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『潔白』バリー・シーゲル 講談社文庫

2018-04-27

Tag :

☆☆☆☆

法廷弁護士として共に働いたアイラが殺人容疑で逮捕された。弁護を依頼されたグレッグ、しかし事件当夜のアリバイが立証できない。一方、検察側の目撃証人サンディによる完璧な証言によりアイラは死刑を宣告される。友を救う手だてはあるのか。正義を問い、法の盲点を突く、リーガル・ミステリの真骨頂! 内容紹介より



過去に明らかに冤罪であったにもかかわらず、依頼人を救えなかったことが原因で、それから刑事事件の弁護から手を引いていた主人公は、我が子を自らの不注意により亡くしてしまいそれ以来身を持ち崩した、かつて仕事仲間であり親友だった人物が強盗殺人事件の容疑者として逮捕され、彼の弁護を依頼されます。容疑者が不確かな証言によって殺人犯に着々と仕立てられていく状況に、一旦は依頼を断った主人公は事件の裏にある不可解さを感じて弁護を引き受けます。逮捕から裁判に至る過程に隠された、ある強大な権力による秘められた陰謀が徐々に明らかになる展開は意外性をはらみ、ついには禁じ手を使わざるを得ない主人公の行動も伏線が上手く張ってあります。心に深い傷を負った主人公とその友人を始めとして 重いテーマなのですが、三人称多視点で描かれる登場人物たちそれぞれの内奥が、物語に深みとともにテンポを与えて読み易さを感じました。ただし、大どんでん返し的な事態が一瞬にして黒から白に変わるみたいな爽快感はあまり得られません。




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『グルメ探偵と幻のスパイス』ピーター・キング ハヤカワ文庫HM

2018-04-23

Tag :

☆☆☆

古今東西の食べ物を知り尽くしたぼく、グルメ探偵が鑑定したのは人類史上もっとも高価といわれる幻のスパイスだ。心をとろけさせる至福の香り、口じゅうに広がる極上の風味—まちがいなく本物だ。無事に仕事を終えて緊張から解き放たれたのも束の間、スパイスがこつぜんと消え、さらに殺人まで起きて、なぜかぼくが第一容疑者に?!超一流の味覚嗅覚フル稼働で真犯人を突き止めてやる!絶品、満腹フルコース・ミステリ 内容紹介より



五百年程前に絶滅したと思われていた植物が発見され、それを原料にして作られていた幻のスパイスが再現されたという。その鑑定を依頼された主人公は、一路ニューヨークへ。彼はスパイス専門店を営む友人と共に、空輸された直後の幻のスパイスを空港にある一室で鑑定することに……。もし本物であれば、非常に高価な値段で取引されるであろうスパイスが、衆人環視の状況で保管された箱の中から消えてしまったうえに、殺人事件も起きてしまいます。そのスパイスを手に入れたがっていた各レストランのオーナーシェフや製薬会社、健康食品会社などに、主人公は聞き込みにまわることに。トルコ、アフリカ、中華、様々なレストランの様々な料理が登場するうえに、ニューヨークの食文化や食事情もふんだんに描かれて楽しめました。ミステリ的には、スパイス消失事件が古典探偵小説風に話に興を添えています。主人公の強面でもぐいぐい来るキャラでもなく、少しナイーブで柳に風みたいなひょうひょうとしている感じが今回も好ましく思いました。

『グルメ探偵、特別料理を盗む』




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『隠密部隊ファントム・フォース』ジェイムズ・H・コッブ 文春文庫

2018-04-18

Tag :

☆☆☆☆

インドネシア各地で武装集団によるテロが多発、多数の島々を擁する同国は内戦の危機に陥った。テロ組織を支援する富豪ハーコナンを密かに排除せねばならない。隠密作戦の指揮をとるのは戦略の天才アマンダ・ギャレット。アマンダ自身が構想した新戦略〈ファントム・フォース〉が始動する。現在最高の軍事冒険シリーズ最新作! 上巻内容紹介より



本書は、紛争地域において、民間の貨物船に擬装した軍艦が敵の不意をついて襲う、という戦時国際法からみてどうなんだろうかと思うような設定がある軍事スリラーです。舞台は多数の島嶼と様々な民族からなるインドネシアで、各民族を煽って中央政府と対立させ、最終的にインドネシアの分裂後に自らの王国を創ろうとする海賊の頭目と彼が起こした争乱に乗じて軍事クーデターを企てる海軍の提督の二人が敵役になります。内戦状態に陥ったインドネシアに介入するのが、主人公が率いるアメリカ海軍の隠密部隊という話です。面白くない訳ではないのですけれど、まず対戦するインドネシア軍、それもその中の反乱軍、しかももっぱら海軍の戦力、装備なりが、超近代的最新装備を誇るアメリカ海軍に比較して、当たり前にあまりにも負けているところ、敵が強ければ強い程話は盛り上がるというのに、相手がやられすぎなところが目立ってしらけてしまいました。それに軍事冒険小説における恋愛話が個人的に受けつけないのでその点も目障りでした。嵐など自然の驚異という要素を持ち込んでいないところはアリステア・マクリーンの作品に比べると冒険譚の弱さを感じてしまいます。

『ステルス艦カニンガム出撃』




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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『レディ・スティンガー』クレイグ・スミス ミステリアス・プレス ハヤカワ文庫

2018-04-11

Tag :

