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『死を誘う暗号』ルース・レンデル 角川文庫

2016-10-26

☆☆☆☆

野良猫たちが集まる、人気のない草地—そこがマンゴーと仲間たちとの暗号受け渡し場所だ。退屈なパブリック・スクールに通うマンゴーにとって、暗号を使った“スパイ活動”はひそかな愉しみだった。園芸店に勤めるジョンは、偶然その受け渡し場所を見つけ、暗号文を手に入れる。誰が、何のために使っている暗号なのか?ジョンは、暗号の解読に没頭していく。それが事件の始まりだった……。暗号を巡って様々な人生が重なり合い、運命の車輪が今ゆっくりと廻り始める。英国ミステリー界の女王レンデルが放つ、戦慄に満ちた傑作長編。 内容紹介より



小尾芙佐氏の訳者あとがきによれば「本書は、ルース・レンデルのノン・シリーズの作品としては十四作目」にあたるそうです。
レンデルが得意とする心理サスペンスの真髄を発揮した作品であり、いったんそれを希釈しつつも、いたって平凡きわまりない男の心理がまわりに存在する奇矯な人物たち、そして少年たちがやり取りする暗号文によって図らずも大きな影響を受けざるを得ないさまを見事に描き出しています。妻に去られた男の戸惑いと執着の鬱々とした日常、対してパブリック・スクールの生徒のスパイごっことその日常。この二つの生活の流れが暗号文で小さな接点が作られ、次第に男の心を占めていく一方で、生徒は敵対するスパイ組織の暗号を解読しようとするとともに、部下たちのなかに二重スパイの存在を疑いが心に持ちあがります。パブリック・スクールでの学生生活や家庭の様子がなかなか興味深く、レンデルの作品には珍しい、少年小説のような明るさとユーモアをもって描かれており、徐々に張りつめていく緊張感に一息つく良いアクセントになっているとともに、男の孤独,暗号に没頭していく異様な姿を対照的に映しだしています。妻の元婚約者と生徒のひとりが暗号文によって繋げられたことによって、状況は急速に転がりはじめて破滅的な事態を引き起こしただけでなく、登場人物に対してちょっと不気味な余韻を残して終わる作品でした。

ユーザータグ:ルース・レンデル




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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