『リアル・スティール』リチャード・マシスン ハヤカワ文庫NV

2017-02-20

☆☆☆☆

人間同士のボクシングが禁止された近未来、リングで闘うのは人間ではなく精巧なロボットたちになった。しかし変わらないものもある。華やかな勝利とは裏腹の負け犬は今でも存在する。旧式のロボットを抱え、落ちぶれて金もなく窮地に追いつめられた元ボクサーの男は、起死回生の手段に打って出る……名作「四角い墓場」(『運命のボタン』所収)を改題した表題作をはじめ、ホラーからユーモアまでを網羅した、巨匠の傑作集 内容紹介より



50年代から70年代に発表された作品を集めたものです。
「リアル・スティール」「白絹のドレス」「予約客のみ」「指文字」「世界を創った男」「秘密」「象徴」「おま★★」「心の山脈」「最後の仕上げ」

「リアル・スティール」小型ロボット同士を格闘させる競技会は日本でも催されているようですが、この作品は六十年前に時代を先取りしていた作品で、しかも、人間そっくりの人型ロボットが登場しています。ロボットの格闘シーンにリアルに迫力があります。

「白絹のドレス」有名なあの母親と息子の話ではなく、母親と少女のパターンをとったサイコスリラー。少女のこどもっぽい独白で構成されるストーリーがじわじわと恐い。

「予約客のみ」金銭欲、魔術、意外な舞台設定、この三要素を見事に絡めてまとめあげたショートショートのお手本のような作品に感じました。

「指文字」日常と異界の境界線、もしくはグレーゾーンに踏み入ってしまった異様な体験を描いたような作品。

「世界を創った男」フレドリック・ブラウンの短篇にもありそうな小話。自分が世界を創り出したのだ、と言う男が精神科医のもとを訪れ診察を受ける様子を台本形式で描いた作品。

「秘密」サスペンスを徐々に高め、なにやら悲劇的な様相も盛り上げ、若い男女のメロドラマぽいものも取り入れ、ピークに達したところでどすんと落とす作品ですが、注釈がなかったらわたしにはオチが理解できなかったでしょう。

「象徴」食べ物や嗜好品がタブー視され、不変であることが規範となっている統制社会に住む家族を描いた作品。科学的合理性にそわない物事は排除される社会に疑問を抱いた人々が隠れて受け継いでいるアンチパターンを象徴する品物とは……。

「おま★★」これまた食べ物が忌諱されている未来世界が舞台。タイムマシンに乗ってその世界に研究にやってきた科学者が食べ物を所持していたために引き起こしたドタバタ劇。

「心の山脈」中庸で良いのですけれど、もうちょっと捻ったラストが用意されているのかと思っていました。ブラッドベリの感傷、あるいはマキャモンの奇想が欲しいところ

「最後の仕上げ」ホラー要素を絡めているが、さすがにスタイルが古めかしい。

ユーザータグ:リチャード・マシスン




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テーマ : 海外ファンタジー
ジャンル : 本・雑誌

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