☆☆☆☆

マギーは詐欺師。ホテルのバーに一人座り、下心を覗かせて近づいてくる男から金品を失敬するのが仕事だ。ところがある日、網にかけた男シャンクスから逆に仕事を持ちかけられてしまう。ある男をカモにしてフロッピーを盗めば、一万ドル出すというのだ。話に乗ったマギーは、ジャマイカに飛ぶが……二転三転する展開で一気に読ませる洒落た大人のサスペンス 内容紹介より



本書は1992年に発表され、1993年のMWA賞最優秀処女長篇賞候補にノミネートされた作品です。ちなみにその年の受賞作は、マイクル・コナリーの『ナイトホークス』です。
棚ぼたで手に入ったマフィアの大金を一般人や小悪党がねこばばしてしまったために、マフィアから追われるはめに陥る、というプロットは良くありますが、本書もそのパターンのひとつです。主人公は色仕掛けで気を惹いた男に薬物を飲ませて、金品をくすねる女詐欺師で、盗品を処分する役をする男のパートナーがいます。そんなヒロインがある晩引っ掛けた男から、多額の謝礼金を示されてある計画を持ちかけられます。彼女は依頼人を怪しく思いながらも、報酬目当てに話に乗ってジャマイカへと向かいます。根っからの詐欺師のパートナー、ある事情からFBIを辞めた男、マフィアのボスとその組織の金を横領している会計士、ひと癖もふた癖もある登場人物のなかでも魅力的なのがヒロインです。プロの詐欺師なのに妙に素人ぽさがあり、依頼人に恋心を抱いてしまう女らしさを持っています。そういう魅力を描きながら、物語がありきたりのラブロマンスに堕ちなかったのは、クライマックスにおける依頼人との対面シーンでしょうし、そのために作品が締まっている印象を受けました。




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『マイアミ殺人 懲りないドクター』ダーク・ワイル 集英社文庫

2018-04-06

Tag :

☆☆☆

マイアミの医学校で学ぶベンは博士号取得を目前にした生体臨床医学の専門家。その知識を見込まれ巨額の報酬で、製薬会社の買収を検討している依頼人から、内部調査を引き受けた。革新的な抗癌剤開発の情報は真実なのか?ひと癖もふた癖もあるドクターたち。頭脳明晰、かつ人間味あふれ自らもドクターの卵ベン・キャンディーディ。フロリダの陽光の下、陰謀と殺人の渦に巻き込まれ…。 内容紹介より



主人公は恩師の友人から、抗癌剤を開発している研究所の買収に伴う調査を依頼され、新たな抗癌剤の真価や特許関連を調べることになります。しかし、彼の前任者の失踪、研究所のオーナーの怪しい動きなどが調査するにつれて浮かび上がってくるうえに、不審な言動をとっていた開発責任者が急死を遂げてしまいます。博士号取得を目前に控えた、高いIQを備える主人公が専門知識を用いて真実を明らかにする、という話の流れです。恋人とヨットを愛する自由人である主人公のキャラは、一方では秀才過ぎる気味がありますが、嫌味がなくかといってくだけすぎることもなく、そつがないけどやや青臭い感じもする好青年です。これが役所に上手くはまっている印象を受けました。物語は、研究成果の真贋を見分ける主人公の活動が多くを占め、殺人らしきものが起きるのはかなり後半になってからですので、ミステリ自体の深みはあまり感じませんが、クライマックスの冒険小説みたいなアクション場面は結構盛り上がっています。作者は、英国の冒険小説の古典に傾倒しているのか、少なくとも影響を受けていそうな印象を受けました。




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『死を告げる絵』トマス・アドコック ミステリアス・プレス ハヤカワ文庫

2018-04-01

Tag :

☆☆☆

ストゥールに腰掛け、バーテンに話しかける緑色のドレスの女—その光景は、ピカソと自称する老画家の絵とそっくり同じだった。そして、彼女はそのバーで何者かに殺された。ニューヨーク市警の刑事ホッカデイはその老画家の行方を追い始めるが、彼の絵を模して、第二、第三の殺人が。情感豊かに描くアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペーパーバック賞受賞作 内容紹介より



1991年に発表された作品です。もし物語のなかにおいてパソコンや携帯電話が登場するか否かよってミステリ史を前後期に分けるとするならば、この作品は前期にあたります。主人公はヘルズ・キッチンに住む、NY市警のマンハッタン街頭犯罪捜査班に属する私服刑事です。しかし、彼はほとんど単独で捜査するため、警察小説の色合いは薄く、また警察ミステリというより私立探偵小説の雰囲気を強く感じました。いわば国家権力を背景にしつつ、組織に縛られない一匹狼を主人公にしたハードボイルドなのでしょう。これはなかなか都合の良い設定なのですが、昨今のミステリと比べるとなにか古めかしく感じてしまいます。物語は、四月のある日の午前中に公園において、主人公がピカソと名乗る初老の絵描きから殺人計画を打ち明けられるところから始まり、彼のもとへ届く、犯行現場を描いたかのような絵のとおりの殺人事件が連続して発生します。戦死した夫のことを話そうとしない主人公の母親にまつわる記憶やコニーアイランドでの少年期の思い出など、彼の内に秘めた心情やノスタルジックな感情をメインストーリーに絡めて展開するスタイルを採っています。




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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てんちゃん1号

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  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

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