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『黒い囚人馬車』マーク・グレアム ハヤカワ・ミステリ

2013-11-07

Tag :

☆☆☆☆

アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペーパーバック賞受賞作
1876年、建国百年記念万国博に沸き立つフィラデルフィア。だが会場の警備についている警官マクリアリーは失意に沈んでいた。事件解決の失敗で刑事の職を追われたのだ。おまけに今夜は金持ちたちを歓楽街へ案内しなければならない。しぶしぶ夜の街へ出るマクリアリーだが、退廃と虚飾に彩られたそのツアーの最後に、まさか少女の惨殺体を発見することになるとは……刑事魂がマクリアリーの胸に甦った。だが、上層部は彼を捜査から遠ざけようとする。事件の裏に何かが潜んでいるのか?力感溢れる筆致で描かれ、MWA賞に輝いた歴史ミステリの傑作 内容紹介より



ウィルトン・マクリアリー刑事を主人公にしたシリーズの第三作目で、邦訳されたのは本書が初めてです。作品の舞台となる国際博覧会記念万博は、「アメリカの世界へのデビューを誇示するパーティーであった。南北戦争の荒廃ののち、再統合されたアメリカが世界の列強の舞台に登場しようという最初のシグナルであった」(作者あとがきより)。このようにきらびやかで浮かれたお祭り騒ぎの喧騒のなかに、南北戦争に従軍し悲惨な体験をした(時代を替えたネオ・ハードボイルドの探偵みたいな)主人公を配して対照的な状況設定を用いています。しかも彼は過去に担当した事件で失態を演じている設定になっています。ただし、この事件についてはしばしば作品内で触れられますが、その事件が未約のシリーズ第一作目に関する内容なので、読んでいてもいまひとつぴんとこなくて、もどかしさがあるところは難点です。
非常に注目を集めたという日本の出展についても描かれている記念万博会場の雰囲気は活き活きと伝わってくるし、実際に起きた当時の事件をもとにして書かれた作品らしく、作者の取材が細部まで行き届いている印象を受けました。一方、どんでん返しに次ぐどんでん返しの趣向、特に真犯人については伏線の不足のせいもあっていささか強引なサプライズありきのような感じがしました。




黒い囚人馬車 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)黒い囚人馬車 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
(2001/10/10)
マーク・グレアム

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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