FC2ブログ

『悪夢の宿る巣』ルース・レンデル 角川文庫

2019-01-30

☆☆☆☆

スタンリーの密かな夢、それは義母の遺産を手にする日のことだった。それさえ手に入れれば、なかば女房に食わせてもらう生活、クロスワード・パズルが唯一の楽しみのという惨めな生活ともおさらばだ。彼は義母の死ぬ日をひたすら待った…。彼の殺意が芽ばえたのは、思惑どおりに遺産が手にはいらないとわかった時のことだった。不仲の義母は、彼に遺産が渡らぬよう、周到な手を打っていたのだ。やがて思わぬ機会が訪れた。スタンリーは、着々と計画を実行に移していった。クロスワードの空白を埋めるように。それが決して解けないパズルであるとは考えもせず— 内容紹介より



怠け者で仕事が続かず、働く妻のわずかな収入に頼って生活している主人公は、同居する義母と日頃から口争いが絶えません。しかし、義母が貯め込んでいる財産を目当てに、そんな日常を我慢する状態です。ところが、主人公に殺さるかもしれないと思い込んだ義母によって、彼女が脳卒中以外の原因で死んだ場合は、娘にも遺産を渡さない、という内容に遺書を書き換えたという話を聞いた彼は、彼女の服用する薬を別のものと入れ替える小細工を始めます。ある日、義母の長年の友人が自宅を訪ねてきたときに起きた思いがけない出来事が主人公の運命を変えてしまいます。
小悪党ともいえない小者の主人公は、新聞のクロスワード・パズルを解くことだけが毎日の楽しみという甲斐性のない男です。もともと姑の財産目当てに、そのひとり娘と結婚し、不仲な姑としぶしぶ同居しているような男がその金が手に入らないとなって激しい殺意が湧きあがってきます。作者の巧みなところは、こういうどこにでもいそうな人物や誰でも抱いてしまいそうな感情を物語に据えて、人物や出来事を読者に身近に感じさせるところでしょう。サイコパスやシリアルキラーではなくて、そこら辺りにいる、または自分自身のなかにも似たようなところがある、というのが読んでいて非常に身につまされてしまい、作者の術中にまんまとはまってしまうのです。共通したものがあるが故に、どうしようもない主人公の姿に哀れささえ覚えてしまわざるを得ないのでした。主人公がパニックになるにつれて湧き出てくるクロスワード・パズルの単語がかなりブラックなユーモアを漂わせていると思います。

ユーザータグ:ルース・レンデル




商品詳細を見る




テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『湿地』アーナルデュル・インドリダソン 東京創元社

2019-01-27

Tag :

☆☆☆☆

雨交じりの風が吹く、十月のレイキャヴィク。北の湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。被害者によって招き入れられた何者かが、突発的に殺害し、そのまま逃走したものと思われた。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、現場に残された三つの単語からなるメッセージが事件の様相を変えた。計画的な殺人なのか?しだいに明らかになる被害者の老人の隠された過去。レイキャヴィク警察犯罪捜査官エーレンデュルがたどり着いた衝撃の犯人、そして肺腑をえぐる真相とは。 内容紹介より



以下、ネタバレを含んでいます。ご注意下さい!

ストーリーは、老人の撲殺事件の捜査と主人公が個人的な事情で引き受けた花嫁失踪の調査、この二つから構成され、これに主人公の娘との出来事が絡められています。北欧ミステリという先入観を持って読むからなのか、本書も同質性を感じてしまいます。しかし、舞台となっているのはアイスランドの首都レイキャヴィクです。訳者あとがきにある、作者へのインタビューに「大量殺人や派手なカーチェイスなどは人口三十万人の小国ではあり得ない」(p330)とあるように、ミステリの舞台としては非常にユニークだと思います。ただし、そこが色濃く作品に出ているとは感じられませんでした。それはテーマに性犯罪を扱っているからなのかもしれませんし、作者が映画評論家出身ということで過度にローカル色を出せない、出さない要因みたいなものがあるのかもしれません。そうはいっても人口が少なく、国民のほとんどが親戚関係にあるからこそ発達した医学的なある研究が、事件の重要な背景になっている点ではあります。性暴力を取り上げる理由についてインタビューで作者が述べていますが、それならば物語の結末を悲劇的に終わらせず、広い意味においても犠牲者がなんらかの救済を受けるような、光明を見出せるようなものにするべきだったと思います。



商品詳細を見る




テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『高い窓』レイモンド・チャンドラー ハヤカワ文庫HM

2019-01-24

Tag :

