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『冬そして夜』S・J・ローザン 創元推理文庫

2019-08-26

☆☆☆☆

11月の深夜、私立探偵のわたしビル・スミスを冷たい夜気の中へ連れ出したのは、少年をひとり保護したという警察からの電話だった。少年の名はゲイリー、15歳—わたしの甥だ。なぜニューヨークへ来たのか話さぬまま、甥はわたしの前から姿を消す。手がかりを求めて、甥の一家が暮らす町ワレンズタウンを訪れたわたしは、フットボールの盛んな町の歪んだ体質が引き起こした事件に、否応なく直面することになる……。明かされる醜聞と自らの過去に対峙するビル、そしてリディア。MWA最優秀長編賞を受賞した、私立探偵小説シリーズの白眉。 内容紹介より



昔から私立探偵小説のメイン・テーマといえば人捜しにつきる訳で、本書もそれを踏襲しています。失踪人は主人公ビルの妹の息子です。その妹夫婦とは過去の出来事によってわだかまりが生じ、疎遠になっています。甥は引っ越してきた町の高校でフットボール選手として有望視されていたところでしたが、ある日、「しなければならないことがある」という書き置きを残して家を出たのです。ビルはニューヨークで警察に捕まった甥を一旦保護したものの、直後に彼に逃げられてしまいます。ビルは事情を探るために妹一家が暮らす町へ……。そこは町ぐるみになって地元の高校のフットボールチームを応援するところであり、フットボール選手が贔屓にされる場所でもあります。それはフットボールがまるで宗教のごとくフットボール至上主義みたいな雰囲気が漂い、その選手は実生活では甘やかされ、批判はタブー視されて彼ら以外の生徒たちは見下されているという傾向をやや誇張かと思えるほどに描き出しています。そのような空気が過去の醜聞と今回の事件を生みだした共通の負の要因として現わされ、さらにどこの学校もそんな影を抱えていることを暗示しています。中盤に人捜しに特有の聞き込みが続くダレる部分がある気がしましたし、悲劇的要素が強いわりに解決策が他力に頼って救いが無く、もやもやした読後感が残りました。それから、こんな人物だったっけと思うほどビルの怒りにかられた暴力場面が目立ちました。

ユーザータグ:S・J・ローザン




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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てんちゃん1号

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