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『ワイルダー一家の失踪』ハーバート・ブリーン ハヤカワ・ミステリ

2015-03-23

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☆☆☆

他の人達は病気で死んで行く、おたふく風邪か老衰か、熱病か肺炎かで、でもワイルダー家の人達は消えていく―1775年のジョナサン・ワイルダーの失踪にはじまって、これまで五人のワイルダー家の当主が、不可思議な状況のもとで姿を消していた。最近では、一年前、フレッド・ワイルダーが、三階の、窓がひとつあるきりの自分の事務所から消え失せていた。
ニューヨークのジャーナリスト、レイノルド・フレームが、雑誌の仕事で“古き良きアメリカ”を取材するためにワイルダーズ・レーンにやってきた日にも、一年前に失踪したきりのフレッド・ワイルダーの下の娘エレンが伯母の家へ行くとバスに乗ったきり行方知れずになってしまった……。が、失踪した他の人達がそれきり消息不明だったのに対し、エレンは、翌日、無残な撲殺体となってワイルダー家代々の墓地に埋められているのを発見された!なぜ、エレンだけが死体となって……?フレッド・ワイルダーの姉娘コンスタンスの経営する下宿屋に間借りしたレイノルドは、否応なく事件に巻きこまれていった。彼が暴いた五人のワイルダー達の失踪の秘密とは……。

ブリーンの作風はカーを継承するものである。中心興味が手品趣味であること、筋が複雑でこんぐらがっていること、催眠術、心霊現象その他オカルティズムの智識を脚注まで入れてふんだんに披瀝していること、等々、カーの手法に酷似している。 江戸川乱歩(解説より) 内容紹介より



確かにオカルト趣味あるいは綺談系の趣向を取り入れたところは独特の雰囲気作りに効果的に働いていると思います。しかし、人間消失という高いハードルを掲げた謎の設定が徐々に解明されていく過程で、ハードル以上のさらなる驚きが準備されているのか、という期待はちょっと肩透かし気味です。真犯人の動機も良いところを突きながら、なにかもう一歩の踏み込みが足りない気がしました。銃痕のある二体の遺骨の真相やフレッド・ワイルダー消失のからくりは結構うならせます。また、主人公たちの目と鼻の先で起きた消失事件もストーリーの流れ的にかなり上手いタイミングでショッキングな効果を与えているように思います。一方、砂浜に残った足跡が途中で途切れた失踪事件の動機はなかなかですけれど、そのトリックについては残念。それから、こうも怪奇で不可解な消失劇が立て続けに起きているにもかかわらず、ワイルダー家の女主人の心理描写が淡白なところは不自然に感じました。もっと心の乱れ、焦燥、切迫とか動揺などの感情表現を描いたほうがサスペンス性が高まったのではないかという気がしました。




ワイルダー一家の失踪 (ハヤカワ・ミステリ 104)ワイルダー一家の失踪 (ハヤカワ・ミステリ 104)
(1953/11)
ハーバート・ブリーン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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