☆☆☆

パサデナの裕福な未亡人の依頼は盗まれた家宝の古金貨を取り戻してほしいというものだった。夫人は息子の嫁を疑っていたが、マーロウは家庭にはそれだけではない謎があるのを感じとった。傲慢な夫人と生活力のない息子、黒メガネの男。やがて事件の関係者が次々と殺されていき、マーロウの前には事件の意外な様相と過去の出来事が浮かび上がってくる。冷たく透明な一人称の文体で描かれるハードボイルド小説の巨匠の名作 内容紹介より



清水俊二氏訳版を読みました。亡夫が遺した貴重な金貨を息子の嫁が持ち逃げしたという未亡人が、世間体を気にして警察沙汰にせずに取り戻そうと主人公に調査を依頼します。カジノに借金がある一人息子、未亡人に虐げられているような女性秘書、主人公を尾行する謎の男、こんな主要登場人物の他にナイトクラブのオーナーとその妻、彼女のいかがわしい感じの男友達、クラブのボディガード、コイン商といった面々がいる訳ですが、変わっているのは失踪人である息子の嫁がほとんど登場しないというところです。私立探偵小説といえば失踪人捜しという定番な設定を設けているにもかかわらず、その人物抜きで物語が進んでいくところに意外性を感じました。たまに意味の分からない突拍子もない会話がなされる点もこんがらがるところです。死体が三つあるというのに話が集約されていかない、結末がぼんやりしている、殺人犯を見つけることより女の子を故郷に返すことに達成感を見出しているみたいに思える主人公の印象は、娯楽小説ではなくて文学的価値のなせる業なのでしょうか。個人的にフィリップ・マーロウ物の良さがいまいち分からないので、本書も相変わらずぴんときませんでした。ある女性が主人公に言い放った言葉、「去年の古臭いギャグととってつけたような薄笑いの口のへらない私立探偵」(p187)が的を射ている。




商品詳細を見る




テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『時のかたみ』ジューン・トムスン 創元推理文庫

2019-01-20

Tag :

☆☆☆

祖父危篤の報を受け、クローディアはハウレット荘に駆けつけた。富裕なアストン家も、往時の勢いを失ってすでに久しい。衰微の空気に包まれ、見舞いは重苦しいものとなったが、祖父の幼なじみたるロローおじが闖入してきたとき、何かが変わった。老いてなお気概を失わぬこの天性のやんちゃ坊主は、手遅れになるまえに旧友と会い、過去の遺恨を水に流したいのだという……。同じ夜、ひとつ屋根の下で発生した二件の自然死。その不自然きわまりない状況に、フィンチ警部の推理の刃が向けられる。周到な謎解きが展開する、女流本格ミステリの粋! 内容紹介より



本書は1989年に発表された、フィンチ警部シリーズのなかの一作です。日本ではホームズ・パスティーシュもののほうが多く出版されている作家ですけれど、わたし個人はパスティーシュにはまったく興味が湧かないので、できれば本シリーズの他の作品も邦訳して頂きたいと思います。久坂恭氏が解説で触れているように、英国警察小説では、警部(視)と部長刑事などの部下とのコンビで捜査に当る体裁が伝統的にとられていることが多く、本書でも同様の設定です。英国の女流作家というと、どうしてもルース・レンデルと比べたくなりますが、物語は、『薔薇の殺意』のようにある人物の失踪から始まります。離れて暮らす弟が毎年欠かさず贈ってくれるバースデイカードが届かず、下宿先に問い合わせてみて長期間留守にしていることを知った老婦人は、不安になり警察に調査を依頼しようとしますが相手にされません。しかし、ふとしたきっかけで主人公の警部が親切心から調べてみることになります。彼はウェクスフォード主任警部と違い、独身の一人暮らしで、個人的なエピソードは一途に想いを寄せる女性に関してのことです。こわもてにもなりがちなウェスクフォードと異なり、ナイーブで思いやりがあり朴訥な雰囲気を漂わせて良い警官役を演じがちです。その行方不明事件とはまったく別に地方の名家において同日に二件の病死あり、その内の一件の状況に不審な点が見られるため、部下とともに主人公が捜査に赴きます。全体的にはレンデル作品を軽くしたみたいで、なにかもう少し調味料が欲しい感じがしました。良くも悪くも本格古典を現代にリメークしたみたいな雰囲気で安定感はありますが、設定も展開も代わり映えしないので、社会問題などの現代的な要素を取り入れたいところです。女性作家特有の繊細な心理描写があまり感じられないし、サスペンス部分を担当するはずの孫娘の役割が後半効いていない気がしました。

