間、この国はナチス・ドイツと開戦し、チャーチルが首相になり、そしていま、空襲の時が迫っていた。そんな折、首相官邸での職の話が舞い込んでくる。数学の能力を活かせる秘書官ではなく秘書としてのオファーだが。女性にタイプとファイリングしかまかせようとしないこの国に苛立ちを感じながらも、わたしはその誘いを受け入れる。官邸を取り巻くいくつもの謀略が、待ち構えていることなど知るはずもなく。才気煥発なマギーが体当たりで陰謀に挑む、魅力のシリーズ開幕編。 内容紹介より



ダンケルクの撤退からロンドン空襲を時代設定に、交通事故で両親を失い、米国に渡った叔母によって育てられた若いイギリス人女性を主人公にした歴史フィクションです。作者がアメリカ人のためかところどころにナンシー・ドルーを彷彿とさせるものがありますが、全体的にはイギリスの伝統的な冒険小説の雰囲気を感じました。戦争をはじめとして、IRAによるテロ行為やドイツのスパイ活動、数学の才能が豊かな主人公が解こうとする敵の暗号、彼女の父親をめぐる秘密、そしてロマンスの芽生え、このように事件や出来事が頻発し、ミステリが多岐にわたっていることが本書の特徴のように思います。また、主人公の秘書としての仕事や同僚たち、描かれているチャーチルの人物像もたいへん面白いです。ただ難を言えば、クライマックス後からエンディングに至るまでが冗漫な印象でした。めりはりを付けるか整理するなりしたほうが終盤に締まりが出たような気がしました。しかし、知略謀略、友情と裏切り、スリルとサスペンスに富んだ読み応えのあるなかなかの良作です。



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『仕組まれた死の罠』ルース・レンデル 角川文庫

2015-11-08

☆☆☆

高名なフルート奏者、マニュエル・カマルグの死に特に不審な点はなかった。老人は雪の夜、池に落ちて溺死したのだ。だが、カマルグの再婚相手と決まっていた女性の話を聞いて、ウェクスフォードの考えは一変した。死の直前、19年間生き別れになっていた一人娘がカマルグを訪れたが、彼は対面後、娘を偽物と断じ、追い払ったという。そして今、その娘はカマルグの大邸宅に移り住み、着々と遺産の処分を進めている。娘は本物か偽物か?そこから始まった捜査は、ウェクスフォードをアメリカとフランスへ導き、ある“罠”の発見に結びつくのだが… 内容紹介より



ルース・レンデルの1981年の作品で、ウェクスフォード警部シリーズとしては11番目にあたるようです。ちなみにレンデルのノン・シリーズを含めると、『地獄の湖』の次にあたる20番目の作品です。
さて、掲げられている謎は、死亡した人物の娘だと名乗る女が本物か偽物か、という二者択一のすごくシンプルなものです。まず、ようやく再会を果たした父親は生前に彼女を偽物と断じ、また、ウェクスフォードは彼女の挙動に不自然さを感じています。一方、昔、彼女と親交のあった人物たちは本物に間違いないと証言し、さらに、かつてかかりつけだった歯科医の治療歴からも彼女が娘本人だと立証しているのでした。そして読者はもちろんウェクスフォードを通して物事を見るので、当然彼女を怪しみます。彼女の正体は暴かれなくてはならないのですから。
策士策に溺れる、という言葉がありますが、今回の印象はこんな感じです。謎が単純なだけに、作者はそれをどう料理してみせるのか、なのですが、並の作家ならこのレベルで申し分ないくらいの出来映えですけれど、ルース・レンデルはいかに料理してみせたのか、となると期待が大きすぎたので評価がやや低めになってしまったのでした。設定をノン・シリーズものにしていたら違っていたかもしれません。最後に、かなり遅くなってしまいましたが、ルース・レンデルさんのご冥福をお祈りします。たくさんの素晴らしい作品を遺していただきありがとうございます。

