『われらが英雄スクラッフィ』ポール・ギャリコ 創元推理文庫

2016-01-06

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☆☆☆☆

第二次大戦下の英領ジブラルタル。この地には、古くから奇妙な言い伝えがあった―サルがいなくなったとき、英国軍もいなくなる、と。その言い伝えのゆえにか、担当士官としてサルの世話に明け暮れるティモシー・ベイリー大尉と、部下のラブジョイ。ふたりが手を焼くのは、群でいちばんの暴れもの、スクラッフィ。彼の乱暴狼藉に頭を痛めながらも、サルたちを愛し軍務に励むふたりだが、ティモシーは左遷され、サルたちは激減する。さらに敵国ドイツの協力者が、言い伝えを戦況に利用しようと画策。英国軍の命運を担うのは、もはやスクラッフィ一匹だけ?史実に想を得て、ギャリコが物語るユーモア冒険小説の傑作、本邦初訳。 内容紹介より



「この地からサルがいなくなったとき、英国人もいなくなる」、という実際にある古くからの言い伝えが残る英領ジブラルタル。その野生のサルたちの世話をするのが英国陸軍砲兵隊サル担当士官の大尉とその部下。しかし、ある事件が起き大尉は更迭され、さらに第二次大戦が始り物資不足と環境の悪化によってサルたちが激減してしまう。言い伝えを利用してフランコ独裁下のスペインに参戦させようと画策するドイツ。そんな状況の中、サルの保護と個体数の増加を図るよう、チャーチル首相直々の命令がくだされる。そしてサルたちの繁殖作戦が始まる、というわけです。ドタバタあり、ロマンスあり、涙ありの人間たちの様子と豊崎由美氏の解説にある「擬人化を避けている」サルたちの姿が非常に対照的であり、それ故に人間たちの自分勝手な目論みに翻弄されるサルたちの悲哀が明白に浮かび上がっています。そこのところがこの作品を単なるユーモア小説だけにしていないし、作者の狙いでありその力量のなせる技なのでしょう。笑わせながら心に訴えかけてくるものがある名作だと思います。

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。本年も南国の楽園ブログをよろしくお願い致します。皆さまにとって良い一年でありますように。

『ハリスおばさんニューヨークへ行く』講談社文庫
『幽霊が多すぎる』創元推理文庫




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テーマ : 推理小説・ミステリー
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