『追憶のローズマリー』




商品詳細を見る




テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』ジャック・フィニイ ロバート・F・ヤング他 創元SF文庫

2019-01-17

☆☆☆☆

時間という、超えることができない絶対的な壁。これに挑むことを夢見てタイム・トラヴェルというアイデアが現われて、一世紀以上が過ぎた。この時間SFというジャンルは、ことのほかロマンスと相性がよく、傑作秀作が数多く生みだされている。本書には、このジャンルの定番作家といえるフィニイ、ヤングの心温まる恋の物語から、作品の仕掛け自体に技法を凝らしたナイト、グリーン・ジュニアの傑作まで、名手たちによる9編を厳選し収録した。本邦初訳作3編を含む。 内容紹介より



「チャリティのことづて」ウィリアム・M・リー
1700年に生きる十一歳の少女と1965年にいる十六歳の少年の心の交流を描いた作品。病気で高熱がでた後、時を隔てて同じ場所に暮らすふたりはテレパシーみたいなもので通じあえるようになりますが、未来の事柄を知った少女がそのことを他人に話したため、彼女は魔女疑惑をもたれ裁判にかけられることに。可愛らしい初恋のお話です。

「むかしをいまに」デーモン・ナイト
生が死で、死が生、とでもいうか時間の逆行あるいは退行している世界に生きる男の一人生を描いたユニークな物語。非常に深い切なさが余韻に残りました。

「台詞指導」ジャック・フィニイ
ある映画の撮影で大道具に使う予定の1926年代に運行されていたバスを撮影前夜に試運転することにした撮影スタッフたち。ニューヨーカーたちを驚かせようと、当時の運転手や車掌の制服や洋服を身に着けてバスを走らせるのですが……。いかにもフィニイらしいノスタルジックな舞台設定が活きている話。ただそれだけでなく、つかの間の過去を経験したため、自身の未来をかいま見てしまった新人女優の心情が切りとられているのはさすがです。

「かえりみれば」ウィルマー・H・シラス
「今自分がやっていることをわかった上で、過去に戻ってもう一度人生をやり直せたら、どんなに違うでしょう」(p102)、そう口にした女性は時間を十五年さかのぼって十五歳に戻ってしまいます。学校の授業も楽勝と思っていたところが、得意だった科目にも苦労し、苦手だった科目にはさらにひどい目に遭ってしまいます。つまりテスト用紙を目の前にして何もわからないというような悪夢を実体験するお話。

「時のいたみ」バート・K・ファイラー
三十六歳の男が十年後に過去に跳躍することを望んだ理由。彼の精神は「消去/復元絞り機」かけられているため、なぜ自分が鍛錬してたくましい体つきになり、不自由だった脚にも筋肉が付けて十年後の未来から戻ってきた理由がわかりません。本当に甘い話なのに、捻りを利かせた苦さが印象に残ります。

「時が新しかったころ」ロバート・F・ヤング
紀元2156年から白亜紀後期に時代錯誤遺物の調査にやってきた調査員はそこで幼い火星人姉弟に出会ってしまいます。彼らは火星の悪人によって身の代金目的に誘拐され、地球に連れて来られたという。恐竜が闊歩する古代地球を舞台にしたSF冒険小説。ヤングらしい優しいエンディング。

「時の娘」チャールズ・L・ハーネス
タイムパラドックスをネタにした、面倒くさくてこんがらがった男女の恋愛劇。

「出会いのとき巡りきて」C・L・ムーア
たった一人の人と巡り会うために壮大な時間旅行を行う男にまつわる究極の愛の物語がまるで神話のように思えてきます。

「インキーに詫びる」R・M・グリーン・ジュニア
少年、中年、老年、三つの時間を同時に描いて、かつて悲恋に終わったロマンスを成就させる。スケールは小さいが愛というテーマは同じ。

『時の娘』ジョセフィン・テイ ハヤカワ文庫HM




商品詳細を見る




テーマ : SF小説
ジャンル : 本・雑誌

『時の娘』ジョセフィン・テイ ハヤカワ文庫HM

2019-01-14

Tag :

☆☆☆☆

薔薇戦争の昔、王位を奪うためにいたいけな王子を殺害したとして悪名高いリチャード三世—彼は本当に残虐非道を尽くした悪人だったのか?退屈な入院生活を送るグランド警部は、ふとしたことから手にした肖像画を見て疑問を抱いた。警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード三世の素顔を推理する。安楽椅子探偵ならぬベッド探偵登場!探偵小説史上に燦然と輝く歴史ミステリの名作。 内容紹介より