タグ:ルース・レンデル



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『とんでもないパティシエ』J・B・スタンリー RHブックスプラス

2015-11-05

Tag :

☆☆

父ジャクソンとミラの結婚式が迫り、ジェイムズは新居探しとダイエット再開に奮闘中。気ぜわしい日々のなか、ミラの妹が結婚式のためにやってきた。彼女はなんと「お菓子の女王」と呼ばれる有名なパティシエだった!作るものはたまらなくおいしいのに、毒舌、わがまま、やりたい放題の女王に町中がうんざり。ところが彼女の死体が発見され……。嘆き悲しむミラをなぐさめようと、〈デブ・ファイブ〉のメンバーは、死の真相を突きとめるべき立ち上がった! 内容紹介より



〈ダイエット・クラブ〉シリーズ5。
読む順番が前後しましたが、シリーズ最終巻『カップケーキよ、永遠なれ』のひとつ前の作品です。
主人公の人柄と親子、友人たちとの人間関係の妙で読ませる、良い意味で緩くて生ぬるいこのシリーズですけれど、今回は父親の再婚、ダイエット・クラブのメンバーのテレビ出演、主人公の元恋人による暴露話風な本の出版といった事態が迫っている中で事件が起きます。さらに主人公の身にも一大事が振りかかるという、ハプニングやドラマには事欠かない展開でした。また、ダイエット・クラブのメンバーの結束とともに、彼らが暮らす町への住民たちの誇りという一面も描かれています。
ミステリについては相変わらずこれといって触れるようなものはありません。作品の雰囲気からすると、ナンシー・アサートンの〈優しい幽霊〉シリーズみたいに、特に殺人事件を起こさなくても良いのではないかとも感じました。まあ、シリーズは終わったわけですけれど、コージー諸作品の中でも稀な趣を持ったシリーズでした。

J・B・スタンリー



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『晩夏の犬』コナー・フィッツジェラルド ヴィレッジブックス

2015-11-02

Tag :

☆☆☆☆

猛暑のローマで、男がめった刺しにされ殺された。被害者は動物愛護の活動家で、闘犬ビジネスの摘発に関わり、マフィアの恨みを買ったと思われた。捜査を率いるローマ警察の警視ブルームはプロにしてはどこか稚拙な手口に違和感をおぼえるが、被害者が現役国会議員の夫で、大物マフィアの娘とも愛人関係にあったことから、否応なく早期解決を迫られる。そんななか捜査線上に一人の男が浮上し、時を置かず捜査チームのメンバーが殺される。やがて明かされる事件の異常な動機と、加速する死の連鎖―ブルームは犯人を追いイタリアの街を疾走するが……。CWA最優秀新人賞候補作。 内容紹介より



〈ローマ警察 警視ブルーム〉シリーズの第一作目。
ローマ在住のイギリス人の著者が、ローマ警察に勤務するアメリカ人を主人公にして描いた作品です。ヴェネツィア在住のアメリカ人であるダナ・レオンによるヴェネツィア警察の警視を主人公にしたシリーズがありますが、あちらは生粋のイタリア人でしたから本書とはちょっと設定が違っています。ただ、ダナ・レオンの主人公にはアウトサイダー臭がしていたのに、本書の主人公からはそんな印象を受けませんでした。かといってイタリアらしい雰囲気にあふれているかと言えばあまりそうでもなく、ちょっと設定を修正したなら、舞台をニューヨークやシカゴに移し替えてもさほど不自然に感じないであろう警察小説だと思います。果たしてアメリカ人を主人公に据えたアイデアが吉と出ているのかは個人的に判断に迷います。また、440ページを過ぎた辺から視点が主人公から殺人犯の視点に移り、これまでの事件のあらましとその後が描かれ、この部分から一転してクライム小説風な様相を呈します。この唐突な変化が悪いわけではないけれど、目先を変える以外の意味があったのかどうかも疑問に感じるところでした。



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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