たった一枚の肖像画の複製を目にした人たちがその人物に抱いたさまざまに異なる印象。ある者は善良な人物と言い、またある者は病気持ちなのではないかと言う、別の者は心に苦悩を抱えているように見えると語る。その肖像画の人物こそ、二人の幼少の甥を殺害し王位を簒奪したといわれるリチャード三世。とても人殺しをするような人相に思えないことに興味を抱いて調査を始めたのが脚の怪我で入院中のグラント警部です。彼は友人や担当の看護士に頼んで教科書や歴史本を手に入れ、事件についてつじつまの合わないところが気になり、さらにアメリカ人の青年を助手にして資料を集めて検討し始めます。リチャード三世は極悪人だったのか、それとも真犯人は別に存在するのか。
英国史に登場する王家の人名というのは同じ名前を持っていたり、別称があったりして、非常に混乱させられがちです。本書には王家の家系図が付いていますけれど、王家以外の関係者の一覧表がないためにかなり判りにくいです。一方、テーマはとても分かりやすく、知的好奇心がそそられる作品になっています。歴史は勝者によって書かれるとは良く聞く言葉ですが、それ以外に、チャーチルが内務大臣当時に起きた労働争議に対する軍隊による発砲事件の発生地である炭鉱町「トニイパンディ」みたいに、実際に起きた騒動に尾ひれがついて敵対勢力を貶めるために意図的に流布された偽史や誤解や曲解されて事実とは異なって伝承されている出来事がたくさんあり、しかも教科書にあたかも真実のように記載され教えられているものもあるというのはやや複雑な気持ちになってしまいました。2012年にリチャード三世の遺骨が発掘されて、その後の分析の結果、彼がやはり脊椎側弯症だったことや死因が判明したニュースとリンクして本書を再読してみたらさらに面白かったです。

『リチャード三世「殺人」事件』エリザベス・ピーターズ 扶桑社ミステリー




商品詳細を見る




テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『獣たちの庭園』ジェフリー・ディーヴァー 文春文庫

2019-01-11

☆☆☆☆

1936年、オリンピック開催に沸くベルリン。アメリカ選手団に混じって、ナチス高官暗殺の使命を帯びた一人の殺し屋がニューヨークから潜入するが、現地工作員と落ち合う際に誤って人を殺し、警察に追われる身となる。暗殺を果たし、無事に国外逃亡できるか……。「どんでん返し職人」ディーヴァーが初めて挑んだ歴史サスペンス。 内容紹介より



物語は、主に1936年7月24日から27日にかけての出来事が約650ページに渡って描かれています。ニューヨークにおいて暗黒街の殺しを請け負っていた殺し屋が、新しい人生と大金を条件にナチスの重要人物の暗殺を引き受けてベルリンへと渡ります。すでにドイツは戦争の準備を急いでおり、国内は親衛隊や突撃隊が幅を利かし、秘密警察による国民への監視や密告が厳しい状況にあります。主人公はベルリン・オリンピックに参加する選手団や記者たちに紛れ込んで入国します。ここで非常に気になるのは、主人公は殺しのプロではあっても、秘密工作員としてはまったくの素人であることです。案の定、彼は正義感から見知らぬ人間を助けてしまい窮地に陥ってしまいます。本書の主人公に見られるこういう行動パターンは、ハリウッド映画系のヒーロー像であることで、良くも悪くも単純で青臭いアメリカ的正義感が根底にあるように感じます。恐らくアマチュアを主人公にした英国伝統的冒険小説ならば、主人公は当意即妙の言動、いわゆる頭を使うことによって相手も自身も危機を脱する方法をとるでしょう。作者が主人公をプロでもアマでもないセミプロに設定した理由は判りやすいアメリカ人気質にあるのではないでしょうか。冒険小説になると、従来のディーヴァーの巧さが発揮できていない気がしましたし、ナチス体制下の息苦しく重苦しい雰囲気は感じますが、オリンピックにまつわるエピソードに乏しく、ジェシー・オーエンス選手が添え物程度に登場するだけなのはちょっと残念でした。

ユーザータグ:ジェフリー・ディーヴァー




商品詳細を見る




テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

『幼き子らよ、我がもとへ』ピーター・トレメイン 創元推理文庫

2019-01-08

Tag :

☆☆☆☆

疫病が国土に蔓延するなか、王の後継者である兄に呼ばれ故郷の城に戻ったフィデルマは、驚くべき事件を耳にする。モアン王国内の修道院で、隣国の尊者ダカーンが殺されたというのだ。このままでは隣国が責任を追及してくることは必定。二国間の戦争にも発展しかねない。フィデルマは、兄の要請で現地へ調査に向かう。途中、村が襲撃される現場へ行きあい、助かった修道女と数人の孤児を連れ修道院に向かうのだが……。裁判官、弁護士である美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を解き明かす! 上巻内容紹介より



ヒロインの故郷モアン王国の王は彼女の叔父であり、兄が次期後継者です。黄熱病に倒れた王が病床にあるなか、王国内の修道院に滞在中だった隣国ラーハン王国の名のある賢者が何者かによって刺殺されるという事件が起きてしまいます。ラーハン王国は賠償を求めてモアン王国を訴え、モアン王国に属する小国の領土を要求します。隣国の戦争さえ辞さない構えに、真相究明のために兄の依頼でヒロインは修道院へ派遣されることになります。その道中でヒロインは焼き討ちにあった村に行き当たるのですが、その場面が凄惨で、さらにある修道院も同じように殺戮される無惨な場面が描かれています。ミステリ作品ではほとんどお目にかからない、幼子が犠牲となる血なまぐさいシーンがこれほど頻繁に出てくるのも非常に珍しく、マーケティングのためもあるでしょうし、自主規制が暗黙の了解になって避けられていると思っていたシーンがここまで描かれると気になるしかなり辟易してしまいます。クライマックスは前回同様のリーガルサスペンス風味で締めくくられるもやや冗長気味でしょうか。しかし、当時のアイルランドにおける法律の先進性には驚かされました。

『蜘蛛の巣』

遅くなりましたが、今年もよろしくお願い致します。皆様にとって良い一年でありますように。




商品詳細を見る








テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF クリスマス・ストーリー アンソロジー ルース・レンデル アーロン・エルキンズ スティーヴン・キング キャロリン・G・ハート デイヴィッド・ハンドラー ジョアン・フルーク ローラ・チャイルズ ドン・ウィンズロウ マイクル・クライトン ジョー・R・ランズデール ジョージ・P・ペレケーノス C・J・ボックス ポーラ・ゴズリング レジナルド・ヒル エド・マクベイン ヘニング・マンケル ジル・チャーチル ジェイムズ・パタースン ジェームズ・パターソン リチャード・マシスン ローレンス・ブロック ジャネット・イヴァノヴィッチ S・J・ローザン カール・ハイアセン リリアン・J・ブラウン スチュアート・ウッズ パーネル・ホール D・M・ディヴァイン ピーター・ラヴゼイ ジェフリー・ディーヴァー ローラ・リップマン ジョルジュ・シムノン アリス・キンバリー レックス・スタウト ジョー・ゴアズ ウィリアム・カッツ マーガレット・ミラー レスリー・メイヤー ジャック・カーリイ クレオ・コイル ヒラリー・ウォー アイザック・アシモフ カーター・ディクスン ジョン・ディクスン・カー マーシャ・マラー エド・ゴーマン コリン・ホルト・ソーヤー ルイーズ・ペニー マイケル・ボンド ジェフ・アボット イーヴリン・スミス ジェームズ・ヤッフェ フレッド・ヴァルガス ウィリアム・L・デアンドリア ロブ・ライアン リタ・メイ・ブラウン キャロリン・キーン G・M・フォード ポール・ドハティー ジャン=クリストフ・グランジェ リン・S・ハイタワー ダナ・レオン ドナ・アンドリューズ ウイリアム・P・マッギヴァーン サイモン・カーニック スタンリイ・エリン クリスチアナ・ブランド アン・クリーヴス アンソニー・ホロヴィッツ ジョアン・ハリス ケイト・ロス アンドレア・カミッレーリ ジョン・クリード レニー・エアース デイヴィッド・マレル コニス・リトル オーサ・ラーソン ファーン・マイケルズ レイ・ハリスン エヴァン・マーシャル ウィリアム・ランデイ ジャック・フィニイ ウォルター・モズリイ ビリー・レッツ サキ ジェーン・ラングトン ユージン・イジー イーサン・ブラック リック・ボイヤー エーリヒ・ケストナー ウォルター・サタスウェイト トバイアス・ウルフ ポール・ドハティ スタンリー・エリン 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント